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リッピング条件が違うと異なるWAVデータになるか

09/09/26初稿

 音楽CDのリッピングにおいて、「音がよい」「高音質」なソフトやドライブなるものは存在するのでしょうか?

 補間さえ発生していなければ、吸い出されたPCMデータはCD-DAに収められる直前のデータと一致するのではないでしょうか?
 それとも、リッパーやドライブによっては不一致になることがあるのでしょうか?
 もし「それはない」のだとしたら、PureReadの「パーフェクトモード」さえ手に入れれば「データ改変」の不安は解消するハズです。


■ドライブ・ソフトの違いでWAVデータは異なるか

 ということで、複数の「読み取りドライブ」と「リッピングソフト」の組み合わせで読みだしたWAVファイルをコンペアしてみます。

・事前注意:WAVファイルはファイルコンペアではコンペアできない
 ところで、WAVファイルのコンペアには注意が必要です。リッパーによってヘッダ・フッタ状態が違う場合があるのはもちろんですが、データ位置が「ズレ」ることもあるためです。以下簡単に説明します。

 CDの音声データはトラックでブツ切れておらず、蚊取り線香のように連続して記録されています。リッパーはデータ(フレーム)の位置情報からトラックの切れ目を判断して読み出します。
 が、ドライブやリッパーにはCDから読み出す位置にオフセットがあります(設定できるものがあります)。そのため、トラック単位の切れ目は環境に依存することになり、普通のファイルコンペアでは比較できないのです。
 簡略化して説明すると、ある組み合わせは

     トラック01      トラック02
  [000123456789000][000987654321000]

のように読みだしますが、別の組み合わせでは

     トラック01      トラック02
  [001234567890000][009876543210000]

と読みだすことあるということです。前にひとつズレただけですが、普通のコンペアソフトではズレは考慮せず頭からデータを比較しますので一致しなくなるワケです。

#ズレ関係はヤヤコシイ話なので、詳細はオフセット考察記事をご覧ください。

 ではどうすればよいかというと、素晴らしいことにズレを考慮してコンペアするWAVファイル専用のコンペアソフト(フリー)が存在します。その名も≪WaveCompare≫。PC-Audioの必需品ですね。efuさん、ありがとうございます。ありがたく使わせて頂きます。

#≪WaveCompare≫で表示される「(総)サンプル数」には「ゼロサンプル数」が含まれています。
 「サンプル」はステレオ(2ch分)です(サンプル数を44100で割ると時間になります)。

 11/01/23追記:有名なリッパー≪EAC≫にもWAVファイルコンペア専用ツールが付いていますが、≪WaveCompare≫の方が多機能ですね。
 また、yakkiさん作≪音くらべ≫というフリーソフトもあります。こちらはファイル指定方法などの点で結構便利かも知れません。

・組み合わせリッピング
・対象音源:HDC-1Lに付いてきたe-OnkyoサンプルWMA(ロスレス)をデコードしたWAVファイル
 「オリジナルデータ」が担保されている必要があるので、念のためリッピングして得たファイルではなく、元々ファイルとして入手した音源を用いたものです。

・対象CD:対象音源をCD-RWに1trackだけ焼いたもの
 CD-RWにしたのは、より反射率が低い方が条件キツイのではないかと思ったためです。

・ドライブとリッパーの組み合わせ(すべてBDドライブなのはご愛敬(笑))
  0.元WAVファイル
  1.iHES208+iTunes6
  2.iHES208+CarryOnMusic10
  3.SW5582+iTunes6
  4.SW5582+CarryOnMusic10
  5.BDC-S02J+iTunes6
  6.BDC-S02J+CarryOnMusic10

 さて、この6+1種をWAVコンペアしてみると、

・先頭末尾は異なる(ズレによる)もののWAVコンペア結果はすべて一致する(補間発生もなしということ)。
・先頭末尾のゼロサンプル数はドライブが違ってもソフトが違っても異なる(*)。
・逆に、ドライブとソフトが同じなら先頭末尾も含めて毎回完全一致する(試したのは2~3回程度ですけれど)。

*13/11/30注:ソフトによる影響は例外的なもののようです。詳細は上記リンク先記事にて。

 ファイル0番という「CD-DA(今回の物理的媒体はCD-RW)になる前のファイル」と、その他リッピングファイルがすべて一致したということは、

 リッピングにおいて、ドライブやソフトは(たぶんそれなりのものなら)何を使っても、できあがるWAVファイルの“音楽データ本体”には影響を与えていない。

と言えると思います(“本体”とは、ズレの影響は除くという意味です)。
 もちろん、補間などのエラー発生を抑える性能については別途考える必要がありますが、それ以前の基本的機能としてはドライブやソフトに根本的差異はないということです。

 12/05/24追記:≪iTunes≫のリッピング設定は「自動」ではなく「カスタム」にしてサンプリングレートなどを手動指定しています(自動だとなんとなくキモチワルイので)。が、自動にしても出来上がるファイル(ヘッダ)は同じようです。

・前世紀リッピング
 本項11/02/23追記:“前世紀”にリッピングしたアルバムのファイルを発掘してきました。もちろん44.1kHz/16bitのWAVファイルです。
 流石にリッピング環境に関する正確な記録は残っていないのですが、当時の手持ちの機材の記録から以下を使って取り込んだと推定されます。OSはWindows95だったかな?(98は買っていませんので)

・ドライブ:Pioneer製DVD-303S (SCSIドライブ)
・リッパー:≪CD2WAV32 R3.00 beta1≫

 果たして“全然イマドキじゃない”ドライブやソフト(やOS)ではキチンと読み出せていなかったのでしょうか?
 ということで、遥か昔にリップしたWAVデータ10曲分につき、最新のPureRead2パーフェクトモードでエラーなしリッピングしたデータと比較してみました。もちろん当時と物理的に同じ盤です。

 結果、10曲すべて一致。

 やはり、あんまりドライブやリッパーに拘る必要なさそうです。

・「エラー訂正を有効にする」とは何か
 11/01/03改訂:上記テストでは、≪iTunes6≫の表題設定を「有効」にしてます。ナントナクでしたが、後日実験してどんな機能なのか推定した結果では、使ったドライブにおいては有効と無効の違いはなさそうです。
 詳しくはリンク先を参照ください。


■リッピング条件違い「補間発生」は異なるか

#本項以下、09/09/26に別稿として上げたものを14/08/26こちらに統合。

 正確に言うと“「類推補間した結果ハズレ」は発生しているか”ですけれど。
 上記実験結果、「エラー補間」さえなければ、リッピング時点でAudioDigitalDataの“痛み”はないと言ってよさそうです。

#再生時に音楽データ前後のゼロサンプル状態がフィルタ演算に影響を与える可能性も否定はしきれませんが、ここでは触れません。

 ですので、次の問題は“通常のリッピングで「補間」はそんなに発生しているのか”だと言えるでしょう。

 そこで、PureReadを活用し「どうするとどんな補間が発生するのか」実験してみました。


・ドライブ:DVR-S16J
・リッパー:≪iTunes6≫
・ソースCD:上記記事でで作ったCD-RW

・CD-RWに鼻の脂の指紋でエラー発生?
 これは効きます。付けすぎると「パーフェクトモード」じゃなくても読み取れずに停止してしまうほど。
 ということで、脂分を調整(笑)しながらリッピングすると、確かに≪WaveCompare≫で不一致点が見つかるファイルができあがります。脂の付き具合で不一致点が変化していくので補間が発生しているのだと推定されます(正しいデータとの差異も微妙ですし)。
 しかし、見た目にまだ油膜が付いてるような状態でも補間は発生しなくなります。それなりに拭いてやればもう大丈夫。CIRCのC1エラー/C2エラー訂正は結構強力なのだと感じますね。
 DVR-S16JでPureReadを使うと、「パーフェクトモード」で停止した脂状態では「マスターモード」なら1倍速くらいでがんばって読みこんで、不一致点が20カ所ほどあるファイルができあがりました。
 これがエラー補間の正体だ! ってカンジです。

脂で補間


・Ripping中の振動でエラー発生?
 よく、ドライブの制振も重要だと言われます。制振してリッピングしたデータは「ヴェールが1枚剥げたような」音になるのだとか。逆に言うと、何も対策しないと「ヴェールが掛かったような」音になるということです。つまり、微妙な振動を受けることで微妙なエラー補間がほぼデータ全体でまんべんなく発生しているってことになります。ホントでしょうか?
 じゃあ、ガンガン叩いたらさぞかしヒドいことになるだろうと思いますけれど、iHESやS02JをRipping中叩いてできたファイルは«WaveCompare»で元ファイルと一致、つまり補間は発生しませんでした。

 叩き方が足りない?
 といって新しいドライブをあんまり酷使するのは気が引けるので(弱気)、ちょっと古めのドライブDRW-AT5をかなり激しく叩いてみました。
 そうしたところリッピングが一旦停止するほどの状態に。データはめちゃくちゃになっており、実際に聴いてもグシャグシャ。ヴェールが掛かるとか剥げるどころじゃなく、これはもう「音質」の問題じゃありませんでした。

・まとめ
 以上を鑑みると、イマドキのドライブやリッピングソフトなら、多少のCDメディアの問題やリッピング時振動ではエラー補間までは発生しないと言っていいでしょう。たとえ発生してもよほど酷い条件でない限りは数サンプルが類推補間されるだけですから、そのファイルを再生した時「全体的な音質」に影響を与え「ヴェールがかかったように」聴こえるハズがありません。
 なお、WAVコンペア一致するのですから、もちろん「フレームズレ」も発生していないと言えます。

 意図的にエラーを発生させるためにはキズより脂がよさそうです。
 逆に言うと、リッピングする時はCDをよく拭いてからが基本、ということで。


■余談

 本稿では、フレームズレはまず発生しないと判断して無視しています。発生したら補間以上の問題になるので補間を扱っていればおのずと対象になっていますし。

・圧縮などは対象外
 本稿はあくまでも「リッピング」についてです(「リアルタイム再生」は対象外)。
 また、非圧縮(ロスレス)のWAVデータとして吸い出す場合についてであり、圧縮形式は対象外です。圧縮ファイルとして取り出す場合は、リッパーが搭載しているエンコーダによって音質は当然左右されるためです。
 なお、ロスレスであっても、再生時のデコーダによって音質が変わる可能性もゼロではないでしょう。

・Power2Goのエラーログをみる
 本項09/09/26追記。
 実はDVR-S16J付属の≪Power2Go for PureRead≫には「エラーログ機能」(*)が付いています。

*:http://www.st-trade.co.jp/new/A16S16_spec.html ←青字にハイライトされてるくらい推してる機能(笑)。

 リッピング時にC1/C2エラー発生があったか否か、このログ見れば判るのでしょうか?
 早速やってみました。例の鼻の脂CD-RWで。
 エラー発生を見るのでPureReadは「標準モード」です。
 古式ゆかしくtxtファイルで出力されましたのでエラー数のところだけ抜粋します。

(1)脂べったり付き:Find C2 Error Count: 1541089 byte(s).
 すごいエラーです。これでもリッピングは終了しますができたファイルはもちろん補間だらけのデータです。
 11/01/01改訂:本Blogでは、この「C2 Error」とはC2段階でも訂正できなかったエラーのことと理解してます。つまり、これだけのByteが訂正できず補間に回ったってことですね。

(2)脂ていねいに拭き取り後:Find C2 Error Count: 0 byte(s).
 Errorなくなっちゃいました(爆)。
 やっぱり普通は「補間」が発生することは滅多にないってことでしょうね。少なくとも汚れでは。

・≪Power2Go for PureRead≫ではどう設定するのか
 ≪Power2Go for PureRead≫の設定画面です。

Power2GoSetup.gif


 PureReadに関する純正設定ユーティリティとの差は「現在のモード確認」機能くらいでしょうか?
 というか、何故かこっちは「ディスクが入っていると設定できない」とか言いませんけれど。

 さて、上記の設定画面を見て、

 「これなら純正ユーティリティがなくたってOK」
 「静音モードとか動かなくてもいいからちょっとでも安い方がいい」
 「古い人間なので自作PC筐体はアイボリー」

と思った向きはOEM版にチャレンジするのも一興かも知れせんね。確かに安いですし。
 ≪Power2Go≫からの設定が他のソフトでも有効かどうかはやや冒険ですけれど。


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