デジタルケーブルで音は変わるか

09/09/26初稿

 Digitalなんだからケーブルで音が変わるハズがない。
 と、よく聞きます。けど、変わります。マジです。
 プラシーボとかブラシーボとか言われますけど、変わって聴こえるんですよねぇ。
 もちろん、変わり方は“システムに依存するところ大”だと思いますけど。例えば、WASAPI排他モードなどによるビットパーフェクト環境じゃなく改変されたデータの再生では、かなり判りにくくなるようです。
 ということも含め、本稿に記す「変わって聴こえる」は主観的なハナシです。


■USBケーブル

 USBケーブルも音質に影響を与えます。何本か試してみましたが、実際に変わります。特に「何の変哲もない普通のPC用ケーブル」の音がよくないのは結構はっきり分かります(上述の通りウチのシステムにおいては、ですが)。
 しかし、09年09月時点では「HiFi Audio用」USBケーブルの選択肢はあまり多くありませんでした。私はWIREWORLDから「ULTRAVIOLET5-2」が出たのを待ちわびて購入。1.0mにしました。ケーブル類はあまねくなるべく短い方がいいでしょうから。
 有線USBでPC-Audioするなら少なくとも「PC用」ではなく「Audio用」のUSBケーブルは必需品と言えましょう。1本しか持ってないので「Audio用」の音質差は判りませんけど。

 どうでもいいけど、Amazonでは「WIREWORLD」で検索すると引っかからない商品がある(苦笑)。

 09/11/29追記:ULTRAVIOLETに「ナンの変哲もない普通のPC用50cm中継ケーブル」挟んだら音悪くなった。やっぱり効いてるっぽいなぁ。

 Audio用じゃありませんけど、「フェライトコア」「ノイズクリッピングダイオード」搭載の



なんて、高いAudio用USBケーブル買う前にちょっと「音質変化」を試してみるにはいいのではないでしょうか。私も持っていますが、フツーのUSBケーブルとの音質差は体感できると思います。


 品質差の目安として稿末に抵抗値を記しました。抵抗値だけで決まるものでもないですが、ざっくり「フツーのPC用」より「Audio用」の方が信号伝送品質は高いと言えるでしょうから、「Audio用」の方が好ましい結果になるのではないかと思います。
 が、あくまで“一般論”であり、要はDACとの電的的特性のマッチング(*)…相性ですので、高価なほど音が良いとは言えないと思っています。

*:PC(USBコントローラ)の出力する信号とDAC(USBレシーバ)の受信特性によって、アナログ段に及ぼす影響は異なるでしょう。システムによっては、ダンピングが効いてちょっと信号がなまった「フツーのPC用」の方が、高級素材をふんだんに使って“ありのままに”信号伝送する「Audio用」よりいい音に聴こえる可能性もあるでしょう。
 抵抗値が違えばGNDの結合状態も違います。“一般論”としては低い方が安定するのでよかろうと思いますが、どう聴こえるかはシステムによって異なるでしょう。特にバスパワー方式の場合、GNDインピーダンスの違いは無視できないのではないかと思えます。


■S/PDIFケーブル

 同軸と光がありますが、私は光派です。ここでは詳述しませんが、電気-光変換によるジッタ発生の可能性よりもグランドアイソレーションの方が影響が大きいと思っているためです。
 これも変わります。
 S/PDIFケーブルは同軸の方がいいってことになっちゃってるので、光ケーブルってあんまり高級品ないんですよね。
 私は多芯の方がよさそうな気がしたのでSAEC製「OPC-Z1」の1.0mを使っています。
 SAECにしたのは、HDMIケーブルが結構良かったので。

 ←多芯ファイバー VS 純石英→ 

 フツーのSONY製光ケーブル「POC-20A」と聴き比べると、フツーの方は音が平べったくなります。


■HDMIケーブル

 PS3のSACD再生チューニングで何本か試しましたが、変わると思います。
 これは余談ですが、WIREWORLDの「SilverStarLight」を投入した時のことです。
 友人から借りたのですが(=エージング済み)、方向性を考えずに接続したら、確かに解像感などよいのですが音量が小さく非常に淡泊で、中域にちょっと歪み感がある音でした。なんだからしくないぞと逆方向に繋ぎ直してみたら、図太い低域が出るようになるなどWIREWORLDらしくなりました。
 アナログケーブルでも方向性の違和感を感じたことがありますが、理由はよく解りません。



 以下10/10/03追記。

■デジタルケーブルで音が変わるワケ(の可能性)

 「デジタルなのに何で音が変わるのか?」なる記事も書きましたのでよろしければそちらもご参照くださいませ。
 個人的には、「音が変わるワケ」はシステム系全体で考えるべき(*)だと思っているので、デジタルオーディオにおける音質変化の理由がリンク記事内容であるなら、デジタルケーブルはその変化理由のパラメータに成り得るのか? が論点になると思います。

*:仮に、「同一筐体内にトランスポートとDACを搭載してUSBケーブルで接続したプレーヤ装置」があったとします。そのUSBケーブルは外部機器間ケーブルとしては論じられないと思いますが影響有無の本質は同じですよね。外部ケーブルと同じくやっぱりどんなケーブルでも変わらないのでしょうか(当然USB規格には適合してる前提で)。
 また、「0/1が変わらないならケーブルやハーネスで音は変わらない」という場合、「デジタルオーディオ機器内でデジタルデータを流すプリントパターンやハーネスの設計の質は音質に全く影響しない」ということになります。「いや、外部ケーブルと内部配線では違う」という場合は「0/1が同じなら変わらない説」とは言えませんので、「0/1が同じでも変わる場合と変わらない場合がある説」としてのリクツ付けが必要でしょう。


 まず、基本的な理解として、
デジタルケーブルは0/1という情報を伝送するのが「目的」だけれど、その「手段」は電気(光)の強弱というアナログである
という認識を共有する必要がありましょう。ここがズレていると相互理解は永遠に不可能です(苦笑)。
 情報伝達はパーフェクト、だけどその手段としての電気信号の差異(波形品質はアナログ的要素)が巡り巡ってDACに(またはアナログ段に直接)影響してアナログ音声信号を変化させる、という考え方です。その仮説において、いくつかケーブルが影響する可能性を考えてみます(「考えられる可能性」の域を出ませんけど)。
 なお、コネクタ規格はRCA、光はTOSLINKを想定します。

・インピーダンス
 光S/PDIFケーブルで音が変わる理由の仮説は上記エントリーにちょっと書きました。
 同軸S/PDIFやUSBで変わる理由も基本は同じだと思いますが、理屈が若干違うかと思っています。
 同軸の場合に(最終的にDACに影響を与える)波形に影響を与えるのは、インピーダンス特性の違いが大きいのではないでしょうか(コネクタの勘合度合いも含めていいかも)。
 インピーダンスって、カンタンに言うと動的な抵抗値と思えばよいかと思います。と言いながら本人も解ってないんですが(苦笑)。
 アナログの例ですが、品質の悪いVGAケーブルでPC画面にゴーストが出た経験がある方も多いかと。アナログRGB信号は終端抵抗値が75ohmという規格で送信されますが、ケーブルインピーダンス特性が悪いと出力側と入力側でインピーダンスミスマッチが発生し、信号反射が発生してしまうために生じる現象です。
 これと同じように、Digital-I/Fのケーブルにも主にインピーダンス特性の違いによって信号波形に微妙な違いがあり、それがDACに影響を与えてアナログ品質を変化させているのではと想像しています。
 HDMIはインピーダンスを含めたケーブル品質が厳しく規定されていますが、規格に入っていても規格内での若干の違いがHDMIレシーバの健やかさを変化させる可能性を考えています。具体的にはLSI動作の変化によるGNDの揺れやSignalノイズ、輻射ノイズの変動のことです。
 USBもHDMIに近いかも知れません。
 ちなみにやはりギガオーダーのシリアルI/FであるPCI-Expressなどでは、M/BのPWB上パターンの幅や厚みを微調整してインピーダンスマッチングを図ります。
 この点でも光S/PDIFは有利かと思います。
 もちろん、変化といっても0/1情報は崩れていない前提です。

・線長
 1本のシリアルで周波数もそれほど高くないS/PDIFでは原則として問題にならないと思いますが、4本のGHzオーダーシリアル線の集合体であるHDMIではそれぞれの線の長さも影響する可能性が考えられるのでは。
 だって、HDMI1.3のハイスピードモードのTMDS1本の最大データレートは3.4GHzにもなり、その1周期はたった0.29nsです。電磁波の速度は光速ですが、一般導体での電気信号の速度はその2/3程度になるらしいので、約20万km/s=200Mm/sとすると2mのケーブルを通り抜ける時間は10nsになります。1mなら5ns、0.1mで0.5nsですね。
 HDMIのデータのタイミングが半周期ズレたらエラーを起こすと仮定して考えてみます。半周期0.15nsは約30mm程度となります。1mケーブルの3%です。マトモな伝送をキープするためにはざっくりさらにひと桁違う程度の精度は必要でしょう。とすると0.3%ですね(1mで±3mm)。導線長の誤差(というか信号伝達距離誤差)はその程度に抑えなければならないのではと推測します(HDMI基板上にもラーメン構造の等長配線を見ることができます)。YAMAHA製AVアンプDSP-Z7のHDMI基板の写真などこちら(*)。

*:http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/av-amplifiers/dsp-z7__j/

 上記はあくまでエラー起こさない最低限の精度に関する概念的な話です。エラーは問題外、規格値内なのは当然としても、例えば4本のTMDSラインの長さがほぼ等長のケーブルと±1mm程度違いがあるケーブルでは、HDMIレシーバの健やかさが違う可能性があるのではないでしょうか。届く4本の信号タイミングが違う=波形の立ち上がり・立ち下がりタイミングが変わるのですから。

 さらに、そもそもHDMIやUSBって「差動信号転送」ですから、1対の信号線の+と-の線長差もパラメータになりますね。
 ちなみにHDMI(というかTMDS)の信号波形にご関心ある向きはこちら(*)などいいかも。

*:http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/hdmi/03/hdmi03a.html

・メカ的振動
 これはデジタルケーブルに限ったハナシではありませんが、主にコネクタ形状や材質などのメカ的な違いによって機器の微妙な振動変化が発生してアナログ段に変化を及ぼす可能性も考えられます。アナログ段のインシュレータや鉛テープのチューニングで音が変わるのと同じ理屈ですね。
 ジッタ検証エントリーにもちょっと可能性を書きましたが、再生していない機器を繋いでいるS/PDIFケーブルの品質からも影響受けるみたいです。Z1以外のケーブルをSONY製POC-20A(プラスチックプラグ)からAudioTechnica製AT-DV91D/2.0(メタルプラグ)に交換すると、Z1で接続しているDDCの低域に良い意味での重さが加わるように感じました。
 プラグの振動が光波形に影響を与えているのか(懐疑的です)、もしかしたらAVアンプ全体の振動状態の変化がアナログ段に影響を与えているのかも知れません。
 あ~、もしかしたらプラグの振動が受光コネクタ周辺のセラコン(電源GND間の0.1uとか)に伝わって電気的ノイズになってるのかも~? 積層セラミックコンデンサって振動を電圧に変えちゃいますから… 実際、セラコンがマイク代わりになって“マイク繋いでないのに音をひろうマイク入力回路”っていう経験したことあります。
 ADCに繋いだRCAケーブル叩くと音になりますし。

・バスパワー
 これはUSB限定ですが、USBケーブルはDC5V電源ケーブルの役割も担っていますので、バスパワー動作のUSBデバイスの場合、その違いもあるかも知れません。バスパワーはもちろんデジタル信号ではないので“デジタルケーブルで~”の主題とはちょっと違う話ですけど。

・電磁波ノイズ
 外来電磁波ノイズ耐性の強弱、という要素もあるかも知れません。アナログですけど、スピーカケーブルにトランス近づけるとスピーカから「ブ~ン」ってノイズ出ますからね。これもアナログですけど、プリ→メイン間に使ってるPantherのDBSのバッテリチェックボタンを押した時、スピーカから「ぷち」って音出ますもの(電流流れてないというDBSの説明との関係はさておき)。
 このようなノイズがデジタルケーブルに乗ってDACに届いてしまうと、アナログ段に変化を与える可能性があるのでは。
 ちなみに、電気機器には「EMI規制」というのがあって、商品として販売するには「VCCI(日本)」「FCC(北米)」といった規格に準ずる必要があります(正確に言えばVCCIは取得必須ではない)。不要な電波を出さない、受けても誤動作しない、という性能が要求されるのです。飛行機の離着陸時にビデオカメラなどの電源を切るように言われるのは、このEMIがデジタル機器へ無視できない影響を与えることを考慮しているひとつの事実です。この規格取得はけっこうキビシイものです。シールドしてもシールド自体が強力に(キレイな)GNDに落ちていないと逆にアンテナになったりします。
 大抵はパルス性のノイズ(クロック周波数の高調波)なので、これがケーブルに外来したとしてもアナログ音声の音質劣化にはなりにくいと思いますが、デジタル回路に入ってくると、誤動作(というか0/1誤判定)まではせずとも最終的にはDACのアナログ段に影響する可能性はあるかと思います。
 ちなみに、昨今のDACチップはMHzオーダーの信号をアナログLPFでDAしていますので、可聴域ではない周波数もDA動作に全く無関係ではないのでは。
 光S/PDIFはこの点においても有利だと思います。電気的なアンテナに成り得ませんので。
 くどいようですが、0/1情報は崩れていない前提です。

 ただし、(本件だけではありませんが)あくまで“可能性”の域を出るものではありませんので、「電磁波ノイズ影響の違いです」などと言い切ってしまうのはマズイと思っています。客観的データありませんもんね。

・シールドとGND
 デジタルの代表として、とりあえずUSBを考えてみます。
 PCではSG(Signal Ground)とFG(Frame Ground)は分離されていないのが普通です。なので、PCのUSBコネクタの金属シェルと信号GND(VbusGND)はショートしているのが一般的です。AVアンプやDACのUSBもショートしているようです(つまりAVアンプも筐体GNDと信号GNDはショート)。よって、機器接続した状態のUSBケーブルのシールドとVbusGNDはショートしています。なのでシールドで受け止めた各種ノイズはそのままGNDに流れ込むワケですね。
 よって、USBケーブルではシールド性能(特性)の差異がGNDに影響を与えるかも知れません。一般的なAVアンプやDACにおいてDigital-GNDとAnalog-GNDは完全アイソレーションされてるワケじゃありませんから、もしこの影響があるのならそれはシステム全体に及ぶと思います。
 USBケーブルではシールドは必ずあります。HDMIもシールドがあります。
 上記の通り普通は機器内(コネクタ部)でシールドとGNDはショートすると思いますが、ケーブル内部でどうなっているかによってもシールド特性は変わる可能性があります。GNDとショートさせてたり、ショートも片端だけだったり両端だったりする違いがあると、音質差要因になるかも知れません。HDMIでは方向性仕様になりますね。特に「デジタルGNDアイソレーション」を謳う機器では要注意かも。
 なお、同軸構造の場合はGNDがシールドとイコールの状態になります。同軸S/PDIFケーブルはこの状態ですね。

・抵抗値
 USBケーブルで測ってみました。USB1.1はノーブランドのPC用安物です。PWB実装用のメスコネクタを装着してそのピンにフツーのテスタを当てて測りました。なので精度は判りませんが。
 前者がULTRAVIOLET5-2(1m)、後者がUSB1.1(2m)です。
  1pin&4pin(バスパワー):0.03Ω 0.18Ω
  2pin&3pin(データ):0.08Ω 0.43Ω
  シールド:0.07Ω 0.11Ω

 …結構違いますね。データラインなんてダンピング抵抗成分として波形に影響与えそうな気がしますが。
 ちなみにアナログインターコネクト(AudioTechnica製AT6A48/0.7m)は信号線、GNDともに0.01Ω程度(テスターの測定限界以下(笑))でした。

・おまけ:「再送」
 本項15/03/15追記:LANケーブルにおいてはその品質でエラーによる再送回数が変わり、LAN回路の動作が変わることによる影響も考えられるかも知れません。コネクタかしめが甘くて100BASE-Tでリンクできず10BASEになっちゃうなんてことは実際にありますので、そこまでいかずともケーブル品質差による再送発生差は可能性としてはあり得るでしょう。
 SATAケーブルなんかも同様です。
 ただ、個人的には、これらはあんまりAudio-I/Fの対象にはしたくないんですよね(苦笑)。


 以上、理屈を付けてみましたが客観的定量的データで実証したワケじゃないですから…
 特に電磁誘導で音質に影響するレベルの信号変化が起こるのかとか。
 ただ、逆説ですが、「“デジタルだから変わるハズがない”という偽薬」もあり得ますよね。
 客観的事実がないステージで偽薬論争しても無駄ですけどね(笑)。


P.S.「デジタルケーブルで音が変わるワケがない。アナログケーブルなら変わるが」という主張ありますよね。
 でも、アナログケーブルで音が変わる理由って客観的事実で説明できるのでしょうか。
 極端な例ならあるかも知れませんが…


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