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Electric Emotional Entertainment Reserch Institute
 本「メインメニュー」は、話題ごとに古い順を原則につながりを考慮して並べています。

*更新情報(新規登録は右記「最新記事」をご覧ください)
 17/10/08:「ハイレゾはハイレゾリューションか」からピーク潰れ関連を分離しました。
 17/06/18:CSSで本文幅をさらに10px増やしました。
 17/06/17:「UD-503を試す」にCreatorsUpdate問題について追記しました。
 17/06/03:CSSでフォントをメイリオに変更、それに伴い本文幅を10px増やしました。
 17/06/02:CSSでフォントサイズを13→15px,行間を1.6→25pxに変更しました。
 17/06/01:「最新記事」を一番上に移動しました。
 17/05/20:プラグインのhtmlを書き換えて「ERIへようこそ」からimage領域を消しました。
 これより前


・007:諸事
・008:AVC基本コンセプトと使用機材履歴


【PC-Audio】
・053:ファイルオーディオの基礎知識
・129:デジタルオーディオの基礎知識 (&PC-Audioの遊び方&チューニングコンセプト)
・066:デジタルデータはコピーで劣化するか
・089:リッピングソフトによる「ビット品質差」は存在するか (同じ0/1に音質差はあるか)
  ・140:リッピング環境による「ビット品質差」は存在するか (&仮想ドライブ効果考察)

■リッピングする
・015:WAVフォーマットを理解しておく
・052:音楽CDのエラーとは何か
・013:PureReadの効能
  ・045:PureRead2は進化しているか
  ・139:PureRead3+は進化しているか (&セキュアリッパー効果考察)
・014:リッピング条件が異なるとリップされたデータは変化しているか
  ・082:ダメージディスクでは何が起きているか (リッピングまとめ)
  ・083:光学ドライブのダメージディスクリッピング得手不得手
・051:EACやiTunesが「エラー訂正」しているのか
  ・068:EACと新旧ドライブ
・084:音楽CDのエンファシスとは何か
・091:オフセットとプリギャップはリッピングにどう影響するか

■送る
・009:WASAPIおそるべし
・018:デジタルケーブルで音は変わるか
  ・071:HDMI光アイソレーション
・022:デジタル転送時にデータは変化しているか
  ・080:検証用デジタルデータ操作法
・040:デジタルなのに音が変わるワケ
  ・070:DAC方式とDSD再生
・039:ppmがジッタなのか
  ・050:アシンクロナスモードはフロー制御しているか
・114:インターフェイスとDAC事情から「ジッタ」について理解しておく
  ・115:ジッタ対策に何ができるか考える
・078:iTunes10と11で音質は異なるか:AAC編
  ・079:iTunes10と11で音質は異なるか:WAV編
・081:プレーヤソフト設定とデータ仕様が違うとビット深度はどうなるか

■鳴らす(USB→S/PDIF)
・010:PCセレクト(1):ONKYO製HDC-1L
・011:DDCセレクト(1):ONKYO製SE-U55SX
  ・024:SE-U55SX電源を安定化電源で
・041:DDCセレクト(2):RATOC製REX-Link2EX (USB-I/Fをワイヤレス化)
  ・042:REX-Link2EX電源をeneloopとかレギュレータで

■鳴らす(HDMI)
・023:SACDのDSD再生から始めるHDMI-Audio (&HDMI規格まとめ)
・044:PCのHDMIでハイレゾ&マルチ再生を試す (915GME&H55で味見)
・061:PCセレクト(2):J&W製E350-GT (S/PDIFからHDMIへ宗旨替え)
・062:PCセレクト(3):GIGABYTE製GA-E350N-USB3 (HDMI-Audio構築&UpSampling)
  ・063:HDMIリンクスピードと音質 (&HDMIモード詳細)
  ・072:Audio-I/FとしてのHDMIデバイス変更

■鳴らす(USB)
・090:DACセレクト(1):SONY製UDA-1
  ・118:UDA-1を「なんちゃってNOS-DAC」として活用する
・122:Audio-I/FとしてのUSB検討
・123:PCセレクト(4):GIGABYTE製GA-X79-UD3 (パワーオーディオに宗旨替え)
・126:DACセレクト(2):TEAC製UD-503
  ・127:UD-503のデジタル処理を確認する
・156:PCセレクト(5):ASUS製Z170-A(世代のジャンプアップを試す)

■いじる
・029:OSチューン
  ・020:OSのbit数やバージョンと音質
  ・056:Fidelizer導入記
・046:H/Wチューン
  ・073:クロックや電圧と音質
  ・074:DIMMと音質
  ・077:CPUコア数と音質
・064:プレーヤソフト制御法

■ハイレゾ
・065:ハイレゾファイルの中身はハイレゾ(良マスタリング)か
  ・134:ハイレゾ商品の出自とその意義
    ・151:ハイレゾ商品の実際
    ・152:DSDとPCMで波形が著しく違う商品の不思議
      ・153:DSDとPCMで波形が著しく違う商品の制作プロセス
・110:ハイレゾフォーマットの効能を聴き比べるには
  ・111:ハイレゾファイルに高域が入っているか確認する
    ・155:(ハイレゾか否かには関係なく)ピークが潰れていないか確認する
  ・112:システムはハイレゾ高域を再生できているか確認する
・069:foobar2000とSoX Resampler
  ・119:foobar2000のDSD変換とResampler-V
・116:基音と倍音からハイレゾの意義を考える
・125:ビット深度は“16”で足りているか
・128:ハイサンプリング領域にノイズ問題はないか

■リクツを理解する
・113:サンプリング定理を改めデジタルオーディオの原理を勉強する
  ・117:PCのアップサンプリングとDACのオーバーサンプリング
    ・124:PCソフトとDACチップハードのデジタル処理はどちらが高性能か
  ・131:DACチップ処理をシミュレーションしてサンプリング定理を可視化する
  ・132:アップサンプリング時の「Phase Response」設定で何が変わるか可視化する
    ・133:「Phase Response」と「Impulse Response」はハイレゾだとどうなるか
  ・136:デジタルフィルタが復元するサンプルの精度はいかほどか
・120:DSDの「MaxPeak」とは何か
・121:PCMの「TruePeak」とは何か (&「ビット落ち」考察)


【Audio】
・028:アナログケーブルで音は変わるか
・033:805 VS 805S とユニット増し締め
・048:AVアンプの活かし方
・049:音が変わるって科学かオカルトか
・054:電力と節電とピークシフト (システムの実消費電力)
・067:マーラーとDBS
・088:グランドとアースを理解する
  ・144:グランド・アースとケーブル構造の関係を再考する
    ・145:グランドとアースをチューンする


【Visual】
・059:AACS都市伝説を追う:BDAV編
・060:AACS都市伝説を追う:PC編
・143:BDZ-EW1200導入記(&BD-RとREの容量)


【PC】
■ソフトウェア
・026:Windows7アップグレード所作
・075:Windows8導入記
・138:Windows10(無償)ライセンス挙動

■ハードウェア
・038:DisplayPortとHDCPとWQXGAと
・047:MatrixRAIDの挙動を理解する
  ・142:Windows10の「記憶域」は使えるか
・055:パーティションオフセットの諸問題
・058:GfxカードとQuickSyncVideo共存方法
・076:GA-Z68X-UD3H-B3をUEFI化する
・147:Z170を修める
  ・149:NVMeも修める

■モバイル
・086:パケット料金を抽象化して考える
・087:モバイルルータとMVNO回線を選ぶ
・108:miix2でWindowsをモバイルする:ハード編
・109:miix2でWindowsをモバイルする:ソフト編
・130:スマホでG4通信とFOMA通話をデュアルSIM運用する
・137:ThinkPad X220改造とWindows10化


【浅田真央】
・105:フィギュアのもろもろ
・148:浅田真央「選手として終える」に思うこと

■大会
・031:真央VSヨナ!バンクーバー激闘の果てに
・032:真央VSヨナ!トリノ女王再臨に燃ゆ
・093:ジャッジVSヨナ!楽しいロンドン愉快なロンドン
・100:真央VS真央!ソチに紡いだ悪夢と奇跡
・101:真央V3おめ!たまアリに満ち充つる愛
  ・102:たまアリ世界選手権2014をISUはどうジャッジしたか
  ・103:たまアリ世界選手権2014のTESカウンター(TESメーター)を分析する
・141:ボストン世界選手権2016にエッジ判定精度を探る
・146:グランプリファイナル2016に新採点法最適化戦略を分析する

■採点
・035:真央VSヨナVS新採点法!その光と影
  ・036:ルール改定泣き笑い
・098:「ISUジャッジングシステム」を理解する
  ・104:PCS独自和訳

■考察
・037:「浅田真央の不可解なジャッジ」の不可解
・094:ソチ代表選考を理解しておく
・097:ソチ前夜「ヒロイックな美神」を想う


では

ジェネレーションはギャップしているか

17/10/14初稿

 トランスポートPCをX79からZ170に組み替えました。ASUS製Z170-Aです。

 CPUは6コア12スレッドのCore-i7 3930K(3.2GHz,TDP135W)から2コア4スレッドのPentiumG4560(3.5GHz,TDP54W)に。
 マルチスレッド性能としては大幅グレードダウンですが、世代としては第2世代(のエンハンスですけれど)SandyBridge-Eから第7世代Kabylake(M/Bはひと世代前ですけれど)へのジャンプアップとなります。

 ジェネレーションギャップ、(だいたい)5世代分の影響や如何に?


■動機

 Z170構築の際NVMeについてさんざん調べた流れで、「オーディオPCのストレージをCPU直結のNVMeにしたらどうなるか」興味津々になっちゃいまして。
 だって、USB-I/FはすでにCPU直結していますから、そうすれば音源データをCPUを経由するだけで送り出せるような気がするではないですか。PCIe-I/FのSATAコントローラカード経由のSSDでも直結できますが、“よりシンプル”でないと魅力半減ですのでNVMeです。
 でも、現X79はNVMeから起動できないんですよね。システムも音源も1台に入れてしまいたいので、X79では実現できないということになります。
 そこに、Z170マザーが1枚余ってるワケで。壊れたと思ったのですが修理に出したら簡単に直っちゃったんです。
 といってもCPUは新たに調達しなければなりません。NVMe化に効果あるのかどうか不明ですから、お試し価格でないと踏み切れません。
 そこに、ちょうどオイシイ新CPU「PentiumG4560」が発売されてたワケで。



 Pentiumは、X79を組んだ時は2コア2スレッドでしたので候補になりませんでした(流石に4スレッド以上は欲しかったので)が、新型は2コア4スレッドになりました。
 Gfx性能や動画アクセラレーションなどの付加機能は要りませんので問題になりません。
 スレッド数は1/3になるワケですが、3930Kでの負荷状況をみる限り処理能力的には全く問題ないハズです。
 G4560はKabylakeですが、Z170-AのUEFIはメインPC用の6700Kでアップデート済みですから使えます。

 しかし、X79導入理由である「スレッドが多い方がよい」が世代を超えても成立するなら、音質的には退化してしまう可能性があります。
 もしそうだったら代替はあきらめてサブマシンにします。どうせ余ってたM/Bに安価なCPUの組み合わせですので。
 トランスポートとしてちょっとでも可能性を感じた場合は、メインマシンの6700Kを使って継続実験してみるつもりで。


■構成

・ハードウェア
 以下のような違いになります。

・メモリ・・・DDR3 → DDR4
・メモリチャンネル・・・4 → 2
・メモリ枚数・・・4 → 2 (いずれも4GBモジュール)
・クロック・・・3.2GHz → 3.5GHz
・コア数・・・6 → 2
・スレッド数・・・12 → 4
・プロセス・・・32nm → 14nm+

 DDR4メモリはメインPCZ170化の際に4枚用意したCorsair製を2枚流用。
 その他、CPUファンのみリテール品に変更した以外は拡張カード類もそのまま移築しました。
 メインテーマだったストレージもとりあえず元のSSDのまま。512GB以上のNVMeはおいそれと買える値段じゃありませんので、まずはZ170環境にしたことによる影響を見定めます。

 スロット使用状況は以下のようになりました。
 Z170-AにはPCIスロットがあるので「NO-PCI」が無駄になりません。PCIeからの変換PCIですがNO-PCIには関係ありませんし(笑)。

・slot0:PCIe x1 NO-PCI Express
・slot1:PCIe x16 PP2U-E  CPUに一番近いところに配置(CPU直結)
・slot2:PCIe x1 空き
・slot3:PCI   NO-PCI
・slot4:PCIe x8 空き(CPU直結)
・slot5:PCIe x1 空き
・slot6:PCIe x4 HD7750  表示用&HDMI-Audio用I/Fとして

 3930Kと異なりG4560には内蔵Gfxがありますが未使用に設定します。オンボードデバイスも極力disalbeです。山ほどあるチップセットUSBはBluetoothドングルと調整用K/Bのために2ポートのみ活かしてdisable。

・OS
 システム入りストレージを再インストールすることなくそのまま移築したワケですが、問題なく動いています。Bluetoothドングルも何もせず認識。なのでオーディオ系のセッティングもそのままです。
 CreatorsUpdateはMSがオーディオ関連で“やらかしている”ようなので、とりあえずクリーンインストールせずに様子を見た次第。
 UD-503でテストしてみたところでは、クリーンな状態からなら問題は起こらなそうですけれど。


■電力

 CPUのTDPはまるで違います。DDR4は低電圧化しています。DIMMは4枚から2枚になっています。
 が、それ以外はほぼ変更なしで以下の通りです。ワットチェッカにて。

・再生時  ・・・35W
・アイドル時・・・31W
・起動時最大・・・50Wくらい

 再生動作は「«foobar2000»による1644音源の32倍アップサンプリング→DSD256変換」です。

 解体直前に測ったX79の再生時は60Wでした。
 X79構築当時はHD5450が実装された状態で64W(条件はやや異なります)でしたので、HD5450で4W消費と推定。
 とすると、アイドルは当時61WだったのでHD5450レスならざっと57W程度でしょうか。
 起動時最大の低下に至っては“劇的”と言えるでしょう。

 スレッド数は1/3になりましたが、これはこれでよさげな気が(笑)。


■負荷

 では、気になる負荷状況はどうでしょう。タスクマネージャで比較してみます。システム入りSSDをそのまま移築しての比較です。動作モードは電力と同じです。
 まずはZ170。

Z170-A負荷2


 X79では同条件で以下の通りでした。

X79負荷2


 X79では4%/2.3GHzくらいでしたが、新システムは12%/1.5GHzくらいになりました。

 使用率が3倍になっていますがスレッド数が1/3ですからそのまんまってカンジです。一方動作クロックは低下していますから、その分処理効率は上がっていると言えそうです。

 やっぱり5世代も違うと違うところは違いますねぇ。


■音質

 変わったように思います。クリアでシャープになったカンジでしょうか。といって高域がキツイなどというワケではありません。

 ところで、やっぱりメモリ設定いじると変わる気がします。
 電圧はデフォルトの1.2VのままだとX79より音量下がったように聞こえます。最低の1.0032(?)にするとX79と似た音色に。デフォルトの方が好みです。1.0Vにしたらリセットしちゃいました。1.1Vにしたら低域がふくれた感じに。1.2Vで2400MHzにしても同じです。
 どうも、かつてのE-350環境での経験とは異なり、電圧下げると好ましくありません(苦笑)。
 スピードは100MHzの24倍で2400にしてみました。XMPで2666なのでそれを超えないところで。が、これも好ましく聴こえません。
 キリがありませんし、E-350の時ほどの関心はないので追い込んだりはしていませんが、結局、“Z170-A環境では”XMP定格が一番よさげです。

 以上、X79+3930KからZ170+G4560への変更で音質劣化したとは思えませんでした。Windows10を使うのでなるべく新しい方が望ましいですし、NVMeが使えるなどのメリットがありますから、Z170環境で常用しようと思います。

 X79にした理由である「スレッド数が多い方がよい」と相反する話になりましたが、スレッド数が差異パラメータになりえるのは同じ環境、または“同世代どうし”でのことであり、世代の違い(それも5世代)はそれどころではない違いを産むのかも知れません。シリコンのプロセスは新しい方が有利なのかも知れません。
 メモリについても、プラットフォームが変われば全然違うということです。当たり前ですね。

 ちなみに、音質の感想もその理由付けも、もちろん一般論になりえる客観的な話ではありません。個人的におもしろがってるだけですので、その点よろしくお願いします。


■直結

・ストレージはCPU直結した方がよいのか
 「ストレージをシンプルにCPU直結したいのでNVMeを使いたい」が動機ではありましたが、SSDをそのまま移築して動かし始めてしばらくしたら考え変わってしまいました(笑)。
 下流からさかのぼって考えると、トランスポートPCにとって一番優先すべきは「USBコントローラの安定動作」だと思っていますので、CPUのPCIeレーンはそのI/F専用にした方がいいのではないかと。
 NVMeのI/FとしてはオンボのM.2スロット(PCH経由)の方が、変換カード経由より余計な接点少なくてよいような気もしますし。

 仮調達したNVMeをSSD(SATA3)に代えてM.2に実装してみたところ「おぉ、これはいい!」ってカンジでもなかったので積極的には動いていません。やるにしても低発熱タイプじゃないと“ナンカイヤ”なので、SM961あたりが安くなったらまた考えようかと思っています。

・CPU直結に注意
 ところで、拡張カードを「CPU直結したい(PCHを経由したくない)」場合はM/B仕様に注意した方がよさそうです。
 MicroATXなどでは、CPU直結のPCIeスロットは1本しかない場合があるためです。

#以下、解りやすさを優先し、一般的なIntelアーキテクチャのM/B製品を想定して簡略化して記します。

 CPUから出ているPCIeレーン数は16です。
 その16レーンは「1スロットのx16」または「2スロットのx8」に設定できます。
 ですので、CPU直結のPCIeスロットは「最大2」となります。
 一般的用途はGfxカードの複数枚使用ですから、敢えてx1やx4に実装することはまずありません。
 また、「2スロットのx8」に固定してしまうM/Bもまずないでしょう。

 そのため、「x8スロットを使うとx16スロットはx8になる」という仕様のM/Bは、その2スロットがCPU直結です。逆に言うとそれ以外のスロットはCPU直結ではありません。
 そして、そうではない仕様の場合、CPU直結スロットはおそらく1本しかありません。

#3スロット以上直結したい場合は、LGA2011などのハイパフォーマンス系を用いる必要があります。

 同世代のASUS製品で例を挙げます。

 ATX「Z270-A」のスロット仕様は製品webページによると以下の通りです。

  2 x PCIe 3.0/2.0 x16 (x16 or dual x8)
  1 x PCIe 3.0/2.0 x16 (max at x4 mode)
  4 x PCIe 3.0/2.0 x1

 同じくMicroATX「PRIME H270M-PLUS」は以下の通り。

  1 x PCIe 3.0/2.0 x16 (x16 mode)
  1 x PCIe 3.0/2.0 x16 (max at x4 mode)
  2 x PCIe 3.0/2.0 x1

 x16スロットの仕様が微妙に異なっているのが解ると思います。
 Z270-Aと異なり、H270M-PLUSではx8になったりするとは記されていません。ですのでx16固定のCPU直結スロットと推定されます(わざわざPCHレーンをここに使うとは考え難いので)。
 そして、CPUからは16レーンしか出ていませんから、H270Mでは1本目でそれを使い切っていることになります。

 よって、H270M-PLUSにおけるCPU直結スロットは1本目だけであり、2本目の「PCIe x16形状のスロットのx4」はPCHからのものとなります。残る2本のx1はもちろんPCHからのPCIeレーンです。

 複数のカードでCPU直結を狙う場合は要注意、ということで。

 なお、Intelの一次資料で確認していませんが以下記事など見ると、そもそもH270M-PLUSが採用しているH270はCPUレーンを「1スロットのx16」でしか使えないようです。
http://news.mynavi.jp/articles/2017/01/04/kabylake/

 余談ですが、最近のM/Bマニュアルにはブロック図が無くなってしまったようで、こういうことが解りにくくなりましたねぇ。

 ちなみにPCHとはいわゆるチップセットのことです(Z170記事参照)。もはや“セット”ではありませんけれど。


■備忘録

 HD7550のままなのに、X79ではVIERAに出なかったUEFI画面が出るようになりました。そういうモンなんですかね? その後DSP-Z7経由に変更しても出ています。


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テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

音源制作プロセスを探ってみる

17/09/10初稿

 「HOT JAZZ」のハイレゾ商品にはいろいろ考えさせられました。

  ←もちろんこれはCDです

 実は、いろいろ考えた中で「制作プロセスの推定」も試みてたんですよね。DSDがイイカンジなのにPCMがめちゃピーク潰れしている理由を知りたいと思って。
 結局確定的なプロセスは判らなかったので煩雑さを避けるため記事からはカットしたのですが、モッタイないので(笑)別稿として記録しておこうと思います。

 ただし、少ない情報から仮定を含めて考えることになるので、合ってる保証は全くありません。趣味的に考えてみたもの、とご了承ください。


■機材情報を集める

 制作プロセス推定の手がかりとして、用いられた機材について情報を集めてみます。

・「DSD」「SBM Direct」
 まずはCDの帯やブックレットの情報をチェック。
 CDには表題のロゴがついてます。

SBM Direct

 調べてみると、「SBM Direct」というSONY製技術があるらしいです。


情報1.CDブックレット解説
 CDブックレットには以下のような解説があります(DSD64に関する一般的な解説も付いています)。DSDロゴとSBM Directロゴが初めて付いた「07:anthem」からずっと掲載されていますので、東芝EMI移籍のタイミングで変わったようです。

SBMダイレクトはDSDの2.8224MHzサンプリングのデータから、44.1kHzサンプリングの1ビット/16ビットデータへのダウンコンバージョンを行うシステムです。今までの機器のDATレコーダーやA/Dコンバーターにもこれと同じような働きをする回路が内蔵されていましたが、DSDの高音質をできるだけ維持しながら、16ビットの世界にダウンコンバージョンする為に開発されたものがSBMダイレクトです。DSD信号を一つのステージで、フィルタリングとノイズシェービングを行うことにより、再量子化エラーが除去されます。また、折り返しを最小限度に抑え、リップルを抑制しております。その目的の為に超精度シングルステージFIR(Finite Impulse Response)デジタルフィルターとノイズシェイバーが開発されました。このフィルターのタップ数は32,639という驚異的なもので、ソニーのリアルタイム・SBMダイレクトプロセッサーに搭載されています。

情報2.AV Watch記事
鈴木:DSD用に作ったマスターを元にしてPCM変換をしています。これにはSBM Directを用いています。

――あれ? SBM=Super Bit Mappingって24bitのオーディオデータを16bitに落とす際に使うディザーでしたよね?

鈴木:そうなんですが、ここで使っているのはDSDを44.1kHzのPCMに変換する装置です。SonomaからSDIFでSBM Directに送ると、PCMになって出てくるのです。スイッチがあって、これで16bitにするか24bitにするかの設定も可能になっています。

――とんでもなくデカい装置ですね! SBMってソフトウェアなのかと思っていました……。

鈴木:SBM DirectはSonomaよりも前にできているので1990年代後半だったと思います。かなりの大きさになっていますが、音質的には非常に優れていると思います。このSBM Directから出た信号をPCのワークステーションへ入れたらPCM版の完成です。

――単純にこの装置を通すだけで完成なんですか?

鈴木:基本的には、そのままなのですが、実際には補正を行なってはいます。というのも、DSDには3dB分のマージンがあるため、単純にPCMに変換すると3dB分音圧が下がってしまうため、そこを補正しないと弱く感じられてしまう。音質面では完成しているので、DSDの良さを残す形で調整しています。アルバムによっては、CD版はまったく違う雰囲気にするというというケースもあるので、その場合はマスタリングをやり直すわけですが、今回のアルバムではDSDにできるだけ近い雰囲気に仕上げています。

出典:http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20131209_626834.html

 SBM=Super Bit Mapping。SBMという技術(2496などのPCMマスターをCD化する)があり、おそらくそれは一般名称ですが、Directが付くとSONY製DSD→CD化技術のネーミング(おそらく固有名詞)になるらしいです。
 なお、以下の通りCD化専用とのことですので、PCM2496とは無関係ということになります。

――その24bit/96kHz版って、どうやって作っているのですか? いまのSBM Directだと16bit/44.1kHzか24bit/44.1kHzしか対応していないんですよね?

鈴木:時代的にSBM Directは対応できなかったので、24bit/96kHzについては、他社製品を使っています。

出典:http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20131209_626834.html

情報3.MMCDコンソシアム解説
SBMダイレクト(Super Bit Mapping Direct)はDSD(Direct Stream Digital)方式で収録された広帯域なきわめてアナログ信号に近い高速1ビットデジタルオーディオ信号の情報を可能な限りその純度を保ちながらCDのフォーマットに変換させる新技術。
鮮度の高いDSDの信号を超高精度デジタルフィルターと超高精度SBMによってピュアなアナログ情報を抽出し、CD化します。

出典:http://www.cds21solutions.org/mmcd/lecture/bodysau.html


 以上より、ロゴがあるということは、「何らかのDSDマスターがあり、そこからSBM DirectでCDデータを生成した」ことになります。

#ちなみに「SBM Direct」ロゴはDirectの方がSBMの上にレイアウトされていますが、ロゴデザインであって、各種情報では「SBMダイレクト」と表記されていますので名称としてはそれでいいでしょう。また、DSDロゴとセットになるワケですね。

・機材
 ブックレットには、使用機材として以下が挙げられています(ケーブルやマイクなどの受動機材は除きます)。

Special thanks from this recording to;
Accuphase Laboratory Inc. for providing
AD2401/DA9601 converters, PS1200/PS500, DP-600,
DG-48, DF-55 Sekiguchi Machine Selling co.Ltd.(後略)


 AD2401はADコンバータです。
https://www.accuphase.co.jp/cat/ad-2401.pdf

 DA9601はDAコンバータです。
https://www.accuphase.co.jp/cat/da-9601.pdf

 PS-1200とPS-500はクリーン電源です。
https://www.accuphase.co.jp/cat/ps-1200.pdf
https://www.accuphase.co.jp/cat/ps-500.pdf

 DG-48はイコライザです。
https://www.accuphase.co.jp/model/dg-48.html

 DP-600はAccuphase社のSACDプレーヤですね。
 デジタルI/F経由でDG-48を接続できるとのこと。
https://www.accuphase.co.jp/model/dp-600.html

 DF-55はチャンネルデバイダです(音源制作には関係ないと思われます)。
https://www.accuphase.co.jp/model/df-55.html

 とりあえず、2496のAD/DAプロセスがあるのは確かでしょう。


■以前のCD情報を調べる

 さらに、過去CDの情報も集めてみます。
 以下、分かりやすくするためアルバム名に発売順番号をふりました。

・DSDはどこへ?
 「22:HOT JAZZ」CDには「DSD」「SBM Direct」のロゴが付いてますが、DSD関連の機材はSACDプレーヤ(DP-600)しか記載がありません。
 はて? ということで、ロゴ初出「07:anthem」ではどうなっているか見てみます。

Special thanks from this recording to;
Accuphase Laboratory Inc. for providing
AD2401/DA9601 converters, PS1200/PS500,
Sony Corp. for providing DSD recording system,(後略)


 「22:HOT JAZZ」と比べると、DP-600らの代わりに「Sony Corp. for providing DSD Recording system」なる機材があります。“Recording system”ですからDSD-ADコンバータだと思われます。

 「基本2496制作で、当該機器でDSD化するプロセスがあり、CDはそのDSDをSBM Directで変換して作った」と考えるとしっくりきます。

 しかし、「Sony Corp. for providing DSD Recording system」は、「16:Adagio」以降ブックレットから消えました。
 でもDSD関連ロゴは付いたままです。「DSD-ADではない手段(普通に考えたらデジタル変換)でDSDマスターを作ってSBM Directを使った」と理解できます。

 DP-600は何に使っているのでしょうか。
 ぱっと見イコライザDG-48を接続するためのように思えますが、DP-600しか記載がないアルバムもありましたので違うでしょう。
 わざわざCDやSACDの円盤を試作して再生ってのはちょっと想像できないです。
 DSD-DAコンバータとして利用? でも、DSD64はHS-LINK経由でしか入力できないようです。プロ用には、HS-LINKでDSD64ファイルを出力できる機材があるのでしょうか。でも、だとするとDAC側のDP-600だけ記載してあるのも変な気がします。
 PCM-DAコンバータとして利用? だとするとDA9601と被ります。何らかの使い分けしているということでしょうか。

・DSD以前
 ちなみに、DSD関連ロゴが付く直前のアルバム「06:All For You」のブックレットにはこうあります。

This album was recording by Euphonix R1 24bit 96khz Sampling High Definition Recording

 Euphonix R1とはPCMマルチトラックレコーダとのことです。
http://connect.euphonix.com/documents/R-1brochure_V4r2.pdf

 シンプルに、DSDプロセスは無くPCM2496で制作していると理解でき、疑問点はありません。


■「HOT JAZZ」の制作プロセスを推定する

・推定のキモ
 ポイントは以下の通りです。

#以上はCDから得た情報ですが、配信用データも同プロセスの中で制作されていると思います(ポイント7参照)ので、そのまま採用します。

 ポイント0.制作現場では極力無駄のない制作プロセスを優先するハズ
 客観的情報ではありませんが、ポイントと考えていいと思います。
 商売ですので効率的にやりたいでしょうし、基本的にそれは音質的にもいいハズです。

 ポイント1.PCM2496のAD/DA機材が使われている
 機材がブックレットに記されていますので使われているでしょう。
 2496プロセスがあるということになります。

 ポイント2.「Sony Corp. for providing DSD recording system」は用いていない
 ブックレットから“削除されている”のでそうなのだろうと。何かが残っている場合は削除忘れかもしれませんが、消えているということは意識的に削除した可能性が高いでしょう。ポイント3に記す通り別の機材に置き換わってることからも。
 アナログをDSDでデジタル録音するプロセスはないということになります。
 ですので、DSD64商品は普通に考えたらデジタル変換で生成したものとなるでしょう。

 ポイント3.その代わりSACDプレーヤとイコライザが使われている
 まさか検品用ってことは無いでしょうから、制作プロセスで何かに使っているということになります。

 ポイント4.フォーマットはPCM2496だがスペクトルはDSD64
 普通に考えるとマスタリングより上流にPCM2496データがあるハズですが、そこからマスタリングしたものではなく、PCM2496をDSD64化した後にさらにPCM2496に変換して得たということになります。

 ポイント5.配信DSD64とピッチが違う(CDリッピングPCM1644ファイルとは同じ)
 前稿に示した情報です。
 DSD64からの再PCM2496化はアナログ変換ということになります。

 ポイント6.「SBM Direct」はPCM2496作成には用いられていない
 上述した情報によるとCD化専用ですから、2496には無関係ということになります。

 ポイント7.配信2496とCD1644の波形は酷似している
 配信のPCM2496ファイルとCDリッピングの1644ファイルはピッチが一致するだけでなく波形もかなり似ています。
 ので、CD用データは配信PCM2496生成源と同じPCMデータからデジタル変換で生成した可能性が高いと思われます。

・推定
 以上をふまえ、“現実的”に考えると、

 ・PCM2496で録音 ⇒ 編集 ⇒ デジタル変換でDSD64化
  ⇒ DSD64をアナログマスタリングしつつPCM2496録音で配信用PCM2496を生成
    ⇒ 配信用PCM2496からデジタルフォーマット変換でCD用PCM1644を生成


ではないかと。あくまでも個人的な推定ですが。

#DSD64はそのまま配信用かもしれませんしマスタリングするかも知れません。が、それは主旨上どちらでもよいので省きました。また、CD用1644生成の際にマスタリングしているかも知れませんが、それもどちらでもよいので省きました。

 DSD64から配信用2496とCD用1644を個別にアナログマスタリングしている可能性も無くはありませんが、それにしては波形が似すぎていますし、どちらもピークが潰れまくっていることからそこまでこだわった作りしてるとも思えないので、それは採りませんでした。

・矛盾点
 ただし、これだとブックレットにはある2496DA機器が登場しません。
 が、モニター再生には必須ですので使われているでしょう。もしかしたら、そこでDP-600も使われているのかも知れません(市販プレーヤでの確認という意味で?)。
 その意味ではDSDネイティブ再生機材がブックレットに無いのが気になりますが、PCM変換再生してると考えれば成立します。、

 また、SBM Directの出番が想定できません。
 上記推定だとDSD64→CD用1644のデジタル変換プロセスが無いためです。
 なのにロゴが付いてたりブックレットに説明がある点は矛盾となります。
 では、“矛盾を無くすため無理やりSBM Directを使う”とどんなプロセスになるでしょう?

・DSDとPCMのピッチ違いを成立させる必要があるので、どこかにアナログ変換がある
・2496と1644はピッチが同じである
・SBM Directで2496は作れない

は客観的条件ですから、

 ・PCM2496で録音 ⇒ 編集 ⇒ デジタル変換でDSD64化=DSD64マスターを生成
  ⇒ DSD64マスターをアナログマスタリングしつつDSD64録音=配信用DSD64を生成
  ⇒ DSD64マスターをデジタル変換してPCM2496化=PCM2496マスターを生成
   ⇒ PCM2496マスターから配信用PCM2496をマスタリング生成
  ⇒ DSD64をSBM Directで変換してPCM1644化=PCM1644マスターを生成
   ⇒ PCM1644マスターからCD用PCM1644をマスタリング生成


となるかと思います。
 が、「DSD64再生をDSD64録音すると30kHz以上のノイズが重畳されてしまうのではないか」「DSD64→PCM2496できる手段でPCM1644化もできると思われるが、なぜ敢えてSBM Directを使うのか」「手間かけるメリットが解らない」など、いろいろ疑問があります。

 やっぱり無理があると思えますので、本稿では矛盾を残したまま先のプロセスを採っておきます。


■ロゴやブックレット情報の意味

・21:Very cool
 前稿に記した通り、

・ハイレゾなかった時(20:C'est La Vie以前)
・ハイレゾPCMを追加した時(21:Very cool)
・さらにDSDを追加した時(22:HOT JAZZ)

で異なる制作プロセスを用いていると思われます。

 中でも、「21:Very cool」には以下の特徴があります。

・何故か高域にノイズ盛り上がりがある
・15kHzくらいから発生している状態は、配信PCM2496とは異なっている(DSD特有のノイズとは異なる)
・これはひとつ前の「20:C'est La Vie」までは見られない
・ひとつ後の「22:HOT JAZZ」にも見られない
・ピッチは配信2496と同じ
・波形は配信2496とかなり似ている

 ロゴが付いてることを尊重すると、ハイレゾ商品がなかったこの前作までは「SBM Directによる変換」だったことになりますから、それとスぺクトルが異なる本作は「SBM Directによる変換ではない」ことになります。
 SBM Directのパラメータを変えた可能性も否定はできませんが(理由は想定できませんが)、普通に考えると別の手段で2496を作っているのですから、その手段で1644も作れると思われ、1644だけSBM Directを使うとも思えません。
 ロゴがついてるのは辻褄合いませんねぇ。

 ロゴやブックレットの説明は変わっていませんので、「バージョンアップで2496にも対応した」とも思えません。
 もしそうだったら、説明文も合わせてバージョンアップしてないのはやっぱり辻褄合いません。
 また、SONYさんのことですからネーミングも「SBM Direct Pro」とかに変更しそうですけれど。

・22:HOT JAZZ
 上記推定が正しいとするなら、

・ブックレットにDSD機材がないのにDSDロゴがあるのは何故か。デジタル変換なのか
・SBM Directの使いどころがないがロゴがあるのは何故か

といった疑問があります。

・23:Twilight,24:Piazzollamor
 本作以降のタイトル「23:Twilight」「24:Piazzollamor」にもDSD版があり、フォーマットをDSD128やDSD256へ変更しています。
 これらの音源は所有していませんが、CDに「DSD」「Direct SBM」ロゴが付いていることは確認しました。
 あくまでも想像にすぎませんが、時代的にSBM DirectはDSD64専用でDSD128や256は扱えない気がします(上記情報ではソースはDSD64しか記されていませんし)。
 「22:HOT JAZZ」以上に、ロゴには疑問を感じます。

・ヘンテコなCD
 備考的な話ですが、古いJ-POPのCDでヘンテコな事例を発見しました。
 ブックレットやCDジャケットでは演奏時間4:14となっている曲が、プレーヤソフトやCUEファイルでは3:57なのです。実際、imageリッピングで聴いてもブックレット歌詞の途中でブツ切れてしまいます。
 アルバム全体がそういう演出になっているので意図的に切った可能性も捨てきれないため、「普通に収録する予定だったが途中で変更したことをブックレットやジャケットに反映し忘れた」のか「音源編集でミスった」のかは判断しかねます。
 が、いずれにしても「ブックレットへの疑念」の事例にはなると思います。

・ロゴやブックレット情報をどう見るか
 ということで、結局制作プロセスはハッキリとは解りません。当たり前ですけれど。
 推定するプロセスを楽しめましたのでそれはそれでいいのですが、敢えてこの作業で得たものを記すなら、「ロゴやブックレットの情報って大丈夫?」ってことですかね。

 ということで、「ロゴなどの情報から音質関連の判断する場合は慎重を期そう」と思います。


 最後に念のため繰り返しますが、本稿に記す内容が事実である保証は全くありません。ですので、当然ながら「矛盾がある」「大丈夫か」などはあくまでも個人的な判断です。


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ハズレゾ奇譚

17/08/11初稿

 珍しく(笑)CDではなく配信ハイレゾを買いました。
 「マジでハイレゾ」と判断したためです。
 ですが、ファイルを覗いてみたらいろんなこと考えさせられちゃいました…

 「CDより高くてディスクやブックレットなどの“実体”もないけど、ハイレゾ買うべきか否か(特に新譜)」は、やっぱり難しい問題ですねぇ。


■PCMかDSDか

 買ったのは寺井尚子「HOT JAZZ」です。

 出自情報はありませんでしたが、

・CDのブックレットにずっと使用機材が掲載されている
・過去CDに酷いピーク潰れは見当たらない
・本作はDSD2.8MHz(DSD64)配信もしてる(SACDでもリリースされてる)
・CDはSHM-CD(効果の有無は別)

ことなどから、音質にはこだわってるハズだと思って(ジャンル的にも)。

・変換元を買いたい
 このアルバムは複数のメディア・フォーマットで販売されています。

  ・配信:DSD64(2.8MHz),PCM2496
  ・ディスク:CD,SACD

 なので配信ハイレゾに限ってもDSD64かPCM2496か選ばねばなりませんが、個人的には、「PCMかDSDか」ではなく「変換元の方を買いたい」んですよね。
 どっちが元でしょう?
 一般的には「DSDは編集できないのでPCMで編集を行った後変換して生成している」ハズです。
 もし当作品が“一般的”ではなく「DSD一発録り」や「DSDマルチ録り」だったら絶対ウリにすると思いますが、それはありません。
 また、後付け情報ですが、本作品のCD(結局このあと購入)のブックレットには、2496のAD/DA機材はありますがDSDのそれはありません(SACDプレーヤはありますが…)。

 ので、PCM2496にしました。
 DSD64は30kHz以上はノイズですのであんまり魅力感じないワリにはPCM2496より高いということもあり。

 しかし…

・「ハイレゾノイズ」がある!?
 本稿、「リベルタンゴ2015(Lch)」を代表例として記します。

リベルタンゴ2496スペクトル

 20kHz以上にも倍音が出てますので「リアルハイレゾ」です(ヴァイオリンって判りやすいかも)。
 しかし、高域が徐々に減衰しておらず、ノイズがもりもりと盛り上がっていくではありませんか。

 それってDSD64の特徴です。なんと想定とは逆で「PCMはDSDからの変換」だったようです。

 PCMで編集した後DSD化して、それをまたPCM化してるということに。
 確かに以前からCDに「DSDロゴ」が付いているのですが、漠然と「アーカイブ用にDSD化してるのかな」「CDはDSDマスターから変換してるらしい」くらいに思ってました。でも、2496以上のPCMマスターはあるハズですから、てっきり配信2496はDSDと無関係だと。
 「とにかくDSDでマスター作る。CD用も配信用ハイレゾもPCM商品データはそこから変換する」ってポリシー?

 し、しまった…

 まあ、どんな商品でも何等かの変換は入ってるでしょうからあんまりこだわっても仕方ありませんが、「せっかくのハイレゾ」ですし、「変換元により近い方(*)も売ってるのに変換の方を買っちゃった」となると“ナンカクヤシイ”です。
 「DSD64より安かった」って納得しようかとも思ったのですが、やっぱり、どんな事情があるのか知りたくなり、結局配信DSD64もCDも入手するハメに(苦笑)。

*:もしかしたら「配信DSD64がそのまま変換元」かもしれませんし、違うかもしれません。いくら考えても解らないのでそれは考えません。が、「少なくともPCM版よりは変換元に近い」とは言えるでしょう。

 以下、DSD64ファイルは≪AudioGate 2.3.3≫のゲイン設定デフォルト(DSD0dB=PCM0dB。DSD+dB領域は潰れる)でPCM2496のWAVに変換して扱っています。


■PCM版の質

 できれば“よりマスターに近い方が欲しい”ですが、変換は絶対ダメだと思っているワケではありません。
 しかし、そう納得できるのは変換においてもキチンと質を保っている場合です(当たり前ですけれど)。
 その点、この配信PCM2496、残念ながら私にとってはハズレでした。

 「周波数成分」としては20kHz以上に成分があるのでハイレゾではありますが、「波形」を見ると酷いピーク潰れを起こしているためです。

・DSD版のピーク潰れ
 先に、配信DSD64を見ておきます。

 ≪Audacity 2.1.0≫で「クリッピング表示」します。この機能では1サンプルでもフルビットだと赤くなりますので、赤が即「ピーク潰れ」を示すものではありませんが、差異比較目的としては問題ないでしょう。実際にどれくらい潰れているいるかは、もちろん拡大して確認しています。

ピーク潰れ:dsf

 なんかとってもイイカンジに見えます。
 途中と最後の方にクリッピングがありますが、拡大して確認すると酷いものではないですし、そもそもDSDにはMaxPeakという+dB領域が許容されています。後述します。

・PCM版のピーク潰れ
 次に、PCM版はどうでしょう。上が配信PCM2496、下がCDです。

ピーク潰れ

 激しくクリッピングしています。
 拡大してみると60サンプル以上の連続ドンツキも多数あり、「数サンプルクリップした箇所がちょっと多い」といったレベルではありません。「酷いピーク潰れがある」と言っていいでしょう。
 その実態をPCM2496(上)とDSD64(下)の比較で示します。

ピーク潰れ:WAV VS DSF

 どう見てもDSD64の方が好ましい…というか正常です。PCM2496では波形の機微が失われているのがよく解ると思います。

・DSD版はピーク潰れしていない
 ところで、DSDにはScarletBookで認められた「MaxPeak領域(PCM0~+3.1dBに相当する)」があり、そこに入ってもピーク潰れではありません。
 本稿で扱っているDSD64はゲイン設定0dBでPCM2496に変換したものですので、赤くなっているのは即潰れを示すものではなくMaxPeak領域に入ったことを意味するものです。
 -3.1dBでPCM化しての確認も行いましたが、DSDとしてのピーク潰れ(MaxPeakオーバー)はありませんでした。
 規格に準じた問題ない最大レベルになっているということです。

・ダイナミックレンジとしてはどうか
 ピーク潰れとダイナミックレンジが取れているかは直接関係ないでしょう。
 ですが、試しに«foobar2000 v1.1.11»にプラグイン「Dynamic Range Meter 1.1.1」を入れて、その値を出してみました。

・配信DSD64(PCM2496:DSD0dB=PCM0dB):14
・配信DSD64(PCM2496:DSD0dB=PCM-3.1dB):14
・配信PCM2496:9
・CD1644:9
・配信DSD64から0dB設定で変換したPCM2496から変換したPCM1696:14

 この結果を集めているサイト(*)があり、そこによると「1~7=bad,8~13=transition,14~20=good」だそうです。値の絶対的意味は解っていませんが、同じ曲の相対値として見ると結構差はありそう?

*:http://dr.loudness-war.info/


■意図なのかミスなのか

 PCM版のピーク潰れはかなり酷いと思います。一転、DSD64は好ましい波形になっています。
 激しく対照的なワケですが、この差は意図的に作られたのでしょうか。それともPCM版は何らかのミスで潰れちゃったのでしょうか?

・過去CDはどうだったか
 そのアタリを付けるため、過去CDのピーク潰れをチェックしてみます。
 「HOT JAZZ」はCD版でもかなりピーク潰れしていますが、過去CDもずっとそうなら“潰し”は意図的なのでしょうし、今回だけ特殊ならミスの可能性が高まるのではないかということで。

 まず、「音源商品種類の変遷」を明確にします。
 「ハイレゾを始めた」「DSDも加えた」といったラインナップの違い=制作プロセスの違いであり、ピーク潰れはプロセス違いと関係あるとの仮定からです。
 e-onkyoやmoraで調べた限りでは次のようです。解りやすくするため作品順にNoを付けました。

 「20:C'est La Vie」・・・ハイレゾ商品なし
 「21:Very cool」・・・PCM2496登場
 「22:HOT JAZZ」・・・PCM2496にDSD64も追加(SACDもあり)

 このうちNo.22は調査済みですので、No.20とNo.21について調べます。

・「20:C'est La Vie」~ハイレゾ商品ラインナップがないもの
 「20:C'est La Vie」だけでなく、より前の作品全般について共通の事情と言っていいと思いますが、100%確認はできませんので例外はあるかも知れません。ご了承ください。

(1)ピーク潰れ
 クリッピングが数か所あるtrackもありますが、そのドンツキは連続数サンプルで全体の音圧バランスから意図的に潰したと言われて納得するレベルであり、「ピーク潰れ」「波形変形」と声高に言いたてるべきものはありませんでした。
 一例として、当アルバム中一番潰れがある「Like In Fire(燃えつきるまで)」の波形を貼っておきます。

Like In Fire:ピーク潰れ

(2)スペクトル
 「高域にノイズ盛り上がり」などは見当たりません。同曲冒頭です。

Like In Fire:CD冒頭スペクトル

・「21:Very cool」~ハイレゾ商品(PCM2496)があるもの
 まずはCDを購入し、その中で一番ピーク潰れがあった「Tempus Fugit」の配信PCM2496も購入。
 この曲について調べます。

(1)ピーク潰れ
 上が配信PCM2496、下がCDです。

テンパス・フュージット:ピーク潰れ

 かなり潰れているように見えますが、拡大してみるとクリッピング表示から受けるイメージよりはマトモです。あまり密集はしておらず連続ドンツキも数サンプルに留まっているようで、個人的にはまあ許せる範囲でした。
 平均音量はCD:-14.87dB、2496:-14.84dB(«Sound Engine Free 5.02»にて)でほぼ同じですし、ピッチも同じに見えますので、波形はほとんど同じと言っていいと思います。2496の方がクリッピングが多めなのはTruePeakによるものと推察されます。

(2)スペクトル
 まずは配信PCM2496。

テンパス・フュージット:スペクトル

 やっぱりDSD64特有のノイズがありますね。「22:HOT JAZZ」と同じくDSD64からの変換だと思われます。

 次にCDのスペクトルを見てみます。ナイキストまで成分がありますので、高域のノイズ有無が分かる演奏開始直前です。

テンパス・フュージット:CD冒頭スペクトル02

 何故か高域にノイズ盛り上がりがあります。15kHzくらいから発生している状態は配信PCM2496とも異なっているので、DSDのシェイピングされたノイズそのものではなさそうです。
 これはひとつ前の「20:C'est La Vie」までは見られませんし、次作「22:HOT JAZZ」にもありませんから、挟まった本作だけ何か作り方が違うようです。

・商品ラインナップとピーク潰しとその意図
 状況をまとめると、

・ハイレゾ商品作り始めてからは“都度”制作プロセスを変えている(試している?)模様
・ハイレゾ商品がなくCDだけだった「20:C'est La Vie」以前は潰して(れて)いなかった
・ハイレゾ商品がPCM版だけだった「21:Very cool」もほとんど潰して(れて)いなかった
・DSD版も準備した「22:HOT JAZZ」ではどっさり潰した(れた)
・でもDSD版では潰して(れて)いない


ということになります。
 さて、そこに作為はあったのでしょうか…?

A.意図的だったとしたら
 “DSD版も作るとなったら”PCM版はDSD版と異なる「ピーク潰しマスタリング」したことになります。
 同じ楽曲(アルバム)なのにフォーマットが違うと潰し方が違う点がポイントです。「この楽曲(アルバム)はそういうマスタリングがよいと判断したから」ということにならないからです。

瀬戸:曲によっては「音が歪(ひず)んでいるのでは」と思う箇所がある場合もあるかもしれませんが、意図しない歪みがあったら製品検査の段階でNGとなるので出せないはずなんですよね。
出典:http://www.phileweb.com/interview/article/201704/27/451.html

 という記事がありましたが、本作もそうだとすると「PCM版だけ意図的に歪ませた」「しかもDSD版を併売する場合は」ってことになります。
 「敢えてDSDとPCMの音質差を演出した」ということに。

 もし「演出ではない。DSDでは潰さない方がよいマスタリング、PCMでは潰した方がよいマスタリングなのだ」などと言われても理解に苦しみます。DSDとPCMのフォーマット違いは再生動作の違いで音質差を生むこともありますが、それを「ソースのピーク潰し有無」で際立たせたり相殺したりできるハズがありませんので。
 同じPCMでも「16bit(96dB)しかなかったCDだけの時代は潰さなかったのに24bit(144dB)になったら潰した」って点とも矛盾しますし。

 いずれにしてもピーク潰しを厭わずやることではありません。「PCM版の音質を疎かにした」ということですよねぇ。

B.意図的でなかったとしたら
 「変換時のミス」ということになります。
 先のまとめが正しいとするなら、「ハイレゾ商品も作るための制作プロセス試行錯誤」によるものだと思いますが、ミスが見逃されたってことは「キチンと製品検査してない」ってことですよねぇ。


 もちろん真相はワカリマセン。どちらにしてもガッカリですけれど(苦笑)。


■潰れた(した)のは何故か

・ピッチが違う!?
 なんでこんなことになってるのか知りたくてDSDとPCMの波形差分採取など試みたのですが、何故か上手くいきません。
 妙な違和感を感じながら波形を見ていたら、「DSD版とPCM版で曲の長さが異なる」ことに気づきました。

 カット編集で冒頭を揃えても最後になるとズレている=つまりピッチが異なっているのです。
 ≪Audacity 2.1.0≫でその様子を示します。画像編集で冒頭と末尾を繋げたものです。
 DSD64(上),PCM2496(中),PCM1644(下)の順です。

ピッチズレ

 ふたつのPCM版の長さは同じです。
 PCMにはDSD特有のノイズがありますから「PCMはDSDからの変換」なのは間違いありません。その際ピッチが変化した、つまり単位時間あたりのサンプル数が増減したということになりますが、それはデジタル変換では起こりえません(考察は稿末)。
 ですので、「PCM版は、DSD64をアナログ再生(DA)・PCM録音(AD)して得た」と考えざるを得ません(*)。
 そしてその際マスタークロックが同期していないDAとADだったということです。ざっくり290秒で6/1000秒ほどズレてますので約20ppm差です。すんごくクロック精度差っぽいですよねぇ。
 なお、他の曲もこの状態(PCM2496の方が速い)であることを確認しましたので、この曲の特殊事情ではありません。

*:複雑に考えれば他の可能性も当然あり得ますが、「あり得る可能性」はいくら考えてもキリがありませんので、本稿ではシンプルに判断しておきます。

 ですので、潰れている理由は「マスタリングの際に音圧マシマシにした」以外に、「DSD再生をPCM録音する際のアナログ入力レベルオーバー」という可能性も考えられるのでは。

・デジタル変換なら設定ミスの可能性もある
 DSD→PCM変換はツールによってフルスケールの扱いが異なりますので、ちゃんと設定しないと激しくピークが潰れたりします(詳しくはMaxPeak考察記事参照)。


■ニセレゾじゃなくてハイレゾでもハズレゾかもしれない

 「HOT JAZZ」配信PCM2496は「ただのアップサンプリング」といった「ニセレゾ」ではありませんでしたが、個人的には「ハズレゾ」でした(苦笑)。
 一方、配信DSD64はアタリっぽいです。

 ということで、ハイレゾ商品についての“学び”を改めて。

(1)「ハイレゾの方がCDより良マスタリングされている可能性が高」くないかも知れない
 以前、ハイレゾを選ぶ理由として「CDより良マスタリングされている“可能性”が高い」を挙げましたが、あんまり高くないのかも知れません。

(2)「DSD版も作るくらいだから音質こだわってるハズ」とは言えない
 DSD版も売ってるような作品ではPCM版も高音質な印象受けますが、逆に注意した方がいいのかも知れません。

(3)ハイレゾ版がある場合はCD版は劣化してるかもしれない
 今回の例では、DSD64をラインナップするために“制作プロセスを変えたことでCD音源が劣化”したように見えます。

 さらに、今回の例ではありませんが、次のような事例もありました。

(4)波形異常の商品が流出している
 明らかに波形がおかしくなってる商品に遭遇したこともあります。指摘したら修正されましたけれど。
 デジタル演算エラーのようなカンジでグシャグシャになっており、実際「ジャッ」というノイズとして聞こえるものでした。検査(仕上がり確認)すれば当然判ったハズ。

 けっこう大きな品質問題もあったようです。

F.I.X.RECORDS様の下記音源に関して、DSDマスターをPCM(WAV/FLAC/ALAC/mp3/AAC)に変換した際に設定が適切ではないものが含まれていました。
出典:http://ototoy.jp/feature/information_20150123

2014年10月24日よりe-onkyo music様で配信開始しておりました一部WAV音源にフォーマット変換エラーに由来する不備がございました。そこで、e-onkyo music様と協議の結果、同日に配信開始した作品の配信を停止いたしました。
検証が済み次第、配信再開いたします。また、既に同サイトにてご購入されたお客様には、e-onkyo music様より再ダウンロードの通知がございますので、誠に申し訳ございませんがしばらくお待ちいただきますようお願いいたします。
また、同様のフォーマットでの音源配信を行っておりますOTOTOY様にも検証の依頼をいたしました。

出典:http://fixrecords.com/20150123_2/

(5)こっそりアプコンしているものもある
 明示せずにアップコンバートな商品もありました。


■まとめ:ハイレゾ購入前の“心の準備”

 「こんなハズじゃなかった…」と悲しい思いをしないために、以下覚えておこうと思います(苦笑)。

・ハイサンプリングは「有効な成分が入ってればめっけもの」くらいに考えておく
・ハイビットの効果は最近の作品だったら期待できるかも(*)
・ピーク潰しを含むマスタリング品質がCDよりいいかどうかは博打と心得る
・DSD64は「30kHz以上はノイズ」と承知しておく
・特にDSD版がある場合はPCM版は変換である可能性を覚悟する
・もちろんDSD版もPCM版からの変換である可能性を覚悟する
・DSD版とPCM版は、どちらかがアタリでどちらかがハズレの可能性を覚悟する

*:ただの演算結果ではなく有効なハイビットなのか確認する術は思いつきませんけれど。

 ぶっちゃけ、「CDより高音質なハズだから」の“ハズ”は通用しないということですね。残念ながら。
 やっぱり、キチンと出自を示してもらいたいです。

 CDよりプレミアムな値段付けるなら。


■エトセトラ

・デジタル変換ならピッチ変化は発生しない
 1秒間に2,822,400個のサンプル(1bit)を96,000個のサンプル(24bit)に置き換える処理でサンプル数が変化する可能性は思いつきません。リアルタイム変換じゃありませんから欠損やダブリはあり得ませんし。
 ですが念のため、以下の実験してみました。

 ≪AudioGate 2.3.3≫で「300secの4kHzサイン波2496→DSD64→2496」変換し、変換前後の2496を比較

 ピッチは変化していませんでした。
 微妙にピッチ変化していたら反転mixすると共鳴周波数が出てくると思いますが、それもありませんでした。
 さらに念のため≪TASCAM Hi-Res Editor 1.0.1≫でも同じことをしてみましたが同結果でした。

 なお、「DSDディスクやSACDを試作→対応プレーヤで再生→変換されたPCM出力を記録」といった方法でも、デジタルのままならデータレートが変わることはありません。ヘンなプレーヤでない限り。
 SRCかかってるという可能性も理由が想定できないので無視します。

・LPF
 どれもこれもナイキスト以上の成分をカットするLPFをかけてるように見えないのですが、そういうものなのでしょうか?

・変換元はどっちだ
 試聴音源は商品そのもののデータではありませんから、購入前に試聴で「どっちが変換元か」を判別することはできません。
 PCMとDSD両方配信する場合はどっちがマスターだか(より近いか)明示して欲しいなぁ(PCMでの編集終了後に分岐した場合は「どっちもマスター」かな?)。
 特にDSDの出自はより明確化して欲しいですね。クリプトンさんの提言には全面的に賛成です。

 最後のこだわりは、上記のような制作プロセスを公開し、クオリティーに対する信頼性を担保することだ。DSD配信については、以前から業界内でファイルの制作過程が不明瞭という点が指摘されていた。樋泉氏は、「DSDで録音し、そのまま配信できるならベストだが、実際には“ライブ一発録り”などを除いて商品としては皆無に等しいはず。編集が事実上できないからだ」と指摘。ユーザーから見て、DSDフォーマットが持つ本来の特徴を活かしているか判断しにくい販売方法は問題だという。

 「例えば192kHz/24bitのPCM音源からDSDに変換することは難しいことではないし、CDの44.1kHz/16bitをDSDに変換することは個人でも容易に行える。しかし、商品となれば話は別。どのようなプロセスで制作したかを明らかにするべきだ」(同氏)。

出典:http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1411/27/news112.html

 「PCMは変換です」とか記載するとあらぬ誤解されそうなので難しいでしょうけれど。無理かなぁ。「芸能山城組 恐山/銅之剣舞」とかは公開(*)してますよね。

*:http://ascii.jp/elem/000/000/991/991223/index-4.html

・品質管理
配信によるハイレゾ音源購入は、手に取れるパッケージ商品ではないため、責任の所在が希薄になる危険性を秘めています。例えばCDやDVDといった実際に“盤”として存在する音楽ならば、たった1ヵ所にノイズが混入するだけで最悪の場合は商品の全回収といった事故にまで発展する場合があるでしょう。配信版の音楽ならば、再ダウンロードという処置で解決できますし、誠意の無い制作会社ならば事後に音源を差し替えて「作品にはノイズが入っていませんでした」とミスを隠蔽する可能性すら考えられなくもありません。従来の“盤”としての音楽制作では何階層もあった音質やノイズに対するチェック機構が、音楽配信時代になり制作予算削減とともに失われていく傾向が見受けられます。

この配信販売によって生じた制作側の甘えは、ハイレゾ音源の音質にも影響を与えます。ハイレゾ音源の制作は、いったい誰が行っているのでしょう?音楽に興味はないけれどパソコンの操作には長けているスタッフが、アップサンプリング・ソフトで192kHz/24bitやDSDに変換した音楽データ。実際には絶対に存在してほしくありませんが、こういった過程で作られた音源でもハイレゾ作品として販売することは不可能ではありません。商品の姿を実際に見ることができない音楽、そして顔が見えない配信販売であるがゆえに、制作側の真摯な姿勢が要求されるのです。

出典:http://www.e-onkyo.com/news/57/


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ハイレゾ解体

17/06/12初稿

 本稿は対象音源追加を機に「ハイレゾ探訪」記事から独立させたものです。

 上記記事でハイレゾとはなんぞやについて一通り考えましたので、いよいよ実践編(購入編)ということで。
 ただし、あくまでも「フォーマットと出自と実際の周波数成分や波形」のハナシです。だから音質がどうかとは直接関係ありません。


■2496:中山美穂「COLLECTION Ⅳ」

 まずは「既存音源のハイレゾ化商品」の実例を少々。

   ←当然ハイレゾではなくCDですが記事に彩り欲しかったので(笑)

 これを選んだ理由は以下の通りです。


(1)\2,000(8%税込み)という価格は“リマスター商品”として良心的

(2)出自が詳しく明示されており好感が持てる

今作はキングレコードが保有するアナログ・マスターテープからデジタル化した音源となります。キング関口台スタジオのエンジニア、安藤明氏に訊く「中山美穂 COLLECTIONシリーズ ハイレゾ配信」近日公開予定!

*Tr.6、8は44.1kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。
*トラック9は48kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。

出典:http://www.e-onkyo.com/music/album/nopa00518/

安藤明(以下 安藤):1/4インチアナログマスター、1/2インチアナログマスター、DAT(一時期デジタルということで流行った)など、すべてオリジナル・マスターを使用しました。

-具体的にどういった流れでマスタリングをされましたか?

安藤:マスターをアナログで出力 →(DOLBY)→ ラインアンプ → ADコンバータ → Digital Audio Workstationという流れです。極力、イコライザーやコンプレッサーは使用せず、マスターの音を限りなくピュアにハイレゾ化することに注力しました。また、それぞれのマスターごとに接続ケーブルや電源ケーブルを厳選することにより、より魅力的な音を目指しています。

出典:http://www.e-onkyo.com/feature/42

(3)出自によると、以下3種のマスターによる違いを比べることができる
  (ディスクじゃないですけど便宜的にtrackと呼称します)
   ・track01~05,07・・・アナログマスター
   ・track06,08・・・1644マスター
   ・track09・・・1648マスター


 CDとしては2006年2月発売のようです。1995~1999のシングルをリリース順に収録とのこと。
 潔く2496WAVで購入。

 ということで、マスター違いごとに中身を見てみたいと思います。

・アナログマスター(track01~05)
 さて、「アナログマスター」にはどんな音(特に高域)が入っているのでしょうか。一番古いtrack01の例です。

COLLECTIONⅣ01

 20kHzくらいで一旦周波数成分が減少します。
 そしてそこから上、新たな2496AD変換のナイキストである20~48kHz領域は、変動はしますが倍音が立ったりすることはありません。ので、有意な音楽成分ではないでしょう。正確には解りませんが、アナログテープのヒスノイズ成分が有効周波数帯域につられて変動しているのでしょうか。

 CDナイキストですっぱり切れておらず(24bitの最低値まで落ちていない)そこから48kHzまでの成分が変動するということは、ローレゾデータをアップサンプリングしたものでないことは確かです。キャプチャにはありませんが、24kHz以上にパルス性ノイズが見られることからも「アナログ再生をハイレゾ録音した」という出自情報に矛盾ありません。
 LPFは40kHzあたりからゆったりかけているようですね。

 古いといっても1995年ですので、残っているマスターはアナログでも制作プロセスにはデジタル入っていると思います。
 有意な周波数成分が20kHzくらいまでしかないのはそのためでしょう。

・アナログマスター(track07)
 このtrackだけCDナイキストでの明らかな減衰は見られず48kHzまで連動していましたので、ハイサンプリング(またはアナログ?)制作っぽいです。ただし、20kHzくらいに段差が見えることもあることから、CD・DAT級サンプリングレートの音声トラックもミキシングされているようです。

COLLECTIONⅣ07

 というスペクトル違いが判るということは、「アナログマスターテープは、“実力値的能力”としては96kHzサンプリングクラスの周波数は記録できる」ということかと思います。ただし、どこまで品質(音質)保っているかは別ですし、アナログマスターにも性能違いはあるでしょう。

 なお、track07を聴いたカンジ「お~ さすがアナログマスターのネイティブハイレゾ! 他のtrackとは全く違う!」とは思いませんでした(笑)。

・1644マスター(track06,08)
 つまりCD音源ではないかと思います。
 が、CDナイキストで減衰はしますが24bit最低値までは落ちていないことから、アップサンプリングではなくDA変換再生をAD変換したもののようです。これも出自情報に偽りナシですね。
 アナログマスターと異なりCDナイキスト~AD変換ナイキスト領域はおとなしいままです。つまり、当該領域は楽曲成分と無関係=再生機器のフロアノイズと思われます。
 それでもアップサンプリングではなく当該領域のデータが(ノイズでも)在るということはハイレゾのひとつの効能になると思ってます。

COLLECTIONⅣ06

・1648マスター(track09)
 つまりDAT音源ではないかと思います。
 事情は1644マスターに準じます。若干オリジナルナイキストが高めですかね。

COLLECTIONⅣ09

 何故か44.1kHzのパルスノイズがあるのはご愛敬?(笑)

・総評
 出自が明確に開示されており、実際偽りなしでしたのでとてもキモチいいです。

 アナログマスターの実力については、少なくとも、CDを超える高域が入っているいう意味においては「可能性がある」が、「サイコーとは限らない」と言えるでしょう。

 音圧は、全体的に高め(*)でしたが、ざっと見た限りピーク潰れ(データ値としてだけでなく波形としても)はないようです。track03,04だけ連続2サンプル以下のクリップがありましたが問題にすべきものではないでしょう。
 track08だけが異様にレベル低いです。何故? とも思いますが、元音源そのままだとすると逆に好ましいとも思います。

*:CDと比較して同じくらいのもの、2496の方が高いもの、など混在しているようですが、CD音源も初出や再録などいろいろなバージョンがあると思いますので総論はありません。

・比較試聴
 「ハイレゾでリマスター」するとどれくらい違うのか、CD(ただしシングルではなくアルバム版)でも持っている曲とざっくり音質比較してみます。以下のシステムです。

 ハード:X79システム→UD-503→MDR-Z7(アクティブGND)
 ソフト:≪foobar2000≫でx2x2x2x2→DSD256(TypeD FP64)

 ハイレゾの方が若干レンジ感が広くヴォーカルが生々しくなるような気はします。が、そのつもりで聴き比べればそうかな、という程度かと思います。少なくとも「ハイレゾすげえぇぇぇ!」ってカンジではないですね。

 なお、DACユニットとしてまだUDA-1を使っていた時にも同じ比較したことがあります。

 ハード:X79システム→UDA-1→DSP-Z7→HD700
 ソフト:≪foobar2000≫でx2x4→DSD256(TypeD FP32)

 いくつかの短いフレーズを交互に再生して比較してみましたが、ハイレゾは「CDより若干空間が広めなような気がするかも?」程度で、「明らかに、圧倒的に、いい!」とは思いませんでした。「リマスターだから音質違うのはアタリマエ」のレベルかと。
 確かな記憶ではありませんが、UD-503システムの方が違いを感じるような気はします。

・DSD変換試聴のワケ
 ところで、ネイティブ再生ではなくPCM→DSD変換再生にしたのは、「再生ハードウェア動作の差(影響)を極力小さくするため」です。
 どちらもリサンプラはResampler-Vを使っていますが、その1段目のx2は44.1kHzと48kHz以外はスルーするように設定していますので、CD音源と2496はプレーヤの設定を変えず連続再生しても「x2するかしないかの差」だけになります。一方、DAC側はDSD256ストリームに対する「アナログLPF」としてのみ動いています。
 よって、再生システム動作の違いは最低限の「PC側でのx2処理有無だけ」になっており(*)、それはX79システムにとっては軽微な負荷差でしょうからつまり再生処理の差はほぼ隠蔽でき、「音源の差」だけに注目できるのではないかと。
 ただし、UD-503のDSDは44.1kHz系しか受け付けないので2段目出力で176.4kHzに揃えています。その点では2496は若干不利かも知れません。UDA-1は48kHz系DSDも通りましたのでこの限りではありません。

*:DSD変換再生ではなくPCMデータのままネイティブに再生した場合は、DACユニットの最大処理能力を192kHzで100%とすると44.1kHzは約23%&96kHzは50%の負荷となり、微少な差とは言えないでしょう。


■K2HD:小泉今日子「あなたに会えてよかった」

   ←シングルCDです

 よく店頭試聴に使われていることもあり、表題技術がどんなものか確認するため買ってみました。

・スペクトル
 以下がそのスペクトル。一応、「補間生成された領域」が目立ったところをキャプチャしたものです。

K2HD.png

 確かに元ナイキスト以上の領域に成分はありますが、それがどれだけ有意なもので、聴いて有効なのかはなんとも言えません。

・波形
 音圧・音量についても一応CD版(シングルではなくアルバム版)との比較を載せておきます(上がCD。Lch)。

CD VS K2HD

 どちらもフルビットにドンツキしているところはありません。拡大して追ってみても、波形として潰れてるところもなさそうでした。
 クリップはしていませんが、イマドキの音源らしくK2HD版の方が音圧高く変更されてるようです。
 音量も大きくなってますね。≪SoundEngine Free 5.02≫によると、CD版とK2HD版はそれぞれ最大音量-1.00dB/-0.40dB、平均音量-14.83dB/-12.03dBとなりました。フルビットよりやや低いところで頭が揃ってますので、最大値をそのように設定してマスタリングしたのでしょう。
 ハイサンプリングにするほどTruePeak防止のためのマージンは減らせますので、それを削ったカンジですかね。

・比較試聴
 ざっくり比較試聴してみると、K2HD版の方が空間の広がり感というか楽器やヴォーカルの明瞭感で好ましい気はします。
 「すげ~イイ! K2HD最高!!」ってことはありませんが、比較すればCD版よりいいと思えます。個人的には、ですが。
 ただ、\540(8%税込み)というコストパフォーマンスは…どうでしょうね?(苦笑)

 なお、CD音源はアルバム版なので、シングル版から音量ノーマライズなどの加工されてるかも知れません。


■2496:Kalafina 「far on the Water」

 本項17/06/12追記。

    ←もちろんCDです

 本作は最初からハイレゾ商品を出す想定で作られたハズの新作ですので、本項は「既存音源のハイレゾ化」という観点ではありません。
 ネット上に「Kalafinaは2448制作で2496商品はアップコンバート(高域補間生成)ではないか」という話があったので、それを調べてみようと思いまして。

 どの曲も概ね同傾向ですので、代表として「heavenly blue」を見てみます。全編音量大きめという意味もあり。

・スペクトル
 確かに48kHzまで周波数成分があり音楽とリンクして変動しますので、高い方もランダムなノイズではないようです。
 しかし、≪WaveSpectra≫再生でその動きをしばらく眺めていると、“24kHzを中心とした左右対称”になっているように見えてきます。

heavenly blue合成02

 静止画でも解りやすくするためペイントソフトで24~48kHzを左右反転して24kHz以下に貼り付けました。

 ぶっちゃけ、ネイティブな24kHz以上の成分ではこうなりません。
 念のためですが倍音成分はナイキストで対称にはなりません。
 24kHzまでのソースが混在している場合はそこで“段差”になると思いますがそうも見えません。

 よって、元ナイキストは24kHzだと思われます。
 では24kHz以上の正体は何でしょう?

 アップサンプリングではサンプルは増えますがナイキスト以上の高域は増えません。
 ナイキストで折り返したように発生する成分は「イメージングノイズ」の特徴です。デジタルドメインでイメージングノイズをシミュレーションするため「単純間足し」してみたことがありますが、ナイキストを中心にクッキリ左右対称なスペクトルになります。が、本作はそこまで明確に対称になっているワケではありません(当たり前ですが)。

 元は2448だとするとサンプル間に1個サンプルが増えていることになりますが、それは「有意な倍音成分ではなく」「イメージングノイズを抑制するものでもない」し「同じサンプルの繰り返しでもない」のです。
 つまり、「ネイティブ」ではなく「アップサンプリング」でもなく、当然ながら「単純間足し」でもないということです。

 ということで「アップコンバート」だと思います。

#有意な2496ソースとアプコンソースがミックスされてる可能性も絶対ないとは言えませんが、もしそうでもアプコンと呼んでいいでしょう。

 ただ、イメージングノイズ成分がここまで見えるアップコンバートというのも疑問ではあります。K2HDではこんなふうには見えませんでした。「アップコンバータがそういう仕様(ていうか性能がイマイチ?)」または「ナイキストで明確に減衰させないため敢えてそのように設定している」ため?
 前者なら可愛げもありますけれど、後者だと「アプコンであることを隠すため」かも知れず、だとするとちょっと姑息ですね。

 17/07/29追記:コメントいただきました(ありがとうございます)ので、この曲をリニア補間したらどうなるか試してみました。
 同曲をResamlperーV(SoX)の一番キツイStopband/Passband設定で2448化し、それをMultiResamlperでLiner補間して2496に戻したスペクトルを以下に示します。SB=PBにはできませんので、元ナイキストで谷ができちゃうのはやむなしです。

heavenly blue 2448→Liner2496

 単純間足しと同じく、高域のエネルギーは結構残ったままワリとクッキリ反転するようですね。
 なお、「平均値を挟んでいるようには見えない」ことは先に波形拡大して確認していますが、本稿では、フィルタ演算ではないサンプル追加手法は説明用「単純間足し」以外は無視しています。商品としてまずありえないとの判断からです。

・高域成分を除去して聴く
 いずれにしても私には「イメージングノイズを含む好ましくない高域成分」だと思えます。実際、むわっとした圧迫感を感じて聴いていて気持ち良くありません。アルバム全曲聴くとなんだか疲れちゃいます。
 あるDSD64(30kHz以上にDSDノイズ満載)ファイルと同じような違和感です。
 そこで、「24kHz以上は低品位な補間成分=ハイレゾノイズ」と仮定し、LPFでカットして聴いてみます。

 DSD64の時はカットオフ30kHzのリアルタイムLPFをDSD再生でどう実現するかちょっと考えましたが、今回はリサンプラで96kHz→48kHzにダウンサンプリングするだけです。もともとResampler-V(SoX)の多段構成(x2x2x2x2x2)で32倍まで上げていますから、その前にひとつ追加するだけ。X79システムにとっては大した負荷増ではありません。
 PassBandはお好みですがStopBandは目的からして100%に。

 やってみると、2448化した方がいいです。
 音質的にも問題ないと思います。ていうか、聴き疲れどころかローテーションするくらいキモチよくなりました。
 もちろん、そういうつもりでやってますからプラシーボかも知れませんけれど(笑)。
 まあ、「高域がアヤシイ」「なんか圧迫感」みたいな時はこういう聴き方もあるのでは、ということで。

・波形
 さて、波形的にはどうでしょう? ピークは潰れてないでしょうか。

heavenly blue波形

 これだけ見ると「海苔」に見えるかも知れませんが、そもそも全編ずっとハイテンションな曲ですから無理に音圧上げた結果ではないのではと思います。
 「クリッピングを表示」にしていますが引っかかっていませんので、フルビットになっているサンプルはありません。
 拡大して波形をみても潰れてはいないようです。音量大きなところでも以下のようなカンジになっています。

heavenly blue波形2

 音圧に関しては良心的ではないでしょうか。

・総評
 以上、「素性はいいけど、何故か低品位(?)なアップコンバートで2496化された商品」みたいです。
 個人的にはそう判断しましたが、間違ってたら申し訳ありません。

 2448制作なら堂々と2448で出せばいいのにと思います。個人的にはハイビットだけでも有効だと思うんですけれど。
 有効だと思ってるならアプコンしたって明示して欲しいですし。

 でも、マーケティング上難しいんでしょうね。「CDを超える周波数ガ~」って喧伝してますから48kHzじゃハイレゾ扱いされないのでしょう。といって、ニセレゾ扱いされることが多いようなのでアップコンバートも言い出しにくいのでしょう。いわんや高域成分が無いことがハッキリ分かってしまうアップサンプリングをや。
 「ナイショでアプコン」の方が印象悪いんですけどね。
 もし「意図したアプコンではなく2496化するマスタリング処理の一環」とか言われても、それは詭弁です。

 ダウンサンプリングすれば“24bitの恩恵があるような気がする”音で聴けますので一応許容しますけど… ていうかアプコンの可能性も覚悟して買ってますからね。想定してなかったら激怒したかも~(苦笑)。


■24192:Eric Clapton 「Motherless Children」

 本項17/06/12追記。

 192kHzサンプリングのハイレゾ商品とはどんなものかと1曲だけ買ってみたものです。

・スペクトル
 一般的な96kHzの2倍のサンプルレートにメリットはあるのでしょうか?

MotherlessChildrenスペクトル

 25kHzくらいまではよく動きますので有効成分でしょう。その後も30kHzくらいまでは動いているように見えます。
 さらにそこから96kHzまである高域は全く演奏にシンクロせずこの“カタチ”を保ったままぞわぞわします。DSD特有ノイズとも似ていませんので、おそらく「AD変換前のアナログノイズの集合体」ではないかと思います。

 CDやDAT音源からのアップサンプリングでないですね。20kHz以上に3か所高周波ノイズもありますし(苦笑)。
 この商品の出自は定かではありませんが、もともと古い曲(1974)ですので、良質なアナログマスターからのデジタル化だとしたらこんなカンジなのかなと。

 192kHzである意味はよくワカリマセン(本作に限りませんけれど)。
 確かにAD変換時点で高サンプリングレートであることに意味はあるとは思ってはいますけれど、マジでそれくらいしか思いつかない(苦笑)。
 やっぱり「アナログの風味を残すため」ですかね。

・波形
 一方、波形の方はどうでしょう。
 以下は「クリッピングを表示」結果ですので1サンプルでも赤くなっちゃいますが、拡大して確認すると多数潰れています。

MotherlessChildren波形

 潰れの代表例を示しておきます。

MotherlessChildren潰れ

 同じ潰れ方でも192kHzサンプリングですからサンプル数はCD音源の約4倍になることは考慮しなくてはなりませんが、波形として見事に潰れてますよね。
 とりたてて音圧マシマシしてるようにも見えませんので、単純に、「マスタリング時ピークを潰しちゃいけないという意識がなかった」ように見えます。
 結構大きな高周波ノイズ(*)が3か所もあるところとか、制作環境大丈夫かとも思っちゃいます。

*:約28.7,54.0,86.5kHz。(音としては)かなりの高周波ですしレベルもそこそこ高いですから、オリジナル音源にあるものではないでしょう。


 192kHzであるメリットは特になさそうですしピークは潰れてますし(*)、しかも\607(8%税込み)もしますし、調査目的じゃなかったらこれも残念感ハンパなかったでしょう。

*:ハイサンプリングにはTruePeakを防ぐ効果がありますが、リアルサンプルで潰れまくっている本作ではメリットになっていません。

 192kHzだからお高め?


■エトセトラ

・エイリアシングノイズ除去
 サンプリング定理上2496なら48kHz、24192なら96kHz以上の成分はあってはなりません。
 しかし、KalafinaとClaptonはそれをカットするLPFをかけてるように見えません。
 Passband=Stopbandなフィルタリングは無理なのでどうしてもナイキスト直前でLPF減衰領域ができてしまうハズですが、それが見えないことからの判断です。せっかくのハイサンプリングですから急峻な特性にする必要もないでしょうし。
 実際、中山美穂と小泉今日子の2496には減衰領域がありますし。 

 「ハイサンプリングならエイリアシングノイズはもはや問題にならない」と判断してLPFかけずノイズを許容する場合もあるってことでしょうか。
 でも、ナイキストまでフルに成分がある場合、通常のDACチップのStopbandは100%より大きいですから、再生時にイメージングノイズが漏れ出てしまいますけど、それも許容するってことですかね。

・FLAC
 WAV版を持っていたある曲のFLAC版も入手して≪foobar2000≫のConvert機能でWAV化、WAVファイルコンペア(≪音くらべ3.00β1≫にて)したところ一致しましたので、本稿ではFLACかWAVかは無視し特に注記していません。
 FLACファイルはWAV変換して扱っています。

・ダウンローダ
 配信音源を購入する際のDLはブラウザの機能を使うので、1ファイルずつ選択することになります。流石にメンドクサイのでe-onkyoのダウンローダを使ってみました。
 2曲同時に落としてました。速度表示は70~85Mbpsくらい。ファイルサイズと秒数から換算する実測値と同等でした(日曜午前中、100Mbps契約のフレッツ光にて)。
 17/03/20追記:祝日の17:00ごろ。20~30Mbpsくらいしか出ませんでした。


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