みんなDSDを聴いている

12/06/19初稿

 実は、ほとんどのデジタルオーディオファンはすでに、音源フォーマットに関わらずいつもDSD再生音を聴いているのです。

 なんて、ちょっとキャッチーなタイトルにしてしまいました。
 DSDというのは比喩(?)で、「1bitデジタルのアナログ再生を聴いている」という意味です。

 最近盛り上がりを見せているDSD(ネイティブ)再生について考えていたら「DACの動作」についての理解を避けて通れなくなり、いろいろ調べてみた結果をまとめておこうと思います。
 ただ、とっても難しいので間違ってる可能性も高い点、ご了承ください(苦笑)。

 本稿、特記なき「DAC」はDACユニットではなくDACチップを指します。


■DACには種類がある

 現在、Audio用のDACチップには大きく分けて2種類あるようです。

・マルチビット型・・・PCMの原理そのままに、bit数分のアナログ値変換素子が並んでいる
・デルタシグマ(ΔΣ)型・・・いわゆる1bitDigital。動作原理は後述

 16/01/07追記:ΔΣ方式にもいろいろあるようですが、本稿の主旨は「DACにはマルチビット型とΔΣ型がある」「ΔΣ変調とはどんな技術か」という点ですので、(主旨には影響ないと判断し)解りやすさを優先し1bitΔΣとして記しています。
 そうでない事情については「ΔΣ型DACの実事情」項にまとめました。

 実は、現在主流のDAC方式はΔΣ型です。例えばFostexの人気のD/Aコンバーター(というかヘッドホンアンプ?)HP-A8に使われている旭化成製「AK4399」も、Phasetech製HD-7A192に搭載のTI(Burr-Brown)製「PCM1795」もΔΣ型です(TI社の方はちょっとヤヤコシイ仕組みのようですが)。

 ←AK4399    ←PCM1795

 主流になっている理由はコストです。16bitのマルチビット方式では、最下位ビットの担当する電圧値は1/65336、Vppの0.0015%の電圧をON/OFFしなくてはなりません。これを単純に量産することはできないようで、「レーザートリミング」なる工程で調整するようです。確かにコストアップしそうです。いわんや24bitや32bitをや。

 参考:TI社 「限界性能への挑戦と音質へのこだわり」
 http://www.tij.co.jp/jp/lit/ml/jajt042/jajt042.pdf

 なお、本稿は以下データシートのDACブロック図など別タブで開きながら読んでいただけますと幸いです。

 参考:AK4399データシート
 http://www.akm.com/akm/jp/file/datasheet/AK4399EQ.pdf

 参考:PCM1796データシート
 http://www.tij.co.jp/product/jp/pcm1796

 12/07/25追記:そのまんまDACの現状を解説した記事が出ました。TIとAKMのブロック図の解説もあります。
 http://ednjapan.com/edn/articles/1207/25/news017.html


■ΔΣ方式とは

・そもそも
 そこで、アナログ変換素子は1bitにしてしまうことで量産性を上げているのがΔΣ型DACです(アナログ変換といっても1bitなので2通りの電圧しか出てきませんから、なんかイメージ違いますけれど)。
 しかし、単純に1bitではまともな音にはなりません。1bitにする代わりにサンプリング周波数を超高速にしている(半導体技術の進歩でリーズナブルに可能になった)のですが、この原理となっている「ΔΣ変調」がとっても難しい。
 マルチビット型がLPCM=“Linear Pulse Code Modulation”をそのまま形にしたDACだとすると、ΔΣ型はΔΣ変調…“変調”なんて単語が出てくるとビビってしまうのですが、要するに“Delta-Sigma Modulation”をそのまま形にしたDAC、ということになります。Modulationの方式という意味で同列なのです。

 が、そもそも上記に言う“modulation”は「アナログからデジタルへの変調(変換と理解してもいいかも)」である点にご注意ください。実際、web上のページもA/D変換について書かれているのがほとんどです。なのに、我々が接するΔΣ方式はDAC…「デジタルからアナログへ変換する仕組み」の説明として出てきます。
 ここでまず引っかかっていたのですが、それは一旦おいといて、まずはADCとしてのΔΣ変調の理解を試みました。

・アナログ→デジタル変換方式としてのΔΣ
 この方式、敢えて言葉で説明してみます。超ざっくり概念ですが、もしかしたら図より解りやすいかも…

 アナログ信号をVppの真ん中のスレッシュでえいやっと0or1(1bit)に変換する。当然猛烈な量子化誤差が発生する(ほっといたらサイン波が矩形波になっちゃう)。
 そのままにはしておけないので、「変換した0または1のアナログ値(つまりVppの最小値と最大値)」と「変換前のサンプル信号のアナログ値」の差分(つまり量子化誤差)を、次のサンプルからアナログ値として引く(大きすぎた分はマイナス、小さすぎた分はプラス)。その値をまた0/1化する。その0or1のアナログ値と本来のサンプル値の誤差をまた次のサンプル値に還元する…
 これを繰り返すと、マクロで見ると帳尻が合う。というか、帳尻が合うくらい高速サンプリングする。


 つまり、
「量子化誤差を1次元で拡散している」または「量子化誤差を時間軸方向に拡散している」
「知覚できないくらいミクロに(高速に)拡散を行うとマクロでは階調になって聴こえる…2次元画像の誤差拡散が遠目に見るとアナログ階調に見えるのと同じ」
と理解すればよいのではないかと思います。

 Δ=差分、Σ=積算。差分を積算していくと。

 参考:SHARP技報
 http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/journal-77/pdf/77-14.pdf

 参考:EDN Japan:13/12/17付け記事
 http://ednjapan.com/edn/articles/1312/17/news014.html

 参考:東芝の資料 (15/04/27追記)
 http://toshiba.semicon-storage.com/jp/design-support/e-learning/mcupark/village/ad-converter.html

 参考:日本オーディオ協会:13/10/09付け記事 (15/04/28追記)
 http://www.network-audio.jp/explanations/post25

 SACDの場合はCDの64倍のサンプリングレートで1bit化しているワケですが、ちょっと考えると16bit分(65336段階)もあった波形データの振幅値が1bit(2段階)になってるので、サンプル数を64倍にした程度では情報量の激減をとてもリカバーできないように思えます。ここがΔΣの概念上難しいところで私もよく解っていませんが、なんとなく次のようなイメージを持っています。

 例えば64サンプルにおいて「1」の“数が振幅”を表現しているイメージ(PCM的イメージ)のままで見ると、0~64個の可能性しかありません。が、DSD信号は基本原理的にはアナログLPFを通すだけでアナログ信号に変換できるものですので、単位時間あたりの「1」の“数は同じでもその配列が違えばアナログ波形は変わる”でしょう。そう考えると配列は64bit通りもあることになります。その“単位時間”も2.8224MHzのスピードで変化していくワケですから。

・デジタル→アナログ変換方式としてのΔΣ
 上記はアナログ→デジタル変調方式としての動作原理です。つまりADCとしての動作です。なのになんでDACの方式になるのか? ここがずっと解りませんでした。

 いろいろなデータシートやweb上の先達各位の情報を見てやっと考えついた理解のポイントは
「ΔΣ変換するために(1bitにするために)PCMをアナログ信号に見立てている」
ではないでしょうか。つまり、

アナログ変換素子は1bitで済ませたい
 →PCMをアナログ波形に見立ててΔΣ変換してしまえばいい
  →といっても16bit/44.1kHzのPCMデータをそのまま1bit化すると音質が…
   →DACの中で128倍とかにオーバーサンプリングして“なんちゃってアナログ”に変換してから
    ΔΣ変換しよう


ということではないかと思っています。
 そのため、「128fsオーバーサンプリング」といった途轍もないDACのスペックが登場してくるのです。


■「オーバーサンプリング」と「アップサンプリング」と「アップコンバート」と

 ところで、DACについて語る際は以下用語の意味に注意すべきかと思っています。
 例えば、「オーバーサンプリング」については2通りの意味がありそうです。例として、上記のAK4399スペックに「8倍デジタルフィルタ」「128倍オーバーサンプリング」といった文言が出てきますが、ふたつの倍数の意味は異なると理解しています。一方、PCM1796ではデジタルフィルタブロックの方に「x8 Oversampling」と記しています。
 このあたりは明確な定義はないようですので、私の個人的な理解ですが、各種通例などから以下のように考えています。

・オーバーサンプリング・・・DACの中でΔΣ変換用にサンプル数を単純に増やすこと
                 および
                DACの中でデジタルフィルタ演算する際、単純間足し(零次ホールド方式)で
                サンプルレートを上げること
                 が混在
・アップ(ダウン)サンプリング・・・各種アルゴリズムを駆使し音質を考慮してサンプルレートを上げ(下げ)ること
                    整数倍(1/整数倍)とは限らない
・リサンプリング・・・各種アルゴリズムを駆使し音質を考慮してサンプルレートをアップorダウンすること
            イマドキは16bitデータでも演算は24bit以上で行われるので、出力は24bit以上にもできる
            が、ダイナミックレンジが拡張されるワケではない
・アップコンバート・・・サンプルレートを変換するだけでなく、各種アルゴリズムを駆使して
             高域を補間追加すること。ビット深度拡張も含まれる
             *通常DACチップではアップコンバートやってないので参考まで

 つまり「アップ(ダウン)サンプリング」は「リサンプリング」の種類、ということでよいのではないかと。
 紛らわしいのはアップ(オーバー)サンプリングとアップコンバートの違いですが、本Blogでは以下ような通例から上記のような判断しています。

・EsotericのDACユニットの高域補間機能「RDOT」の説明は「アップコンバート」である
・foobar2000のSoX Resampler(高域補間しない)では「UpSample」という用語が用いられている

 また、ディザ付加は高域を増やしますが、高域補間ではないと思っています。ディザは原則「ノイズ」ですので。

 明確な定義(デファクト的なものも含め)が存在しないようですので、使用する時はどちらの意味で使っているのか判るようにしたいですね。

 DACではダウンすることはないので「オーバー」、リサンプリング処理ではダウンすることもあるので「アップ」なんスかね?
 「整数倍限定はオーバー」「非整数倍も出来る場合はアップ」というハナシもあるようですが、インターポレーションフィルタをかける前処理としてゼロサンプル挿入することを「オーバーサンプリング」と呼ぶなら確かに整数倍しかないでしょう。
 以下TI社資料の記述を見ても、なんかそれっぽいかな。

 デジタル・フィルタは正確には、インターポレート(オーバー・サンプリング)とデジタル・フィルタリングの機能により構成されており、その動作と各部のスペクトラムを2倍オーバー・サンプリングを例に図4に示します。まず、基準サンプリング・レートfSのデータはインターポレート(オーバー・サンプリング)され、fSに対して2fSのデータを補間し原fSと2fSの両スペクトラムを出力します(図4b)。
出典:http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja016/jaja016.pdf

 一方、旭化成の「128倍オーバーサンプリング」とはおそらくΔΣ変換処理の一部として「なんちゃってアナログにみたてる」部分のことと推定しています。オーバーサンプリングって、“ある機能の一部”としてフィルタ掛けずにサンプルレートを上げる処理のことを指すと考えるとつまり矛盾なさそうです。
 つまり「オーバーサンプリング+デジタルフィルタ=アップサンプリング」と理解したいと思います。

 さらに参考までですが、サンプルレートコンバート・・・略称SRCとは、「内部処理を48kHzに統一するため44.1kHzを48kHzに変換」とか、「Tx側と非同期に動くため(例:44.1kHz+10ppm→44.1khz-10ppmへの変換)」に使われる場合の呼び名っぽいです。

 14/11/20追記:「アップサンプリングの効能」についてはDACとハイレゾとアップサンプリングを考えた記事に統合しました。

 参考情報:アップサンプリングなどの用語説明と、事実上混用されているとの記載あり
http://ednjapan.com/edn/articles/1009/01/news112.html

http://www.geocities.co.jp/Milkyway/5457/dac.htm
http://www2.117.ne.jp/~vision/paf/term_d1.htm

 参考情報:旭化成AK4399開発記事(DAC内蔵デジタルフィルタのImpulse応答波形あり)
http://www.phileweb.com/review/closeup/akemd-ak4399/

 参考情報:TI社webページ「そもそもデジタルフィルタって」
http://www.tij.co.jp/dsp/jp/docs/dspcontent.tsp?contentId=53937


■DSDの効能

 ということで、ほとんどの(たぶんΔΣ型DACを使っている)オーディオファンは、すでに現在、デジタル音源においてはDSD再生じゃなくても1bitDigitalの音を聴いているのです。

 では、ΔΣ型DAC環境においてDSDフォーマットデータを扱うメリットはなんでしょう?

・ネイティブDSD再生
 ざっくり言うと、前述した

 「PCM処理(デジタルフィルタ)ブロック」「PCM→1bitDigital変換(オーバーサンプリング&ΔΣ)ブロック」をパスしてアナログLPFにダイレクトに突っ込めることによる、デジタル信号処理の簡素化

ということになると思っています。ざっくり言うと、ですけれど。
 なので、DSDをネイティブで受ける機能を持たないDACでDSD再生しても理屈上の音質的メリットはあまり得られないことになりますね。上記TI社の解説pdfによるとDSDをPCMに変換(その後はPCMモードと同じ処理?)しているDACもある事になってるので…

・PCでDSDをPCMに変換 ⇒ ΔΣ型DACで再生
 DAC内でもう一度1bitDigital変換してることになりますから、とっても無駄だな~と思えますね。

・PCでPCMをDSDに変換 ⇒ ネイティブDSD再生
 再生デバイスがΔΣ型DACの場合はPCMをつっこんでもどうせDAC内で1bitDigital化されちゃうワケですから、「その処理をPC側でやることでDAC動作が軽くできる」というメリットになりますね。DACではなくPCでΔΣ変換することによる精度…というかデータの音質に差があるかどうかは全く解りません(ありそうですけれど)。

 15/02/07追記:PCで変換するアルゴリズムが、DSD化の前に「オーバーサンプリングデジタルフィルタリング」しているか否かでも大きく違いそうです。
 DSD再生モードのDACでは当然フィルタ機能は働きません。ですので、もしPC側での変換において「ただDSD化するだけ」だった場合、「PCMデータ再生なのにオーバーサンプリングデジタルフィルタがかからない」という特殊な再生モードになります。いわゆるNOS-DAC動作です。
 PCでの変換アルゴが「フィルタリングも行ってDSD化する」の場合は、それら機能をそっくりDACからPCに移した状態になります。この場合はどんなフィルタ倍率なのかなどでも音質は変わりますね。
 例えば、foobarは前者、JRiver MediaCenterは後者のようです。


 さて、こう考えると、ΔΣ型DACの場合、アナログ変換する前のビットストリームの波形品質がそのままアナログ波形品質に影響するのではないかと思えてきます。デジタル信号でありながら、そのクロックジッタや波形の崩れやノイズ成分はアナログLPF動作に全く影響を与えないものとは思えないので…
 ていうか、1bitデジタル信号ってアナログLPFを通す前のアナログ信号という側面も持ってるワケで。
 もちろんそんな単純ではないでしょうけれど、ΔΣ方式のDACチップにおけるマスタークロックのジッタやデータ信号のノイズは音質に無視できない影響を与えると思え、つまり「デジタルオーディオは何をやっても音が変わる」根本原因のひとつではないか、という気もします。もちろん何の確証もありませんが(笑)。
 やっぱり可能な限りDACを健やかに動かしてやることが肝要、かな。


 なお、ΔΣ変調と「ノイズシェーピング」についての関係もよく解らず悩みました。DSD再生ではPCMと違ってノイズシェーピングが“必要になる”とかなんとか…
 が、少なくともオーディオにおけるノイズシェーピングとは「ΔΣ変調の特性としてノイズエネルギーが超高域に移動すること」と理解しておけばよさそうです。必要になるんじゃなくてそもそも変調方式の特性として“そうなっちゃう”または“やらざるを得ない”ものである、と。
 可聴域より十分高域に移動したノイズは余裕のあるLPFでカットできるのがメリット、ということですね。


■ΔΣ型DACの実事情

 本項16/01/07改訂追記(他稿からの移動含む)。

 ΔΣ変調の具体的処理は、もちろんDACとPCでは違います。DACチップによっても違います(初稿では「全く解りません」と記していますが、「音質への影響」という観点において、です)。
 本稿はわかりやすさを優先してその点については無視して記述していますが、本項で少し具体的にみてみます。
 難しいので間違ってるかも知れませんけれど。間違ってたら申し訳ありません。

・ΔΣ変調出力は1bit(ワンビット)かマルチビットか
 前述した通り本稿は1bit限定で記していますが、技術としてはマルチビットΔΣも存在するようですね。たしかに1bitでなければならない理由はなさそうです。

  ←P.47~48に「技術はあるけど難しい&コストアップ」「DACチップの詳細は未公開」などとあり

 PCは、当然1bitです(能力的問題ではなく、“いわゆるDSD”しかI/F規格などがないので)。

 DACチップの方は明確化できないです(AD変換時は充分マルチビットありだと思いますけれど)。ブロック図などの明らかな情報を寡聞にして知らないためです。間接的情報はあるのですが…
 そもそも、各社いろんな手法があるようですのでズバリの表現もできなそうです。

 DACチップがいろんな“工夫”をしているのは、「より高音質にするため」というより、「コストやサイズによって限られるハードウェア資源や専用チップとしての制約(メモリ・レジスタ・動作周波数・トランジスタ数・消費電力・etc)の中で最良の結果を出すため」ではないかという気はしています。もともとがマルチビット型のハイビット化が困難になってきたことに対する代替え技術ですから…
 あまり公式(?)な詳細情報がないのは、「ΔΣ型DACのコストパフォーマンスを向上させる“キモ技術”だから」じゃないかと思っています。

 いずれにしても、DACチップのΔΣは「1bit」「シングルストリーム」じゃないものが多いのはまず間違いないところですので、それしか生成できないPC処理と単純比較できないことだけは確かです。

・実際のDACチップは何をしているか
 ということで、私が調べたところを以下に記してみます。

 ・TI社:アドバンスド・カレント・セグメント方式
    下位bitはΔΣ。ただしマルチビットではなくマルチレベル(5レベル)と謳っている。
    上位bitは重み付け相当で変換されたストリーム(62レベル)?
    合計「67レベル」とのこと。
      http://www.tij.co.jp/jp/lit/ml/jajt042/jajt042.pdf

 ・AKM社:アドバンスト・マルチビット方式
    ガチなマルチビットΔΣ?
    ただし、最近のものはそれを謳わなくなっておりどうなっているか不明(詳細後述)。

 ・Wolfson社
    マルチビットDAでも精度が出せる上位bitは従来通り、下位bitはΔΣのハイブリッド方式?
      http://www.jp.onkyo.com/wavio/se_80pci_siryou/04.htm

 ・ESS社
    ほとんど情報ありませんが、マルチビットΔΣのような気が…
      http://www.fidelix.jp/technology/ES9018.html
      http://vaiopocket.seesaa.net/article/303208468.html

 ・参考:SONY社
    DACチップではありませんが、デジタル信号をそのまま増幅する「S-Master」は1bitのようです。
    ただしストリームはPDMではなくPWMの改良版という「C-PLM」なるもの。
      http://kanaimaru.com/da9000es/d170.htm
      http://www.sony.jp/audio/products/TA-ZH1ES/feature_3.html (「1bitD/A変換技術」とあります)



 DACチップ内のΔΣ変調ブロックからマルチビットで出力すると、それってPCMデータですから単純なアナログLPFではアナログ化できなくなるハズですよね。サンプルレベルが0か1しかないならそのまま単純なコンデンサの充放電でローパスできますけれど、ストリームが2bit以上あるなら「マルチビットDAコンバート」して2のn乗段階の電圧(電流)値に変換しないとアナログLPFに渡せないと思います。
 その“DACチップの中のマルチビット型DAC機能”は、数bitでしょうから精度問題はないかも知れない一方、数MHzオーダーで反応して精度を保つ必要はありますよね。

 TI社は何らかのマルチ処理だと思います。ただ、マルチ化したΔΣ出力をアナログ化する難しさを語っているので、一般的な手法ではないのでは。

従って,むやみに量子化ステップ数を増やすと,マルチビット型D-A変換回路と同等のアナログ精度が必要になり,アナログ精度(誤差)に関する何らかの解決策が必須となる。
出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/LECTURE/20110803/194350/?rt=nocnt

・PCM処理とDSD処理の違いの例:TI社製PCM1795
 ほとんど唯一(?)当該内容の資料が公開されているTI社の「アドバンスド・カレント・セグメント方式」に基づいて、PCM1795の具体例を以下に記しておきます。

・PCM通常再生
  PC側:PCM出力
 ⇒
  PCM1795側:PCMをOSDF→マルチレベルΔΣストリーム(*)に分割変換
         →カレントセグメント機能でアナログ変換

・PCM→DSD変換再生(PCM1795にとってはDSDネイティブ再生)
  PC側:PCMをアップサンプリング→DSDストリーム(シングル1bitストリーム)に変換→出力
 ⇒
  PCM1795側:アナログFIRフィルタ(カレントセグメントブロックがそのように動作)でアナログ変換

*:詳細は上記「TI社:アドバンスド・カレント・セグメント方式」に付記したリンク先資料をご参照ください。

・マルチストリーム用LPFとシングルストリーム用LPF
 余談ですが、PCM時にはマルチビットになっているなら、どうやってシングル1bitストリームたる「DSDネイティブ」に対応するのかよくわかんないです(苦笑)。
 TI社の「アドバンスド・カレント・セグメント方式」だけは、資料公開されているので詳細は理解できずともシングル1bitストリームをアナログLPFしてる(ネイティブDSD再生)なんだなと解りますが。
 AKM社のAK4490(ネイティブDSD再生対応)ブロック図を見ると、外部からのDSDストリームはΔΣモジュレータ出力と同列に直接SCFに入っていますので、ΔΣがマルチビットストリームを吐くならSCFはマルチビットストリームと1bitストリーム両対応できないと矛盾します。やっぱりマルチビットΔΣストリームをマルチビットDA変換してシングルマルチレベルストリームにしてからSCFに送り込んでるってことでしょうか。SCFは「PCM時のシングルマルチレベルストリーム」と「DSD時のシングル1bitストリーム」の両対応はしてる、ということですかね?
 ちなみにAK4490のデータシートでは「アドバンスト・マルチビット方式」を謳わなくなっています。はてさて?


■余談

・TI社のDACの型番は、例えば「PCM1791」はDSD信号とPCM信号のInputピンが共通、「DSD1791」は別ピンになっているのを表しているそうです。

・1bitDigitalのデータは粗密波と呼ばれることがありますが、似て非なるものだと理解しています(SHARP技報を見ても粗密波には見えません)。
 ただし、あくまでも上記説明「A/D変換としてのΔΣ」についてです。後日調べたところ、どうも「D/A変換としてのΔΣ」においてはPDMもPWMもあるようです。SACDというかいわゆるDSDはPDMのようですね。
 といっても、「PWM=パルスの幅に変調する」のに対して「同一幅パルスの粗密に変調する=PDM」という意味であって、“音波としての粗密”とイコールではないような気がしています。あくまでも「そんな気」ですけれど。

・1bitデジタル信号のアナログ化はつまりアナログLPFを通すことで行っているハズですけど、ソースのサンプリング周波数が違えばアナログLPFのカットオフ周波数も変える必要がありますよね。どうやってるんだろう?
 15/01/12追記:当初、カットオフ周波数可変のLPF機能があるのではないかと考えていましたが、どうも違うみたいです。オーバーサンプリングデジタルフィルタとΔΣ変調の倍率を“ソースのサンプリング周波数に応じて調整”することでそれらを掛け合わせた倍率を一定にし、PCMデータの周波数が異なっても生成するストリームの周波数は同じにしているようです。それによってLPF特性は固定している模様。

・AudioにおけるDither(ディザ)処理とは、あえてランダムノイズを加えて量子化ノイズを拡散してしまう処理の意味に用いられるのが基本かと思います。
 一方で、いわゆる誤差拡散の意味で使われることもある(特に画像系のハナシで)ので、使い方・使われ方の意味には注意が必要なようです。
 ていうか、誤差拡散していることをランダムノイズ付加って言ってるのかな?

・ちなみに、DSD大好きな方は多いですけどデジタルアンプは人気ないですよね。どっちも高速1bitなんですけどね(苦笑)。


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