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16ビット・エレジー

15/07/26初稿
18/12/28シンプルに大幅改訂

 何故かいきなり「ビット深度拡大(ハイビット化)は音質にどう影響するのか」について考えはじめちゃいました。

 ヨクワカラナイ… というか、どうやったら納得感のある確認できるか思いつかなかったのでずっと先送りしていて、「サンプリング定理」についてウンウン考えた時は「ビット深度=振幅方向の解像度には問題ないこと」を暗黙の了解としてサンプルレートのことだけ扱いました。
 けれど、その後DACチップの使い方などいろいろ展開していく中で、いつの間にか頭の中が整理されてたのかも知れません。

・3段階ではサイン波を再現できない
 といっても、ハナシは非常にシンプルでした。

 DENON社の「ALPHA Processing」のページ(*)をご覧ください。

*:http://www.denon.jp/jp/dcdsx1/history.html

 16bitの極小波形の例として「(1kHz、-90dB)サイン波再生波形(CD)」が挙げられていますが、左の“ALPHA Processing使用前”はどう見てもサイン波じゃありません。

 16bitでは-96dBがスレッショルドになりますので、サイン波をそこでゼロイチに振り分けることになります。
 結果、-90dBを示す±1と0の「3レベルのみのガタガタ波形」になったということです。
 一応、≪WaveGene 1.50≫で生成した同スペックの波形を示しておきます。

sin1kHz-90dB 1644

 「CD」と記載されていますから、1kHzというこの波形の1周期には44.1個のサンプルがあるハズです。上図の通りこのデータの水平部分にはズラリと同じ値のサンプルが並んでいますから、再生する時ビット深度を拡張してもサイン波を再現することはできません。“サンプリング定理に則る限り”、水平を表現しているサンプルがあるのに無視して別の値に変更することはできないからです。
 その例を紹介しておきます。
 TI(Burr-Brown)社の資料「限界性能への挑戦と音質へのこだわり(*)」のP.7にも、「PCM1792Aでの16ビット・データでの-90dBFS再生波形」が掲載されていますが、全くサイン波になっていません。
 原則、上記DENON社と同じ形と言っていいでしょうけれど、こちらは記載の通りリコンストラクションでリンギングしているのが微かに解ります。

*:http://www.tij.co.jp/jp/lit/ml/jajt042/jajt042.pdf

・24bit以上だとどうなるか
 一方、「ALPHA Processing」図の右には、「ALPHA Processing」によって“サンプリング定理にとらわれず積極的に”修復されたサイン波が掲載されています。
 「AL32」とありますから32bit精度での修復でしょう。よって、「32bitデータなら-90dBのサイン波はこのように記録再生される」と捉えてもいいでしょう。24bitだと16bitの256倍・32bitの1/256倍の分解能になりますが、ほぼサイン波になっていると想像できます。

 この変形こそが「量子化誤差」による「量子化歪み」であり、それが聞こえてしまうのが「量子化ノイズ」だと考えています。

 以上、16bitだと低音量ではサンプリング定理が成立していないということです。-90dBでこうなのですから、ビット段階が十分になる音量までは変形が無視できないことになります。サイン波に見えるだけの段階になるのは、けっこう上のdB値かも知れません。

 そもそも量子化においては「16bitあっても実際に有効なのは13~14bit分くらいなのだから、敢えてノイズを加えて量子化ノイズをランダムノイズ化してしまう」のが基本的考え方であり、ゆえにそのディザ処理が存在するのではないかと思います。

 24bit以上なら事実上問題ないでしょう。

 これは、ハイレゾにおける「ハイビットの効果」と言っていいと思います。

・サンプリング定理の問題ではないしハイサンプリングでは解決できない
 ちなみに、サンプリング定理に則る限り、この問題は解決できません。当たり前ですが、サンプリング周波数を上げてもビット深度の分解能は増えないためです。
 そうはさせず、リコンストラクションフィルタリングによる波形再現処理と同時にビット深度方向の修復も行う技術が、「ALPHA Processing」だったのですね(*)。

*:https://www.denon.jp/jp/blog/3817/index.html

 なお、念のためですが、サンプリング定理という数学的理論で扱うサンプルはそもそもデジタルデータではありませんから、この問題は定理と関係ありません。ぶっちゃけ、サンプル値を“聞こえるかもしれない音量レベルでもサイン波にならないくらい粗く”デジタル化したために発生した問題です。
 ですので、音声データをいじって16bitと24bitの差分が聞こえるか否かを試そうとデータを作っても、それはサンプリング定理に則ったものではありませんから、あまり意味はないと考えています。

・解決するのが「ディザ」なのか
 つまり、16bitといってもマトモに音声のデジタル化として使えるのは数ビット分引いたビット数ということです。
 「量子化誤差」は元波形と相関があるノイズになります。AD変換時にノイズを加える「ディザ処理」技術がありますが、要するにサンプリング定理の近似として使えるレベル(ビット数)以下は相関のないノイズにしてしまうということなのですね。
 CDが16bitで登場した当時は、例えば4bit分くらいは使わないと近似状態と言えないとしても、12bit=72dBですから、ダイナミックレンジ(S/N比)は十分実用的、と考えられたということでしょうか。


 いざ考えてみると、なんだか「デジタルオーディオの現実的問題」としてはサンプリング周波数よりこっちの方が深刻な気がします…

・余談:16bitのダイナミックレンジ
 CD開発の重鎮、中島平太郎氏の著書(共著)「図解コンパクトディスク読本(第1版)」のP.41には「96dB」とあります。
 -96dBまでは1が立つからですよね、きっと。


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