「浅田真央の不可解なジャッジ」の不可解

10/05/24初稿

 ネットでよくコピペされている「浅田真央の不可解なジャッジ」について、ちょっと気になったので調べてみました。
 そのままでは判りにくいので、文面は極力原文のまま(ってどれが原文だか定かではありませんが(苦笑))引用しましたが項目の順番やタイトルの大会名は変更させていただきました。
 今回は思わず「である調」になっちゃった(苦笑)。
 選手名敬称略で失礼します。

 まず、前提として「PCSやGOEはジャッジ(演技審判)の主観である」というルール・ガイドラインについて考えた記事の結論を挙げておきます。


■06-07シーズン

・GP日本大会(NHK杯)2006FS
 3Lz-2Lo-2Loは後半2つが回転不足判定だったのに、GOEでマイナスにしないジャッジが3名。史上最高得点(笑)はこういう経緯もあって他国から相手にされない。
 http://www.isufs.org/results/gpjpn06/gpjpn06_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒ISU Communication 1396(06/06/12付け)によると、シングルもコンボもシークェンスもジャンプのDGは「-1to-3,-GOE」とある。よって、確かに「ガイドライン通りではない」が、これは先のエントリーで考察した通り、「ガイドラインに遵守義務はない」ためと推察される。
 そもそも、「GOEでマイナスにしない」…つまりGOE0は真央以外にも頻出している。
 あえて「浅田真央の~」と言うべき不可解なジャッジではない。

・世界選手権2007FS
 2A-3Tが回転不足なのになぜかGOEでマイナスにしないジャッジが1名。
 http://www.isufs.org/results/wc2007/wc07_Ladies_FS_scores.pdf


⇒上記の通り。


■07-08シーズン

・GPフランス大会(エリック・ボンパール杯)2007FS
 3Lzがロングエッジだったにも関わらずGOEでマイナスを付けないジャッジ1名
 http://www.isufs.org/results/gpfra07/gpfra07_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒「e」判定に対するジャッジの判断については、07-08シーズンは「減点しなければならない」であって、「マイナスでなければならない」とは言っていない(GOEは加点と減点の結果として出されるので加点が減点を上回ればプラスもあり得る)。
 また、先のエントリーの通り、「e」判定でGOE0やプラス判定が出ている例は真央だけではない。
 あえて「浅田真央の~」と言うべき不可解なジャッジではない。

・GPカナダ大会(スケートカナダ)2007FS
 3F-3Loが回転不足だったのに何故かGOEでプラス評価したジャッジ1名、 マイナス評価にせずただの0にしたジャッジが2名
 http://www.isufs.org/results/gpcan07/sc07_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒正確には「3F+3Lo<」のこと。
 ISU Communication 1445(07/5/07付け)によると、「1または両ジャンプがDG=-1to-3,-GOE」なので、0や+1はガイドラインからすると確かにおかしい。が、DG時のGOEについては先の日本大会2006FS考察の通り。
 +1というのはちょっと目立つが、先のエントリーの通りヨナやセベスチェンの「e」判定に対し08-09シーズン以降のガイドライン「マイナスにしなければならない」を無視して+1が出ている例もあるので、「DG」判定で同じように+1が出た例があったとしても「浅田真央の~」と言うのはやや偏向的であろう。
 ちなみにGOE0は真央以外にも数え切れないほどある。

・世界選手権2008FS
 3Lzがロングエッジだったにも関わらずGOEで加点を付ける謎のジャッジ。
 このジャッジは続く3F-3Loが回転不足なのに再びGOEでマイナスを付けない謎の行動。
 こりゃさすがに問題になってもおかしくない。
 このおかしなジャッジのおかげもあり、0.92点差で優勝できたともいえる。
 http://www.isufs.org/results/wc2008/WC08_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒「e」についてはGOE+1のジャッジが1名。見解はGPフランス大会2007FSの項と同じ。
⇒正確には「3F+3Lo<」。GOE0のジャッジが1名。見解はGPカナダ大会2007FSの項と同じ。


■08-09シーズン

・GPフランス大会(エリック・ボンパール杯)FS
 3Aがツーフットだったのに何故かGOEで加点を付けるジャッジが1名、GOEでマイナスにしないジャッジが1名。
 http://www.isufs.org/results/gpfra08/gpfra08_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒1494には「踏み切りまたは着氷が両足=-2,-GOE」とあるので“本当にツーフットだったら”GOEはマイナスにしないとガイド的にはおかしい(ただし、繰り返しになるが、あくまでもガイドはガイドに過ぎない)。
 そもそも、ツーフット判定はテクニカルパネルからは出ない。ジャッジの裁量ということ。
 ビデオで確認してみると、フリーレッグのトウを引っかけたカンジの着氷になっている。ブレード全体は氷に着いてないように見えるので、ツーフットと判断しなかったジャッジもいたのではないか。解説の伊藤みどりは両足着氷と言っているが、それはあくまで解説者のコメントであってジャッジ判断を説明したワケではない。

・GP日本大会(NHK杯)2008SP
 3Loが回転不足だったのに何故かGOEでマイナスにしないジャッジが1名。
 http://www.isuresults.com/results/gpjpn08/gpjpn08_Ladies_SP_Scores.pdf


⇒正確には「3F+3Lo<」。1494によると、コンボの「1ジャンプがDG=-1to-2,-GOE」とある。見解はGP日本大会(NHK杯)2006FSの項と同じ。

・GP日本大会(NHK杯)2008FS
 PCSで全て8点台の大サービスを行っているジャッジが1名。
 おまけにこのジャッジはGOEでも+2の大サービスを連発している(No.5ジャッジ)。
 http://www.isuresults.com/results/gpjpn08/gpjpn08_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒PCSやGOEは主観だから(笑)。

・GPファイナル2008
 ショートのルッツは伊藤みどりすら「アテンション」と指摘したにも関わらず、e も ! も付かず認定され、おまけに加点まで献上するジャッジ。
 http://www.isuresults.com/results/gpf0809/gpf0809_SeniorLadies_SP_Scores.pdf
 フリーではやはりPCSで全て8点台の大盤振る舞いする謎のジャッジ1名。(No.1ジャッジ)
 http://www.isuresults.com/results/gpf0809/gpf0809_SeniorLadies_FS_Scores.pdf


⇒認定されているので加点があっても不思議ではない。伊藤みどりはあくまでも解説者としてコメントしただけ。
⇒だから、GOEとかPCSは…(苦笑)

・全日本選手権2008SP
 最初のコンビネーションジャンプは3回転-2ターン-2回転の回転不足判定。
 これはSPの要素「3回転からの2回転及び3回転のジャンプ」が抜けたので、ジャッジは全員GOEでマイナス3しなければならないのになぜかジャッジのNo.6はマイナス3とせずマイナス2としている。
 次は3ルッツ。重度のフルッツ見逃し。これは酷い。おまけにGOEで+1点の加点までついている謎。プンプン臭う。通常はエラーエッジであるためGOEでマイナス2から3の範囲でマイナス評価しなければならないのだが、浅田は加点を貰った。つまりここで3~4点の得(八百長)をしたということ。
 で、驚くのはまだ早い。スピンとステップのGOEを見てみよう。特に注目はステップ。レベル4を獲得し、GOEはオール+2判定wwwこんなのアリなのか?www 男子のトップ選手ですらレベル4認定を受けることは非常に稀であり、おまけにGOEで+2ということはプルシェンコですらない。これは酷い。酷すぎる。
 この他、スピンやスパイラルでも謎の加点がつきGOEで稼いだ。
 もはや八百長といわずして何といえばいいのか?
 http://www.skatingjapan.jp/National/2008-2009/fs/national/J/data0203.pdf


⇒この項かなり力説しているが全日本はISU大会ではなく国内大会。
 そこまでツッコんだらそりゃ各国いろいろある。
 例えばカナダ選手権2010FS(*1)のパトリック・チャン。
 Skating Skillsで9.75を出してるジャッジがいる(笑)。
 例えば全米選手権2010SP(*2)のジョニー・ウィアー。
 Transitionで3.75を出してるジャッジがいる(爆)。
 ところで、これってくだんのインマン氏らしいんだけど、匿名制なのになんで判るんだろ?(後日追記:匿名ルールが適用されるのはISU大会だけかな?)

*1:http://results.skatecanada.ca/2010CDNS/sd2.pdf
*2:http://www.usfigureskating.org/leaderboard/results/2010/64740/results.html

・四大陸選手権2009SP
 単独のトリプルジャンプが求められていた場面で2Lz。このジャンプは要素抜けなるためGOE-3にしなければならないのに何故かNo.9ジャッジただ1人マイナスにすらしない0。どういうこと?w
 おまけにTESで10位だったにも関わらずPCSで救済発動し3位、総合で6位となりなんとか最終グループ入り。
 http://www.isuresults.com/results/fc2009/FC09_Ladies_SP_Scores.pdf


⇒1494には「SP:必須回転数未満(ダウングレードではない)=GOE-3」とあるので、「GOEは-3に固定せよ」と理解できる。よって、ガイドに従えばGOE0にしているジャッジが1名いるのはおかしい(9名中その他8名は-3)。
 ガイドラインだから無視したのか、はたまたヒューマンエラーか。
 ここで、当の四大陸選手権2009SPについて他の結果も見てみると、真央以外にも2Lzや2FでGOE-2などが散見される。つまり“そういうジャッジをする大会”だったようなので、「浅田真央の~」と限定する理由はない。
⇒「PCS救済発動」は八百長説に類するもの。TESは28.76で確かに10位。総合得点で6位なので、PCSで4人抜きしているのが八百長だと言っていることになる。
 抜いた(というのは不正確だが)のは、鈴木明子(TES30.88)、シズニー(同30.1)、フラット(同30.0)、ラコステ(同29.62)。
 ラコステは減点1があるので、実質的にはPCSで抜かずとも上回っている。
 フラットは3F+3T<のDG判定、3Lzではe判定が出ており、GOEもそれぞれ-1.8、-1.6。
 シズニーにも減点1があり、実質0.34差となる。3FでDG判定と!判定を受けており、3Lz+2TもGOEは-2。
 鈴木も3Lz+2Tに!判定が出ているのと、3FではGOEは-1.6。
 以上より、真央と同じくTESで減点要素のあったシズニー(0.34差)、フラット(1.24差)をPCSで逆転していることに特段の疑問は感じ得ない。
 鈴木との差(2.12)は若干大きいが、鈴木のPCSが伸び悩むのはいつものことで、結局総合得点では真央だけでなくシズニーとフラットにも抜かれて9位に沈んでいる。つまり真央のPCSが高いというよりアッコちゃんのPCSが低いということ。個人的にはこっちのPCS伸び悩みの方が“不可解”(苦笑)。
 以上、「救済発動」というような不自然な逆転(?)とはとても思えない。

・四大陸選手権2009FS
 冒頭ジャンプで1A、続くジャンプも3A単独になり、予定していた3Tは2T。
 コンビネーションは2つしか入らず、トリプルジャンプは3種類の4つだけ。
 なのに何故かPCS爆上げでフリートップ。どういうことですか?w
 なにか大人の事情があるんですか?
 http://www.isuresults.com/results/fc2009/FC09_Ladies_FS_Scores.pdf


⇒だから、PCSは主観なんだってば(笑)。
 というのはさておき、「フリーでトップ」と言うのはつまり順位のことで相対的なお話。なので他の選手の出来を考慮して語らないと意味がない。
 例えばフリー2位のロシェット(PCS58.56)はジャンプシークェンスを2回ミスしているし、3位のヨナ(同60.88)はDGを2回、!判定を1回、減点1という出来。
 なお、“爆上げ”だというPCSだけの順位で言うと、真央は60.08でヨナに次ぐ2位。

・世界国別対抗戦2009SP
 回転不足ばかりのループと全く跳べないルッツを外し、3A-2T、3F、2Aの構成に変更。
 その3A-2Tでは明らかな回転不足が見られたもののなぜか認定され加点もゲット。
 単独の3Fでは男子でもありえない1.6点というご祝儀加点を貰う。
 続く2Aではプルシェンコですら出していない2.0点もの異常な加点をゲットした。
 そればかりではない、ステップでは男子でもほとんどいないレベル4を獲得し、さらに加点は1.8点(笑)。こんなあからさまなことする理由はなに? どういうことですか?w
 http://www.isuresults.com/results/wtt2009/wtt09_Ladies_SP_Scores.pdf


⇒実際にはDG判定くらってないので加点があっても不可解ではない。「そのDG判定が正しいか」を言い出したらキリがない。
⇒GOEやレベル判定の妥当性についてはすでに述べてきた通り。
 もし、ある特定の選手のジャッジに関する妥当性(正当性)について「こんなあからさまなことをする理由はなにか」と疑惑を言うのなら、いろいろな選手に対するいくつもの判定の疑問をすべて検証した上で、「特定の選手だけが不可解」であることを証明する必要があろう。それらの中には「高すぎるのでは」という疑問だけでなく「低すぎる」という疑問も存在するだろうから、それらをあまねく対象とせねばフェアではない。
 が、どんなにがんばってもその証明は無理だと思う。だって何度も言うようにジャッジ(ISU)の主観なんだから。その主観すら意図的に醸成したのではないかと疑惑を感じたとしても、素人に解明できるハズもない(できるとするならスクープ狙いのスポーツジャーナリストくらいか)。
 ところで、「男子でも出せない異常な加点」という観点を取り上げるなら、バンクーバーFSで17.4を叩き出したヨナを分析した方が実があると思うのは私だけかな(爆)。余計なお世話か。


 以上、ざっと検証してみましたが、
「“真央に限って”おかしな(甘い)ジャッジが頻出している」とは言えない
と結論していいと思います。
 真央限定ではなく他の選手も含めてのお話なら、発生している内容としては「不可解なジャッジ」はありますがね(笑)。

 このコピペ、来シーズン以降も増補されるかも知れませんが、たぶん“手法”は同じでしょうね。


メインメニューへ

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

ERIへようこそ

らかせ

Author:らかせ
 「最新記事」または「メインメニュー」からどうぞ

・ファイルへの直接リンク以外はリンクフリー(連絡不要)です
・一応、拍手にコメント(非公開)付けられるようにしてあります
・DB的に利用しており、過去記事もガシガシ書き換えています。特に「最新記事」は初稿から一週間くらいは直してることが多く、大幅に変わっちゃうことも。ご了承ください
・ということもありますし、記すまでもないですが無断転載(ファイル含む)はご遠慮ください
・引用の考え方については「007:諸事」をご参照ください
・アフィリエイトはAmazonのみです
・ハイパーリンクは当Blog記事のみです(054:節電記事のみ例外)

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
FC2カウンター