リッピングにおけるオフセット理解のギャップを埋める

13/11/30初稿

 本来、もっと早く理解しておかねばならなかったことですよね。いまさら感満載ですが(苦笑)。
 リッピング条件とエラーについて考察した記事にちまちま追記していたのですが、本件は「エラーとは無関係(エラー起きていない前提)」ということもあり独立記事にしました。


■はじめに

 CDからリッピングされたデータは通常のファイルコンペアでバイナリ一致しないことがあるのはもはや常識かと思います。リッピングに使ったドライブやソフトによって(*)先頭末尾の状態が異なるためです。
 ちなみに念のためですが一致することもあります。ていうかエラーがなくてオフセット差がなくて余計なヘッダフッタが付いていないWAVファイルはファイルコンペアでも一致するハズです。

*:ソフトの影響については特殊事例かと。後述。

 しかし、先頭末尾のデータが異なる理由についてはずっと疑問でした。0000h=正真正銘のゼロだけなら疑問はないのですが、バイナリを覗くと0000hではなく0001hやFFFFh(-1)など、“ゼロ近傍”も出現しているように見えたためです。いくらドライブやソフトに依存するとは言え、デジタルシステムにおいて「ゼロ近傍のランダムな値」が読み出されるとは思えず。何らかのズレによって読んでない(読めない)なら潔くゼロでいいぢゃん、と。

 現時点では概ね次のように理解しています。ただ、難しいので間違いある可能性大です。ご了承ください。

 結論から記します。

「CD-DAリッピング時のサンプル読み出し位置はドライブごとに異なる。オフセットと呼ばれる。WAVファイル化した時、ドライブごとのオフセット差の分サンプル位置が異なる。リッピングソフトの読み方によっても異なることがある」

 “CD-R焼き”では常識だと思いますが、“CD読み”としては補間エラーに注視して本件は後回しにしてまして。
 結論だけ見るとえらくシンプルですが、トラック単位ではどうなっているのかといった色々細かい事情について体系的に理解する必要がありましたので、以下、考えたこと調べたことを順次記していきたいと思います。


■CD-DAの構造

 さて、上記結論はCD全体のハナシです。トラック間のギャップをどうリッピングしているのかも気になるところです。そのため、まず予備知識として、ERI的に調べたCD-DA構造を図示させていただきます。
CD-DA構造
 この図に基づき「プリギャップ」「ポストギャップ」について簡単に記しておきます。

・プリギャップ
 トラック毎に設定されているINDEX情報によって制御される“曲開始前の待ち時間”らしいです。CD再生においてはINDEX01が曲開始タイミングですが、INDEX00をINDEX01より前の時間に設定することで、その差分を“曲間”とするものです。
 「曲間無音部」として利用するのが普通ですのでゼロサンプルが記録されていることが大半ですが、音声データを入れることも可能らしい(MCが入ってるケースがあるとか)のでゼロとは限らない模様。有意な音声ではないのに0000hじゃない場合もあるようですし。

・ポストギャップ
 プリギャップと異なりCD作成プロセスでのハナシです。CDになった時点でポストギャップは音声トラックの最後の部分となる模様。つまり、リッピングしたWAVデータとしては末尾のゼロサンプルに相当します。プリギャップと異なり“リッピング時に付加されたものではなく普通に音声データとして読み出される”と理解してよさそう。ていうかリッピング時には存在しない概念ですね。
 なお、通常はゼロサンプルだと思いますがトラック末尾が“ゼロ近傍”なCDもあります。と言ってもそれが元ポストギャップなのか否かは判断しようがありませんが。

・リッパーはトラック間をどう読んでいるか
 さて、構造は一応解りました。では、リッパーはトラック間をどう読んでいるのでしょうか。プリギャップも含め、サンプルの欠損やダブリなどはないのでしょうか。
 昔、次のような考察したことがあります。

 CarryOnMusic10+5582とS05Jという2種類の環境にて、あるCDの1曲目と2曲目を連続リッピングしてWaveCompareで1曲目の末尾と2曲目の先頭のゼロサンプル数確認し、それを足してみます。
 すると、末尾と先頭のサンプル数は異なりますが両環境で合計値は一致しました。
 このことから、トラック間のゼロサンプル数は一定だけどトラックの切れ目判定がリッピング条件によって異なる、と推察されます。
 合計値が同じということは、曲と曲が流れで繋がるようなアルバムのファイル再生でもCD再生と同じように繋がると思います。


 今回さらに踏み込んで、全15曲のあるCDにて以下を比較してみました。プリギャップ1はありませんがプリギャップ2から15まで全部あるCDです(つまりフツーのCDですね)。ドライブはS05J。

a.iTunes10でトラックごとにリップした15曲を波形編集ソフトSoundEngineでマージしたWAVファイル
b.EAC Ver1.0 beta3でimgとしてCDまるごと取り込んだWAVファイル

 …以下の通りWAVコンペア一致。

mergeimg compare

 ゼロサンプル数は先頭も末尾も一致です。総サンプル数も一致です。EACのimg抽出はCDまるごと連続読みしていると思われますので、つまりiTunes10でのファイル単位リッピングにおいて「サンプル欠落や存在しないサンプルの付加などはない」ということですね。
 もちろんすべてのリッパーが同様かは不明です。

 なお、当比較は敢えてEACのオフセット補正はオフして行っています。オンした場合にどうなるかは本項から離れる話題なので後述します。


■ズレの正体:ドライブオフセット編

・リッピングしたらプリギャップはどこへいく?
 以下にリッピング図を示しますがそれを見るちょっとその前に。
 プリギャップは前のトラックのおしりにくっつけるのが一般的のようです。設定できないリッパーではそうなっているようですし、設定可能なEACもそれがデフォルトです。「対象トラックのINDEX01から次トラックのINDEX01直前まで吸う」というコンセプト(次のトラックのINDEX00を含めてしまう)ですね。CDのトラック頭出し動作と合わせているのでしょう。よって、track01のプリギャップ(普通は存在しないようですが)はリップされません。

 EACは処理を設定できます。
  「Leave Out Gaps」・・・リップ時にギャップ削除
  「Append Gaps To Previos Track (default)」・・・“前トラックのおしり”にくっつけ
  「Append Gaps To Next Track」・・・“次トラックの先頭”にくっつけ
 設定すればtrack01のプリギャップ部をリップ可能?

・オフセットとリッピングの関係
 上記CD-DA構造をベースに、リッピングがどう行われているかを図示してみます。一般的事例とするためプリギャップ1はないCDを想定。プリギャップの行き先は前トラックのおしりとし、各プリギャップは100サンプル分以上ある場合として説明しています。
 なお、リッピングにおいてtrackのつなぎ目にサンプルの欠落や増加はない前提です(前述の通り)。

リッピング動作

・オフセット0を理想リッピングとした時の+100と-100の状態
  A・・・トラック1の先頭音声データが100サンプル分欠落する
  B・・・トラック2の先頭音声データ100サンプル分が
     track02先頭ではなくtrack01末尾に付加される
  C・・・トラック3の先頭音声データ100サンプル分が
     track03先頭ではなくtrack02末尾に付加される
  D・・・リードアウト領域の先頭データ100サンプル分が
     track03末尾に付加される
     (リードアウトが読めないドライブの場合どうなるかはヨクワカリマセン)
  a・・・150フレーム領域の末尾データ100サンプル分が
     track01の先頭に付加される
     (当該領域が読めないドライブの場合どうなるかはヨクワカリマセン)
  b・・・プリギャップ2末尾の100サンプル分が
     track01末尾ではなくtrack02先頭に付加される
  c・・・プリギャップ3末尾の100サンプル分が
     track02末尾ではなくtrack03先頭に付加される
  d・・・トラック3の末尾音声データが100サンプル分欠落する

・ファイル再生する時の影響
  A・・・先頭トラックのみの問題。純粋に音声サンプル欠損
  a・・・track01(先頭トラック)の先頭で余計なデータが再生されるが、
     通常ゼロデータ(のハズ)
  B,b,C,c・・・CDの連続再生よろしく連続再生する場合には全く問題ない
     プレイリスト再生や頭出しの際に影響が出るが、プリギャップ末尾や
     トラック先頭なので無音(に近いレベル)が大半であろうから、
     実視聴では問題にならない
     そもそもこの領域に音声がある楽曲はプレイリスト再生や頭出し再生に
     不向きであろう
     プリギャップがない場合、bとcは前トラック末尾が次トラック先頭に
     付加されることになるため、前の末尾が付加されたtrackを前trackから
     続けて再生しない場合は違和感が出る可能性アリ
     (例えば後述するNORDOSTのCDで頭出し再生すると冒頭にノイズが出る)
  D・・・track03(最終トラック)の末尾で余計なデータが再生されるが、
     通常ゼロデータ(のハズ)
  d・・・最終トラックのみの問題
     純粋に音声サンプル欠損だが、末尾はポストギャップやフェードアウトや
     曲の余韻

 ドライブ違いによるオフセット違いにより、リッピングしたファイルの先頭末尾が異なってしまうことが解ると思います。ただし、いずれも実際には聴き取れないであろう微少時間です(仮にオフセット1000でも0.02秒分)。
 敢えて言えば、一番“ヤなカンジ”なのはAでしょうか。ということもあるので、ほとんどのドライブのオフセットはマイナスなのかも知れませんね。
 ちなみにEACの「read sample offset correction」の値はその名の通り“補正値”なので、読み出しが-100サンプル分早いドライブの値は「+100」となります。

・ドライブオフセットによるズレの実例
 まず、リッピングされたサンプル総数について確認しておきます。曲の長さはTOC(Table Of Contents)などに記録されているためどんなリッピングでもマトモに行えば“サンプル総数”は変わることはないハズです。ていうか実際同じですね(昔は違うこともあったかなぁ…)。
 さて、あるCDのtrack01リッピングにおいて「LITEON製iHES208+iTunes6」に対し「Panasonic製SW-5582+iTunes6」では、後者が96サンプル分後ズレしてました(その分先頭のゼロサンプルが増えており末尾が切れている)。
 この値がオフセット差分のハズです。CD-R実験室さんのオフセット情報(*)によると、208は-24、5584は+72とのこと。5582も+72と仮定すると差分はズバリ96サンプルとなりツジツマが合います(EAC的補正値は+30ですが差分には影響しません)。

*:http://homepage2.nifty.com/yss/eac/eac3.htm 素晴らしいです。ありがとうございます。

 dBpowerampのオフセット検出結果ではそれぞれ+6と+102でしたので、やっぱり差分は96サンプルになります(現環境では何故かEACはiHES208を認識しないのでdBpowerampで追試)。

*:14/01/05追記:Windows8.1にしたら今度はS05Jを認識しなくなりました。NEOのwnaspi.dllを入れて外部ASPIを使う設定にしたらiHESと両方認識しました。

 なお、前述した通りリッピングによるトラック間のデータ欠損や増加はありませんので、このズレは上記図の通りCDすべてのトラックのリッピング結果に波及します。

・オフセットズレはリッパーによって変わらないよね?
 オフセット値はドライブによって決まっており、リッパーが違っても変わらないハズです。ただし、オフセットは変わりませんがプリギャップに関するリッパー動作違いで読む位置が異なる場合があります。詳細は後述。
 一応、BDR-S05Jと以下のリッパーの組み合わせであるトラックをリッピングした結果を比較してみたところ、リッパー動作によるズレを考慮すれば「先頭末尾のゼロサンプル数」「総サンプル数」はすべて一致しました。

 iTunes11,EAC,dBpoweramp,Power2Go,WMP12,CD2WAV


■ズレの正体:リッパーによるドライブオフセット補正編

 ドライブにはオフセットがあります。そこで、リッピング時にそれを補正する機能を持つソフトがあるワケですね。EACやdBpowerampなどです。ですので、「ドライブオフセット補正機能」を有するリッパーの場合、同じドライブ同じリッパーを使っても当該機能のON/OFFや設定する補正値の違いで先頭末尾の状態は変わります。
 先の15ファイルマージと一気読みを比較したCDにおいて、オフセット補正した場合を示します。

mergeAccuimg compare

 補正オンした場合、EACが自動認識するBDR-S05Jのオフセット補正値は+667ですので、EACはiTunes(補正なし)に比して読み始めを667サンプル遅らせています(そこがオフセットゼロ位置のつもりということです)。その分先頭のサンプルはiTunes読みより減っており、末尾は増えています。総サンプル数は同じなので。
 「オフセットがマイナスの時補正値はプラスの値。補正結果先頭のサンプルが減る。つまり補正値がプラスだとファイルの中のサンプル位置は先頭方向にズレる」ということなので、感覚的にはちょっとワカリニクイですよね。

 常用するリッパーを選ぶ際にはこのあたりの事情も確認した方がいいかも知れません。

 なお、補正によって増えるトラック1の先頭や最終トラックの末尾はCD上のデータではなくゼロ詰めされるのかも知れません。補正なしで読んだら最後までゼロではなくゼロ近傍だったあるCDの最終トラックにつき、S05Jでプラス補正して読んだら補正値分だけゼロサンプルが増えましたので。
 
 「EAC補正値は+30多すぎるのでは問題」については本稿の本質と無関係ですので触れません。


■ズレの正体:その他編

・プリギャップ処理
 もはや言わずもがなですが、前述した通りプリギャップを前後どちらのトラックにくっつけるか、はたまた除去するか、といったリッパー動作の違いでもズレます。

・トラック1のプリギャップ処理
 特殊な事例かとは思いますが。
 トラック1のプリギャップは事実上意味がありません。が、存在はできるようです。
 この仕組みに引っかかるアプリ(ドライブ?)がある? 例えば、track01の前にプリギャップが37フレーム分(0.5secに相当)存在するCDがあるのですが(以下EACで生成したCUEシート参照)、5582+CarryOnMusic10でのリップは5582+iTunes6に比して先頭に21,756個ゼロサンプルが多くなっていました。588で割るとズバリ37フレーム分。

REM COMMENT "ExactAudioCopy v1.0b3"
PERFORMER "Unknown Artist"
TITLE "Unknown Title"
FILE "Range.wav" WAVE
  TRACK 01 AUDIO
   TITLE "Track01"
   PERFORMER "Unknown Artist"
   INDEX 00 00:00:00
   INDEX 01 00:00:37  ←ココ
  TRACK 02 AUDIO
   TITLE "Track02"
   PERFORMER "Unknown Artist"
   INDEX 00 04:21:58
   INDEX 01 04:22:10
  TRACK 03 AUDIO
    ・
    ・


 この分ズレてることなります。
 CDプレーヤで再生する時はtrack01からスタートするハズなので、37フレーム分をファイル先頭に含める必要はないでしょう。有意な音声情報があるかも知れないことを考慮したのかも知れませんが、サンプル総数(演奏時間)はTOCなどの情報通りで増えていないため、21,756サンプル分“尻切れ”になっています(track02以降もズレたままです)。ので、“引っかかっている”ように思えますね。
 ちなみにWMP12も同様のリップする模様です。


■再生時に“間”や“途切れ”は起こっているか

 リッピングではトラック先頭末尾にサンプルの欠損やダブリはないことが解りました。では、再生時の完全性はどうでしょう。
 連続ファイル再生時、ファイル間でデータ欠落や本来ない“間”は発生していないのでしょうか。

・いわゆるギャップレス再生とプリギャップ・ポストギャップは無関係
 詳しくは知らないのですが、いわゆる「ギャップレス再生」とは、例えば同じCDからリップした1曲目のWAVファイルの音声データの最後と2曲目のデータの最初が連続して再生されることと理解しています。
 ここで言う「ギャップ」とは、「CD再生では存在しない“間”」が出来てしまうことを指していると思います。CD規格にあるプリギャップやポストギャップといった「意図的に設けたギャップ」のことではないでしょう。同じく“ギャップ”という名称ですが意味が異なることに注意です。
 前述した通り、プリギャップデータはリッピングによって「前の曲のおしり」に付加されるのが一般的です。ポストギャップはそもそもトラック内の音声データ化しています。リッピングによって曲間サンプルの増減はありません。
 よって、ファイルオーディオにおいては、データの連続再生さえ出来れば「ギャップレス再生=CD再生と同じ曲間時間で再生」出来るということです。プレーヤが新たにギャップを削除したり挿入したりする必要はありません。

・PCにおけるギャップレス再生の実際
 uLilithであれfoobarであれ、これまで用いたプレーヤで“少なくとも聴感上”ギャップレス再生出来なかったことはないため、PC-Audioにおいて「ギャップレス再生」は特段の課題ではないと認識しています。
 ですが、一応その定量的確認ということで、ファイル再生について簡易実験してみました。

 あるふたつのファイルにつき、

a.PlayPcmWinで連続再生してS/PDIF録音し、ひとつのファイルを生成
b.SoundEngine Freeでマージしてひとつのファイルを生成

してWAVコンペアした結果、一致しました。つまり「PlayPcmWinによる再生において曲間に本来存在しないギャップはない」と言えます。

・いわゆる「ギャップレス再生」のいろいろ
 ただし、上記はWAVファイルをローカル再生する場合のお話です。ポータブルプレーヤにおける圧縮ファイルの連続再生やネットワークオーディオではギャップが発生することがあるようで、それを防止することが「ギャップレス再生」と呼ばれていることもあるようです。また、“プリギャップ”を削除して再生することを指す場合もあるようなないような。

 複数の意味で使われているようですね。


■エラーしていないのにWAVコンペアソフトで一致しない?

 これまで見てきたのは「ズレ」です。これに影響されず比較してくれるのがWaveCompareという素晴らしいソフトなのですが、どうも、エラーは発生していないにも関わらず一致しないことがあるようです。
 それは何故でしょう?

・プリギャップ部が0000hでない場合
 あるトラック(*)をリップしたら、サンプル先頭はFFFFhで始まって途中から0000hやFFFEhなどが散見されるファイルになりました(オフセット問題に関連するかも知れませんが、補正しても0000hからの開始にはなりませんでした。+30サンプルを考慮してもしなくてもです)。

*:上記プリギャップ1アリCDのtrack02ですが、たまたま見つけた一例として、です。

0000じゃないプリギャップ

 このようなファイルの場合、WaveCompareは先頭に「ゼロサンプルなし」と認識して比較を開始するようです。
 このようなトラックにつき、先の「プリギャップ1に引っかかる」「オフセット補正の有無」などによって全体のズレ方が異なるリップしたファイルでは、先頭の状態が異なっていることになります。
 なので、先頭から比較を開始しますがすぐにサンプル相違にぶつかってしまいます(上記の例だとFFFFh以外が出現したところから相違)。その後も曲の先頭=INDEX01に相当するサンプル位置も含めて全部ズレているワケですから全部相違となってしまいます。
 しかし、「音楽データの相違」と見なす状態ではありません。ズレてるだけなので。
 プリギャップにMCが入ってる場合などもこうなりますね。

・プリギャップがないCDをオフセット値が異なっているドライブで読んだ場合
 トラックの間は有意な音声サンプルで繋がっています。その切れ目がオフセット差分ズレちゃうと、先頭にゼロサンプルがない状態でズレますので頭っから相違になるでしょう。

・ちなみにオフセットズレとギャップ領域とサンプルの見え方
 オフセット値が異なるドライブでリッピングしたファイルの先頭や末尾のバイナリを比べた場合、どうみえるでしょうか。
 リッピングとオフセット図をご参照ください(オフセットズレはプリギャップを超えない前提で記します)。

 まず先頭について。
 例えば先読みするドライブだと、先頭にプリギャップのおしりがくっつくでしょう。逆に遅延読みするドライブだとトラックの冒頭が切れます。
 次に末尾について。
 例えば先読みするドライブだと、末尾にくっついている次トラックのポストギャップの最後が切れるでしょう。逆に遅延読みするドライブだと、次トラックの冒頭がくっつきます。

 プリギャップやトラック冒頭末尾データ値がゼロの場合。
 音声データとして「ゼロ」から始まって「ゼロ」やで終わる曲は珍しくないでしょうから、先頭末尾のゼロサンプルはどこまでが「ズレなどによって付加されたもの(例:先読みでプリギャップのおしりがくっついている)」なのか「元々の音声データ」なのかをパッと見で判別するのは困難でしょう。ドライブの正確なオフセット値をさっぴいて考える必要がありますね。
 プリギャップやトラック冒頭末尾データ値がゼロではない場合。
 先頭末尾部分の状態は全く異なって見えるでしょう。

 WAVコンペアソフトの結果解釈(相違点がごっそり出てもエラーによるものとは限らない)やバイナリエディタでの観察では、これらの点を加味する必要があると思われます。

・WAVコンペアソフトのパラメータがすべて一致するのにファイルコンペアソフトで一致しない?
 比較結果一致に加え、サンプル総数も先頭ゼロサンプル数も末尾ゼロサンプル数も一致するのに、ファイルコンペアソフトで一致しない場合があります。
 これは、リッパーがヘッダやフッタを付加しているのが原因であることが大半ではないかと思います。
 もちろんこの場合は「ファイル容量」が異なりますのですぐ判ります。


■つまるところっ!

 以上、やっぱりデジタルシステムはキッチリカッチリ融通効かさず動いてることが確認できました。何よりです(笑)。

・ドライブオフセット値、気にする?
 オフセットがマイナスのドライブならトラック1の取りこぼしはありません。
 余計に読むサンプル(トラック1のINDEX01より前)は普通はゼロのようです。
 最終トラックの末尾は欠落しますが聴きとれる時間ではありません。
 トラック間の切れ目がオフセット分ズレますが、CD収録順通り聴いている限り全く問題ありません。

 ということで、個人的には、ドライブ選択条件としてはほぼ無視していいと判断しています。どれでもいい場合はオフセット量が少ない方が気分的にはいいかも知れませんが、プラスオフセットだと先頭サンプル取りこぼしになりますので気をつけた方がよいですね。
 リッパーについては、念のためプリギャップをどう処理する仕様か確認した方がよいかも知れませんね。前に付けるのか後に付けるのか。サンプル増減はないか。出来ればプリギャップ1の読み方も。
 それなりのリッパーなら例えズレはあってもサンプル増減などはないと思いますけれど。

 一応、今後はリッピング時にプリギャップ状態を確認するためCUEシートも抽出しておこうかと思っています。

 なお、オフセット値を一致させないとCRC値が異なってしまいますから、セキュアリッパーにおいてCRCチェックする場合は気にする必要があるでしょう。

・プリギャップ情報=INDEX情報を取得する方法
 とりあえずEACでCUEシートを作成するのがお手軽でしょうか。

EACdeCUE.png

 「Single WAV File」で作成するのがミソ。CD全曲をひとつのWAVファイルとして扱う場合のCUEシートなので、INDEX情報がCDと同じ状態で取得できる(ハズ。このあたりも一筋縄ではいかない事情がありそう)。


■おまけ

・オフセット確認?
 例えば「プリギャップがゼロサンプルでトラックの先頭からいきなり音声」みたいな“INDEX01位置がサンプルとして明確に判るCD”があれば何か判るかもしれないと思ってちょっと探してみたところ、目的そのまんまじゃないのですがヘンテコなCD見つけちゃいました。

  ←知る人ぞ知る(?)オーディオチェック用CD

 まず、EACでCUEシートを抽出したところINDEX00がひとつもありません。つまりプリギャップが存在しません。
 そして、ノイズトラックなどではトラックの最後までノイズデータです。
 ということでトラック切れ目がサンプルとして判るかもと思ったのですが、リッピングすると前のトラックの末尾のサンプルが次トラックの頭にくっついています。これがオフセットの正体かとも思いましたが、オフセット補正しても数百サンプルが残ります。
 なんだかINDEX01の位置が本来のトラック先頭からズレてるような気が… このCDは曲間を意味するであろう連続ゼロサンプルがなく、トラック間はゼロ周辺やノイズっぽいデータで繋がっています(ポストギャップも存在しない?)。ですので“ここがINDEX01だろう”という位置も想定できないため、なんとも言えませんが。
 もし商用CDでもそういうことがあるのなら、やっぱりオフセットは素人には扱えそうにないですね。

・時間表示
 WaveCompareの時間表示は「分:秒:1/100秒」。EACの表示は「分:秒.フレーム」。秒以下の単位は複数あるのに注意。元になるCDのTOCやINDEX情報の秒以下はフレーム単位。ファイルを扱うソフトは1/100秒、CDを扱うソフトはフレーム単位、が基本でしょうか。
 75フレームで1秒。44100/75=588サンプルで1フレーム。
 CDの音声データ管理はフレーム単位なので、リッピングしたサンプル総数は588で割り切れるハズ。

・CDmanipulatorのTOC解析
 必ず開始時間が00:02.00になります。CDには最初のトラックの前に150フレーム=2秒のエリアが存在するらしいです。助走期間? 当ソフトはCD-DAに限定したものではないので表示する?
 「LBAの起点=CD-DAにおいてはtrack01の起点」は150フレームの後らしく、CD-DA専用ソフトでは通常無視されるためEACなどのCUEシートには出現しません。CDmanipulatorは、track01に37フレームのプリギャップがあるCDの開始時間を00:02.37と表示することから、INDEX00を無視してINDEX01をLBA起点と認識しているようですがそれが一般的かは未確認です。

・プリギャップありのCDをつくる
 WMP12の書き込み設定「トラック間のギャップなしでCDを書き込む」のチェックをハズすと、プリギャップありCDが作れます(track01の前にはプリギャップなし)。もちろん書き込むファイルにプラスして、です。詳述すると、EACで読み込んだCUEシートにINDEX01と1秒74フレームの差分があるINDEX00が存在するCDです。
 OS標準ソフトで明示的に長めのプリギャップがあるCDを作れるので、何かの実験に使えるかも。

・CDプレーヤカウンタのプリギャップ表示
 一説に「プリギャップはマイナス表示される」とありますが、例えば前述の15曲入りCDのプリギャップはBDP-S470では単純に前の曲の演奏時間として表示されました。14曲目とと15曲目の間なんて以下の通り6秒もあるので見逃しではないでしょう。14曲目の演奏が06:00カウント超えるのも見ましたし。

  TRACK 14 AUDIO
   TITLE "Track14"
   PERFORMER "Unknown Artist"
   FLAGS DCP
   INDEX 00 56:12:53
   INDEX 01 56:15:24
  TRACK 15 AUDIO
   TITLE "Track15"
   PERFORMER "Unknown Artist"
   FLAGS DCP
   INDEX 00 62:10:14
   INDEX 01 62:16:48


 “CDプレーヤ”じゃないからかも知れませんけど(苦笑)。PCソフトプレーヤでも同様の表示されるようです。

・わざと?
 ドライブごとにオフセットは一定です。つまり、設計上固定できるということでしょう。なら、オフセットを敢えて設けている(または敢えて放置している)ということになります。実は「アドレス情報がないからズレる」というのはなんだか解せていません。TOCとかINDEXは読めてるワケですから補正のしようもあるでしょうし。

 はてな~

 Pioneerさん、ドライブユーティリティに「ドライブオフセット設定機能」とか付けたらウケると思いますよ~


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