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リッパーの「エラー訂正」とは何か(iTunesがエラー訂正しているのか)

11/01/01初稿

 CDから正確にWAVファイルをリッピング(Ripping)するにはそれができるソフト(いわゆるセキュアリッパー)を使うべきであると言うハナシがあります。≪Exact Audio Copy≫(以下≪EAC≫)や≪PlexTools Professional≫あたりが代表的なところでしょうか。
 それらでは「C2エラー発生」をトリガにしていろいろ動いているようです。
 しかし、C2エラーは「訂正不可能」なエラーのハズなので、それが発生しちゃった状態で「リッピングソフトのできること」はかなり限られていると思うのですが、実際、どんな機能でどんな動きをしているのでしょうか。「セキュアリッパー」を使わないと「ビットパーフェクト」なWAVファイルを得ることはできないのでしょうか。

 その観点で、上記ふたつのソフトを見ていきたいと思います。


■前書き

・C2エラーを問題にする
 両ソフトとも、C2エラー発生をトリガにしていると説明しています。
 訂正可能なものは訂正すればよいのですから、それをトリガにしてリカバリ動作するのは無意味です。ので、やはりドライブが出す「C2エラー情報」は訂正不可能なものについて(*)だと思います。

*:訂正不可能なエラーはCUエラー(Uncorrectable Error)と呼ばれることもあるようですが、本Blogは訂正不可エラー=補間対象=C2エラー派です。

 なお、当Blogでは、特記なく「エラー訂正」「補間」と記した場合、“CIRCによる”C1/C2エラー訂正および補間のことを指すことにしています。
 「訂正」は正しい値に戻る動作ですが、「補間」はその保証はない動作として記述しています。また、「CIRC」はドライブ側の機能であってPC側ソフト(Ripper)の機能ではありません。
 詳しくはそもそも音楽CDのエラー訂正とは何かを考えた記事をご参照ください。

・フレームズレは問題にしない
 ちなみに、「エラー訂正」にはビットエラー以外にフレームズレ問題も絡むと思いますが、本稿ではC1/C2エラーに関する考察に限定します。
 前者がいわゆる「Read Error」、後者がいわゆる「Sync Error」かなぁとは思ってますが…
 考慮してなくていいと考えている理由を示します。

(1)上記の音楽CDのエラー訂正とは何かを考えた記事に引用している通り、昔はダメでしたが、イマドキのドライブには「フレーム位置を正確に認識できる能力(リッパーベンダなどはAccurateStreamと呼んでいる模様)」があるハズなため。

(2)波形編集ソフトでフレーム単位(588サンプル)でカットしてみると、解らない場合もありますが大抵は「ブチッ」というノイズに聞こえます。が、それをリッピングで体験したことはないため、イマドキはフレーム問題はまず発生していないと思われるため。

(3)C1/C2エラーの検出・訂正ができれば、フレームズレは当然ケアできると考えているため。


■≪PlexTools Professional≫の場合

・DAEのヘルプ
 まず、ソフト本体には「DAEエラーリカバリーの設定について」というタイトルのヘルプがあり、以下のような機能説明になっています。

DAEヘルプ

・webサイトの説明
 次に、Plextorさんのwebサイトにある説明文(11/01/01現在)を以下抜粋します。
 出典:http://www.skcj.co.jp/discon/plextool/ptp_06.html

音楽CDからオーディオデータを読み取る場合、ディスクの傷により、エラーが発生する場合ばあります。その対処方法として4つのモードを用意しました。

Report Errors only (no recovery action)
エラーの報告だけを行い、エラーの訂正は行いません。

Reduce the speed upon error
エラーが確認され場合は読み取り速度を落として読み込みます。

Read again upon error
エラーが確認された場合は リトライで指定された回数だけ読み込みを繰り返します。速度ダウンを許可が有効になっている場合、さらに低速で再読み込みを行います。

Recover the best sector (least errors)
最もエラーの少ないセクタを選択する。エラーが確認された場合は指定回数だけ読み込み の少なかったセクタを繰り返し、それでもエラーが残る場合は最もエラーを選択して読み込みます。速度ダウンを許可が有効になっている場合、さらに低速で再読み込みを行います。

注:日本語ヘンですね(笑)。ヘルプの文章から“エラー訂正(補間かな?)”してみます。
「最もエラーの少ないセクタを選択する。エラーが確認された場合は指定回数だけ読み込みを繰り返し、それでもエラーが残る場合は最もエラーの少なかったセクタを選択して読み込みます。速度ダウンを許可が有効になっている場合、さらに低速で再読み込みを行います」

Recover the best bytes (least errors) per sector
セクタ毎バイト単位でエラー訂正を行います。エラー訂正が確認された場合は指定された回数だけ読み込みを繰り返し、それでもエラーが残る場合は最もエラーの少なかったバイトを選択して読み込みます。速度ダウンを許可が有効になっている場合、さらに低速で再読み込みを行います。


・Plextor社が言っていること
 実際のソフトの説明とwebサイトの説明は文章が異なりますが、概ね同じことを言っているようです。

 まず最初に、「C2 Error Flag」が発生したら訂正はできないって宣言してるように読めます(やっぱりC2エラーは訂正不可=補間対象のようです)。
 効能として「エラーが無い」じゃなくて「最もエラーの少ない」とも仰ってることからも、訂正できないと理解してよさそうです。

 最後のふたつは、「それでもエラーが残った場合は、何回か読んだ結果一番よさげなセクタ(またはバイト)を選択する」ということですよね。つまりエラーは発生したままで訂正できない場合があることを示してます。

 ところで、≪Plextools Professional≫は欧州Plextorが開発したソフトらしいですね。とすると、上記の各モードの名称は原文ママの可能性が高いと思います(本文はなんとも“和訳”っぽいですし(苦笑))。
 モード名には「Correction」は使われていません。「Recover」ですね。それを踏まえて先入観なく説明を読んでみると、「エラー訂正している」とは読めないと思います。「Recover」を「訂正」としたヘルプの訳はちょっとマズイような気がします。

 以上より、C2エラーが発生したことを検出した時のリカバリ方法(エラー発生なく読めないか何回かトライするとか)がいくつか選択できるのがこのツールの機能ではないでしょうか。ヘルプの最初に書いてある通りですね(苦笑)。


■≪EAC≫の場合

・リッピングファンクション
 非常に多機能なソフトですが、CD焼きなどは考えず、PCで再生することを目的にWAVファイルをRippingすることに関しては、公式サイトを読みますと、以下の機能を持つ「セキュアモード」が特長になると思います。

・2度読むか、「拡張エラー情報(C2エラー情報)」を用いてエラーを検出する

In secure mode this program either reads every audio sector at least twice or rely on extended error information that some drives are able to return with the audio data.
出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/overview/basic-technology/extraction-technology/

・エラー検出したら、16回を1セットとして繰り返し読む。16回中8回同じ値が読み出せた場合は正しい値と位置付けて繰り返し読みを終了する(本当に正しいかは別)
 この動作からすると、読み直し時はドライブからのC2エラー情報は用いていないと推定されます。

#≪EAC≫純正情報ではありませんが、http://www.cd-ripper.com/secure-ripper.htmにC2情報を利用する場合としない場合のフロー説明があり、それを見ても上記の動作のようです。

If an error occurs (read or sync error), the program keeps on reading this sector, until eight of 16 retries are identical, but at maximum one, three or five times (according to the selected error recovery quality) these 16 retries are read.
出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/overview/basic-technology/extraction-technology/

・16回リトライを最大5セットで80回、デフォルトで2回読んでるのを加えて、最悪82回読み直す

So, in the worst case, bad sectors are read up to 82 times!
出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/overview/basic-technology/extraction-technology/

・読み直しの際は自動的に読み取り速度を減速したりする(対応ドライブのみ)

Automatic speed reduction on read errors and fallback to a higher speed afterwards (depends on the used drive)
出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/overview/features/features-of-eac/

 つまり、何度も何度も粘り強く読む(ことをドライブに指令できる・読み方を設定できる)のがミソだと思います。

 また、FAQの方には次のような記事が。

What is C2?
On all CD-ROM media are at least two levels of error correction, called C1 and C2. If both fail, the output is probably not correct anymore. Most drives are not able to report if audio reads failed or not, so each block had to be read twice and be compared to make sure that everything is fine. But some newer drives are able to report if C1/C2 failed on specific samples on a read, making it possible to read only once and see if a read error occured. But there is still a problem, as some drives do not report these errors correctly, so you should test it thoroughly before trusting the results.

出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/support/faq/extraction-questions/

 「C1とC2というエラー訂正レベルがあるけど、両方やって訂正できなかった場合はもうダメ」と書かれています。Plextorと同じですね。さらに「ほとんどのドライブはエラー発生をレポートしてくんない」「だから2回読んで比較することで正確さを期していた」「しかし新しいドライブではC1/C2エラーをレポートしてくれるようになったので1度読みが可能になった」「まだ問題あるけどさ」という内容かと思います。

・その他のファンクション
 ≪EAC≫の優秀な機能の中で、公式webサイトを中心に調べて「単純に楽曲データとしてビットエラーのないWAVファイル得る」ことを目的とするならあまり関係ないだろうと判断した機能は以下の通りです。

・ギャップ技術
  トラック間無音部を抽出して前後どちらのトラックにくっつけるか無視するか選べる。

・トラック同期技術
  「Accurate Stream」機能を持たないドライブではトラック間に無音部分が
 ない場合に問題が起こる可能性があるのでそれを同期させる
 (同期の意味はよく判りません…)。
  Accurate Stream対応ドライブなら無関係と判断

・オフセット技術
  CDメディアとドライブの問題…セルCDと完全同一なCD-Rを作る時の課題であって、
 ファイル抽出とは基本的には関係ないと判断。
  17/04/18追記:前言撤回。「オンラインDB照合サービス」を利用するためには必須。
  illustrare社によると、オフセット値は自社もPlextor社も≪EAC≫に倣っているとのこと。


■セキュアリッパーの本質

・CIRCを制御しているワケではない
 両者とも、C1/C2エラーに関する「CIRC規格で行う訂正」自体をソフトウェアで強化しているワケではありません(ドライブ側の役目なので当たり前ですが)。
 上記で見てきた通り、開発者さんの説明を読み込むと、セキュアであることの本質はC2エラー発生が判ったらいろんなやり方で何回もリトライリードすることでエラー発生なく(補間発生なく)読もうとする機能だと理解できます。

 ミソは「C2エラー発生(補間発生)をどうやって知るか」だったんです。

・ドライブのC2エラーレポートは信用されていない
 しかし、どうもC2エラーレポートはドライブによって実装が不確からしい(少なくともセキュアリッパーの開発者はそう認識している)です。

・事例1:≪EAC≫の見解は上述の通りですが、Drive optionのポップアップ解説も追加しておきます。

Some never drives can return C2 error infomation in addition to the normal audio data.In tha case EAC dosen't need to read all data twice anymore,resulting in a big speedup.But beware:in the drive feature detection,some drives will report that they support C2 when they acutually do not.To test this faeture more thoroughly,there is an additional function at the bottom.
出典:≪EAC≫ Drive option「Drive is capable retrieving C2 error infomation」のポップアップ解説

・事例2:≪dBpoweramp≫は次のように言っています。
Advanced all CD drives are equal, sadly not. Some drives support C2 error pointers well, many have no support, whilst others might have a poor C2 implementation (C2 pointers tell the ripping program when a section of audio has errors). dBpoweramp is the first ripper to take drives with any C2 implementation any use it in an only beneficially correct way.
出典:http://www.cd-ripper.com/cd-ripper.htm

・事例3:Mac用リッパー≪XLD≫には「C2エラーの情報を利用する(機能するドライブは限られます)」というチェックボックスがあるようです。
出典:http://www.phileweb.com/review/article/201206/29/536_2.html

・ドライブが信用できないならC2エラー発生をどうやって検出するか
 そこで、汎用リッパーでは「C2エラーレポートを信用するモード」以外に、「信用せず、2度読みコンペアすることでエラーを見るけようとするモード」を用意しているということですね。
 ≪EAC≫では、ドライブの設定「Options for drive」のSecure modeにも以下のような設定項目があります。

  ・「Drive has `Accurate Stream`feature」
  ・「Drive caches audio data」
  ・「Drive is capable retrieving C2 error infomation」

 つまり、≪EAC≫では、Secure modeでも、C2エラー発生の有無を確認する手段には

・ドライブからのC2 error infomationを信じる
・ドライブからのC2 error infomationを信じず、自分でリトライリードして補間発生を認識&補間ではない値を確率的に設定する

の2種があるようです。

・キャッシュからリトライリードしても無意味
 リトライリードは、ドライブのリードキャッシュから読んだのでは意味がありません。キャッシュを持つドライブでは、キャッシュを無効化する必要があります。

(1)≪EAC≫は、オーバーリードしてクリアしていると説明しています。

When drives cache audio data, every sector read will be read from the drives cache and is that way always identical. Basically there are several ways to clear the cache. In newer versions it will overread sectors, so that the cache contains sectors from a position elsewhere on the CD.
出典:http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/overview/basic-technology/extraction-technology/

If your drive chaches the audio that was just read,it would be a ploblem to read this data again in order to compare both extraction to find out if they match.In that case this option has to be enabled,so that EAC will clear the cache by overreading it.Your drive's support for this feature can be tested using the function at the bottom.
出典:≪EAC≫ Drive Option「Drive caches audio data」ポップアップ説明

(2)≪dBpoweramp≫は、キャッシュ容量以上を読んで無効化していると説明しています。

Caching is employed by the majority of drives to improve performance, but caching stops secure extraction: when a secure ripper tries to re-rip the same section a 2nd time, instead of getting audio from the disc, audio comes from the cache (which is the same as the first rip). A secure ripper must be able to detect and invalidate the cache (by reading more than the cache value before the section of audio desired).
出典:http://dbpoweramp.com/spoons-audio-guide-cd-ripping.htm

(3)≪PlexTools Professional≫にはキャッシュ問題はなさそうです。以下に記すような特殊事情があるためです。


■特定ドライブ専用リッパーの強み

 リッピングには上記のような問題がありますが、汎用ソフトならではのものとも言え、特定ドライブの専用リッパーなら回避できるハズです。その事情を、≪PlexTools Professional≫を代表例(他にはない?)として記します。

・C2Error検出
 特定ドライブ専用リッパーではC2レポートを信用して動けます。≪PlexTools Professional≫の解説にも「C2 Error Flagに基づいています」とありますから、当然ドライブからの情報を信じて動いていると理解していいでしょう。≪dBpoweramp≫のillustrate社もそう考えているようです。

Plextools Pro relies 100% on C2 error pointers reporting the errors, whilst on a drive with a good C2 error pointer implementation a very high % of errors are detected, a small percentage do slip through undetected.
出典:http://www.cd-ripper.com/secure-ripper.htm

 エラー情報の取得や制御など、ソフトとハードの連携は確実ですのでさらに高精度に実行可能になっていると言えるでしょう。

・キャッシュ制御
 Plextorドライブに限っては「FUA」というキャッシュクリア機能があるとのこと。ただ「Force Unit Access」の略らしいので、クリアというより直接読む機能のような気もしますが。

Clear Read Cache with FUA is an option which can quickly clear the cache, it should only be used on compatible Plextor drives (the older true Plextors), there is an option to test for this feature.
出典:http://dbpoweramp.com/cd-ripper-setup-guide.htm

 いずれにしても、特定ドライブ専用リッパーならドライブに対するキャッシュ制御も問題なくできているハズですから、この点も強みだと言えるでしょう。

・読み取り速度制御
 上述の通り、≪EAC≫では、C2エラー発生検出によって読み直しする際に読み取り速度を減速しますが、ドライブに依存するとしています。
 これも問題なく制御できるでしょう。


 さて、次に「セキュアとは言われていないリッパー」の方も見てみます。


■≪iTunes≫の場合

 セキュアと言われてないリッパーにも「エラー訂正を使用する」ってチェックボックスありますよね。≪iTunes≫にもあります。

#ちなみに≪WindowsMediaPlayer≫にもあります。判りにくいですけれど(オプション/デバイスタブ/ドライブのプロパティ)。
 ≪iTunes≫と同じ機能かどうかも判りませんが。

エラー訂正が有効になっている場合は、CDの読み込みに時間がかかることがあります。「編集」メニュー>「環境設定」と選択し、「一般」をクリックしてから、「読み込み設定」をクリックします。「オーディオCDの読み込み時にエラー訂正を使用」チェックボックスにチェックマークが付いていない場合は、チェックマークを付けます。チェックマークが付いている場合は、チェックマークを外します。
出典:https://support.apple.com/ja-jp/guide/itunes/itns2935/windows

 しかし、いくら調べても何をやっているのか全くと言っていいほど判りません。そこで実際にいろいろやってみました。

・ドライブによって「エラー訂正を使用する」チェックへの反応に違いあり
 まず、チェックを入れるとリッピング時間は本当に遅くなるのか確認します。

・対象トラック
  ・主:C2エラー入り(PureReadパーフェクトモードで停止する)
  ・副:CCCD(用いていない実験あり)

・ドライブ
  ・Pioneer製BDライタ:BDR-S05J(2010年製) *PureReadはもちろん標準モード
  ・Pioneer製DVDライタ:DVR-105(2002年製)
  ・Panasonic製BDライタ:SW-5582(2006年製)
  ・LITEON製BD-ROM/DVDライタ:iHES208(2009年製)
  ・LITEON製BD-ROM:iHOS104(2009年製)
  ・Plextor製DVDライタ:PX-716A(2004年製)
  ・日立LG製BD-ROM/DVDライタ:GGC-H20N(2007年製)
  ・Panasonic製BDライタ:SW-5583(2008年製) 13/05/15追加調達
  ・Logitec製SlimDVDライタ:LDR-PMJ8U2LBK 19/02/09追加調査

#Logitec製Slimの中身は「HL-DT-ST DVDRAM GP68N(日立LG製かな?)」

・≪iTunes≫バージョン
  ・11年初稿時:≪iTunes 9.0.1.8≫
  ・13年追加分:≪iTunes 11≫
  ・19年追加分:≪iTunes 12.6.2.20≫

 結果は以下の通り。「使用する/しない」で何も変化しません。 

(1)読み取り速度:主副トラックとも明確なタイム差は認められません。なお、最外周トラックではドライブの最大倍速に近い速度(少なくとも50%以上)が出ています。
⇒「する/しない」に関わらず1度読み、ということになります。

(2)シフトダウン:「エラーなしトラック」→「エラーありトラック」連続リップしてみたところ、「使用する/しない」に関わらず、トラックが変わっても回転音は変わりません(iHES208とiHOS104にて)。
⇒「する/しない」に関わらずエラー発生でシフトダウンしない、ということになります。

 19/10/16今更追記:BDR-S09J(PureReadオフ)+≪iTunes12.10.0.7≫のエラー訂正を使用する/しないでリッピングしたファイルは≪WaveCopmare≫でまるで一致せず、傷なしディスクとも一致せず。リップ時間は12秒03と12秒20なので誤差範囲の同等。「使用する」で2回行った結果もまるで一致せず。

・挙動変化するドライブもある
 これでは何も判らないので、ドライブを追加で調達してきました。なるべく古め、安そうなヤツを。
  ・MITSUMI製CD-ROM:FX48B0M(2005年製)
  ・東芝サムスン製DVDライタ:TS-H653
  ・Plextor製CD-RW:PX-W8432T(2000年製) 13/05/08追加調達
  ・TEAC製SlimDVD-ROM:DV-28S-Y 13/05/12追加調達
  ・RICOH製DVD+RW:MP5240A(2003年製) 13/05/13追加調達

 この5機では「使用する/しない」で差が! 古い(安い?)ドライブには差が出る要因がある?
 以下、「使用する」にすると発生する「使用しない」との差です。具体的数字はFX48のものです。

(1)エラーなしトラック
  ・回転音は変わらないが≪iTunes≫が表示する倍速値は約半分になる
  ・実際に時間は11秒27→28秒89と約2.5倍

 「回転音が変わらず倍速値が小さくなり実際にリップ時間が長くなった」ということは、複数回読みをやってるっぽいです。
 トラックのデータ量とドライブの倍速仕様から計算すると、次のように推察されます。
  ・「使用しない」時は、2度読みはできない速度が出ているので1度読み
  ・「使用する」時は、時間は3倍にはなっていないことから2度読み

(2)エラーありトラック:エラーなしトラックからの連続リップにて
  ・「エラーありトラック」に移った途端に急ブレーキがかかって減速する点は変わらない
  ・リップ時間は52秒50→02分54秒20と約3.3倍

#(2)における「エラーなしトラック」の挙動は当然(1)と同じ

・何がちがうと挙動が変わるのか
 どうも、≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する」ONとOFFで、訂正挙動の変わるドライブと変わらないドライブがあるのは間違いないようです。一体何が違うのでしょう?
 そこで、これらドライブの≪EAC≫的特徴を調べてみます。「エラーありトラック」のあるディスクを入れて。

         Cache AcStm C2info
 変化しない軍団
    SW-5582  Yes  Yes  Yes
    SW-5583  Yes  Yes  Yes (*1)
    PX-716A  Yes  Yes  Yes 
    iHES208  Yes  Yes  Yes
    LDR-PMJ8  Yes  Yes  Yes (*2)
    iHOS104  Yes  Yes   No
    BDR-S05J  Yes  Yes   No
    DVR-105  Yes  Yes   No
    GGC-H20N  No  Yes  Yes

 変化する軍団
    FX48    No  Yes  Yes
    TS-H653   No  Yes  Yes
    PX-W8432T  No  Yes  Yes (*1)
    DV-28S   No  Yes  Yes (*1)
    MP5240A   No  Yes  Yes (*1)

無印:Ver1.0 beta1 from 15.Novenver 2010にて
*1:Ver1.0 beta3 from 29.Augst 2011にて
*2:Ver1.3 from 2 September 2016にて

(1)AcStm(AccurateStream)
 すべてYesなので無関係でしょう。

(2)C2info(C2 Error Infomation)
 以下の通り、「C2 Error Info」機能の有無は≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する/しない」での変化に支配的影響はないようです。
・変化しないドライブ:「C2 Error Info」にYesもNoもあり
⇒「C2 Error Info」情報を“常に利用していない”ようです。
・変化するドライブ:すべて「C2 Error Info」がYes
⇒「使用する/しない」に関わらずC2エラーありトラックでシフトダウン
⇒「C2 Error Info」情報を“常に利用している”ようです。

(3)Cache
 ≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する」ONとOFFでの挙動の変化は「Cache」のYes/Noと関係していそうに見えます。
 H20NはNoでも挙動変化しませんが、以下の可能性などを鑑み、ここではH20Nは例外として「Cache機能がNoだと挙動が変化する」と仮定して話を進めたいと思います。

・Panasonic製スリムドライブのUJ-852ではYesになる場合とNoになる場合があった
・そもそもどんなCache仕様だと影響を受けるか≪EAC≫と≪iTunes≫で同じとは限らない
・H20Nと≪iTunes≫に「シフトダウン制御の相性問題」がある可能性も考えられる

#まあ、BD世代で仕様上キャッシュ4MBのドライブが「No」な方が何かの間違いな気がしますけれど(苦笑)。

 また、「キャッシュ機能がYes/No」とは、ドライブがバッファを持っているか否かとは単純には関係ないようです。
 そこで、以下≪iTunes≫の想定においては、「キャッシュを無効化できるかできないか」という観点で記します。Noは「Noにできる=無効化できる」という意味です(もちろん実際にキャッシュがない場合も含む)。

・≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する」の正体
 これらを総合すると、≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する」とは、以下のような機能ではないでしょうか。

(1)リードキャッシュ機能がNoなドライブの場合
・「使用する/しない」に関係なく、「C2 Error Info」を受けたらシフトダウンする。
⇒「使用しない」時は計算上“1度読み”しており、「リッパーの読み方だけでは補間発生やフレームズレを認識することはできない」ハズだが、それでもシフトダウンするということは「C2 Error Info」以外にそのトリガはないとの推定から。

・「使用する」時は2度読みを行っていると推察する。2度読みと「C2 Error Info」活用の併用については不明。
⇒FX48の例では、「使用しない」時の2倍以上3倍以下の読み取り時間になることから。

・「使用する」時は「しない」時より多くの回数読んで補間値を選定している可能性がある。
⇒「使用する」時のリップ時間の増加率がエラーなしよりもエラーありトラックの方が大きい(同じくFX48の例)ことから。ただし、シフトダウンしているので何らかの誤差かも知れない。

(2)リードキャッシュ機能がYesなドライブの場合
 キャッシュがあるとフラッシュしないと複数読みする意味がない。
 が、フラッシュ動作はセキュアリッパー考察で記した通りえらく大変かつ副作用も大きい。
 ≪EAC≫などのマニア用ならまだしも、≪iTunes≫ではあんまり時間かかる手段はとれない(やっても不確かだし)ので、いかなる場合もフラッシュしない。
⇒つまり「エラー訂正を使用する」にしても複数読みしない。
⇒当然「C2 Error Info」も活用しない。「活用する=繰り返し読みする」なので。

 つまり、リードキャッシュがある(クリアするには現実問題がある)ドライブだと判断したら、「エラー訂正を使用する」にしても“なにもしない”(潔く諦めてる?)ので挙動変化しない。


 以上、≪iTunes≫はデフォルトで、「エラー訂正を使用する」のチェックに関係なく、「C2 Error Info」が上がってくることを前提に、“ちょっとセキュアなリッピング”しているようです。キャッシュ機能がNoなドライブ(*)なら、結構“セキュア”なリッピングしてるような気がしますね(笑)。
 そして、「エラー訂正を使用する」は、キャッシュ機能がNoなドライブを前提にしているような気がします。
 なので、「エラー訂正を使用する」をチェックすると、

   「C2 Error Info」がないドライブだと“ちょっとセキュアなリッピング”ができない
   ⇒2度読みで補間発生を検出して“ちょっとセキュアなリッピング”しようとする
   ⇒が、キャッシュが無効化できない場合はやらない


のではないでしょうか。
 ということで、機能名と実動作の関連性が薄くて解りにくいですね。もともと“Mac用ソフト(Macのハード事情に合わせて開発された)”だからかも知れません。

*:一般的には、古い・安いドライブになるでしょうか。とすると、「≪iTunes≫は新しい(高い?)ドライブほど“セキュア”なリッピングしない」ということになり、それは感覚的には逆のイメージなことが解りにくい要因のひとつかも知れません。


■ということは

 「エラー訂正」について、「CIRC(ハードウェア)のC1/C2エラー訂正」と「ソフトウェア側でがんばる機能」がごっちゃに語られる場合が多々あることに気を付ける必要がありそうです。ソフトウェアの機能表記が、正しい値に戻る保証がないのに「エラー訂正」となってるのがそもそもヨロシクナイのではと思いますけど…

 さて、ソフト側では「CIRCエラー訂正」はしていないのですから、Ripping品質の「要(かなめ)はやっぱりドライブ性能」なのです。ドライブの読み取り性能が低ければソフト側が何度読んでもダメなものはダメでしょう。C1やC2のエラー訂正動作はCIRCによる規定なので差は無いため、要は光学的な性能になると思います。
 そして、最近では“ソフトウェアに言われなくても”自分でリトライ試みたりするドライブが登場しています。
 その代表格がPioneerの「PureReadシリーズ」と考えていいと思います。
 要するに

・セキュアリッパー:特定ドライブ専用・・・代表例≪PlexTools Professional≫
 勝手知ったるドライブと一心同体でやってるので動作は保証されるが特定ドライブでしか使えない。

・セキュアリッパー:汎用ドライブ用・・・代表例≪EAC≫
 がんばってソフトウェアでやってるから特定ドライブ以外でも機能するが保証の限りではない。
 例えば、ドライブのファームにどんなバグがあるか判ったもんじゃない。
 ただし、「DB参照サービス」をうまく使いこなせれば(DBにあれば)盤石かも知れない。

・セキュアとは言われてないリッパー:汎用ドライブ用・・・代表例≪iTunes≫
 いわゆる「エラー訂正」をONにするとちょっとがんばるけど、セキュアリッパーほどはがんばらない(一般的利用での利便性を優先していると思われる)。
 また、リードキャッシュ機能があるドライブだと諦めちゃう。

・リッピング精度向上機能付きドライブ・・・代表例「PureReadシリーズ搭載ドライブ」
 ドライブのファームウェアで処置。それを専用ユーティリティで制御できる。
 ファームレベルなのでPC側とI/F規定していないような情報も使った多様なリトライできる。
 また、「パーフェクトモード」なら最終的な補間発生を確実に認識できる。
 メーカが動作保証しているもの以外のリッピングソフトは相性が若干懸念されるが(ドライブが勝手にやってるリトライ動作で誤動作しないか)、選択の余地あり。
 また、セキュアリッパーである必要なし… というか逆にリッパーは「どシンプル」な方がいいような。

というまとめでどうでしょう。

 CD面とのレーザービームのやりとり関連はドライブにお任せするのが一番。「読み取りは盤面で起こってるんだ!」ってなカンジですかね。
 ということで、現時点では「PureReadシリーズ+お好みのリッピングソフト(*)」が、便利さとBitPerfectなRippingの両立が可能なナイス・コンビネーションじゃないかと思います。

*:もちろん動作保証がない場合は充分な事前動作確認が必要です。また、セキュア的な機能は何もしない設定がいいと思います。リトライ的な動作がPureReadとソフトでバッティングしちゃうとヘンなことになる可能性ありますので。

 PureReadの効能と、PureRead2の進化についてはそれぞれ別エントリーに記載していますのでよろしければご確認ください。

 12/08/04追記:EACとiTunesの動作について新旧ドライブで確認してみました。


■備考

・C2エラー情報は信頼すべきではないのか
 ちなみに、≪dBpoweramp≫は「ドライブのC2を信用しない文化は≪EAC≫とともに成長した」と言っています。

As mentioned before, even the best C2 implementations can still let errors through, but overall using C2 with a ripper which correctly supports it (dBpoweramp Reference) is helpful, consider it an extra layer which can catch errors. There has grown a culture of recommending c2 is always switched off, this has grown up around EAC where it's implementation of c2 pointers relies on c2 alone and not secure re-reading, unlike in dBpoweramp where c2 pointers can be used. A ripper should have a test section where the detection of C2 pointers can be detected with a scratched CD.
出典:http://dbpoweramp.com/spoons-audio-guide-cd-ripping.htm

・≪iTunes≫の「エラー訂正を使用する/しない」で速度変化しないドライブとは
 「デフォルトが複数回読みなので変化しない」という可能性はあるのでしょうか?
 しかし、前述の通り以下のような状況になりますから、変化しないドライブのデフォルトが複数回読みということはありません。

・変化しないドライブ・・・「エラー訂正を使用する/しない」どちらでも1度読みの速度が出ています
・変化するドライブ・・・・「エラー訂正を使用する」にすると最高速の半分以下の速度しか出なくなります

 そのため、当Blogでは、速度変化しないドライブは、
「デフォルトで最高速読み(1度読み)しており“遅くするトリガがないから変わらない”」
と判断しています。
「デフォルトで複数回読みしており“速くする(複数回読みしなくていい)トリガがないから変わらない”」
とは思えません。

 ちなみに、「CD-DAのCIRC」と「CD-ROMのEDC/ECC」は全く別のエラー訂正システムです。CD-ROMではCIRCによってエラー訂正されて揃ったセクタ2352Byte(補間されたByteも含まれるハズ)に含まれるEDC/ECCによってさらにエラー訂正された2048Byteのデータが最終的に読み出されます。
 ゲームソフトなどのCD-ROMコピープロテクトを回避する方法として「EDC/ECCエラーを無視する(高速エラースキップ?)」というものがあるようですが、言うまでもなく音楽CDのリッピングとは無関係です。だってCD-DAにはEDC/ECCなんて元々入ってないのですから(苦笑)。

・ヨクワカラナイ「Accurate Stream」とは

(1)≪EAC≫の解説です。
This option should be set if your drive has an accurate stream,meaning that it won't jitter,thus no jitter-correction has to be performed anymore.Your drive's support for this feature can be tested using the function at the bottom.
出典:≪EAC≫ Drive option「Drive has `Accurate Stream`feature」ポップアップ解説

(2)≪dBpoweramp≫の解説っぽいところです。
Modern CD drives (every drive bar a handful in the last 4 years) support Accurate Stream, this feature allows a CD drive to precisely locate an area of CD (unlike their counter part - ordinary CD players), it also puts an end to the requirement for a CD Ripper to jitter correct (that is jump back more than required to re-sync when ripping blocks).
出典:https://www.dbpoweramp.com/spoons-audio-guide-cd-ripping.htm

 「CDプレーヤではできない」「PC用CDドライブにはできるものがある。て言うか最近は普通できる」ってことでしょうか。リトライリードするために読む場所を正確に指定できることを意味するみたいです。
 普通ミクロなイメージがある「ジッタ」という用語に惑わされない方がよさそうです。

(3)LINNのwebページの解説です。
1. ‘Accurate Stream’ – This feature means that the drive should be capable of sample-accurate reads and hence should have no Read Offset Jitter.
出典:https://docs.linn.co.uk/wiki/index.php/CD_Ripping_Terminology

 正確にサンプルが読めるのは普通アタリマエだと思いますので、ぶっちゃけ「Read Offset Jitter」、つまりオフセットが変動しないことを意味するようですが、手持ちドライブで全部Yesだった通り、結構古いものでない限り“Accurate”なのではないでしょうか。


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