スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アップサンプリングとDACとハイレゾをデジタルフィルタする

15/01/31初稿

 サンプリング定理について勉強した時、「イマドキのDACチップではLPFとしてオーバーサンプリングデジタルフィルタ(以降OSDFと略)処理が行われている」と理解しました。
 では、とすると、です。
 ≪foobar2000≫のSoX Resamplerなど、PC側で行うアップサンプリングとの関係や違いはどうなっているのでしょう?


 本Blogでは、なかった高域を補間生成する処理は「オーバーサンプリング」や「アップサンプリング」とは呼ばずに区別しています。

 念のためですが、本稿の対象音源はPCMのみです。DSDは含みません。


■PCのアップサンプリングとDACのOSDF…もうひとつのハイレゾの効能

 最初に。もちろん「実際に聴いてよければいい。悪ければダメ」のはアタリマエとして記しています。だってそれはハイレゾか否かとは関係ないことですから。

・プレーヤ側で行うアップサンプリングの意義・効果とは
 サンプルレートをアップする時、単純にサンプルを“間足し”するだけではイメージングノイズは減りませんから、LPFをかけないと成立しません。そして、理論上LPFをかけることは補間フィルタ(インターポレーションフィルタ)をかけることとイコールになるそうです。つまり、送り出し側で行うアップサンプリングにはLPF処理=デジタルフィルタ処理が必ず含まれています。
 実際、≪foobar2000≫のSoXによるアップサンプリング結果を見ると、DACチップの実動作で説明されるOSDFと原則的には同じ結果をもたらしていると思います。

 ですので、送り出し側でDACユニットへの入力前に行うアップサンプリングは、原則として「DACチップで行っているOSDFと同じ目的の処理=イメージングノイズの除去」と考えていいでしょう。

 ということは、

 OSDFが搭載されているDACを用いるシステム(イマドキは普通これ)に対する送り出し側でのアップサンプリングとは、「その多段処理の組み合わせを変えること」

になります。
 組み合わせは多岐にわたりますが、一番影響があると思われる“1段目(*)”がPC処理かDAC処理かはどんな設定でも絶対変わりますので、これは効くような気はします。

*:1fsイメージングノイズの除去。サンプリング周波数を中心とした折り返し領域。48kHzなら24~72kHz。

 ところで、DACチップにおけるOSDF処理には規格があるワケではありません。本来のリクツではアナログLPFの仕事を各社独自にデジタル化している部分ですので。
 そのため、「48kHzなら8倍、96kHzなら4倍、192kHzなら2倍」といったようにソースの周波数によって倍率を変動させる場合や「全部8倍」といった場合があるなど、DACシステムによってOSDF(DACチップ内蔵ではなく外付けもアリ)の動作・性能は異なるでしょう。
 例えば、TI製PCM1795を用いたDACユニットとSoX Resamplerを組み合わせて48kHzソースを再生する場合は、

・アップサンプリングしない場合:DACチップ内のOSDFでx8されて384kHzに
・x4した場合:PC側で192kHzにアップサンプリングされ、DACチップ内のOSDFでx8されて1536kHzに

なってからΔΣ変調かけられることになるのだと思います(TI社DACのOSDFはソース周波数に依らず全部x8らしい)。
 ソースの周波数によってOSDFの倍率を可変するDACの場合は、

・アップサンプリングしない場合:DACチップ内のOSDFでx8されて384kHzに
・x4した場合:PC側で192kHzにアップサンプリングされ、DACチップ内のOSDFでx2されて384kHzに

になるのかなと。

 つまり、送り出し側でのアップサンプリング有無・倍率によってDACチップ内のOSDF動作やΔΣ変調部での倍率が異なるのですから、アップサンプリング処理のデキ以前に、それによって音質が変わるのは当然と言えましょう。
 これがいわゆる「アップサンプリングの効果(?)」の実態だと考えていますが、その変化は「DACシステムによって異なる」でしょうから、善し悪しその他、一般論にはならないでしょう。
 PCM1795などの場合、PC側でx4にしたらDAC内でさらにx8になっちゃうワケで、“32倍オーバーサンプリングデジタルフィルタ”がかかっちゃうことに。

 DACチップ内部のお仕事については、PCM1795などDACチップのデータシート掲載ブロック図をみるのが一番いいと思います。簡易的にはジッタ記事に載せた簡易ブロック図をよろしければご参考に。

・実事情
 DACチップとPCとの間に「デジタルフィルタの倍率」をやりとりするようなI/Fはありません。
 ですので「もう2倍にしてあるからヨロシク。PCのCPUガンガン回して高精度にやったぜ」「じゃあこっちでは8倍じゃなくて4倍でいいよね。ポストフィルタの特性も甘くしとこう」なんてことはできません。
 PCとDACチップではその演算能力の違いは言わずもがなでしょうから、積和演算の嵐であろうアップサンプリング処理はPCの方がより高精度にできる…かどうかは何とも言えません(苦笑)。ワイヤードロジックとソフトウェアの勝負ですし。

 ただし、例えば≪foobar2000≫のプラグインなどでは“フィルタパラメータの多彩な設定が可能”ですから、PC側でやる場合はそういう「自由度こそ意義」と言えるかも知れません。

・デジタルフィルタの功罪
 ところで、デジタルフィルタリングはいいことばかりではありません。“サンプリング定理の理論通りの理想フィルタ”ではないことによる弊害があります(処理する場所がPCでもDACでも基本は同じ)。
 PassBandとStopBandが近いほど、減衰性能が高いほどデメリットも大きくなるのが基本だと理解しています。

 ですので、デジタルフィルタをかけずに済むならそれに越したことはありません。かけるにしてもできる限り緩い特性にしてエコーなどの発生を低減したいところです。
 さて、そのためにはどうしたらいいでしょう?

 「最初からサンプリング周波数が高ければいいんじゃない?」

 これは“ハイレゾの効能”と言えるでしょう。

 具体的に考えてみます。

・イメージングノイズをありのままに
 例えば、サンプリング周波数96kHzならイメージングノイズは48kHz以上にしかありませんから、ほっといても聞こえないでしょう。
 192kHz、384kHz、768kHzと上がっていくほど聞こえなくなる=除去する必要性が減っていくワケです。
 極端に言うと、デジタルフィルタなしでもイケるかも?

・LFP特性にゆとりを持たせる
 そういうワケにもいかないのでLPFするとしても、96kHzで言えばアンチイメージングフィルタのStopBandは48kHzからでいいことになり、可聴域を20kHzのままと仮定すると「20kHz以下を通過&48kHz以上を遮断」というかなり緩やかなLPFでOKなことになります。可聴域をもうちょっと高め(例えば30kHz)と考えてもLPFとしてはゆとりがありそうです。
 AD変換時も同様の事情になりますね。

 アナログ→デジタル→アナログの変換時に原理的に発生する「エイリアシングノイズ」と「イメージングノイズ」除去作業のレベルを“緩和”することによって理想フィルタ動作に近づく、ということです。

 AD段階からハイサンプリングで高域まで有意なデータがあるということは、DAC事情的には
周波数ドメインで言えば
「イメージングノイズ帯域を高域に追いやる(リコンストラクションフィルタの負荷を下げる)」
ことであり、
時間(波形)ドメインで言えば
「離散的であるデジタルデータの密度(解像度)を上げることで波形をアナログに近づける」
ということですね。

 カット周波数を低くしすぎると「倍音が増える」効果が出なくなりますが、これもハイレゾの効能のひとつだと思います。

・ただしゆとりLPF動作させるには「規格」がないとダメ
 本項16/03/25追記。
 ナイキストが有効帯域より充分高ければ、AD・DAとも処理に余裕ができることで理想的なPCM録音再生に(ちょっとでも)近づけるということですが、そのためには「そのようにDAしてよいようにADしてあるよ」という約束事=規格が必要です。

 例えば、2496の場合、

 0.有効音声帯域を32kHzと規定
 1.AD変換時のLPF PassBand・・・32kHz(有効帯域までは100%通す)
 2.AD変換時のLPF StopBand・・・40kHz(1から2までは音質保証されない減衰領域)

と“規格化”すれば、AD変換時も余裕ができるでしょうし、かつ、DA側は自動的に

 3.DA変換時のLPF PassBand・・・32kHz(有効帯域までは100%通す。40kHz以上はAD時に除去済み)
 4.DA変換時のLPF StopBand・・・56kHz(これ以上は48kHzで折り返すイメージングノイズ発生)

と動けばよく、OSDFを「32kHz以下を通し56kHz以上を通さない」という緩慢な特性に設定できるメリットが出るでしょう(あくまでも説明のための例です。数値に根拠はありません)。

 “CD規格”では「20kHz以下を通し24.1kHz以上を通さない」というキツい特性を要求され、実際DACのOSDFはそのように設定されています。
 “PCMハイレゾファイル規格”はありません(よね?)。なので残念ながら再生側に上記恩恵は生まれませんでした。規格がない以上勝手にPassBandを下げたりStopBandを上げたりはできませんから。

 「実際には22.05kHz以上に有効成分がない2496ファイル」の再生であってもです(苦笑)。
 現実的にはそういうハイレゾ商品も多いようですので、ソースの周波数特性をチェックし、「プレーヤソフト側でアップサンプリングする場合はそのようにLPF特性を設定する」「DACのOSDFを使う場合はSlow roll-off(Sharpよりはそれっぽい?)に切り替える」といった技(*)もあるかも知れません。
 メンドクサイですけど(笑)。

*:例:AK4490の96kHz時Sharp/Slow特性はPassband:43.5/18.1kHz,Stopband:52.5/85.0kHz。

・ただしソースは「ネイティブハイサンプリング」でないとダメ
 さて、これら効能はDA処理段階に発揮されるものですが、AD段階からハイサンプリングしたソースである必要があります。フォーマットが96kHzでも、48kHzサンプリングソースを96kHzにアップサンプリングしたソースなどではダメです。その処理自体がアンチイメージングフィルタ処理しちゃってますので。
 そう考えると「ハイレゾ」と「アップサンプリング」ではその効果の意味が全く異なるということですね。
 逆に言うと、20kHzまでしか入ってないアナログマスターだったとしても、96kHzでのAD変換には意味があるということです。「(ほとんど)無い高域を“無い”ことを表すデータとして存在させる」ことに意味があるんですね。

 ということだとすると、20kHz以上の帯域の意味の判断は難しいですね。
 あったとしても「AD元のアナログソースに入ってた」場合と「アップコンバートで生成した」可能性があります。
 なかったとしても「AD元のアナログソースに入ってなかった」「アップサンプリングだから」という可能性があります。
 まあ、アナログソースの高域とアップコンバートの高域だとゲインが全然違うでしょうから判るとは思いますが。
 やっぱりそのソースの“出自”を示してもらわないと、リクツ上意味があるか否か正確な判断はできないってことですねぇ。

・ただしDACはOSDFをオフできないとダメ
 いきなり“前言撤回”みたいなハナシですけれど(苦笑)。
 「ハイサンプリングソースの場合は、イメージングノイズは聞こえないと判断し、OSDFをオフする」
 「オフしないまでも、LPF特性をソースに合わせて緩和する」
というメリットを享受するためには、明示的にデジタルフィルタをバイパス設定できるDACユニットが必要になります。後者の場合でも特性を自由に調整するためにはPCでやることになるため同事情でしょう。
 が、現実的ではなさそうです。
 以下にその実情を記します。


■DACユニットの実際

 上述の通り、特にハイサンプリングを聴くためのPCオーディオ用DACユニットとしては「フィルタを選択できる」だけでなく「バイパスできる」機能は標準的に欲しいところです。ハイサンプリングソースの時はバイパスしてみたいですから。もし必要ならデジタルフィルタリング(=アップサンプリング)はPC側でできちゃいますし。

・フィルタはオフできないという現実
 しかし、そのようなDACユニットは一般的ではありません。通常のオーディオ用としては許されないでしょうから仕方ありませんけれど(デジタルフィルタはオマケではなく必要な機能ですので)。
 私の知るところでは以下くらいでしょうか。

  ←TEACのこれとか     ←Esotericのこれとか

 Esotericなんて「オフが推奨」と言ってます。

推奨のデジタルフィルターOFFモードのほか、PCM信号処理用に4種類のデジタルフィルターを搭載。FIR型デジタルフィルター2種類に加え、プリエコーのない自然な音の立ち上がりを特長とするショートディレイ型デジタルフィルターも2種類搭載。
出典:http://www.esoteric.jp/products/esoteric/d07x/

 UD-501もOffがデフォルトらしいですね。

・NOS-DACとは
 ということで、「OSDFが搭載されていないDAC」にも需要があるようで、「Non OSDF-DAC」通称“NOS-DAC”と呼ぶようです(最初NOSってメーカ名かと思いました(苦笑))。

 OSDFかけないのですからNOS-DACの出力はイメージングノイズまみれの音(波形的に言うとカクカク)になってるハズですが、その方がデジタルフィルタリングするよりヨイって考え方もあるようですね。特に、ちゃんとしたハイレゾ音源なら48kHzや96kHzまでイメージングノイズはないハズですから、「それ以上の帯域のイメージングノイズを許容する」のと「OSDFかける」のはどちらが音質へ悪影響があるか、確かに微妙な気もします。素人ですけど。

 「イメージングノイズがあること=元がカクカクな波形はより正確に再現できるが、元がサイン波っぽい波形は逆に不正確になる」というカンジでしょうか。といってもイメージングノイズはあくまでもノイズなので、元アナログ波形を再現しているとは言い難いですけれど。
 実際問題としては、「カクカクの水平部分=DC成分」も「垂直部分=無限周波数成分」も、最後はスピーカやヘッドホンがある意味フィルタリングしちゃうと思いますので、それに任せるってことなのかも知れません。とすると、NOS-DACは周波数特性が~20kHzくらいのアナログ段との組み合わせが相性いいのかも知れませんね。

 前述のUD-501などのデジタルフィルタOFFモードは“設定によるNOS-DAC化”と言えるでしょう。ポストフィルタはOSDF前提で「高域で緩くかける特性」固定みたいですけれど。
 ただし、UD-501もD-07Xも「アップコンバータ」を搭載しているようですので、これを使ってOSDFをOffするのが推奨なのかも知れません。詳細は不明です。

 「ネイティブ192kHz音源」なんかをフィルタオフで聴いてみたいものです。
 けどそのためだけにDACユニット買うっていうのも…(苦)


■デジタルフィルタとΔΣ変換とアナログポストフィルタ

 ところで、OSDFはDA変換ロジックの中核たるリコンストラクションフィルタ機能の一部である「プリフィルタ」であり、その後アナログによる「ポストフィルタ」との連携機能になっているハズです。
 とすると、デジタルフィルタをオフできるDACユニットでは、ポストフィルタの特性はどうなっているのでしょうか。
 ナイキスト周波数あたりで急峻にかかるアナログLPFが必要になるハズですが、ナイキスト周波数はソースのサンプリング周波数によって当然変わりますから、特性可変フィルタでないと対応できないような気がするのですが、はたして?

・UD-501では
 UD-501の周波数特性を載せてくださっているBlogさんのデジタルフィルタOFF出力スペクトルを見ると、44.1kHzソースの場合20kHz以上にノイズの盛り上がりが発生しています。つまり、デジタルフィルタでイメージングノイズを除去しないモードでもポストフィルタのカットオフ周波数は降りてきておらず、高域側のままのように見えます(Onにするとノイズはガクンと減る)。
 つまり、アナログポストフィルタの特性はOSDFのON/OFFで変動していないようです。

 なんだかOSDFがすでに“ほとんどリコンストラクション”しちゃってるような気が。とすると、イマドキのアナログポストフィルタの役割って…?

・DA変換ブロックにLPF機能はあるか
 ここで、TIのDACチップ仕様を見てみると、DSDモード時LPF特性を変更できるようで、その設定を解放しているDACユニットもあるようです。資料にも「Advanced Current SegmentブロックはDSD時のLPFとして機能する」と記されていました。ですが、PCM時にはそのような機能は見当たりません。

 ということは、PCM時は、OSDFでかなりの高域までノイズ除去(LPF処理)は済んでいると見なし「Advanced~」ブロックはLPF機能はなく(*)アナログ化のみを担っているのかも知れません。

*:new_western_elecさんが公開されているPCM1792AのOSDFをOffしたサイン波は「カクカク」になってましたし。
http://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/11/dac-pcm1792-f49.html

・「トランジスタ技術」の記事
 「トランジスタ技術2013年12月号」P.125によると、ΔΣ変調ブロックで元ソースのサンプルレートによって倍率を変えて出力ストリームの周波数を一定にし(44,.1kHzと48kHzの差はありますが)、アナログフィルタの特性を固定にしているようです。

  ←デジタルオーディオの理屈に興味がある向きには一読の価値アリと思います

・DACデータシートの記述
 さらに調べていると、PCM1795のデータシートに以下の記述がありました。

The OS bits are used to change the oversampling rate of ΔΣ modulation. Use of this function enables the designer to stabilize the conditions at the post low-pass filter for different sampling rates. As an application example, programming to set 128 times in 44.1-kHz operation, 64 times in 96-kHz operation, or 32 times in 192-kHz operation allows the use of only a single type (cut-off frequency) of post low-pass filter. The 128-fS oversampling rate is not available at sampling rates above 100 kHz. If the 128-fS oversampling rate is selected, a system clock of more than 256 fS is required.
出典:「pcm1795.pdf」 P.33

 やはり、オーバーサンプリングは8倍固定ですがΔΣブロックでの倍率を変更することで、出力ストリームの周波数を一定にしてポストフィルタの特性を統一しているようです。
 44.1kHzの時は128倍、96kHzで64倍、192kHzで32倍が推奨されていますので、「44.1または48kHzという“基準fs”に対して128倍に統一しましょう」ということのようですね。つまり、データシートの記述通りにPCM1795を使った場合は、44.1kHzも48kHzも96kHzも192kHzもPCMはすべて最終的にはDSD128(44.1kHz系では5.6MHz,48kHz系では6.1MHz)に変換されているとみていいでしょう。
 ただし、TI製DACチップにおけるPCMデータのΔΣ変換は“マルチレベル”のようですので、「DSD128データ」と同じ動作とは言えませんけれど。

 一方、DSDモードの場合は、当データシートのP.3のスペックによるとSystem Clockはmin2.8224MHz、Max11.2986MHzとなっています。つまり44.1kHz系におけるDSD64~DSD256です。
 UDA-1では正式仕様にないDSD256も通ってしまいますが、(44.1kHz系なら)デバイスレベルでは対応していると見ていいかも知れません(*)。

 以上、PCMの場合は、ストリームの周波数は一定かつ元になるPCMもイメージングノイズは8倍OSDFで充分減衰しているので、アナログポストフィルタは固定でよいということですね。
 DSDネイティブの場合は、DSD64/128/256ではシェイピングされたノイズ状態は異なりますのでどう考えているのか微妙ですが、ネイティブであることを優先しているように思えます。当該ノイズはイメージングノイズではなくDSDデータとしてのリアルノイズですし。


*:逆に言うと、DACチップがサポートしていないモードは例え通ってもあまり意味がないということです。例えばPCM1795システムでもしDSD512が通っても、DACチップ前で“ダウンサンプリング”されてるハズです。
 iFi-Audio製「micro iDSD」という製品はPCMで768kHz、DSDはDSD512まで受け付ける仕様ですが、搭載しているDACチップ(*)DSD1793の仕様は24bit/192kHz/DSD256です。2個使いによる何らかの方法でユニットとしてはDACチップ単体スペックを超えている可能性も否定できませんが、少なくともDACチップにとっては非ネイティブだと理解して選ぶべきでしょう。
 「カスタムチップ(選別品)」や「仕様外だけど実力値で動かしてる」って可能性は…あるんでしょうか?

*:eイヤホン社のサイト:http://ameblo.jp/e-earphone/entry-11852192877.html


■“なんちゃってNOS-DAC”で遊ぶ

 このあたりまで考えたところで、ふと気がついちゃった気が。

 PC側でPCM→DSD変換してDSDネイティブ再生可能なDACユニットに渡した時って、DACチップ内のOSDFブロックをバイパスしてるってことではないでしょうか?

 つまりDSD変換すればOSDFオフ機能のがないDACユニットでもフィルタオフで鳴らせるということです。
 もしそうなら、OSDFオフ機能付きDACユニットを買わなくてもフィルタオフモードでDACが使えるじゃありませんか。
 以下、それを確かめてみます。

・DSD変換“だけ”実施したスペクトルを見てみる
 早速、≪foobar2000≫でCD音源をDSD変換してUDA-1で鳴らしたアナログ出力を確認してみました(環境は前稿と同じ)。

 シェイピングされた高域ノイズの影響を極力排除するためDSD256にて。変換MethodはとりあえずTypeA(FP32)です。

OSx1→DSD256
(アナログキャプチャ)

 ナイキスト周波数以上の帯域にイメージングノイズが盛大に発生しています。つまりOSDFかかっていません
 やはりDSD変換してDACチップにInputした場合はOSDFをバイパスすると見ていいようです。
 80kHz以上には盛り上がりが見られませんので、おそらくこのあたりで「リコンストラクションフィルタのポストフィルタとしてのアナログフィルタ」が働いていると推察します。

 一方、これは「≪foobar2000≫の当機能でPCM→DSD変換する際は、DSP機能でアップサンプリング(LPF)しておかないとイメージングノイズまみれの音になっちゃう」ということを示しています。試聴などでは要注意かと思います。ただし≪foobar2000≫のような機能ブロックを組み合わせて使うソフトの場合であって、例えば≪JRiverMediaCenter20≫ではDSD変換再生にすると自動的にフィルタかけているようです。≪AudioGate≫のEXPORTでもイメージングノイズは見られませんでした。

 なお、TypeB,C,D(いずれもFP32)でもイメージングノイズは発生していました。「フィルタを内蔵しているTypeもある」といったことは無いようです。

・ノコギリ波はどうなる?
 上で、周波数ドメインにてOSDFがかかっていないこと(イメージングノイズがそのままであること)を確認しましたが、時間(波形)ドメインではどんな変化しているのでしょうか。
 そこで、ハイレゾの効果をPCMで考えた時使った2448ノコギリ波(Downsamplingなし)をDSD128で再生してみました。

2448R→DSD128rec
(アナログキャプチャ)

 わははは、DSDサイコー!(爆) シャノンさん真っ青~

 アルゴリズムにもよると思いますが、こんなふうにDSD化されるんですね。
 これを見ると、DSDって波形再現性はとっても優れているように思えます。
 再生時にOSDFかかっていない故ですが、それが「アナログっぽい」「柔らかい」といった印象になっているのかも知れません。

 しかし、それにしてもキレイにノコギリになりすぎな気が。ナイキストあたりも何も変化なく繋がっちゃってますし。結果的に倍音をスムーズに補間しちゃってるってことでしょうか。
 ナントナクですが、人工ノコギリ波形にとってのエイリアスノイズとは、歪みではなく直線的な斜め傾斜を構成する成分として有効であって、OSDFかけずに再生した時に発生するイメージングノイズはその成分(歪み)を再現したものになるのかも?
 かも? レベルですけれど。

 ちなみにDSD64だとそんなに感動しませんでした(笑)。理由はワカリマセン。

2448R→DSD64rec
(アナログキャプチャ)


 以上、PCM→DSD変換することで、フィルタオフ機能がないDACでも“なんちゃってNOS-DAC”として動作させることが出来ることが解りました。
 ただし、本当のNOS-DACと違ってΔΣ変換までPC側になっちゃうワケで、DAC側はDSDストリームのアナログ化しか行わない状態になりますが、それはそれでまた一興かと。「NOS-DAC」と言うより、「なんちゃってアナログLPF」として動作させることが出来る、と言った方がいいかも知れませんね。

 これは面白そうです。
 引き続きいろいろ試してみようと思います。


■余談

・DSD再生モード時のOSDF
 OSDFはかかってないことを確かめる方法を考えていた時、「インパルス応答にエコーが付かないのではないか」と思いました。
 自分でやってみる前にweb検索してみたらそれを示す資料があるようです。
http://tech.juaneda.com/en/articles/dsd.pdf

 P.5にPCM(ハイレゾ)とDSDのインパルス応答比較があります。
 「Why Direct Stream Digital is the best choice as a digital audio format」というタイトルの2001年Philips? 著作のようですが、正体はヨクワカリマセン。

 以下にもDSDとPCMのインパルス応答比較図がありました。
http://tackbon.ldblog.jp/archives/52275169.html

 上記資料を見るとインパルス応答していませんので、やっぱりDSD再生においてはOSDFは無縁と考えていいようです。

・オーバーサンプリングの倍率は可変か一定か
 エレアトさんは「44/48系なら4倍、88/96系なら2倍、176/192系ならそのまま」というロジックを組んでらっしゃった模様(*)。

*:http://fpga.cool.coocan.jp/wordpress/?p=40

 new_western_elecさんによると、どうもTIは入力に依らず8倍なら8倍固定らしく、アナデバなどは入力に応じて倍率を変える仕様の模様です。
 確かに、TI(BB)のPCM1704(24bitマルチビット型)データシート(*)では、入ってきた周波数の8倍と言ってるようです。

*:http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja006/jaja006.pdf

 また、PCM1795データシートの機能説明やブロック図では「x8 Oversampling Digital Filter」って“倍数含みで”機能名記してます。
 8倍固定って個人的感覚的には違和感ある(*)のですが、ホントみたいです(苦笑)。

*:倍率を可変にしてOSDF結果を一定にし、ΔΣブロックへの入力周波数とイメージングノイズ状態およびΔΣブロックでの倍率を固定した方がキレイな気がするのですけれど。
 15/05/19追記:8倍固定の理由、なんか解った気がします

・意外と楽しいM/Bオンボードサウンド
 結構オモシロイ実験できますね。LINE-OUTとLINE-INをループバック接続し、≪WaveGene≫でいろいろな波形を生成して再生し、≪WaveSpectra≫で表示すると、DACがどんな波形(スペクトル)出力しているのか手軽にリアルタイムに見ることができます。DACのLINE-OUTを入力すれば、ヘッドホンで聴きながらアップサンプリングやDSD変換におけるスペクトルや波形の変化を見ることもできます。
 もちろんサンプルレートは一番高速な192kHzで。
 15/03/07追記:どうもGA-Z68X-UD3H-B3のオンボサウンドのLINE-INは-1dBあたりが最大振幅になる(それ以上の音量ではクリッピングする)ようです。フルスケールのサイン波を入れるとクリップします。録音ボリューム絞っても同じです。≪foobar2000≫で-1.10dB絞るとサイン波の頭がキレイに丸まりました。


メインメニューへ
スポンサーサイト

テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

ERIへようこそ

Author:らかせ
 「最新記事」または「メインメニュー」からどうぞ

・ファイルへの直接リンク以外はリンクフリー(連絡不要)です
・一応、拍手にコメント(非公開)付けられるようにしてあります
・DB的に利用しており、過去記事もガシガシ書き換えています。特に「最新記事」は初稿から一週間くらいは直してることが多く、大幅に変わっちゃうことも。ご了承ください
・ということもありますし、記すまでもないですが無断転載(ファイル含む)はご遠慮ください
・引用の考え方については「007:諸事」をご参照ください
・アフィリエイトはAmazonのみです
・ハイパーリンクは当Blog記事のみです(054:節電記事のみ例外)

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。