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「ピーク潰れ」または「ピーク潰し」について考える

17/10/09初稿

 以下、「ハイレゾデータは本当にハイレゾか」記事から分離しました。結局ハイレゾとは無関係の記述になってるので収まり悪いと思いまして。なので本記事の日付は初出記事と同じにしています。


 音源データの品質としては、標題の観点は周波数成分よりも重要…というか「切実」な問題ではないかと思っています。
 本稿ではそこを考えてみたいと思います。


■ピーク潰れしてないか確認する方法と注意点

 まずは、ピークが潰れているか否か、その程度は、に関する確認方法です。
 ≪Audacity≫でクリッピングチェックするのが一般的でしょうか(≪Audacity≫の仕様については稿末)。

 ただ、それにも以下のような点に注意が必要でしょう。

・「音圧」とは「音量」のことではない
 「音圧が高い」とは、「小さな音を大きくして大きな音との差を縮めて“全体的な”音量を上げた状態」という理解でいいと思います。
 ダイナミックレンジを大きくとったまま大きな音をフルビットに収めるとチープな再生環境では小さな音が聴こえにくくなりますが、小さな音が聴こえるように音量だけ上げると当然大きな音はフルビットで収まらなくなります(ピークが潰れまくります)。そういうワケにはいかないので、“コンプ”の登場です。
 「大きな音を小さく圧縮=小さな音を伸張」して小さな音との差を縮めます(だから「コンプレッサ」と言うのでしょう)。
 それによって楽曲全体の(平均的)音量を大きく収録することが出来るというワケです(音質の問題は別)。

・「コンプかけすぎ」「ピーク潰れ」「音圧上げすぎ」は同義ではない
 波形が潰れないように音圧を上げることは可能です(音質の問題は別)。
 「コンプかけすぎ」は「ピーク潰し」や音質劣化を厭わず「音圧上げる」ために施されたものであることが多い、ってことですね。

・「昆布」や「海苔」の見え方は時間軸で変わる
 同じ表示領域なら曲の長さによって時間軸の密度が変わるので、長い曲ほど高密度になり「昆布」や「海苔」に見えやすくなるでしょう。

・「昆布」や「海苔」に見えてもコンプかけすぎとは言えない
 当たり前ですけれど、「無理にコンプかけたワケではなく、もともと全体の音圧が高い音楽」もあると思います。

・「クリッピングを検出」しても必ずピーク潰れしているワケではない
 例えば以下のような波形では、ピーク1サンプルだけが天井にドンツキしているので検出されていますが、波形が崩れている(ピークが潰れている)とは言い難いでしょう。
 ≪Audacity 2.0.6≫「クリッピングの検出」の「開始閾値」「停止閾値」はどちらも1にて。

クリップしてるけど潰れてない例

 CD音源ですが事情の例示としては問題ないですよね(TruePeak問題は別として)。 

・「クリッピングを検出」しなくても必ずピーク潰れしていないワケではない
 例えば以下ような波形です。

クリップしてないけど潰れている例

 クリップ表示は出ませんし最大音量も-0.07dB(≪SoundEngineFree 5.02≫にて)ですが、最大音量波形としては潰れています(こちらもCD音源)。

・ハイレゾがCDより音量大きくても音圧上げたとは限らない
 16/12/11追記:ハイサンプリングになるとTruePeakがリアルサンプルとしてデータ化されますので、“アナログ化したら同じ音量”の楽曲であってもデジタルデータのピークは上がります。もちろん、だからってそれでピーク潰れしちゃダメですけど(ローレゾの時にもリコンストラクションで潰れてたってことですから)。
 逆に言うと、ハイサンプリングの方が「TruePeakを想定したマージン」は小さくできますから、CDよりハイレゾの方が全体音量が大きくなっていても「ハイレゾで音圧上げた」とは言えません。

・サンプルレートが違えば「クリッピングの検出」結果は変わる
 同じような波形でもサンプルが増えることから、CDよりハイレゾの方がクリッピング検出箇所が増える可能性があります。以下≪Audacity≫項参照。

・ということを踏まえて波形で判断
 以下は、あるハイレゾ(2496)女性ヴォーカルの最大音量(-0.10dB)あたりの波形です。

クリップしてないし潰れてない例

 最大音量あたりでもフルビットにならず滑らかに変化しているように見えます。
 波形を覗いてこのようなカンジだったら、ビット深度方向に関しては“丁寧なマスタリング”されている音源、と判断していいのではないかと思います。24bit=144dBもありながらガシガシピーク潰すマスタリングされていたら高音質なハイレゾ音源とはちょっと思えませんので、一応判断基準になるのでは。

 多分に感覚的ですが、ビット深度についてはこのような判断方法しか思いつかないですゴメンナサイ。


 上記の方法には何か間違いあるかも知れません。が、ハイレゾ関連の比較試聴する場合は、自分で納得した何らかの「ファイルの素性確認」した方がよいのでは、と思っています。


■≪Audacity≫によるクリッピングチェック方法

 本項15/04/21追記。≪Audacity≫について詳しいワケではないのであんまり自信はありませんが(苦笑)。
 「解析」カテゴリに「クリッピングの検出」、「表示」カテゴリに「クリッピングを表示」があります。これらは全く同じ機能ではありませんので、それぞれについて見ていきます。

・「クリッピングの検出」機能について
 ふたつパラメータがありますが、

・開始閾値(samples)・・・連続してピークドンツキしたらクリップ開始とみなす数
・停止閾値(samples)・・・連続してドンツキしなくなったらクリップ終了とみなす数

という意味だと思います。

 デフォルト値は「3と3」です。これは、ドンツキが3サンプル連続でクリッピング開始と認識し、その後、非ドンツキが3サンプル以上連続したらクリッピング状態おわり、ということでしょう。この設定だと、途中で1~2サンプルドンツキじゃなくなっても連続したひとつのクリッピングと見なされるワケです。

 そして、結果表示の*of*とは、「ドンツキサンプル数 of そのクリッピングの総サンプル数」という意味だと思います。

 であろうことを、以下、2448ファイルにて確認しました。

 「1と1」設定の「クリッピング検出」では1of1しか検出されません。
 「4ドンツキ+1非ドンツキ+3ドンツキ」の波形(*)は以下のようになります。
   ・「1と1」設定・・・4of4と3of3の2カ所として検出される
   ・「3と3」設定・・・7of8としてまとめて検出される

*:当の≪Audacity≫でサンプルをつまんで引っ張ればすぐできます。

・検出機能とハイレゾについて
 検出ルールは上の通りですので、“音圧が同じ”1644のCD音源と2496ハイレゾでは、ドンツキ箇所のサンプル数はざっくり2倍になるでしょう。例えば、CD音源では2サンプルが連続フルビットだった箇所は2496では4サンプルに増えている可能性があります。
 これを「3と3」で検出した時、CD音源ではひっかからず2496では検出されることになりますが、波形の潰れ具合としてはきっとあんまり変わってないですよね。

・「クリッピングを表示」機能について
 「クリッピングの検出」設定とは無関係で、単純に、フルスイング(フルビット)になっているサンプルを赤くしているようです。たとえ連続してなくても天井(床)にドンツキしてるサンプルの密度が濃いと真っ赤な帯に見えちゃうワケですね。
 つまり、一般的なピーク潰れという意味の表示ではないということです。波形のピーク1サンプルだけリアルにフルビットだった場合でも赤くなりますので。例えば≪WaveGene≫で生成した0dBのサイン波も、ピークにサンプルがくる周波数の場合、真っ赤になっちゃいます。

 ですので、「クリッピングを表示」の“赤く染まり具合”だけで品質判断するのは早計で、「クリッピングの検出」を必ず併用(または拡大して波形を確認)すべきでしょう。


■「ピーク潰し」の何が問題か

 本項17/09/02別稿から移動。

 私は「ピーク潰しは原則やってはいけない」し「音の表現手段にはならない」と思っています。
 その理由をちょっと説明します。

・サンプリング定理違反
 まずは、そもそもPCMデータとして間違っているためです。「天井にドンツキしててっぺんが切り取られて真っ平になったデータ」が示す音声波形は、自然界には存在し得ません。
 切り取られた急峻な変化や平らになった部分のDC成分はサンプリング定理によるリコンストラクションで再現できないものです。例えDACがそういうアナログ信号を生成できたとしても、スピーカやヘッドホンはそのように振動できません。

 つまり音質以前に「PCMオーディオの基本原理に反している」ということです。「ナイキスト以上の周波数成分があってはならない」というPCMの大原則を破ってるのと同レベルでダメだと思うのですが。たとえ潰れているのがフルビットでなくてもそれは変わりません。

 特に「高音質」を謳う(ウリにしてますよね?)ハイレゾ商品においては、ハイサンプリング領域に周波数成分が有るか無いかより重要だと思っています。
 上述した通りハイサンプリング領域が気に入らない場合はなんとかなりますが、波形が潰れちゃってるともうどうにもなりませんし。

 なお、DSDでも「自然界に存在しない音(*)」である点でNGなのは自明と思います。

*:「自然界には存在しない」とは、電子音という意味ではなく、空気や鼓膜がそのように振動できないという意味です。

・TruePeak無視
 PCMには「TruePeak」という現象があり、リコンストラクションするとピークが上昇します。そのため、最大値を若干低めにマスタリングしないと再生時にピーク潰れすることになります。
 データの段階でフルビットになってるのは論外ということです。

・ピーク潰しは音楽表現ではない
 ピーク潰れは、音声波形としてみると音楽の情報が喪失しているということです。再生音は歪んだりノイズになったりします。
 エレキギターなど、歪みが音楽である場合もあります。しかし、データ値をクリップさせて再生音を歪ませる(というか破綻させる)意味は全くありません。歪みを表現するためには歪んだ波形を音声データにすればよいだけです(この場合の歪は立派に自然界に存在しえる音です)。念のため(笑)。

 そもそも、クリップさせてピークを潰したデータの再生音がどう歪むかは再生環境に依存するのですから、制作側が想定できるものではありませんし。

 でも、実際にはわざとクリップさせることがあるらしいですね。

柏谷:クリップのような音になっているとすれば、それはあえて、わざとそのように作っていますね。音圧が強めなアプローチでミックスされた曲は、その方向でマスタリングをしますから。
出典:http://www.phileweb.com/interview/article/201704/27/451.html

 音楽制作サイドの方々は、「ピーク潰すと音声情報が欠落し音声データとして破綻する(サンプリング定理に違反する)」ことに疑問を持たれていないようです。
 そして、デジタルのピークをオーバーすることやフラットなDC成分による「再生過程での破綻」は「音楽としての歪み」じゃないことを理解されていないようです。理解しかねます。

・「ピーク潰しマスタリング」は絶対ダメなワケではない
 ピーク潰しは原則として許容できませんが、「ピークを潰さないためには楽曲全体の音量はどれだけ小さくなっても仕方ない」とも言えないと思います。ダイナミックレンジはなるべく使い切った方がいいワケですから(*)。
 そのため、「楽曲の“ほんの一瞬だけ”突出したピークがある」ような場合、敢えてそこをクリップさせても全体のレベルを上げた方が総合的によいと判断したマスタリングもあり得るでしょう。

*:上述したTruePeakも絡んで難しい問題ですけれど、方向性として。

 と言ってもあくまでも“ほんの一瞬だけ”です。それも、ちゃんと意識して(理解して)目的をもってデメリットよりメリットが大きいと判断してやってる場合に限ります。
 目的と志の問題ですね。

・24bitと16bit
 16bitだと微細音の再現性に難がありますが、24bitなら144dBもありますから小さい音もキチンとデジタル表現できるので、ピークを潰してまでコンプレッションする必要はないでしょう。個人的にはハイビットフォーマットでクリップしてる(させてる)ってヘンだと思っています。

#念のためですが、上述の通り「コンプ=ピーク潰れ」ではありません。「ピークを潰してまで」というところがミソで、コンプレッションを全否定しているワケではありません。

 もちろん、そうすると再生できるシステムや環境が必要になりますが、小さい音も漏らさず聴きたいならそれを用意するのがスジだと思います。こだわらないなら聴こえないままでいいワケですし。ていうかハイレゾ(ハイビット)でなくてもいいワケですし。
 ハイレゾソース側で「ポータブルやカーステで聴くことを優先したマスタリング」は矛盾です。
 「高音質」を謳うなら、ですけれど(謳ってますよね?)。

 ていうか本来ならCDでもカンベンして欲しいですけど。「周りがうるさい環境で使うので小さな音が聞こえない」「そこまで性能ない」といった再生機器側の事情は再生機器側で対応すべきものですから。例えば再生時のコンプレッションに任せればいいワケです。
 余談ですが、そうではなくソース側で音圧マシマシしているのは「プレイリスト再生される中で埋没しないようにするため」ではないかと想像しています。


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