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ルール改定泣き笑い

10/05/09初稿

 フィギュアスケート新採点法ルール(ガイドライン)、10-11シーズンに向けて大規模改定があるようですね。その内容にもとても興味ありますが、オリンピックシーズンまでの数年間のルール総決算ということで、まずは現行ルールのおさらいをしてみたいと思います。
 ちなみに、便宜的に以下「ルール」と記載した場合は「ガイドライン」も含むことがあります。

 今回も選手名は敬称略で失礼させていただきます。

 ここ数年の代表的なルール改定による影響をまとめて、その改定に特定選手に利するような意図的な目的があったのかどうか、考えてみます。
 ネットの論調、「キムヨナに有利なように改定されてきた」「(浅田真央、安藤美姫を代表とする)日本人選手に不利なように改定されてきた」は本当でしょうか?

 まず、前提認識として、“結果的に”現行ルールが最も有利に働いた選手は、オリンピックでGOE17.4を叩き出し、圧倒的史上最高得点を得たヨナであることに異論はなかろうかと思います。
 とすると、考えられる可能性は3種です。

A.ヨナが現行ルールを最大限利用して自分をオプティマイズした。
B.現行ルールを(誰かが)ヨナにオプティマイズした。
C.偶然ヨナに有利な改定だった。

 以下、自分で納得するため「ネットの論調」がどこまで正しいのか調べてみようと思います。
 ちなみに当方素人ですので、ジャンプ系を中心にしか見られておりません。ご了承ください。

 さて…


■+GOEガイドライン改定

 09-10年シーズンから見るべき項目数が6→8となりました。
 ジャンプの例です。

08-09シーズン(ISU Communication 1505より)・・・1.~6.
09-10シーズン(ISU Communication 1557より)・・・1)~8)
比較しやすいように交互に並べました。

1. 予想外の / 独創的な / 難しい入り
1) 予想外の / 独創的な / 難しい入り
2. 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作からただちに跳ぶジャンプ
2) 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る
3. 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
3) 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
4. 素晴らしい高さおよび/または距離
4) 高さおよび距離が十分
5. (四肢を)よく伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
6. 入りと出の流れ(および、ジャンプ・コンビネーション/シークェンスではジャンプ間の流れ)が優れている
6) 入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークェンスを含む)
7. なし
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8. なし
8) 音楽構造に要素が合っている


 以下原文。

1. unexpected / creative / difficult entry
1) unexpected / creative / difficult entry
2. clear recognizable steps/free skating movements immediately preceding element
2) clear recognizable steps/free skating movements immediately preceding element
3. varied position in the air / delay in rotation
3) varied position in the air / delay in rotation
4. great height and/or distance
4) good height and distance
5. superior extension on landing / creative exit
5) good extension on landing / creative exit
6. superior flow in and out (and in-between in jump combinations / sequences)
6) good flow from entry to exit including jump combinations / sequences
7. -
7) effortless throughout
8. -
8) element matched to the musical structure


 推奨ガイドも以下の通り変更されています。
 08-09シーズンまでは(1505より)、
   +1…1または2項目
   +2…3または4項目
   +3…5または6項目
 09-10シーズンからは(1557より)
   +1…2項目
   +2…4項目
   +3…6項目

 以上の改定は、以下の観点から「+GOEを付けやすくする緩和」と判断していいと思います。

・例えばGOE+3を取るためのガイドだった「6項目中5~6項目に該当」が「8項目中6項目」となったこと。
・追加された2項目(7と8)はそれまでの6項目に比べると主観的要素が強いこと。
・第4項などでは「素晴らしい(sperior)」が「充分(good)」に変更されていること。

 ルール上は、難易度とGOE基準は無関係(難易度への評価は基礎点で反映ということ)らしいです。
 難易度が高い技よりも低い方が出来映えをよくすること(+GOEを得ること)は容易であろうと思います。

 つまり、この「+GOE緩和改定」は、
・「高難度の技で基礎点」よりも「難度を落としてGOEで稼ぐ」タイプの選手に有利な改定
であったと言っていいと思います。

 加えて、第4項において高さと距離を「and/or」から「and」にしているのもポイントです。
・高さと距離両方が出るジャンプを跳ぶ選手が有利
な改定となっています。


■2A基礎点アップ

 07-08シーズンから3.3→3.5になっています。同時にGOEのマイナス幅を拡大(同じ減点で3Tを越えないようにするため)。
・2Aが得意な選手に有利な改定
それ以外言いようがないですね。
 え? 3AがDGされた時にも有利???(苦笑)


■FSの2A回数制限

 07-08シーズンからFSでの上限なし→3回までに。
・2Aが得意で4回以上跳びたい選手に不利な改定
にはなりますが、たぶんそんな選手いないでしょうから、普通は誰にも有利不利にはならないしょうね。
 ちなみにヨナはGPF2006ではFSで単発2Aを3回跳んで優勝しています。


■3A基礎点アップ

 2Aから1シーズン遅れて、08-09シーズンから7.5→8.2になっています。同時にGOEのマイナス幅を拡大。
・3Aが得意な選手に有利な改定
です。ただし、そもそも女子3Aは超高難度の技ですので、さらにハイリスクハイリターンになったということです。
 前のシーズンで2Aも0.2上がっているので、2Aと比較すると実質0.5アップということですね。


■回転不足厳格化?

 ルール上明示されているものではありませんが、06-07シーズンからResultに「<」表記が登場しています。それまではDGされたジャンプの表記になっていました(3TのDGは2T。このシーズンから3T<となった)。
 同時に厳格化されたのかどうか、Resultがそういう経緯なのでそれ以前の確認ができないため判りません。
 また、回転不足の判定テクニックを持っていない身としては、もともと怪しかったのか、あるシーズンはアヤシイフォームだったのか、といったことは判りません。

 ちなみに真央はコンビジャンプのセカンドやサードを厳しく回転不足判定され、09-10シーズンでは結局3+3を回避しています。

・結果的に3+3を封印した真央に不利な厳格化
と無理矢理言えるでしょうか。


■DGによる減点運用の緩和

 09-10シーズンから「DG判定をジャッジに知らせないことにし、GOEはDGに関わりなく付けられるように」なっています(テクニカルパネルハンドブック09-10より)。
 それまでは、DG判定が出ると、例えば「3Tの回転不足は2Tの回りすぎ」として2Tの基礎点からGOEも必ず減点されていましたが、3Tの出来映えとしてGOEを付けることとなりました。
 間違えてはいけないのは、「回転不足の緩和」ではなく「DGとGOEによる二重減点が必ず発生することはないようにした」だけということです。
 これも突き詰めて言うと、テクニカルパネルのDG判定を気にせずGOE判定できるのですから、
・GOEで稼ぐタイプの選手に有利な改定
と言えると思います。


■エッジエラー厳格化?

・06-07シーズン
 Resultにはeも!もありません。

・07-08シーズン
 07/05/07発行のISU Communication 1445に以下の記述があります。

4. ジャンプ、フリップとルッツ(シングルおよびペア・スケーティングのSP およびFS)
間違ったエッジでジャンプが開始されたのが明らかな場合には、テクニカル・パネルは間違ったエッジでの踏み切りであることをジャッジに示し、各ジャッジはそれに従いGOE を減点しなければならない。


 ここから、つまり07-08シーズンから厳格化されたのかどうかは定かではありませんが、実際Resultにeが登場してきます。ただし、まだ!は登場しません。Resultの注記にもないので、まだ!判定はなかったのでしょう。
 また、「必ずマイナスでなければならない」といった記述はありませんね。実際、GOE0は頻出しています。

・08-09シーズン
 08/06/30発行のISU Communication 1504には先の記事に引用した記載があり、実際、08-09シーズンから!が登場してきます。

・09-10シーズン
 「テクニカルパネルハンドブック09-10」によると、

ジャンプの踏み切りが明らかに間違ったエッジで行われた場合(間違ったエッジが長い、正しいエッジが全くないなど)、テクニカル・パネルは “e” (エッジ)マークを用いる。この場合、ジャッジはGOE を-2 から-3 減点しなければならず、GOE はマイナスでなければならない。
ジャンプの踏み切りで間違ったエッジがそれほど明らかでない場合、テクニカル・パネルは “!” (アテンション)マークを用いる。
この場合には、ジャッジは-1 から-2 のGOE の減点をする必要がある。最終のGOE がマイナスであることは強制されない。


とあります。09-10シーズンからは1504のGOE規定=08-09シーズンよりも厳しくなっていると言えます。

 以上を踏まえつつ、真央の「3Lzエッジエラー」経緯を見てみます。Resultで確認できる07-08シーズンから。

・07-08シーズン
 07GPカナダ大会SP 3Lz「e」(GOE-1.6)
 07GPカナダ大会FS 3Lz「e」(GOE-1.4)
 07GPフランス大会SP 3Lz「e」(GOE-1.0)
 07GPフランス大会FS 3Lz「e」(GOE-1.2)
 07GPファイナルSP 3Lz回避
 07GPファイナルFS 3Lz「e」(GOE-1.0)
 08四大陸SP 3Lz「e」(GOE-2.57)
 08四大陸FS 3Lz「e」(GOE-1.14)
 08世界選手権SP 3Lz「e」(GOE-1.57)
 08世界選手権FS 3Lz「e」(GOE-1.29)

・08-09シーズン
 08GPフランス大会SP 2Lz「!」(GOE-1.00)
 08GPフランス大会FS 回避
 08GP日本大会SP 3Lz成功(GOE0.60)
 08GP日本大会FS 3Lz回避
 08GPファイナルSP 3Lz成功(GOE0.80)
 08GPファイナルFS 回避
 09四大陸SP 2Lz成功(GOE1.00)
 09四大陸FS 3Lz回避
 09世界選手権SP 2Lz「!」(GOE-1.00)
 09世界選手権FS 回避

・09-10シーズン
 3Lz全回避(2Lzもない)。

 07-08シーズンでけちょんけちょんに判定され、おそらく矯正して臨んだ08-09シーズンでは認定されることも出てきましたが完成に至らず、09-10シーズンでは結局完全回避(その代わりに3A)、ということですね。

 一方、「3Fのエッジエラー」を厳しく見られたキムヨナの経緯はどうでしょう。

・07-08シーズン
 エラーなし 
 「e」はありましたが「!」がないシーズンですので、eレベルのエラーはなかったということですが、!レベルはどうだったかは解りません。

・08-09シーズン
 08GPアメリカ大会SP 3F+3T成功
 08GPアメリカ大会FS 3F+3T成功
 08GP中国大会SP 3F+3T「e」(GOE-0.8)
 08GP中国大会FS 3F+3T「!」(GOE0.4)
 08GPファイナルSP 3F+3T成功 
 08GPファイナルFS 3F+3T成功
 09四大陸SP 3F+3T「!」(GOE0.4)
 09四大陸FS 3F+3T「!」(GOE0.6)
 09世界選手権SP 3F+3T「!」(GOE0.6)
 09世界選手権FS 3F+3T「!」(GOE0.4)

・09-10シーズン
 エラーなし

 08-09シーズン突如厳格化されて(ISU Communication 1504によるものと推定)eや!を食らっていますが、09-10シーズンにはしっかり矯正してきた、と理解できます。コンビは3Lzに変更していますが。

 以上を見ますと、
・結果的に3Lzを封印した真央に不利な厳格化
となりましたが、あくまでも結果的に、としか言いようがありません。不正な判定でない限り、真央のクセを狙い撃ちにして厳格化したという証拠はどこにもないからです。また、ヨナの3Fも厳しく見られています。「09-10シーズンにちゃんと修正したと見せかける隠蔽工作のために08-09シーズンはエラーをとった」などと言う見方はあまりに非現実的な陰謀説に偏りすぎでしょう。
 ただし、08GP中国大会でオーサーコーチが記者相手? に激しく文句言っていたということは覚えておく必要があるかも知れません。真偽のほどは判りませんが、美姫を名指しで非難したり、「非公式ルートで訴える」とか(*)、ヘンテコなこと言ってたり…

*:http://japanese.joins.com/article/041/107041.html


■まとめ

 この数年間のルール改定・厳格化は、ことジャンプに限っては以下のようにまとめられるかと思います。

・「高難度の技で基礎点」よりも「難度を落としてGOEで稼ぐ」タイプの選手に有利
・高さと距離両方が出るジャンプを跳ぶ選手に有利
・高さと距離いずれか一方しか出ないジャンプを跳ぶ選手に不利
・2Aが得意な選手に有利
・2Aが得意でFSで4回以上跳びたい選手に不利
・3Aが得意な選手に有利
・結果的に、3+3を封印した真央のような選手に不利
・結果的に、3Lzを封印した真央のような選手に不利

 となりましたが、たとえある傾向がみえる気がしたとしても、それが意図的なものかどうかは一体どうすれば判断できるというのでしょう。

 回転不足やエッジエラーの厳格化は、特定の選手への有利不利を問題にできる類のものではないと思っています。苦手にしていたりクセのあった選手が矯正に苦しんでいるとしても、ガンバレ! と声援を送ることしかできません。客観的な技術として、より厳格な方が完成度が高く美しいのは全選手共通の事実なのですから。
 ただし、目的は「技術の向上とそれによる芸術性の向上」でしょうから、それを伴わない単なる厳格化は意味を持ちません。

 また、回転不足やエッジエラー判定の甘さ辛さが特定選手にあるのではないか、というのは全く別のお話です。

 一方、たとえ「なんでいきなり厳格化?」とか「ひいきの選手にだけ厳しい」などと感じたとしても、それを正しく判断できるようなフィギュアに関する知識も経験も技術も見識もなにもない身としてはなす術を持ちません。

 自分が納得するためにひととおりまとめた当記事結果ですが、ジャンプ関連のみしかありません。本当に納得するためにはジャンプ以外もすべて調査まとめする必要がありますが、とてもとても…
 ということでISUに降参して、諦めて楽しく観ることにします(苦笑)。
 もどかしいこと、この上ないですが…


 しかし、こうして見ると「3+3封印」「3Lz断念」というハンデをすべて3Aで吹っ飛ばすという途方もない作戦…きっと3Aにすべてを賭けて決死の覚悟で臨んだのが09-10オリンピックシーズンだったのだ、ということが改めて判ってきました。
 真央、壮絶なシーズン本当にお疲れ様でした。そして本当にありがとう。

 素敵でしたよ、“トリプルアクセルの女王”さま!

 ←新採点法への対応苦労話がぎっしり。


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Author:らかせ
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