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ハイレゾファイルの中身はハイレゾか

11/11/27初稿

 24/192やDSDと言った、いわゆるハイレゾファイルが配信販売されています。現時点ではDSDもPCM変換して鳴らすのがまだ普通でしょうから、DACにとってはハイレゾPCMと見なしてよいでしょう。

 16/44.1のファイル(CDリッピング)と比べて、例えば24/192のファイル(配信)は本当に“中身が高音質”なのでしょうか(もちろん同じ楽曲のファイルにおいてです)。当然そうでないと困るのですが、もしかして、DACを中心とする再生システム(主にDigital側)の動作が異なることによる音質差の方が影響が大きかったりしないのでしょうか。
 処理するデータ量が6倍程度にもなるのですから、DACを中心としたデジタルシステム動作の違いによるアナログ音質への影響は無視できない気がしますので… 実際、SE-U55SXではハイレゾ再生時は消費電力上がるようですし。

 もしかして「DACを196kHzとか176.4kHzで動かしさえすれば“そういう音”になる」とかだったらヤですから、念のための確認といったところです。


■ハイレゾ音源って音いいの?(DAC動作が変わっちゃうからじゃなくて?)

・準備
 ということで、CDとDSD両方所有している同じ曲につき、foobar2000の「Convert機能」を用いて以下のファイルを用意し試聴してみました。ハイレゾソースがDSDなのは、PCMでハイレゾとCDを両方持ってる曲がなかったためです。
 ビット深度はすべて16bitです。もちろん再生設定はファイルフォーマットとし、何も加工せず再生します。

・pcm44・・・CDリッピングでゲット
・pcm44x4・・・pcm44を「SoX Resampler」でx4にしてPCMファイル化
・dsd176・・・ネイティブDSDファイルを176.4kHzに設定してPCMファイル化
・dsd44・・・同じく44.1kHzに設定してPCMファイル化 *この時点でハイレゾ情報量は失われているハズ
・dsd44x4・・・dsd44を「SoX Resampler」でx4にしてPCMファイル化

 x4ファイルのサンプリング周波数は176.4kHzになっています。これらを比較することで、同じ16/176.4ファイルの再生動作において、ネイティブハイレゾとアップコンバートファイルの「データとしての音質差」を確認しようとうものです。
 また、「もともとあった情報量を1/4に落としてx4にアップサンプリング」した場合の音質差も聴いてみます。
 もうひとつ、「DSDファイルとCDリッピングファイルは、同じ16/44.1にした時音質差はあるか」も確認してみます。

 さて、聴いてみた結果は…

・ハイレゾ音源 VS CD音源:ローレゾフォーマットに合わせた時の差
 pcm44とdsd44では、明らかにdsd44の方が好ましく聴こえました。女性ヴォーカルの情感が明らかに違って感じられた点などです。

・ハイレゾ音源 VS CD音源:ハイレゾフォーマットに合わせた時の差
 pcm44x4とdsd44x4とdsd176は再生システムにとってはすべて「16/176.4kHzのPCMファイル再生」として動作しています。つまり、DACを中心とした再生システムにとっては同じ動作状態と言っていいハズです。その状態で音質差があるなら、それは明らかに元データの音質差と言えるでしょう。
 結果は、dsd44x4<dsd176という順に感じました。つまり、同じフォーマット=主にDigital再生システムの状態は同じ(ハズ)でも、音質差はあることが確認できました。
 なお、pcm44x4<dsd44x4でした。CDとハイレゾの差として、x4にしてもpcm44<dsd44だった風味は残っていると思います。

 余談ですが、しかしdsd44とdsd176の音質差は結構小さかった…

・アップサンプリングの効果
 元ファイルがpcm44でもdsd44でも、x4の効果は感じられます。
 ただ、pcmの方が効果が顕著な気がします。
 dsdはさほどでもないような… dsd44とdsd44x4とdsd176では、その差はかなり小さく感じました。


 以上、今回の曲については、「ハイレゾ版(DSD)は確かにCD版よりいい音」だと言えそうです。
 少なくとも、「DACが“ハイレゾ動作”していることによって良く聴こえるだけ」ではなさそうです。

 ただし、もちろん「曲による」「マスタリングによる」と思いますので、一般論ではない点、あしからずご了承ください。



 時は流れて…

 以下14/12/25追記。
 実は数ヶ月前に一度追記していたのですが一旦削除しました。この内容をきっかけに、もうちょっとハイレゾについて考える必要があると思ったためです。
 一応“考えた結果”も出ましたのでそれを踏まえ、改めて追記させていただきます。
 「本当に20kHz以上に意味があるのか」といった点には敢えて踏み込まず、試聴結果をメインにした内容にしました。
 “ハイレゾのリクツ”については考えた結果の記事群をご参照ください。


■24bitだけでもハイレゾか

・ハイレゾの定義
 JEITAの見解(*1)ではサンプリング周波数とビット深度のどちらかがCD規格を超えていればハイレゾという定義にしたようです。
 が、日本オーディオ協会(*2)は事実上24bit/96kHz以上と言いたいようですね。

*1:http://home.jeita.or.jp/page_file/20140328095728_rhsiN0Pz8x.pdf
*2:http://www.jas-audio.or.jp/jas-cms/wp-content/uploads/2014/06/doc14061201.pdf

 「96kHzで16bit」というようなフォーマットは事実上無視していいと思いますが(44.1kHzで24bitもないでしょう)、48kHzで24bitというハイレゾ音源は結構存在しており、「ハイサンプリングでなくても24bitなのは効いている」といった評価(*)も目にします。

*:http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20131026_621098.html

 しかし、ハイレゾとしてマスタリングされた音源とCD音源の比較では、ビット深度以外の差も大きいでしょう。
 実際のところ、同じサンプリング周波数でも16bitと24bitでは音質に明確な差が出るのでしょうか。
 44.1kHzと48kHzはニアリーだと思いますので、ぶっちゃけ「2448って音いいの?」と。

・準備
 そこで、ひとつのハイレゾ音源データから以下の4ファイルを生成して準備し、ゼンハイザー製ヘッドホンHD700で比較してみました。

・2496・・・オリジナル(女性ヴォーカル)。素性は「ホントにハイレゾか」記事に示したもので、
      ちゃんと40kHzくらいまで周波数成分入ってますし、ビット深度でもピーク潰していないことから
      24bitを有意に使っていると仮定します
・2448・・・≪foobar2000(v1.2.9)+SoX Resampler≫でオリジナルをダウンサンプリングしたファイル
      convert機能でWAV化
・1648・・・2448ファイルを16bit設定でS/PDIFループバック録音し、
      下位8bitを単純カットした1648ファイルを生成
・なんちゃって2448・・・1648ファイルを同じく24bit設定でS/PDIF録音し、下位8bitがゼロの2448ファイルを生成

 プレーヤソフトは≪PlayPcmWin 4.0.64.0 x64≫です。自動に設定しておけばビット深度はファイルのフォーマットに基づいてWASAPIに渡してくれるので設定変更の手間がなく、連続で聴けます。

 「2448って音いいの?」と言っておきながら音源が2448じゃなくて2496なのは、ちゃんとハイレゾで比較に耐える2448音源を持っていなかったためです。リサンプリングしてしまいますがビット深度の比較においては同条件かと。ついでに48kHzと96kHzの比較もしてみようという下心も入ってますけれど(笑)。

 「なんちゃって2448」を用意したのは、DSD音源での実験と同じく「DACシステムにとっては同じフォーマットでの動作」として、データの差だけを確認するためです。

 「1648」と「なんちゃって2448」は、S/PDIF録音ではなくソフトウェア的な変換でも生成できると思いますが、「同時に予期せぬデータ改変されていないこと」を確認するのがメンドクサかったので、その可能性を排除した「RecPcmWinによる録音方式」で行いました。

 録音して作成したファイルの中身はバイナリエディタで確認しました。
   ・1648ファイル・・・2448ファイルの下位8bitが単純カット(上位16bitは変化なし)されていること
   ・なんちゃって2448ファイル・・・下位8bitが単純にゼロ詰めされていること

 このあたり突っ込んだハナシは「非ハイレゾ音源の作り方」記事にて。

 さて、聴いてみた結果は…

・ビット深度の効能
 1648と2448では、2448の方がヴォーカルや楽器の分離が良くなり、音場の奥行き感が出てくる。ように聴こえる。かなり微妙ですが。

・DAC動作違いの影響ではないか
 なんちゃって2448(フォーマットは2448だが有意なデータは1648)は、「DAC動作モードが同じ2448」より、「有意なデータとして同じ1648」に近いというかほぼ同じというか…に聴こえました。一応。
 ぶっちゃけ、Input段階から内部処理まで、24bitDACチップならもしかすると24bit以上のデータ幅で統一されているような気もするので、“ほぼ同じ”は正解なのかも知れません。

 ということで、48kHzでも24bitである意味はありそうだと思いました。もちろん、最初から24bitの情報量がある音源の場合は、ですけれど。

・参考まで:サンプリングレートで差は出るか(ダウンサンプリングすると悪くなるか)
 2448と2496では、2496の方が個々の音が立体的になり上品な趣が出てくるように感じました。
 ただ、「ダウンサンプリング(リサンプリング)という変換処理してない分2496はそもそも有利」という事情もあるかもです。


 以上、いくつかの比較で違いは感じましたが、めちゃくちゃ「びみょ~」でした。
 ただし、本試聴はヘッドホンで行っていますので、もしかするとビット深度拡張=ダイナミックレンジ関連の差違は判りにくいかも知れません。巨大音量出せる環境にないものですから…


■ハイレゾ音源の価値:フォーマット VS マスタリング

 ハイレゾリューションであること=24bitとか192kHzとかって言うのはデータフォーマットに過ぎません。実際の音がハイレゾリューションであるか否かはフォーマットで確定はしないでしょう。極論すると「CD音源で同じサンプルを2個づつ並べる」と88.2kHzのハイレゾフォーマットのデータになりますが音としてのレゾリューションはCDと変わりません。

 本稿の目的は、ハイレゾ再生において

①:DACの動作違いだけで音質が支配されていないか

を確認し、支配されていないなら

②:ビット深度の拡大やハイサンプリングは本当に音質を良くするか(聴こえるか)

を確認することでした。

 そのため、まず「DSDとCDで提供されていて音質が違って聞こえる同じ曲」によって、DAC動作フォーマットを統一した時にも違いがある(DSD音源の方がいい)ことを確認(①)しています。
 続いて2496音源を用いて24bitの有意性を確認(②)しました。あんまり自信はありませんけれど(苦笑)。

 また、両比較においてハイサンプリングレートも有意性がありそう(②)だという結果も得ました。
 ただ、こちらはさらに自信なく、本当に約20kHzを超える高域成分を再生することによって差を感じているのかは疑問には思っています。リサンプリングせずにサンプリング周波数以外のパラメータを完全一致させたデータを得ることは素人には無理ですから、比較試聴も結果も“一応”の域を出ないのではと。

 以上より、
「一応ハイレゾフォーマットには意味ありそうだが、実際の試聴では“明らかに違う”とはとても言えない」
と感じました。
 どっちかと言うとビット深度の方が好ましい効果が判る気がしましたが、大変微妙な違いに思いました。

 たぶん、マスタリングの違いの方が支配的だと思います。

 なので、「このハイレゾ音源は音がいい」という場合、
「データフォーマットとしてCDより情報量が多いから」
という以前に、
「そもそもそういうつもりでマスタリングしているから」
という理由もありえる(ていうかほとんどそうでは)と思います。
 具体的には、同じマスターでも「CD版ではピーク潰してでも音圧上げたけど、ハイレゾ版ではコンプ控えめにした」といった例でしょうか。
 ぶっちゃけ言うと「ハイレゾとして売るものだから」「わざわざCDという決められた器にハメ込む必要ないから」音質にこだわってるハズと。

 あくまでも“ハズ”ですが(苦笑)。


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Author:らかせ
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