光学ドライブオールスターバトル

13/06/02初稿

 「健常なディスク」における光学ドライブのCDリッピング性能差はおそらく無視していいでしょう。
 が、では「ダメージディスク」では差があるのでしょうか。
 つまり、「読み取り性能のいいドライブ・悪いドライブ」は明確な差をもって存在するのでしょうか。
 存在するとしたら、コンパチ仕様やベンダによってその傾向はあるのでしょうか。
 また、それはどんな種類の傷でも同じなのでしょうか。

 傷ついたトラックを2種準備してその確認を試みました。


■ドライブ総進撃

・前提条件
・2タイトルとも別途傷のないCDを準備して正常なデータを得ていますので、これとWAVコンペアします。
 ちなみに、いつの間にか自然に付いてた傷であり、敢えて付けたものではありません。その方が現実的であろうからです。

・基本的なドライブの光学特性(レンズ・ピックアップ(を動かすアクチュエータ))を見るのが目的ですので、リッパーはソフトウェア側の小細工なしに≪iTunes11.0.2.25 x64 エラー訂正なし≫を用います。

・ドライブも敢えてクリーニングなどは行いません。古いドライブや中古ドライブは、現時点での実力として比較するのが現実的であろうからです。クリーニングは下手すると逆効果になりかねませんし(ちなみにERIは完全禁煙です)。

・PureRaedはリッパーではなくドライブ側の機能とみなし、S05Jはパーフェクト,マスター,標準3通りのモードでエントリーさせます(それぞれP,M,Hと略)。ちなみにiTunesはPureRead動作保証外ですが特に問題ないと判断しています。

・リッピングは1回としました。こんな実験でもない限り何度も繰り返してリップすることはないでしょうから(だって何度やったってノイズ差にならない限りはどれが一番いいかは判らないんですから)、例え1回だけでも“実際にそういう結果になることはあり得る”とは言えるためです。

・ファイル比較は≪WaveCompare 1.32≫です。いつもありがとうございます。

・OSは≪Windows7 HomePremium SP1 x64≫、ハードはZ68の自作機です。

・PATAドライブは以下にてUSB接続しています。

   ←ウチの実物は黒いけど。

・エントリードライブ
  ・SATA:Pioneer製BDライタ:BDR-S05J (2010年製) F/W1.12
  ・PATA:Pioneer製DVDライタ:DVR-105 (2002年製) 中古
  ・PATA:Panasonic製BDライタ:SW-5582 (2006年製)
  ・SATA:Panasonic製BDライタ:SW-5583 (2008年製)
  ・SATA:日立LG製BD-ROM/DVDライタ:GGC-H20N(2007年製)
  ・SATA:LITEON製BD-ROM/DVDライタ:iHES208-1 (2009年製)
  ・SATA:LITEON製BD-ROM/DVDライタ:iHES208-2 (2009年製)
  ・SATA:LITEON製BD-ROM:iHOS104-1 (2009年製)
  ・SATA:LITEON製BD-ROM:iHOS104-2 (2009年製)
  ・PATA:Plextor製DVDライタ:PX-716A(2004年製) 中古
  ・PATA:RICOH製DVD+RW:MP5240A (2003年製)
  ・PATA:Plextor製CD-RW:PX-W8432T (2000年製) ジャンク
  ・PATA:MITSUMI製CD-ROM:FX48B0M (2005年製)
  ・USB外付け:TEAC製スリムDVD-ROM:DV-28S-Y (推定2011年製)

 iHES208とiHOS104は2台ずつあるので同型番の個体差が見られるカモという意味で2台エントリーさせました。ただしiHES208はF/Wバージョンが異なります。
 傷トラック1には以下も特別エントリーします。当時のデータが残っていたもので。というか残っている中から傷のあるトラックを探したんですが。

  ・Pioneer製BDC-S02J (2007年製)  09年度リッピング
   (「リッピングエラーの正体」より)
  ・Pioneer製DVD-303S (1998年製?) 99年度リッピング
   (「リッピングエラーの正体」より)


■読んでみた

 ただし、それぞれ1回しかやってませんし(実際何度もやるとかなり異なる場合もある)、スピンアップを待つといった気を遣っていませんし(その方が実際のリッピングに近いでしょうから)、何か間違いもあるかも知れませんし、中古はどんな過去を持っているか不明ですし、傷トラックとしてはたかだか2サンプルだけですから、これで何か結論が出るってものではありません。
 「こういうこともあるんだね」といったひとつの情報として。

・傷トラック1
 あるCDのtrack01です。切り傷や打痕というより擦り傷ですかね。

わた子:トリミング

 注目の結果は…

  1位 SW-5582:相違0
  1位 SW-5583:相違0
  1位 iHES208-2:相違0
  4位 DVR-105:相違667

 これ以外はWAVコンペアでごっそり差違が出てしまいました。
 サンプル増減により途中で比較対象がズレて「連続相違」が発生している場合は相違数を見ても実体は把握できません(*)。
 そもそも聴感上あきらかなノイズが出るレベルに劣化していますので、相違数としでではなく主観的ノイズレベルとして順位付けすることにします(もちろんノイズレベルとデータ劣化レベルの相関は判りません)。

*:実際、以下ではBDC-S02J以外は「連続相違」発生を確認しています。が、最大表示の2000サンプルより後でズレが発生している場合は確認できません。S02Jはなんかそれクサイです。

  5位 BDC-S02J(09年度):相違3,807,674
      166secあたりに小さな「プツ」ノイズあり
  6位 DVD-303S(99年度):相違65,777
      43secに小さなノイズあり
  7位 PX-W8432T:相違11,963,326
      62~90secの背景に「パタパタパタ…」という音あり
  8位 iHOS104-2:相違3,341,314
      28secくらいで「ブチ」ノイズ 103secあたりで「ボツ」ノイズ
  9位 iHOS104-1:相違3,547,008
      28secくらいで「ブチ」ノイズ 109secあたりでちいさな音とび?
  10位 iHES208-1:相違4,698
      27secで「バチッ」ノイズ
  11位 FX48:相違15,876
      11secに「ガリガリ」ノイズ,181sec~小さなノイズあり
  12位 MP5240A:相違11,769,208
      20sec~90secあたりまで連続的な「ちっちっちっちっ」ノイズ
      102secに「ブチ」ノイズ

 以下はさらに悪化してもはやノイズとも言えないレベル。一応相違数も記しますがほとんど意味はないと思います。

  13位 BDR-S05J-H:相違1,052,381
      15~40sec断続的に音飛びして時間が短くなっており、
      その後正しい時間軸に戻る
  14位 BDR-S05J-M:相違323,136
      38secあたりでいわゆる“壊れたレコード”のようになる
  15位 DV-28S-Y:相違12,402,096
      リッピング中「チャチャチャ」と音を立ててた
      再生するとぐちゃぐちゃ

 以下は読めなかったドライブ。

  予選落ち GGC-H20N:途中まででリッピング停止
      iTunesタイムアウト? 短いファイルになった
  予選落ち PX-716A:マウントできず
  出場辞退 BDR-S05J-P:自分で停止してるので…

 この傷トラックではPanasonicのBDドライブが優秀な成績でした。中古のDVR-105も健闘しています。99年度と09年度のリッピングもいいですね。
 PureRead2はまるで振るいませんがな(爆)。

 特筆すべきはPX-W8432Tです。「パタパタ…」は正常データにはない音ですのでエラーが聴こえているとうことになりますが、伴奏に溶け込んだカンジなのでこれだけ聴いていたらエラーによるノイズとは気付かないでしょう。
 ノイズだかオリジナル音声だか区別付かないエラーもあり得る、ということです。

 ここで特別参戦SONY製BDプレーヤBDP-S470。S/PDIFを録音してみました。
 結果、途中無音になるなどぐちゃぐちゃ。AV機器としての面目躍如というワケにはいかなかったようです。

 なお、iHES208-1で複数回リップしたところ、パーフェクトになることもありました。結構バラつきあるようですね。

・傷トラック2
 傷にもいろいろあって、あるドライブで読めるけどあるドライブでは読めない、といった“優劣”は経験上ディスク(トラック)によって異なると感じています。しかし、定量的に確認してはいませんでした。確認するには、得手不得手が顕著に表れるような“特徴の異なった傷”を探し出す必要があると思ったためです。
 で、探し方を考えてみました。
 例えば、上記傷トラック1はPureReadが苦手な傷だったと推定されます。では、PureReadで効果のあったトラックは逆説的に「傷の多様性」としての対象として有意ではないかと。
 ということで、PureRead2評価記事で「PureReadでは補間発生したがPureRead2では完走したtrack09」を用いました(残念ながら99年度と09年度の当トラックデータは残っていません)。

 今度は切り傷っぽいでしょうか。

SKG:トリミング

 相違2000サンプル表示の確認では連続相違は発生していないようですが、今回もノイズレベル優先で順位付けすることにします。
 傷トラック1での順位を()に記してみました。303SとS02Jの分は繰り上げています。

  1位(8位) iHES208-1:相違0
  1位(圏外) BDR-S05J-P:相違0
  1位(12位) BDR-S05J-M:相違0
  4位(11位) BDR-S05J-H:相違17
  5位(4位) DVR-105:相違57
  6位(圏外) GGC-H20N:相違84
  7位(5位) PX-W8432T:相違275
  8位(1位) iHES208-2:相違444
  9位(圏外) PX-716A:相違3,426
  10位(1位) SW-5582:相違1,762
        70secに「ボツ」ノイズあり
  11位(10位) MP5240A:相違8,115
        106secあたりに小さな「チリチリ」ノイズあり
  12位(7位) iHOS104-1:相違42,654
        92secに小さな「チッ」ノイズあり
  13位(6位) iHOS104-2:相違39,958
        92secに小さな「チッ」ノイズあり
  14位(圏外) DV-28S-Y:相違331,614
        107secあたりに「プツプツ…」という音あり
  15位(1位) SW-5583:相違8,477
        153~163secに「ポツ」ノイズ2回 最後に「グシャ」ノイズ

  予選落ち(9位) FX48:開始直後にリタイア(笑)

 傷トラック1ではダメダメだったS05Jのマスターモードはエラーなし、標準モードも大健闘しています。
 かなりノイズが入ったiHES208-1も今回はパーフェクト達成。逆にiHES208-2は急降下。iHESはバラけましたが同じLITEONでもiHOS104は“安定してあんまりよくない”ですね(笑)。
 DVR-105は今回もそれなりにがんばってます。
 PX-W8432Tは名誉挽回ってカンジでしょうか。同じプレクのPX-716Aはなんとか踏みとどまったカンジ?
 逆にエラーなしだったSW-5582は振るわず。同じくパーフェクトだったSW-5583も今回はダメでなんと最下位に転落。ただ、track10と連続リップすると全く違う結果になるので、何か特殊事情がありそうです。
 TEACのスリムドライブは今回もよくないです。原則ノートPC用ですので小さく軽くすることが優先されるのでしょうから、やはりスリムドライブは不利なのかも知れません。

 ところで、当TEACリップでも傷トラック1のPX-W8432Tと同じような「演奏みたいな微妙なノイズ」が聴こえました。おそらくこれも“こんな実験”でもしなけれなデータエラーとは思わなかったでしょう。

・結果
 まず、ノイズレベルによる順位付けはあくまで独断と偏見によることをご了解ください。

 傷によるノイズ発生箇所やレベルは、ドライブ(ベンダ…もしかしてF/Wでも)によってずいぶん違うようです。傷の状態が違えば読み取り成績もまるで違っています。少なくともパーフェクト達成グループのメンツは入れ替わっていますし、一方ではマウントできなかったドライブが一方ではそれなりの成績になったりもしています。

 F/Wまで同じ2台のiHOS104はほぼ同じ結果になっていますが、F/Wが異なるiHES208はかなり異なる結果に。個体差なのかF/W差なのか微妙(笑)。

 現実的に“今現在”の状態として判断するなら、BDが悪いとも言えません。
 古いほどいいとも言えません(中古がダメとも言えません)。
 CD/CD-RWがステキとも思えません。
 AV機器なら安心とも言えません。
 PureReadがダメダメというワケでもありません。

 オススメのベンダは見つかりません。また別の状態の傷ではまるで違った結果になりそうです(注:個人の感想です)。

 「ドライブの傷ディスク読み性能は傷の状態によって異なる=得手不得手は激しい」ってことですね(注:見方には個人差があります)。

 今回、「演奏に紛れるようなノイズになるエラーもある」ことが判ってオッカナイです。こういうのを知ると、私としてはやっぱりエラー発生が明示的に判るリッピングしたいですね。


■考えたこと

 光学メディアはCDから始まり、そのライタブル、DVD、そのライタブル、BD(最初からライタブル)と発展してきています。
 ドライブ側はそれに合わせてコンパチ対応を進めてきています。

 しかしながら、CDとDVDとBDでは必要な光学特性が全く違います。レーザーの波長が異なるのは言うまでもありませんし、例えば記録面とのレーザー焦点距離、記録密度なども違います(*)。技術的には素人なのでこれ以上の言及は避けますが、理想的にはそれぞれに最適なレンズやピックアップ・アクチュエータ(サーボ)が望ましいとは言えるでしょう(ライタブルに関しての事情はヨクワカリマセンし影響は規格違いより小さいと思いますので割愛します)。
 が、実際には物理的にもコスト的にもコンパチ機にそれぞれの専用光学系を搭載することはできません。そこで、兼用光学系が開発され、搭載されることになります。

*:http://panasonic.co.jp/blu-ray/story01/

・レンズ事情
 CDしかなかった時代はすべてのドライブがCD専用光学系を搭載していました。アタリマエですが。
 DVDが登場した時、初期段階ではCD用とDVD用の「ダブルレンズ」方式でしたが、現在ではCD/DVD兼用「シングルレンズ」になっています。DVR-105やPX-716A、DV-28S-Yはシングルレンズです。
 さらにBDが登場し、そのコンパチ機では、再びCD/DVD用とBD用の「ダブルレンズ」(*)時代に突入しています。CDに関しては、DVDと兼用レンズという意味でDVD時代と事情は変わらないと思います。

*:http://pioneer.jp/dvdrrw/story/index_15.html

   ←レンズ部の写真はこっちの方が解りやすいかも。

・コンパチであるということ
 レンズが共用ということは、CDとDVDどちらにもオプティマイズされておらず、どちらもなんとかなる落としどころに調整されていると推測します。さらに言うと、どちらかというと優先順位はDVDの方が高くなっているのではないかと(さらに言うと、書き込み速度が最優先だったのでは…)。

 アクチュエータに関しても、DVDドライブではレンズがシングルかダブルかに関わらずCDとDVDは兼用になりますのでやっぱりDVD優先の設計になっているのではないかと。BDドライブではさらにBD用チューンが最優先になっているのでは。
 あくまで推測ですが。

・リッピング最強世代を考察する
 以上を是とすると、CDの読み取りにはCD専用の光学系がベストでしょうから、CDドライブが一番有利な可能性があります。が、あまりに初期のものだとまだ技術的にこなれていなかったり、そもそもCD-DAを読めなかったりする可能性もあります。リッピングという概念が出てくるより前の機種では、コマンドをちゃんと受け付けるかといった点で疑問符が付きます。といって技術がこなれてくると過剰品質の場所や程度が解ってきてしまい(笑)、それを削ってギリギリのコストで必要十分な性能を出す「コストダウン」が厳しくなっていきます。

 CD世代のベストは難しいですね。

 DVDドライブでは、初期の「CD/DVD専用ダブルレンズ」の方が「CD/DVD共用シングルレンズ」より好ましいと言えるかも知れません。

 BDドライブでは、機能性能出しの優先順位的に、CD読みに関してはDVDドライブよりさらに厳しくなっている可能性があります。一方で、逆に、BDでより細密なピックアップ制御を実現している分だけ結果的にCD読みも有利になっている可能性もあります。実際、本実験における2サンプル両方とも、エラーなしを達成しているのは実は“BD世代だけ”です(もちろんエントリー数が一番多いという要素もありますが)。

 と考えてみましたが、あくまでも非常にざっくりとしたイメージです。各ドライブには、前述の通り得手不得手があります。また、古いドライブには劣化の危険もあります。

 ということで、こと「基本的な光学性能がいい」ドライブとして何を買えばいいのか、についての明確な答えは難しそうですね。
 イマドキは外付けになる場合も多いでしょうけれど、スリムは避けて“お気に召した”5.25inchドライブをUSBで外付けした方が無難な気もします。



 ERIとしては、「基本的光学性能」ではなく「補間発生検出装置」という意味でもちろんPureReadは1台欲しいところですけれど。
 好意的に考えるなら、Pioneerにおける「PureRead」は、「コンパチ機においてCD読みの優先順位が下がっていく」という光学・メカ技術のトレンドに対するファームウェア技術でのリカバー、という位置づけなのかも知れません。


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