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DACよ健やかなれ

10/07/03初稿

 いよいよ核心に迫る記事をひとつ。

 「なんで音が変わるの? デジタルなのに」です。

 以下「変わる」を前提に記しますが、そもそもそれに異論ある方もいらっしゃることでしょう。
 でも、「バイナリが変わらないんだから音は変わらない!」なら、「\2万で組んだPCのオンボード機能からのファイル再生」「音質を考慮して\30万で組んだPCの拡張カードからのファイル再生」「\100万のCDトランスポートのCD再生」「\9,980のCDラジカセのCD再生」をS/PDIFで\100万のDACユニットに繋いだとき、出てくる音は全く変わらないと言っていることになります。

*:そんな比較やったことありませんけれど。なお、当然CD読み取りエラー補間ナシも含めたビットパーフェクト前提で。DACユニットはACからの影響がないよう念のためバッテリ駆動想定ということで。

 AVアンプなどを使う時も、「データ送信デバイスは何を使っても同じ」「I/Fも、光S/PDIFでも同軸S/PDIFでもHDMIでも10BASEでも100BASEでもGbEでも11bでも11gでも11nでも、USB1.1でも2.0でも3.0でも変わらない」という説になります。

 それは極端だよ、ということで、もし、例えば「流石に送信側装置を替えたら変わる」というなら、その時点で「デジタルだから音は変わらない説」ではなくなり、個別の場合分け説(ケースバイケース説?)になりますよね。
 しかし、場合分け説のツジツマ合わせは結構難しいと思います。例えば
「DACユニットを使う場合は送信側装置を替えれば変わる。が、単体再生であるWalkmanでmicroSDカードを替えても変わらない」
「HDDとSSDでは変わる。が、WalkmamでmicroSDカードを替えても変わらない」
「CD再生とファイル再生ではサーボがなんちゃらするしないで変わる。が、WalkmamでmicroSDカードを替えても変わらない」
という場合、その違いの理由を矛盾なく説明できるでしょうか。

 自分の経験上からは少なくとも「変わらないとは言えない」ので、理由を考えた次第です。


■すべてはDACに帰結する

 音質が変わるというのは、最終的には鼓膜(もしかして全身?)で感じる主に空気の振動の質が変化したということ。音源がDigitalだろうがAnalogだろうが、最終的にはアナログ的に知覚しているワケです。
 一方、これまでの当Blogでの検証から、十分考慮されたシステムにおいては、Digital音声信号(データ)は音源からDACまで改変なく届いてると判断していいと思います(Bit Perfect。以下、これは前提とします)。
 ですので、

Digtail信号をAnalog信号に変換する過程で、データとしては同じDigital信号でも異なるAnalog信号になるような要因がある

ということになります。

 上記の「Digital信号を~」というのはDACのお仕事です。
 つまり、すべての鍵はDACにあり! なのではないでしょうか。
 とすると、DACの動作を変化させる要因は何でしょう?

 ちなみに、以下の記事内容にはDACの意味として「DACチップ」と「DACユニット」が混在していますが、適宜ご判断ください。
 また、以下に記す要因の中でも特にGNDノイズなどはDAC動作とは関係なくAnalog段に直接影響している可能性もありますが(DigitalとAnalogでGNDは完全アイソレーションされていませんので)、煩雑になりますので本稿では取り上げていません。

 さて、ケーブルを換えたりしても、WAVファイルの中身のバイナリが一致するかというような静的な観点から見ればDACに届くデータは変化しません。とすると、電気信号波形の動的な変化がDACの動作に影響している、と考える他ありません。「0」と「1」、つまりHighかLowの変化を伝送しているだけなんですけどね。
 電気信号の伝送は二次元的なお話ですから、影響として考えられる「DAC動作への影響の要因」は、

 ・振幅方向の揺れ
 ・時間軸方向の揺れ

の2種しかあり得ません。前者が「ノイズ」、後者が「ジッタ」と言っていいと思います。といっても、もちろん0/1が崩れるようなレベルのものは発生していないという前提です。
 それらを極端にデフォルメするとこんな↓イメージです。あくまでイメージですよ、イメージ。
波形イメージ
 デジタル信号と言っても、このような要素(もちろんどれかひとつというワケではありません)で波形はさまざまです。
 入ってくる0/1情報としては同じでも波形が変わればD→A変換動作は影響を受けるのではないか、という考え方です。

 I2Sのような複数線シリアルやチップ内部などのパラレルデータバスにおいては、各信号間タイミングの差異もDACへの影響要因として考えられるかも知れませんが、ここでは割愛します。

 Digital音声信号の伝送は通常シリアルで行われています。S/PDIF(Embedded Clockなので1本)もそうですし、CDプレーヤやAVアンプの中のDACやDSP間のI2S接続(CLKとLRCLKとDATAの3本構成)もシリアルです。しかし、DACはシリアルに受信する1bitごとにAnalogに変換しているワケではありません。当たり前ですが。
 DACは1bitずつシリアルに受信したデータをそのプロトコルに準じて分解し、1サンプル分ためこんで(ステレオですので正確には2サンプル分)、エイヤっと電圧に変換します。CDのデータだったら、L/Rぞれぞれ16bit分蓄積し、1/44100秒に一度、65536段階の電圧に変換しているワケです。
 つまり、動的にシリアル/パラレル変換しているワケですね。PCM方式におけるマルチビット型DACによるD/A変換動作を超基本概念として書くと、ざっくりこういう理解でいいと思います。
 もちろん実際にはこんな単純なハズはありません。実はDACの中でもデジタルフィルタなる“信号処理”をしていますし、扱うデータフォーマットもDSD方式では事情が全く違いますし、DACの種類(最近の主流はマルチビット型ではなくΔΣ型。DSD考察記事参照)によっても、動作はもちろん異なります。

 が、いずれにしても、DACの中では「Analog音声信号を得るために結構忙しくDigitalな処理」をしているワケです。
 このようなDACの動作において、シリアルで入ってくるDigital音声信号の「ノイズ」「ジッタ」が0/1信号を電圧変換する回路(DACの本丸ですね)に影響を与え、生成された電圧(電流)=Analog音声信号を変化させると考えています。

 上記リンク記事にて言及していますが、特にΔΣ型DACの場合「LPF通すとAnalog音声になるDigitalストリーム」を“Digital演算で生成”しているワケですから、インプット波形品質と演算品質によるデジタルストリーム品質の違いがアナログ品質に与える影響はかなりあるのではと感じてしまいます。LPFに入るデジタル波形が上図のように異なったら、LPFからの出力結果は変わらないでは済まないのでは。
 もちろん素人考えですが。

 何かを変えた時のDACへの影響要因としては、上のような直接的なDACの音声信号の変化だけでなく、「システム全体のグランドの変化」とか「輻射ノイズの変化」といった可能性も否定はできませんが、例えばPCのOS設定変更がそのような影響まで与えるとは考えにくいと思っています。ので、本稿ではその可能性は考慮しないで記しています。


 15/06/03追記:BCLK波形をダンピング抵抗などの調整で整形したら音が変化したというBlog記事を書いてる方がいらっしゃいました。
http://tackbon.ldblog.jp/archives/52338576.html


■ノイズはなぜ発生し影響するか

 Digitalって、つまるところ0と1の高速スイッチングなので、その波形にはノイズが付きもの。絵に描いたような真四角の矩形波なんて見たことない。
 Digital信号の本質は「0=Low」と「1=High」ですから、波形自体がかなり崩れていてもノイズが乗っていようとも、受信側がラッチするタイミングでレベルが確定していればデータ転送は成立します。PCなんかはそれでOKです。
 が、Audioの場合、例えば波形に酷いオーバーシュートやアンダーシュート、リンギングノイズがあれば、DAC内部の回路内を流れる電流に微少なりとも変化を与え、GNDを揺さぶることになり、回路を流れる電流に影響を与えてGNDが揺れれば当然アナログ音声出力電圧も揺れる=音質が変化することになります。なにせ、16bitは65536段階ですから、出力電圧レンジが1Vppだとしたら実に0.00015V単位ですもの…
 ということで、それぞれのI/Fではどんな事情があるか見てみたいと思います。

・PC→DDC事情(USB)
 そもそもPCは超高速に0/1の伝送を成立させるのが最優先であり、波形の品質は二の次です。そのため、よく言われるようにPC内部は“ノイズの嵐”だと思います。PCとDDCを電気的に接続するということは(USBでも1394でも)、信号ノイズもGNDノイズもお互い共有するということです。
 これがそのままDDC出力S/PDIFの信号品質(ノイズ&ジッタ)に影響するのは自明かと思います。

・DDC→DAC事情(S/PDIF)
 通常はS/PDIFが使われています。同軸と光がありますね。通常は同軸の方が音がよいとされています。電気→光→電気の変換がない分ジッタが少ない(?)からだそうです。
 しかし、同軸ならDDC側で発生しているノイズはほぼ確実に伝送されます。前述の通り、それにはUSBや1394経由で共有してしまうPCからのノイズも含まれます。信号だけでなくGNDに乗るノイズも同時に共有することになります。それぞれ別電源を持つPC・DDC・DACの3デバイスのDC側GNDはショートするワケですから、グランドループによるGND不安定化の問題も発生する可能性があります。Digital側とAnalog側のGNDをアイソレーションしているDACの存在は寡聞にして知りませんが、AX2700ではバッチリショートしています。Digitalでは0/1が判明すればいいのですが、AnalogでGNDが乱れるとそれはそのまま音質に影響するハズです。

 光ではどうでしょう。残念ながら、光でもノイズは伝播するのだろうと思います。光伝送は伝送経路において「電圧」を「光の強さ」に置き換えているだけですから、ケーブルを含めた送受信環境がピュアであればあるほど受信側で送信側の電気信号はノイズも含めて忠実に再現されることになるであろうからです(この再現性の違いが、光ケーブルを変えると音が変わる理由だと思います)。
 しかし、GNDをアイソレーションできるという点おいて、特にPC-AudioのS/PDIFとしては実は光の方が有利なのではと考えています。アナログを受け持つDAC側が必死にキレイに保っているGNDをDigital処理オンリーの前段側(PC→DDC)に汚されることはありません。絶対に電流が流れませんので。

 上記を鑑みると、DACに接続している使っていない装置は光接続でも電源切った方がいいかも知れません。無音でもデータ通信はしている状態なので(だからTOSLINKは再生していなくてもいつも赤く光っている)、選択されていないInputでも受信側では電気信号が発生している可能性がありますので。

 なお、本稿はPC-Audioを前提に記していますが、従来からもAVアンプなど「かなりデジタルな処理」をするAudioコンポーネントに、ビデオ回路やDSPを切ったりすることで音質向上させるモードが存在していると思います。YAMAHAで言えば「ピュアダイレクト」モードですね。不要なデバイスや回路をOFFにすることでアナログ音声の品質向上するということです。
 このピュアモードの音質変化有無に異論ある方は少ないのではと思います。消費電力の大きなデバイスのGNDへの影響、高速処理するデバイスのデジタルノイズ(筐体内輻射も含め)の影響が体感できるということはつまりデジタルなのに音が変わる理由と実例のひとつと言えるのではないかと思っています。


■ジッタはなぜ発生し影響するか

 これはジッタ考察記事で詳述しましたのでそちらをご覧ください。
 発生原因はppmじゃないし、直接的な音質への影響はサンプリング周期のズレじゃなく「ノイズ」と同じようにDACの中心回路に影響を与えているため、だと推察しています。


■PC-Audioではどうすべきか

 以上、Digital-Audioでは、要するに「DACをどれだけ健やかに動作させることができるかがキモになる」と言えるのではないでしょうか。
 そのコンセプトをPC-Audioに展開するとどうなるでしょう。
 前述した通り、PCをノイズの塊とみなすなら、少なくともDACに至る前のどこかで、少なくともGNDは電気的にアイソレートすべきでしょう。

 DDC→DAC間では、S/PDIFを光(Optical)接続にする手段があります。
 PC→DDC間のアイソレートは出来るでしょうか?
 DDCの中にはUSBをアイソレートするものもあるようですが、例外的と言えましょう。

*14/06/21:その後、そのような機種も増えてきています。

  ←RUI-1。ケーブル段階でアイソレート


 USBアイソレーションは有効そうですが、もうひとつの選択肢が「Wireless」です。USB-Audioでありながら、USBケーブルを使わず、DDCへの転送を無線で行うものです。USB-Audioのプロトコルをそのまま使って物理層を無線にしたものと理解すればよいと思います。
 無線ならPC→DDC間をGNDのみならずデータ信号も含め、電気的に完全にアイソレートできることになります。そして無線DDC→DAC間を光にすれば、
PC・DDC・DACの3デバイスを完全に電気的に独立させることが可能となります(もちろん電源はAC側でショートしますけど)。

 その効果は本当にあるのでしょうか? 無線化についてはエントリーを改めて記したいと思います。


 13/03/26追記:現時点、ウチでは光HDMIでPCとDAC(というかAVアンプ)をアイソレートしています(詳細は光HDMI記事をご覧ください)。


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Author:らかせ
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