AACS都市伝説を追う:PC編

11/06/26初稿

 BDMV編は書かない(書けない)つもりですが、主にドライブ関連で私なりに理解したPC側のAACS事情などまとめておこうかと思います。
 特記なきは、OS:Windws7 HomePremium SP1 64bit、ライタドライブ:SW-5582、P-MKB確認:GGC-H20Nを用いています。
 「BDAV編」と同じく、操作対象はP-MKBのないBDAVディスクとBDMVのみです。
 特記なきは、BDAVとはAACSディスクのことを指します。


■とっても素直にUDF2.5

 エクスプローラからフォーマットしたBD-REディスク、BDZ-AT700で普通にダビングなどできました。BDZ-V7でも空き容量がちゃんと表示されますので大丈夫でしょう。
 XP上の「TMPGEnc MPEG Editor3」でBDAVとして書き込んだ場合は、BDZ-V7でもAT700でも空き容量ゼロで追記できないディスクになってましたのでこれはうれしい進化ですね。
 さらに、エクスプローラからBDAVフォルダを書き込んでもBDAVディスクになりました。PowerDVD8、AT700で再生できました。チャプタ操作なども可。残量もあるディスクになっています。
 もちろんAACSじゃないコンテンツとその付帯情報がBDAVフォルダの中に規格通り入っていることが前提なのは、記するまでもありません。

 ちなみにBD-RはUDF2.6です。


■P-MKBとは何か

 「Partial-MKB」の略です。容量縮小版部分的MKBです。パーシャルです。主にHRL(Host Revocation List)を格納しているとのことです。
 その存在場所はディスクのリードインエリアであり、通常OSからは読み書きできず、ドライブのF/Wでしかアクセスできません。一方、MKB_RW.infはUDF2.5ファイルシステムを操れないと操作できません。そして、ドライブのF/WにUDF2.5の操作ができるとは思えません。
 つまり、P-MKBは“ドライブのF/Wレベルで操作できるようにあつらえられたMKBである”ということだと思います。よって、ドライブのいわゆる“AACS感染”はP-MKBによってしか発生しない、のではないでしょうか。MKB_RW.infが読めないならP-MKBがなければドライブには何もできないハズです。きっとそうです(笑)。
 そして、以下の公式文書の記載を見るところ、P-MKBとはおそらくHRLほぼそのものではないかと考えています。「ドライブの不揮発性メモリに“HRL”をストアせよ」「メディア上に新しいHRLを見つけたら更新せよ」となっていますので。
 
2.5 Partial Media Key Block for Host Revocation List
The Licensed Drive shall update the Host Revocation List (HRL) stored in its non-volatile memory, if the Licensed Drive encounters newer HRL on each supported media as listed below.
• BD-ROM protected by AACS
• BD-R protected by AACS
• BD-RE protected by AACS
• CPRM compliant recordable media protected by AACS
• +R and +RW protected by AACS
Update process for each media is described in subsections.

出典:AACS_Spec_BD_Recordable_0.952.pdf

 「AACSのバージョンが上がることには以下ふたつ(みっつ)の意味がある。ただし全部実施されるとは限らない」というのがミソではないでしょうか。

 ・Processingできない「Device Key」を追加する
 ・ドライブがソフトをRevokeするための「Host ID」を追加する(HRL更新)
 ・ソフトがドライブをRevokeするための「Drive ID」を追加する(DRL更新)

 なので、「レコーダの感染」と「PCドライブの感染」は分けて考えないと混乱しちゃうのではないかと。

 AACSの文書にざっと目を通してみる限り、HRLやDRLの対象は「Host ID」「Drive ID」であって「Device Key」などではないようです。PCドライブが「Device Key」を持っているとは思えませんのでそれでいいような気もしますが、素人には正確には理解できていません。
 また、三番目の「DRL(Drive Revocation List」の実態はサッパリ解っていませんので本稿では無視することにさせていただきます。

 ちなみに、「AACSが同バージョンでもMKBはひとつではなく数多ある」こともお忘れなく。念のため。

 さて、以下概念図を参照しながらPCシステムにおけるAACSシステム概略を記してみたいと思います。

AACSレコーダ動作2
 出典:AACS_Spec_common_FINAL_0951.pdf


■PCプレーヤの再生プロセス

 BDAV編と同じカンジで記してみます。

・メディアが挿入されると(PCのソフトウェアとは関係なく)ドライブのF/WはP-MKBをチェックし、自らが持つものより新しいHRLを含んでいた場合自らのHRLをそれに書き換える。

・PowerDVDやWinDVDといったプレーヤソフトは、「Binding Nonce」を得るため自らの「Host ID」を用いてドライブに「Protected Area」へのアクセス許可(認証)を求める。

・ドライブ(のF/W)は「Host ID」を自らのHRLに照らし、Revoke対象でなければ認証しアクセス許可する。
 対象だった場合は“HostをRevoke”しアクセス拒否する。

・プレーヤソフトは自らの「Device Key」を用いて「MKB_RW.inf」をProcessingして「Media Key」を得ようとする。そのMKBのAACSバージョンでRevokeされた「Device Key」の場合はProcessingできない。

・得られた「Media Key」と「Binding Nonce」で「Encrypted Title Key」を復号し、得られた「Title Key」で「暗号化タイトル」を復号し再生する。

 つまり、PCのプレーヤソフトはドライブにRevokeされない「Host ID」を持ち、かつMKBをProcessingできる「Device Key」を持っている必要があるということかと。

 “AACS感染(HRL更新)しない”とか“AACS感染はするけどHRLによる認証しない(スルーパスでアクセスOK)”ドライブ(というかそういうバグありF/W)も存在するようです。
 ユーティリティで“HRLをリセットできる”ものもあるようですね。


■PC用ドライブの挙動

 手持ちのBDドライブで実際に確認した結果を少々。

・Panasonic製SW-5582のBUFFALO版BR-H2FB(BBF2)
 本体AACS初期状態にて。
 エクスプローラにおけるファイル操作(R/W)ではP-MKBを書きません。それがAACSディスクであってもです。
 BDAVの再生(AACS動作)してもP-MKBは書きません。
 再生以外のAACS動作はさせたことがないので解りません。

・Panasonic製SW-5583のI・O DATA版BRD-SM4(1.01)
 本体AACS初期状態にて。
 エクスプローラにおけるファイル操作(R/W)ではP-MKBを書きません。それがAACSディスクであってもです。
 BDAVの再生(AACS動作)してもP-MKBは書きません。
 他、P-MKBを書く動作には遭遇していません。

・Pioneer製BDR-S05J(1.08)
 本体AACS初期状態にて。
 BDAVの再生(AACS動作)してもP-MKBを書きません。
 なお、ファームウェアを1.08→1.09→1.12とUpdateしたところ、1.09、1.12ともに状況は変わりませんでした(1.10と1.11はDL保存しておらず手持ちなし)。

・LITEON製iHOS104(WL08)
 このドライブはライタではありません。
 まず、本体AACS V1をLtnFlashにて確認。
 SATAケーブルはPCに繋がず通電だけした状態でAACS V3のBDMVを入れ、回転が止まったところで出し、改めてPCに接続してLtnFlashで確認した本体AACSはV3でした。
 PCと接続していない状態でいわゆる感染したことになります。やはりP-MKBを持つディスクを挿入しただけで(PCの動作というかPCからの制御は関係なく)感染するようですね。


 BDAVについてはすべてにおいて“もともとP-MKBがないBDAVディスク”しか扱っていませんので、そうでない場合の挙動は不明です。
 さらに…
 理屈上V1のHRLって存在しえない気がするのですが気のせいでしょうか(苦笑)。P-MKBの実態はHRLだとすると、V1のライタはP-MKBを書かない(書けない?)のかも???
 けど、V1でもBDMVにはP-MKBは存在するしなぁ…


■おまけ

・いままで、生BD-REディスクにP-MKBがあったことはありません。

・再生やエクスプローラからのファイル操作でドライブのF/Wがディスクの「MKB_RW.inf」を勝手に書き換えることはあり得ないと思います。PCの地デジ録画のダビングなどで書き換えるのは、それはそのアプリソフトがやっていることでしょう。

・アプリソフトがドライブのP-MKBを書き換えることもないと思います。もはやファイルの操作ではない「内蔵不揮発メモリ書き換え」が標準化されてアプリに搭載されているとは思えませんので。なにより、自らの「Host ID」の認証権を持っているP-MKBの書き換えが、認証を求める側から簡単にできちゃったら意味ないですから。

・BDAVの1倍速は36Mbps、BDMVは54Mbps(というかBD規格は36MbpsだけどBDMVは1.5倍速がデフォルト)らしいです。紛らわしい。

http://panasonic.co.jp/ptj/v5403/pdf/p0105.pdf
http://panasonic.jp/p3/bd/pb271/index.html

・エクスプローラを始め、PCでのBD-RE書き込みはベリファイするのがデフォルトのようです。よって、2倍速のBD-REの書き込み時間は1倍速以下になります。
 ベリファイレスで書き込めるソフトウェアもあるようです(ImgBurnなど)。
 BD-Rはベリファイしません。だって無意味ですから(笑)。


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