FC2ブログ

「Phase Response」に応答してみる

16/02/03初稿
18/12/29位相応答関連にまとめなおし

 ≪foobar2000≫の≪SoX Resampler≫などのリサンプリング機能には「Phase Response」なる設定項目があります。

 ちゃんと解らないまま概ねデフォルトのまま使っていましたが、「Phase Response=位相応答」とは何で、アナログ化にどんな影響があるのでしょう?

 「オーディオにおけるサンプリング定理」について調べてから芋づる式に(?)「デジタルデータがアナログ化されるまでのお仕事」についていろいろ考えてきたのですが、難しくて先送りしていた最大の難問(?)に、いよいよチャレンジしてみます。


・位相とタイミング
 ≪SoX Resampler≫の設定項目「Phase response」という設定項目があり、スライダで変更することができます。

   スライダ一番右・・・50%(linear)
   スライダ一番左・・・0%(minimum)

 これらの設定が何を意味するのか、とりあえず説明してみます。なかなかに難しいので合ってる自信はありませんが(苦笑)。

・位相応答とは、LPFなどを通すと(ここではデジタルフィルタ)位相が変化すること

・位相変化とは、波形開始点がズレること。一番解りやすい例としては、サイン波がゼロクロス点からプラス側に始まる場合に対しプラスピークから始まる場合は90°ズレている状態。マイナス側に始まる場合は180°。絶対的な時間ではなく1周期に対する比率(普通は「°(deg)」)で考える

・その変化と周波数の関係は、“応答させ方”によって異なる

・ここで言う周波数とは、波形を構成する周波数成分(サイン波)の周波数のこと

・周波数に比例して位相変化する場合:
 例えばある周波数の時1/2周期分ズレる特性だったとする。周波数が2倍になると周期的ズレ量も2倍の1周期分になるが、1周期自体の時間が1/2になっているので時間的なズレ量は最初の1/2周期分のままとなる。つまり周波数によって時間的タイミング(時間的ズレ量)は変化しない。

・比例して応答するモードを「linear」としていると推定。

・周波数に比例しない場合:
 linearと異なり、周波数が変化すると時間的タイミング(ズレ量)も変化する

・一番極端に、周波数に関係なく位相ズレ量がずっと一定の場合を「minimum」としていると推定。

・位相応答を実波形で確かめる
 linearでは、周波数成分によって時間ズレ量は変わりませんから、成分合成後の波形に影響はありません。ズレ量はデジタル再生において気にする必要はないでしょう。プレイボタンを押してから再生が始まるまでにラグがあってイラっとする、といったことはないと思いますので(もしあったら位相応答とは別の問題だと思われます)。
 一方、miminumでは周波数成分ごとのタイミングが変わるワケですから、合成後の波形は“変形”してしまうハズです。
 例えば、周波数成分について説明する際に用いたサイン波でノコギリ波を合成する図では、波形の開始点(0°)はすべて同じです。が、開始点がそれぞれの周波数で異なったら、合成された波形は当然同時の場合と異なることは容易にイメージできるでしょう。
 また、成分ごとのピークが重なるタイミングも変わるワケですから、linearでは発生しなかったピーク潰れが発生する可能性があります。

 ということで、変形具合とピーク潰れ発生を同時に見るため、「linearでTruePeakが発生しないがminimumだとクリップが発生するCDデータ」を探してきました。リサンプラーは、ここでは≪Resampler-V(SoX) 2.1≫をデフォルト設定で用いました(Impulse Responseが連動する様子が見られるので)。倍率は目的に十分な2倍です。以下、用語は≪Resampler-V≫のものに変更します。
 そのデータを、≪Audacity 2.0.6≫でクリッピング表示してみます。上図が元データ、中図がLinear、下図がMinimalです。
 実際の楽曲においてMinimalがどのような波形変形するかの例にもなってると思います。

クリップ比較CD例

 Minimalだとこんなふうに変形するのですね。ちなみに、「Minimalでの復元を想定してデジタル化している」ということはないと思います。ちょっと調べた限りでは、普通のDACの特性はLinearだと思いますので。
 また、Minimalでは(再現すべき)元波形にはないクリップが発生しているのが解ります。「TruePeak」のような問題があると言うことです。

 この点では、Linearの方が好感が持てます。
 実際の再生音で「ヴェールがかかったようになる」「割れてる」などには至らないと思いますが、「演算としてはLinearにはないピーク潰れを発生させることがある」とは言えるでしょうから。

・再生音に差はあるか
 本稿で取り上げた合成波形のリコンストラクション結果は、「波形」として見るとLinearとMinimal設定で全然違います。一見するとMinimalの変形はマズイんじゃないかと思っちゃいますよね。
 しかし、見た目は違いますが周波数成分は同じで、違うのは“位相だけ”とも言えます(ピーク問題はさておき)。
 確かに、DACユニット側のデジタルフィルタはOFFにしてLinearとMinimalで8倍したファイルを聴き比べても差は判らないような…
 このケースだけ、の話ですけれど。

・位相応答はインパルス応答と連動する
 「Linear」は、≪SoX Resampler≫では「50%(linear)」となっています。
 「Minimal」は、≪SoX Resampler≫では「0%(minimum)」となっています。このパーセンテージは、「エコーの付き方」と関連があるようです。Linearではプリエコーとポストエコーが前後に同じ量(プリエコーが全体の50%)、minimumではプリエコーがない(全体の0%)になるようだからです。
 連動するので、フィルタの特性については両方を見る必要がありますね。


メインメニューへ

テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

最新記事
ERIへようこそ

Author:らかせ
「最新記事」または
「メインメニュー」からどうぞ

・ファイルへの直接リンク以外はリンクフリー(連絡不要)です

・一応、拍手にコメント(非公開)付けられるようにしてあります

・DB的に利用しており、過去記事もガシガシ書き換えています。特に「最新記事」は初稿から一週間くらいは直してることが多く、大幅に変わっちゃうことも。ご了承ください

・ということもありますし、記すまでもないですが無断転載(ファイル含む)はご遠慮ください

・引用の考え方については「007:諸事」をご参照ください

・ハイパーリンクは当Blog記事のみです(054:節電記事のみ例外)

カテゴリ
検索フォーム
FC2カウンター