DOS/V電撃作戦

12/10/07初稿

 一口にPC-Audioと言っても、それに用いる「コンピュータ」には複数の規格が存在します。
 DOS/V(古い?)はいろいろハードウェア設定をいじくれるのが大変なメリットだと思っていますが、中でも自作PC(特にWindows環境)ならBIOS(UEFI)やフリーウェアでかなりのことが可能になります。

 デバイスの有効無効といったレベルの調整はこれまでもやってきましたが、先のGfxクロックチューンの流れでCPUクロックチューンに関心が向き、「K10stat」の存在を知ったことからさらに「電圧」までいろいろいじることになりました。以下、原則として“実施順”に記載しています。


■CPU

・けいてん!
 GA-E350N-USB3のBIOSではCPUクロック逓倍率はx16以下にはできませんので、OS上からソフト制御する必要があります。
 AMD製CPUのクロックや電圧を調整するユーティリティとしては、「K10stat」というソフトが有名&定番のようです。

 名前の通り本来はK10アーキテクチャ用なのだと思いますが、実際には各種CPUに対応しているようです。
 E-350への対応状況はネット情報ではよく判りませんでしたが、実際GIGABYE製GA-E350N-USB3で走らせた結果は以下の通り(Ver1.54にて)。大丈夫そうです。

K10stat Info

 なお、BIOSで「Q'n'C」はDisableしておきます。するとデフォルト状態はこうなります。

K10stat QnC des

 「Q'n'C」をEnableにした時は、P2stateの電圧値は0.8000Vになっていました。

・使い方
 本来の用途は「各ステイタスにおけるクロックや電圧、ステイタス変化条件などのオリジナル設定による動的制御」なのですが、今回は「任意のクロックと電圧の固定」が目的です。ので、タスクバーからの設定は不要となります。
 例えば、「Control Function」のチェックは不要ですし、

K10stat CtrlFnc

「Lock P-state」のチェックも「Unlock」に付いたままで問題ありません。

K10stat Lock p

 ちなみに、「UnGanged」とは「gang=団結」してないって意味ですので、この設定は「マルチコアの場合にコントロールの対象となる負荷をコアごとに独立させる(UnGanged)か連動させる(Ganged)か」だと理解しています。
 ですので、

  →「P-state」タブからラジオボタンを押して各ステイタスを選択
  →プルダウンメニューでFID(Frequency ID)=PLL周波数を設定
  →プルダウンメニューでDID(Devisor ID)=PLL周波数の分周比を設定
  →FIDとDIDの組み合わせでCPUクロックが決定するので「Frequency」窓で値を確認
  →Voltageを設定
  →適用(同時に表示している「Profile*」に登録される)

すればOKです。
 動的制御しませんので、一旦設定したら終了しても状態は維持されます。

K10stat 400 ←こんなカンジ。

 P0が最大負荷、P1が中負荷、P2が最小負荷時の設定になります。例によって「もし変化しても変わらないように念のため全部同じ値にセット」していますが、クロックコントロールをしない設定ですからP0から動くことはありません。
 FIDとDIDはCPUアーキテクチャ(M/B?)によって異なるようです。GA-E350N-USB3システムにおける値を列記しておきます。

・FID(DID=0にて。1/1の状態)
   0・・・3200
   1・・・1600
   2・・・1067
   3・・・ 800
   4・・・ 640
   5・・・ 533
   6・・・ 457
   7・・・ 400
   8・・・ 356
   9・・・ 320

…こんなカンジで27まであります。ルールは3200/(FID+1)ですかね。

・DID(FID=0にて)
   0・・・3200
   1・・・2560
   2・・・2133
   3・・・1829
   4・・・1600
   5・・・1422
   6・・・1280
   7・・・1164

…こんなカンジで15まであります。

 なお、より高負荷のステイタスには、下位ステイタス“以上”のクロック&電圧値しか設定できないようです。
 また、プロファイルを自動適用しての起動なども可能ですが、当ソフトもUACに引っかかるようですので、スタートアップからの自動起動などについてはひと工夫必要です。

 以下、実際に「K10stat」を利用してE-350のクロックと電圧を変化させて音質との関連を確かめてみました。
 原則、ふたつのコアは同じ設定とします。

・CPUクロック
 1.6GHz→800MHz→400MHzで比較してみました。これ以下では320MHzでハングしました。200MHzでもしばらく動きましたがハングしました。遅すぎると何かマズイんですね。
 落とすほどキツさがとれて聴きやすい“おとなしい”音になる傾向に聴こえます。とりあえずまずCPUクロックだけ変化させる段階では落とした方が好ましく聴こえますが、他の要因による歪みやノイズをマスクしているような気もして、高クロックの方が本質的な音質は良いのではないかという感じがしました。ちょっと意外ですが。

 ところで、クロックは実際に変わっているのでしょうか。
 「K10stat」のInfo表示では明らかに周波集表示も負荷率も変化しますが、設定を変えている当のソフトの表示だけでは信憑性に欠けるという思いもあります。
 そこでタスクマネージャのパフォーマンスタブで確認してみると、Audio再生時

   1600MHz・・・5%
    800MHz・・・10%
    400MHz・・・20%
    200MHz・・・40%

くらいで推移しましたので、間違いなく適用されていると思います。低クロックすぎるとハングしましたし。
 ちなみに、SoX ResamplerとDitherを外したら1600MHz時は2~3%になりました。

・CPUコア電圧
 クロックは400MHzで比較してみます。
 もともと800MHz/0.8V設定を持っているCPUですから、800MHz以下である400MHzなら0.8Vまで下げても問題ないと言えます。上も1.3Vまで問題ないハズです。

 1.3V~0.8Vで変化させると、低い方が柔らかく高い方がソリッドなカンジに聴こえます。
 高くすると、特に低音のパンチが効いてきます。高域もよく出ています。ただ、中域がちょっと色気に欠けるでしょうか。また、ノイジーということはありませんがどこか聴き疲れする音です。
 が、しかし下げすぎると女性ヴォーカルが“鼻声”っぽくなってきます。中域が厚くなるというのかちょっとぼけてくるというか…
 とりあえず間をとって? 400MHzなら1.0Vが最適でしょうか。

 電圧が実際に変わっているかですが、Nipron電源の特性か、ワットチェッカでは差が出ません。
 ただ、400MHzで0.5Vを設定してみたところ適用ボタンを押した瞬間にハングしましたので、一応効いてると思います。


 しかし「K10stat」は大変すばらしいソフトですね。提供してくださった作者さまに深く感謝、です。


■Gfx

・Gfxコア電圧
 先の記事でクロック固定をやりましたが、要領は同じです。CCCプロファイル書き換えで最低負荷ステイタスのデフォルト0.9Vから1.0Vにしてみました。

 音が重厚になります。低音の迫力が増すが中高域も埋もれていない印象です。
 ただし、CPU電圧やクロックを高い方=おおむねソリッドで解像度依りの方向にしている場合は、低域と高域が別々に鳴ってるような特徴的な音になっていきます。ドンシャリとはまた違うのですが、しばらく聴いていると違和感がある音になります。ので0.9Vに戻しましたが、Gfxの電圧を上げた時の「重厚さ」は捨てがたい魅力のある変化という印象は残りました。

 実際に変化したかどうかは「GPU-Z」にて確認しています。電圧もクロックと同じで「低い値に固定はできない」のですが、Audio再生では0.9V設定から自動上昇することはないです。

 ところで、1.0V固定にしてもSapphire製HD5450(ファンレス)の温度は大丈夫でしょうか。
 実際のAudio再生で確認してみました(1080i設定)。結果、室温28.5~29.5℃/VGA出力もしたまま/とあるCD全曲再生、にて66℃でほぼ安定。その後再生停止のアイドル状態(DSP-Z7もOff)で1時間放置したところ63℃でほぼ安定しました。
 12/10/14追記:HDMI画面を1080pに設定して起動すると1.0V固定できずに変動します。一度1080iにしてから1080pに戻すと変動しません。不思議です。

GPU-Z.jpg

 なお、CCCプロファイルに記す値は1.0Vなら1000、0.9Vなら900となります。なんだか小数点以下3桁まで設定できそうに思えますが、実際に「975」にしたらGPU-Z表示は0.975Vになりました。

・「ATI Tray Tools」のTips
 本項では使っていませんが、当ソフトでも電圧は「Custom VDDC List」で新規に作れます。「Add Edit VDDC」画面を出して「Custom VDDC value」をup/downボタンで設定するのですが、“mV単位”みたいですね(なぜかマイナスもある)。日が暮れちゃうので手入力しましょう。0.9Vなら900と入れればOKです。
 なお、ATI Tral Toolsにおけるクロック制御ですが、通常手段では最低クロック147MHz以下には設定できません。よって135MHz固定には使えないようです。コンマMHz単位の設定方法も見つけていません。


■メモリ

 CPUやGfxの電圧が思いの外音質に影響を与えているので、メモリの方もいじってみました。
 こちらはBIOSからの設定です。
 メモリはCFD製「W3U1333-2G」です。2Gモジュール2枚組の商品ですが搭載しているのは1枚です。
 青基板の2Gbitチップ8個片面実装バージョン。DIMMベンダはelixir、DRAMチップベンダはNanyaです。
 elixirはNanya系列のDIMMモジュールベンダのようですね。MicronとCrucialみたいなカンジでしょうか。

・メモリ電圧
 かなり効くみたいです。
 GA-E350NのBIOSでは何故だか1.6Vになっているデフォルト(規格上は1.5V)に対し、DDR3L規格の1.35Vあたりを狙って一気に1.36Vまで下げてみました(BIOSが0.02V単位なので)。定格DDR3-1333のDIMMを1066駆動(E-350の定格なので)しているためか安定して動きます。
 落ち着いた、整理された美音になる傾向でしょうか。が、CPUの方が400MHz/1.0V設定のままだと、ちょっとまったりしたカンジになります。CPU電圧・クロックを高くするとハッキリ系になる傾向でしたから、CPU動作を定格(1.6GHz/1.3V)に戻してみると、クッキリ感の悪さはなくなりますが良さは残り、かなり気持ちいい音になりました。

 これはより低電圧の方がより高音質なんじゃないかと、やや冒険ながら1.24Vを設定。動作しました。
 おお、さらに良さが増してくるカンジです。しかし、主に低域の力強さがやや弱いと感じたので、先に捨てがたい変化と感じていた「Gfx電圧を1.0Vに上げ」たら…ドンピシャ。
 その状態でBIOS設定下限である1.20Vも動作しましたが、やや全体的エネルギー感が希薄なカンジです。落ち着きすぎとでも言いましょうか。1.24Vの方がよさげかな~と思っていたらハングしましたのでそれ以上の比較はやめました(苦笑)。

・メモリアクセスタイミング
 SPD値よりAutoの方が小さな値になっています。SPD値は定格DDR3-1333である本来の数字が表示され、Autoの値は1066用にセットされているためでしょう。
 試しにManualにしてSPD値をセットしてみましたが、少なくとも良くなったようには聴こえなかったのでAutoに戻しました。

・インターリーブ
 Disableにすると華やかさが減るイメージ? Enableでよいと思いました。


■おまけ

 ああでもないこうでもないといぢくった結果どうなったのかと言うと、

・メモリ電圧:1.24V
・メモリクロック:DDR3-1066(E-350定格)
・画面モード:1080i(HDMI転送レート=742.5MHz)
・Gfx電圧:1.0V
・Gfxクロック:495MHz(742.5MHzの2/3)
・Gfxメモリクロック:200MHz(CCCデフォルト最低周波数)
・CPU電圧:1.3V(E-350定格)
・CPUクロック:1600MHz(E-350定格)

 「クロックも電圧も低い方がいいハズ」と思っていましたが、意外や意外そうとも限らないようで、メモリ電圧以外は逆の結果に。
 なんででショ?

 CPUクロックを落とすとそれだけ忙しくなり、転送タイミングなどのスムーズさが減る?
 CPU電圧を落とすと波形がなまって後段のハードウェアに影響する?
 Gfx電圧を高くするとHDMIトランシーバに“喝入れ”になってクッキリ波形になる?
 メモリ波形はCPU処理以降には影響しないので低電圧の方がメリットある?

 …真実は判りませんね(笑)。システムやその他の設定状態によっても全然違ってくるでしょうし。
 ひとつの知見、経験則として利用していこうかと思っています。


 しかしDOS/V自作システムで遊ぶPC-Audioは楽しいですね。プレーヤの主要デバイスの動作クロックや電圧まで好き勝手に変更して音質の違いを「デジタルチューニング」できるのですから。それも原則タダで。PCでやる醍醐味ですね。

 多様なツールとその選択肢の豊富さ、しかもそれがフリーであること。これこそPC-Audioにおいても「DOS/V+Windows環境ならでは」のメリットと感じています。


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