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CDリッピングエラーの正体

13/05/02初稿

 いやぁ、奥深い。


■検証の経緯

 まず、いままでやってきたことをまとめてみます。

・第1段階:ドライブやリッパーが異なると読み出されたデータは異なるか
 リッピング条件とエラー記事において、補間やフレームズレがないなら音声データは同じバイナリになることを確かめました。当時はまだそういうことすら明確でない段階だったんですね。
 この実験で副次的に、「補間やフレームズレは頻繁に発生するものではない」ということも判っています。

・第2段階:リッピング条件が悪いと補間(エラー)はどのくらい発生しているか
 続いて同記事で、「ディスクに擬似的に発生させたダメージやリッピング中の振動印加で、読み出されるデータは変わってしまうか」を確認しています。
 その結果、多少の脂汚れくらいのダメージでは補間は発生せず、ましてやドライブの振動でも補間は発生せず、つまり普通のリッピングで補間(エラー)はほとんど発生しないだろうと考えています(第1段階での結果を裏付ける形になりました)。

 以上より、「イマドキのものならばドライブやリッパーは中途半端に拘ってもあまり意味がない」と結論しています。

 ただし、ディスクのダメージはあくまでもシミュレーションであることをはじめ、基本的には「健常なディスク」の検証となっています。ですので、(シミュレーションではなく)傷ついていたりプレス不良だったりするディスクで、実際に「どのくらい補間が発生しているのか」や「フレームズレは本当に発生しているのか」といったことは判っていませんでした。

 その後、いい塩梅に傷がついたトラックや、なぜだか読みにくいディスク…プレスが良くない(?)ディスクを発見しましたので、本稿では、そのようなディスクのリッピングにおいて何か起こっているのかを確認してみます。


■第3段階:ダメージディスクのリッピングでは何か起こっているか

 ERIでは、前世紀(笑)からリッピングをやっています。そのため、過去2世代のシステムでリッピングしたデータがいくつか残っており、その中にダメージディスクが数タイトルあります。物理的に同じCDです。
 ですので、このディスクなら、現在のシステムも加えて3世代での結果を比較できます。
 昔のドライブ(中古ではない当時の状態の結果)はよかったのでしょうか…?

 エントリーは以下の通りです。

  ・99年当時:DVD-303S+CD2WAV(詳細は上記第1段階記事参照)
  ・09年当時:BDC-S02J+iTunes9 x86(推定。OSはXP HomeEdition x86)
  ・現在:BDR-S05J+iTunes11.0.2.25 x64(エラー訂正なし)
  ・現在:iHES208+iTunes11.0.2.25 x64(エラー訂正なし)

 現在のOSはWindows7 HomePremium SP1 x64です。

・事例1(傷ディスクA)
 ある打痕傷ありCDで、S05JのPureRead2パーフェクトモードだと途中停止してしまう(補間が発生する)track07の場合、いくつかの世代における補間(結果ハズレ)発生数は以下の通りになりました。WaveCompare1.32にて。

  ・303S・・・7563893~8147197サンプル間に相違187(不連続)
  ・S02J・・・7268346~8548429サンプル間に相違1366(不連続)
  ・S05Jマスターモード・・・7207360めから連続相違発生。サンプル増減してズレて比較?
  ・S05Jパーフェクトモード・・・途中停止
  ・iHES・・・エラーなしデータと一致

 総サンプル数は約1600万なので真ん中へんです。

 確かに読み取り性能はドライブによって異なるようですね。同じPioneerでも古い方がいい結果になってるようにも見えます。古い方がディスクの状態がよかった可能性もありますので何とも言えませんが、303SからS02Jまでの10年間にCDをケースから出した記憶はありません(確証はありませんが、リップして聴いてワケですから)。
 マスターモードがiHESに負けてるのはいかがなものか(苦笑)。ただ、マスターモードはどうもアヤシイ場合がある(標準モードより酷くなるなど)ので調べたところトンデモナイ事実が。詳細は後述です。

 ちなみに、エラーなしデータをどうやって得たのかというと、もう一枚CDを買おうかと思ながら各リッピング後、盤面をなめすように拭いてパーフェクトモードでリップしたら停止しなくなったのです。それがiHES208と一致していますのでエラーなしで間違いないでしょう。
 リッピング前のディスクのメンテは重要ってことで(苦笑)。

・事例2(傷ディスクA)
 同ディスクのtrack01では以下のような現象が発生していました。

  ・303S・・・ある部分で連続25サンプル欠損
  ・S02J・・・パーフェクトモード完走データと一致

25サンプル欠損

 303Sでは、エラーなしデータの2630537めのサンプルが2630512めになっています。25サンプル少ないワケです。25サンプルってフレームズレでもないですよね…欠損した後は一致しているようですが…
 古いドライブの方がいいとも言えない? リッパー要因???

・事例3(傷ディスクB)
 外周部にそんなに派手じゃない傷があるディスクのtrack10にて。

  ・303S・・・7855657めから連続不一致。25サンプル多い??? 総サンプル数は同じ
  ・S02J・・・パーフェクトモード完走データと一致

 WAVコンペアだけだと何が起こっているか解りませんので、バイナリを見てみます。

25サンプルダブリS05Jバイナリ

25サンプルダブリ303Sバイナリ

 上がパーフェクトモードで正確に読んだハズの当該部分、下が303Sの「25サンプル多い」部分です。
 色つけした部分は合計200Byte=50サンプル分ありますが、同じ25サンプルが2回繰り返されています。ダブリでリップしてデータ化しちゃったってことですね(総サンプル数は同じなのでどこかで25サンプル減ってるってことに)。
 ドライブ性能に依るものなのかリッパーに依るものなのかは不明ですが、track10はちょうど傷のあたりっぽいですので、99年当時のシステムではそれによってエラーしたのでしょうか。

 ダメージディスクのリッピングでは、サンプルは読み損なって減るだけでなく“増える”こともあるようです。


■ダメージディスクと向き合う

・音質は劣化しているか
 補間(結果ハズレ)発生は、データ上は音質劣化であることは間違いありません。しかし、それが実際に聴き取れるか否かは別問題です。
 CIRCによる補間は“できるだけ元の値に戻そう”として値を類推しているのであり、サンプル欠損ではありません。
 残念ながら類推結果がハズレだった場合は、サンプル値が本当の値とは若干異なることになりますが、正しい値との差分は大半は±10、大きくて±数百くらいです。
 連続して発生することも原則ありません。上記のように数千個の補間が発生したとしても、例えば4410個発生しても“のべ”0.1sec分です。普通は、これが数秒間に分散して発生するのですから、それを「ヴェールがかかったよう」などの音質劣化として認識することはできないハズです。

(1)事例1では
 約360secの楽曲の真ん中あたりの約30secの中で補間が発生しています。
 99年度リップ303Sでは187個で、その実際は以下の通りです(187個のうち最後のところ)。

303Sエラー

 これを音質劣化として聴きとれると思われるでしょうか?

 一方、09年度S02Jでは1366サンプルの補間が発生しています。
 この30sec間の傷んだサンプル比率は前者0.01%、後者は0.11%です。曲全体の音質劣化には聴こえないのは当然として、この30秒間の“痛みの差0.1%分”を、「S02Jの方が音質が悪い」と認識できるでしょうか。私はできませんでした。

 なお、ダメージにもいろいろなレベルがありますし、ドライブによっても得られるデータは異なります。
 上記は本稿の事例1のレベルを想定して記しており、もっと酷いダメージでは極端な補間ハズレや連続差違発生、大量のサンプル欠損(増減)があり得ます。が、そうなった場合は“音質劣化”ではなく「ガリ」「ブツ」といったあきらかなノイズや音飛びにまでなる可能性が高いでしょう。

(2)事例2,3では
 サンプルが連続で25個増えたり(ダブったり)減ったりしても、特殊な値でない限りは認識できないでしょう。

 念のためですが、本稿は「ダメージディスクのリッピングで何が起きているか」を見ているのであり、通常では発生しない状態に関する考察です。

・どうすればいいのか
 前述の通り、打痕傷のあるトラックや全面的に読みにくいディスクにおいては数分の曲の中で数千サンプルに補間が発生することがあり、実際ドライブによってその数は異なります。
 つまり、「健常ではないCD」においてどこまで補間発生を食い止められるかは、ドライブの「基本的光学性能」に依存することになります。

 事実上音質差としては判らないとしても数千個の補間発生は流石にキモチワルイですね。そういう意味ではいわゆる「定番ドライブ」は「そのへんのドライブ」より補間発生が少ない“可能性は高い”でしょうから“安心感は高く”なるとは言えましょう。
 が、定番ドライブでも絶対にエラーが発生しないワケではないので、パーフェクトに安心できるワケではありません。“安心感のレベルが異なるだけ”、ということです。

 もし、使いたいソフトとドライブの組み合わせのリッピング精度が心配なら、上記第1段階記事と同じ手法(身元が確かなWAVファイルと一致するリップできるか)で確認してから常用すればよろしいかと思います。ただ、「フレームズレ」問題はまだ若干アヤシイかも知れませんが。

・本当の問題は何か
 しかし、本当の問題は「ドライブによる安心感向上」では解決できないと考えています。

 補間ハズレなどのエラー発生によるデータ劣化の程度は、最小は「1サンプルの片チャンネルが±1違っただけ」と規定できるでしょう。
 しかし、最大の規定はできません。上述の通り少しのエラーではそれを聴き取ることはできませんが、ダメージが酷くなってくるとサンプル欠損や補間大ハズレがどんどん増えていき、あきらかな音質劣化やノイズが発生するようになります。敢えて言うと最後はマウント不可になるのでそれが最大かも知れませんが、もう音の問題ではないのでそうは考えません。
 そして、普通のリッピングでは「エラーゼロ~マウント不可直前」という範囲がある“劣化の程度”を知ることはできません。

 「ブツ」「チッ」といったノイズにならない限りエラーでデータ劣化したことは判りません。さらに言えば「何か聴こえた」としてもそれがエラーによるノイズなのかオリジナル音声なのか判断する術がありません。
 つまり、「エラーが発生していても気づかず対策できない」ことこそリッピング問題の本質と考えています。


 ではどうすればよいのでしょうか。

・対策:事実上判ってしまう(ノイズが入る・音が飛ぶ)場合
 これは逆にラッキーなケースと言えるかも知れません。エラーがあることが判ったのですから、以下のような対策がとれますので。

 ・CDをリペアする
 ・リッピング性能が“よさげ”なドライブを追加購入する(追加したドライブの方がよく読める保証はないが)
 ・セキュアリッパーを試してみる(効果があるとは限らないが)
 ・手持ちのCDプレーヤでちゃんと再生できたら、そのS/PDIFを録音する
 ・CDを買い直す またはリッピングを諦め配信で入手する

・対策:とにかく補間が発生してたらヤダという場合
 絶対に補間が発生しないソリューションは存在しませんから、これは「補間発生したかどうかを知りたい」という意味になるでしょう。つまり、補間発生を認識できるシステムが必要です。
 そのシステムとしては、リッパーのエラー訂正とは何かに書いた理由で、セキュアリッパーよりもPureReadが確実ではないかと思っています。
 「PlexTools Professional」と組み合わせたPlextorドライブなら補間発生を認識できたようですが、今となっては(新たに導入するには)現実的ではないでしょう。
 EACなどのセキュアリッパーを十分理解して慎重に運用すれば認識できるかも知れませんが、DBに当該CDのデータがあるかないかなどにも左右されるハズなので、安定的とは言えないと思いますし。

・余談:PureReadドライブの基礎体力
 イマドキのドライブの場合、健常なディスクではほぼ差は出ないと思いますが、ダメージディスクの読み取り耐性においては実際差(得手不得手)があるようです。しかしながら、光学的読み取り性能の基礎体力をウリにしたドライブは現在は売られていません。中古ではレーザーやメカの劣化などが心配です。
 PureReadは例えて言うなら「基礎体力というより運動神経でカバー」しようってところが違いますが、「現在唯一の“リッピング性能をウリにした”ドライブ」であるとは言えるでしょう。
 ただし、そのメリットは基礎的光学性能が良いことではありません(悪いという意味でもありません。実際の性能がどうかは別問題という意味です)。「補間」が発生する可能性は健常なCDでもゼロではありませんから、「補間」の発生を「補間しないこと」で確認できる「パーフェクトモード」最高、ということです(笑)。

 経験上、どうもPureReadドライブの基礎体力的性能は“ビミョ~”な気がしますが、PureReadを作動させてナンボですから。
 健常なCDじゃない場合…例えばプレスが悪くて補間が発生しまくるような場合も、それが起こっていることが認識できなければ何もできないワケで。
 上記の事例1は、パーフェクトモードで停止することで補間発生を認識し、簡易リペアもどきをやることで補間なしリッピングに成功した例と言えます。普通だったら補間発生したデータをそのまま受け入れているところでしょう。ていうか実際303SやS02Jでのデータは受け入れてたワケです。
 …「その方がシアワセ」という考え方もあるかも知れませんが。

 どんなに優秀なドライブでも補間発生はあり得るワケですから、もし読み取り性能がサイコーじゃないとしても、補間発生を確実に告げてくれるっていうのは「補って余りある美点」だと思います。

 PureReadのパーフェクトモードを用いる主目的はERI的には補間発生を知るためではありますが、補間発生を抑える効果もそれなりにあるだろうと思っています。
 実績として、中古CD約60枚のリッピング(iTunesでの)において途中停止なし、低速リッピングになったことなし、です。すべて国内盤ですが。
 新品の“輸入盤(25枚組クラシック)”では1枚だけ減速しました(停止はせず)。
 中古ではありませんが、リッピングなんてなかったころにCDプレーヤで結構聴き込んで傷付けちゃったディスクでは「補間で停止」は発生しています。


■ディスクへのダメージ以外のエラー要因

 健常なディスクでも不正確なリッピングしてしまうことがあります。

・リッパーソフトの設定ミス
 EACのドライブ相性などはその例かも知れません。
 また、303S+CD2WAVにおいて「曲中の、両チャンネルとも値がゼロの1サンプルが欠損している」というリップ結果がありました。たまたまレベルがゼロになっただけで有意なサンプルのハズですが、当時の「CD2WAV32 R3.00 beta1」の設定を見ると「無音エリアをスキップする」という項目があるので、これをチェックしていたため削除された可能性があります。
 というようなカンジで、高機能なリッパーほど下手に使うと逆にハマることがありそうです。

・ドライブのファームバグ
 PureReadだと起こりやすいのかも知れませんがPureReadだけの問題でもないでしょう。
 上記の傷ディスクAでBDR-S05Jのマスターモードがおかしかったので、傷ありと傷なしの2枚持っているリッパー実験に使ったディスクで試してみたところ、マスターモードはやっぱり連続相違となります。WaveCompareの結果をテキストエディタにコピーして検索で一致点を調べてみると、588サンプル分ダブリになっている模様。
 リッパー変えても似たような結果になるので、なんだかファームウェアバグくさいと思って更新履歴(*)をみたところ、1.10に「PureReadの不具合修正」ってのがあるじゃないですか! ライティングサポート更新だけだろうと購入時の1.08のままにしていたので、最新の1.12にUpdateしたら「マスターモードで5サンプルの相違、標準モードで12サンプルの相違」となりました。マトモな動作になったぽいです。

 あぶないあぶない。

*:http://pioneer.jp/device/dev00001r.html


■いろいろメモ

・WAVコンペア注意
 WaveComapreなどでは1サンプル分でも増減があるとその後はズレた対象が比較されますので、最後まで異なるサンプルとしてカウントされちゃいます。
 例えば総サンプル数と近しいサンプル番号において連続して差違が発生していても、プリギャップ部にエラーが出ているかも知れませんので、それなら楽曲本体には影響ないハズです。
 ただし、サンプル増減によるズレなのか、本当に値が異なっているのかの判断は簡単ではありません。

 相違数はサンプル数です。ステレオなので音声データは1サンプル中2個含まれますが、どちらかが異なっていれば相違とカウントされるようです。

 以上を鑑みると、リッピング結果をチェックする際に相違数だけを見ると判断を誤る可能性があります。
 例えば1サンプルだけ無いためにズレた場合もその後は全部相違になってしまいます。差違の実際を確認し、連続発生している場合はズレの可能性もよく確認した方がいいと思います。

 なお、補間した結果は“アタリ”の場合もあります。それは「補間発生」ではありますが「WAVコンペア相違」にはなりません。
 解りにくくなるのでERIでは補間アタリを無視しています(特記なきは補間発生=類推結果ハズレとして記述)が、実際にはそういう事情があります。

・エラーしてないのにファイルコンペアで一致しないのは何故か
 本稿で記しているのはあくまでもエラーしている場合ですから、ファイルコンペアで一致しないのはアタリマエです。
 が、エラーしていないのにファイルコンペアで一致せず、さらにWAVコンペアでも一致しない場合もあります。
 ドライブを変えるとそうなる場合は、ドライブのオフセット値違いに依るであろうと推察しています。
 リッパーを変えると全面的に違うデータになることもあります。その場合は、「エンファシスCD」対応の違いである可能性があります。


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Author:らかせ
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