グランドデザインを考える

09/12/05初稿
13/09/15大幅改訂して新エントリに移動


 電子機器が健やかに動作するためには基準電位のグランド(GND)が安定していることがとっても重要。
 PC-Audioでは、アナログはもとよりデジタルでもGNDはポイントだと思います。安定化電源やトランスで音変わったことからも。


■FGとSG

 そこで、DDCとして活躍中(初稿時点)のSE-U55SXとHDC-1LのGNDがどうなってるかテスターで確認しました。
 なお、FGは「Frame Ground」、SGは「Signal Ground」の略で、それぞれ筐体の電位、信号回路の基準電位のことです。

 結果、

・ONKYO製USB-DAC:SE-U55SX
 USBコネクタのシールド、USB VbusGND(4本ライン中の1本)、アナログGND、DC-INのGND、(プラ筐体なのでFGはなし)

・ONKYO製Audio用PC:HDC-1L
 USB/COM/VGAコネクタシールド、USB VbusGND、アナログGND、DC-INのGND、FG

 上記すべてショートしてました。アナログ系もデジタル系とGND分離してないようです。ただし、HDC-1Lの筐体外装は塗装されているのでショートしません。

 ということで、USBで接続するとPCとDDCのGNDはショートするワケです。
 ふ~む。

 面白いのはHDC-1LのUSBコネクタシールド部。DC-INのGNDが基準値になるハズですが、複数あるUSBコネクタによってそことの抵抗値が結構異なるんです。
 フロント→リアVGA隣→リアLANとのコンボ の順で抵抗値が高くなります。フロントは筐体FGにがっちりGND落としたPCBにコネクタ実装されてるからでしょうか。
 う~む。

 DC電源まで含めてGND系に、なにか工夫のしどころがありそうな気がします。

・ONKYO製DDC:ND-S1 (09/12/13追加)
 USBコネクタシールド、USB VbusGND、同軸GND、DC-INのGND全部ショート(プラ筐体なのでFGはなし)。
 唯一コンポジットGNDだけが分離されてました。
 電源の方は面白くて、5V電源はUSB給電とDC-INは分離。もちろん電源は繋いでない状態です。どんな給電の仕方してるんでしょうね。

・YAMAHA製AVアンプ:DSP-AX2700 (10/06/13追加)
 同軸Digital、アナログ端子、PHONO用GND(FG)、はてはスピーカ端子のGNDも全部ショート。
 テスタの値が0.01Ω(測定限界以下(笑))ですから。

・ONKYO製プリメインアンプ:A-1VL (10/06/13追加)
 やっぱりスピーカ端子まで全部ショート。

・YAMAHA製AVアンプ:DSP-Z7 (10/11/23追加)
 HDMIコネクタシールド、USBコネクタシールド、アナログ端子GND、そしてFGがショートしているのを確認。
 インタコで接続しているA-1VLのFGとも0.01Ωレベルでショートしてます。

・SONY製DACアンプ:UDA-1 (13/11/02追加)
 FG、アナログ端子、コアキシャル端子、USBコネクタシールド、スピーカ端子まで全部ショート。

・TEAC製DAC:UD-503 (15/08/11追加,16/10/18修正)
 FG、アナログ端子、コアキシャル端子、USBシールド、ヘッドホンシールド全部ショート。 XLRは全部独立。USB VbusGNDは電源ONするとやや抵抗あり。




 以下13/09/01ごっそり追記。


■グランドとインレット部のアースピン

 PC用連動タップが壊れたのをきっかけに、保有機器のアース状況について知っておこうと思い立ちました。Audioチューニングの余地があるかも知れませんし。というか、本来知っておくべき事項でしょうね。

 本BLOGでは、地球に接地するラインを「アース」と呼称しFGやSGやACのCOLDと区別させていただきます。電子回路におけるDC側信号基準電位は「アース」ではなく「グランド(GND)」と呼ぶのが普通だと思うんですよね。例えば「DACのアナログアースとデジタルアースを分離」とか言わないですよね。
 世の中の情報には、それらを同一視している、区別していない、区別が解りにくいもの、が見受けられるようですので注意が必要かと思います。


・DSP-Z7
 インレットにアースピンなし。

・A-1VL
 インレットにアースピンあるも本体GND系とショートしていない(*)。つまり浮き。
 付属ACケーブルのプラグも単純2pin(しっぽなし)。 つまり接続されることを想定していない。

*:http://www.hifishock.org/picture.php/19547-A-1VL---1B/categories

・UDA-1
 インレットにアースピンなし。

・UD-503
 インレットにアースピンあるも浮き。付属ACケーブルも単純2pin。

・自作PC(ATX電源)
 インレットにアースピンあり。
 PCの自作パーツではFGとSGの区別はなく(例えばM/Bのネジ留め部はSGなのでネジ留めするとFGとショート)、さらにFGはPSU内でインレットのアースピンとショートしている(ていうかアースピンをFGに落としている)のが普通です。SG(DC側GND)もPSUのFGとショートしています。つまりSG・FG・アースピン全部ショート。
 現在プレーヤとして使用中のE-350自作PCも、もちろんそうなっています。
 メーカ製もおそらく同じだと思います。

・CSE製ACラインノイズフィルタ:NFW-30
 インレットにアースピンあり。出力側コネクタにもアース穴あり。
 筐体表面は非電導だが素材自体やネジ頭やACケーブルのシールドなどはアースピンとショート。
 中身を覗いたところ「インレット直後にXコン、その後にチョークコイルとYコン」というフィルタ回路(*)と推察。Yコンを介してHOTとCOLDがアースに繋がっているため当該製品のアースを接地しないとYコンは浮いた状態になる。
 つまり、この機器は「ノイズフィルタ回路としてアースは有意」ということですので、特性はアースピンの接地有無で変化するハズです(ウチでは音質変化を感じました)。このような回路の製品評価の際には接地有無を留意する必要があるでしょう。

*:http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/catalog/jp/nf_tech_data.pdf
  http://www.murata.co.jp/products/emc/knowhow/pdf/26to30.pdf

 なお、「アースピンが有意な機器」の場合、電源部に同様のACフィルタ(インレットフィルタ)回路を搭載している可能性がありますので、そのような機器(例:PCのATX電源)にこのような外付けノイズフィルタを投入すると“フィルタ回路がダブリ”になるかも知れません。その点にも注意が必要でしょう。

・CSE製アイソレーショントランス:TX-200
 入力インレットにアースピンあり。出力コンセントにアース穴あり。
 IN側とOUT側のHOT/COLDは当然導通なし。
 FG、IN側アースピン、OUT側アース穴はショート。アースセレクタの位置に依存しない。
 アースセレクタを切り替えるとOUT側HOT/COLDのアースに対する電位が変化する。「Normal」だとCOLD側0V、HOT側100V。「Balance」だと両方50V、「Floating」だと45Vくらいになるので浮いた状態と推定。

 アースは相対ではなく絶対の大地電位なのですから、「アースセレクタ」の実動作は“アースをセレクト(切り替えている)”ではなく、(IN側とアイソレートした)OUT側の対アース電位をどこにセットするか、ではないでしょうか。「Normal」だとCOLDをアースと同電位に、「Balance」だと50Vづつ振り分け、「Floating」だと浮かせる、と。
 だとすると「アースの電位を変更する」ように読めるメーカの解説はやや違和感ありますね。

 それ以上に、「アースピンを接地した状態ではアースセレクタによってOUT側の状態はかなり異なるのではないかと推定されます。逆に接地していない状態だとどれにしても原則“浮き”なので影響は小さい? ので、音質チューニングには要注意ではないかと思いました。
  例えば、上記ラインノイズフィルタや、同等回路が入っているPC用ATX電源などを使う場合、それらのYコンで「FloatingのようなBalance」状態になってしまうと思いますので、兼ね合いをよく考慮すべきでしょう。
 チューニングは“普通の状態(COLDが対地電圧0V)”たる「Normal」をベースした方がいいかも知れません(システム内の1次側に合わせる)。

 ちなみに、スイッチは向かって左が「Banance」中央「Floating」右が「Normal」。
 CSEにはもうページがない(苦笑)。いつまであるか判らないけれど↓
http://www.audiounion.jp/ct/detail/used/53403/

 なお、カバー開けて確認したところ、本機のインレット部にはXコンやYコンは入っていませんでした。

・CSE製AC電源レギュレータ:RG-50
 電源ケーブルは2pin直出しタイプなのでアースピンなし。
 が、出力コンセントにはアース穴がありFGとショート。その他とはショートしていない(出力COLDとも)。
 レギュレート出力のアースはどこに行ってるの?

・アコリバ製タップ:YTP-6
 能動機器ではありませんが。
 インレットにアースピンあり。
 コンセントのアース穴とFGはショート。筐体表面は導通しませんのでゴム足などの固定ネジをFGとして。

・ちなみにプラズマテレビ
 インレットにアースピンあり。
 FGとSGとアースピンはバッチリショート。 仕様が「アースしろ」ですもんね。
 付属ケーブルも3pinです。

・ちなみに初代PS3
 プラズマTVに同じ。 中身はコンピュータですからね。
 付属ケーブルは2pinプラグ+アース線タイプ。

・ちなみにCANON製レーザープリンタLBP6200
 インレットにアースピンあり。
 USBシールド(筐体)とショート。仕様が「アースしろ。さもないと感電するぞ」ですもんね。
 付属ケーブルは2pinプラグ+アース線タイプ。


■アースとは何で何するものか

 さて、おおよそ機器の状態が判ったところで、「アース」について調べてみましたので記録しておきます。ちゃんと知っておかないと何していいのか、何してるんだか解りませんもんね。
 ただし、素人の勝手な解釈(備忘録)ですので不確かです。ご了承ください。あくまでご参考まで。

 すべて国内機器事情です。海外製品では異なるかも知れません。例えばLINN DSの付属ACケーブルは3pinっぽいです(ちなみにイギリスの家庭用ACは230Vでアース付きみたいです)。
 また、「国内オーディオ機器にはアース機能なし」として記述しますが、カタログ写真などでインレットをいくつか確認したものの実機で導通を確認したのは手持ち数台だけですので、異なる機器も存在するかも知れません。

 関連法律は「電気設備に関する技術基準を定める省令(*)」であり、それに基づいた民間自主規格が「内線規定」のようです。「内線規定」は法律ではありませんが「義務」「勧告」「推奨」といった規定レベルがあるようです。この「義務」を“法令で禁止”と言ってしまっているケースが多いような気がします。改訂による新旧情報の錯綜もあるようですね。

*:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09F03801000052.html

・前提
 まず、日本の家庭用AC100VはHOT(対地電圧100V)とCOLD(対地電圧0V)で構成されています。
 壁コンセントでは、向かって左側の若干長めの挿入口がCOLDです。COLD(C)はWHITE(W)、NEUTRAL(N)と表記されることもあります。NEUTRALと対になるHOT側呼称はLIVEですね。
 家庭用100Vは原則この2pinとなっています。

  ←一般的な壁コン

 ただ、壁の中でHOT/COLDが逆に配線されていることもあるようなので、少なくともAudio用コンセントは「検電ドライバー」などで極性を確認しておいた方がよいでしょう。

  ←HOZAN製。確かにドライバとしてはブランドだけど

 オフィスなどのコンセントには、HOT/COLDの下にぽかんと「ほ~」と言ってるような穴があって3pinになっているものがあります。その穴が接地されています。

  ←Audio的にいいと言われている壁コン

 上記の通り、一般家庭の普通の部屋のコンセントには通常アースは配線されていません(アース配線は「内線規定」で“推奨”レベルの模様(*))。
 しかし、配電盤にアース線は来ています。戸建ての場合は新築時に床下で接地したものと推察します(電柱から来ているものではない)。

*:Panasonicの見解:http://www2.panasonic.biz/es/report/denzai/200511/pdf/18-21.pdf
  東芝の見解:http://www.tlt.co.jp/tlt/products/wiring/wall_socket/es_wall_socket/earth_ground_double/earth_ground_double.htm#kitei

 このアース線は、法令によってアース接地することが必須と解釈できる機器(それが「内線規定」で“特定機器”として規定されている?)を設置するであろう場所のコンセントにだけ配線されて行き、アース穴やアースネジに繋がっています。

 一度配電盤を観察することをオススメします。原則、黒がHOT、白がCOLD、緑がアースのハズです。アース線は(給電路としては)ブレーカを通っていないこと(ブレーカ落としてもアースは切れないこと)や、配電盤から1点アースで各アース付きコンセントに配線されている(各コンセントで接地しているワケではない)のが見られると思います。

 なお、COLDはアースと同じく対地電圧0Vですが、接地されているのは宅外においてであり宅内で接地されているアースとはショート状態ではありません(してたらアースが独立している意味ないですもんね)。

・そもそも目的は何?
 アース必要とされている機器であっても、アースを接地しなくても動きます。つまり電源回路の基本的な動作とは関係ないということです。通常動作では電気流れていない(ノイズ電流レベルは除く)ということでもあります(流れちゃダメだからこそ漏電ブレーカがあるハズ)。実際デスクトップPCのアース線にはACでもDCでもテスタに電流値反応はありませんでした(コンマmAレベルで)。

 では、何故必要なのでしょうか。

 万一漏電した時の感電防止ですね。漏電でAC電極となってしまった電化製品の筐体に触って感電することを防止するため、あらかじめ筐体を接地しておき漏電電流をそちらに逃がすということです。
 実際に漏電するとアースラインに電流が流れて漏電ブレーカが作動し、感電を未然に防ぐという動作になるようです。あまりグレートに漏電した場合はメインブレーカが落ちちゃうでしょうけど。さらには機器のヒューズが切れるハズ。
 ですので、配電盤から配電されている「コンセントのアース」からアースしないと、感電防止にはなるでしょうけれど漏電ブレーカは作動しないと理解しています(なので、後述する室外機で接地するエアコンなどは漏電ブレーカ対象外ではないでしょうか)。

 本稿にてまずハッキリさせるべきは、一般的に語られる“アース”(壁コンに来てるアース)は間違っても「オーディオの音を良くするため」のものではない(そういう用途は考慮されていない)、ということですね(笑)。

 一般的に“アースする”というのはつまり「漏電による感電防止」というAC側の事情です。有意なアースピンを有する機器ではその目的から金属筐体(FG)はアースピンとショートしています。人が触れる金属部ということでDC側コネクタのGND側(SG)もショートさせている、ということになります。
 つまり、アースが必要な機器はアースピン、FG、SG全部ショートが基本だと思います。

 ただし、国内100Vにおいてアースが法的に必要になるのは一部の電化製品(というかその使用方法から想定される設置条件)に限られます。100Vの電化製品では“普通は要らない”のです。
 上記のPCとプラズマテレビとノイズフィルタは法的にアースが必要なケースではないと推察しています(後述)。

 アースが不要な機器(上記例ではアンプ…というか普通の家電品)では、上記の通りたとえ3pinインレットでアースピンを有する機器であっても、感電防止アースの概念はありません。ていうかほとんどの場合アースピンは浮きと推察されます。


■アース要否を分ける事情はなにか

 電化製品の中にはアースが必要なものと不要なものがあるワケですが、その違いは何でしょう。
 また、アースは不要なハズなのに3pinインレットタイプになっているものもあります。それは何故でしょう。

 「メーカ側事情」と「法的な事情」があるようですので、分けて考えてみます。

・メーカ側インレット事情:世界共通化
 世界共通で使えるように設計されている電源(100~240Vで動作)は、法的にアースが必要な国向けと不要な国向けで商品を共通化するため、ACケーブルを分離して標準規格のIEC3pinインレットに統一してしまうようです。ACケーブルを換えるだけで対応できるということで。なので、法的には不要なのに3pin(アース有意)の機器が存在することになります。
 ウチではATX電源を始め、レーザープリンタ、液晶モニタ、LANのHubなど、PC系の商品で確認しました。

・メーカ側インレット事情:ACケーブル交換
 世界共通電源ではないハズなのにインレットタイプになっている機器があります。上記で言うならA-1VLやDSP-Z7などのAV機器です。
 これは“標準規格のインレットにすることでACケーブルを容易に交換可能にするため”と理解しています。「インレットだけどアースピンがない」「あっても筐体とショートしていない」のですから、本来のアース機能とは無関係な事情に違いないですから。

・国内の法的事情:水気のある場所・濡れた床で使う電化製品
 これは法的にアースが義務づけられているという記述を見つけることができます(*)。ただし、上出「電気設備に関する技術基準を定める省令」にはズバリの記述は見当たらないような。

*:http://www.chuden.co.jp/ryokin/information/use/earth/index.html
  http://csknowledge.panasonic.co.jp/app/answers/detail/a_id/59/~/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%82

 それはさておき、理由は湿った場所では感電しやすくなるためですよね。代表例は洗濯機やウォシュレットでしょうか。エアコンもですね。一瞬、普通に居間で使ってるのに? と思いますが、実は室外機は正に濡れた場所で使いますから。
 冷蔵庫や食洗機も「内線規定の特定機器」になってますね。Panasonicはビルトイン食洗機は法令義務だって言ってます(*)が… ウチのビルトイン食洗機の専用AC配線にアース線はありませんでした。が、シンク自体が接地していて食洗機の筐体はシンクにショートしていました。それを狙ってるんでしょうか。

*:http://sumai.panasonic.jp/dishwasher/qa/pdf/gijyutsu_03.pdf

 なお、電子レンジは必ず濡れた場所で使うものでも200V機器でもありませんが普通はアースすることになっています(「内線規定の特定機器」になっています)。
 内部で高電圧を生成する機器だからでしょうか。まあ、台所は湿った場所と言えばそうかも知れませんし、中で水気あるもの扱いますけれど。
 もしかしたらノイズ発生源としての対策の意味もあるのかも知れませんね。
 その点ではプラズマテレビもニアリー事情な気がします。

・エアコン用配線事情
 ウチでは1階のエアコン専用ACにはアース配線されていません。が、2階にはされています。つまり意図的と思われますが、それはなんでしょう?
 どうも、異なる接地状態のアースを同じ機器でショートさせる「ダブルアース」は御法度みたいです(エアコン工事の方が仰ってました)。エアコンは配管の中に電源ケーブルを這わせて室内機から室外機へ電源供給しているワケですが、HOT/COLDだけでなくアース線も繋がっているので、もし室外機と室内機でアースするとダブルアースになってしまいます。
 このことから、戸建ての1階は間違いなく室外機で接地すると想定して敢えて宅内配線していないのだろうと推察します。2階に配線されているのは、室外機を屋根やベランダに設置するケースがあり、室外機で接地できない可能性があるためでしょう。

 実際、室外機で接地されている(専用アース棒が横に埋められている)室内機のアースピンは宅内アース線とショートしていませんでした(フラフラしますが2.8kΩほど抵抗値あり)。食洗機用にアース配線がないのもダブルアース問題を防ぐ考え方なのかも知れません。

 「エアコンのアースは配電盤から配線されている宅内共通アースとは独立していることがある」というのはポイントかも知れませんね。
 加えて、エアコンはその電力から専用配線(専用ブレーカ)だと思いますので、「エアコンだけブレーカを落とせる(両切りの保証はないみたいですが)」というのも特殊事情でしょう。

・200V事情
 とりあえずエアコンの事例にて。200Vエアコンはその電圧から法的にアース必須になっているようですので、1階でもコンセントにアース穴は存在します。が、おそらく宅内アース線は配線されないのではないでしょうか。ウチはもともと100Vコンセントだったのでされてませんが、最初から200Vの場合でもそうなのでは。

・水道管でアースしていいの?
 これは、まずは“やっても効果がない場合がある”ということでしょう。地中埋設部分が塩ビ管だと接地になりませんし、接地していても漏電防止のためのアース規格を満たしている保証はありませんから、中途半端な接地で漏電した場合は水道管自体が漏電筐体と同じ状態になってしまいますからね。漏電ブレーカも機能しませんし。
 ですので、おそらく「法的に決められたアースとしてはやってはいけない」ですが「法的に必須ではないアースとしてはやってもいい(やらないよりマシ)」ということではないでしょうか。このあたりがこんがらがっていてワカリニクイのでは。
 …ウチのシンクや食洗機はいいのかな?

・ガス管でアースしていいの?
 これは本来のアースの能力が保証できないという以前に、爆発の危険があるのでダメ、ということでしょう。
 …ウチのガス栓はシンクと一緒にアースにショートしてたけどいいのかなぁ?

・資格なくても“アース工事”していいの?
 宅内配線してあるコンセントにあるネジ式アース端子に機器からアース線を繋ぐのは各種マニュアルなど見てもユーザがやっていいようです。そもそも“しっぽ付きACケーブル”はそういうものですよね。
 しかし、宅内配線そのもの(具体的に言うと壁コンの中より上位)を弄るには資格が必要という理解でよさそうです。ちなみにコンセントプレートの付け替えまでは資格不要のようです。
 ですので、もちろん新たにアースを引く工事(庭にアース棒を打ち込む)も要資格ですが、“普通に語られる要資格のそれ”は、感電防止目的としてのものでしょう。AC側とDC側(筐体含む)が絶縁されている機器のDC側をアースすることに資格は必要なのでしょうか。例えばヘッドホンのGNDを庭に埋めたアース棒にショートさせるのにも資格が必要とは思えないのですけれど。

 ちなみに、例えば、アースされた(されていても不思議はない)PCのUSBケーブル(GNDはアースとショートしている)を、アースされていない(されていないのが普通)DACにホットプラグ接続する行為は、DACのFG・SGを電源ON状態でアースすることになりますよね。

参考:http://as76.net/asn/earth.php


■PC-Audioとアース

・アナログ機器
 上記の通り、一般的なアースとは万一の漏電時の感電防止のためのものです(落雷感電防止目的もあるようですが、詳しくはいいでしょう)。 いわゆる「保安目的」です。ですので、宅内配線アースの接地抵抗はそれほど低くする義務はありません。人体より充分電気が流れやすければよいということでD種100Ω以下という規格らしいです。
 また、各種家電が発生させるノイズの逃げ場(捨て場)にもなり得ます(プラズマTVや電子レンジなどにはそういう目的もある?)。

 一方、オーディオ的なアースの目的はもちろん感電防止ではなくGND安定化による音質向上です。
 といっても、一般のオーディオ機器にはアースピンはありません。“アースという概念がない”と言った方が正確かと思います。
 なので、接地するなら信号側GND(FGとSG)になります。
 ですので、一般的なオーディオ機器における「アースする」という行為は、「(アースによって)グランドを強化する」と表現した方がよいと思っています。

 一方、ノイズフィルタやアイソレータなどアースを持つ機器もあり、それらにおいては前述の通り、ピンや端子穴があってFGとショートしてるだけでなく、当該機器の回路に接続されている場合もあります。つまりそれらはアースの概念がある機器と言えます。
 ですので、それらのアースをどうするか考えることは可能であり有意でしょう。
 が、アンプやプレーヤの「アースによるグランド強化」と同時にそのような機器の接地も行う場合、信号GNDとAC用アースがショートするワケで、ヘタするとDC側GNDがACノイズで汚染されることにもなりかねません。例えば、ノイズフィルタのアースピンとアンプのFGを同じコンセントのアース端子で接地するような場合です。
 つまり、オーディオ機器のアースについては、電源側と信号側どちらのハナシなのか区別して考える必要がある点に注意が必要でしょう。

 オーディオ機器の信号側GNDは電源側から絶縁されており、必死に安定化されています。それをさらに強化するのは既設の宅内アース線による接地では難しい気がします。宅内アース線とGNDを接続するということは、家中のアースされた家電のGNDとショート(それも結構な長さのコードで)することですから、その状態によって影響は大きく異なると思われます。
 また、そもそもSGはインタコで複数機器とショートしていますので、例えばCDプレーヤとアンプを接地した場合は“いわゆるグランドループ”がFGとSGを経由して完成します。インピーダンスが圧倒的に低ければ問題ないでしょうけれど、現実的にはケアすべきポイントかと思います。

・PC
 ということで、信号側GNDの(既設宅内アースや簡易アースでは)接地による安定化はかなり難しいと思います。
 が、PC-AudioにおけるプレーヤPC(トラポPC)はちょっと事情が異なるのではと気付きました。

 ・デジタル処理だけなので、その信号にノイズが少ないに越したことはないだろう
 ・というか、自作PCの電源はスイッチング=ノイズ発生源なのだからとにかく接地した方がいいのでは
 ・ていうか、ATX電源のインレットにはYコン入ってる(*)から“伊達アースピン”じゃないし
 ・つーか、アース落とす前提の設計(機器)ってことぢゃん
 ・そもそもSGとFGとアースピンはハナからショートしてるので、その点においてはなんら心配要らないし

*:http://www.dosv.jp/other/0809/02.htm

 ということで、PCのGNDを接地させることは、たとえ宅内アース線に拠ってでも有効ではないかと思えます。
 ですが、普通はPCとDACのGNDはUSBケーブルなどでショートしてしまいますから、PCのGNDだけ接地することはできず、DAC側デジタル回路・アナログ回路のGNDまで巻き込むことになります。

 しかし、現在ウチではプレーヤPCとDAC間は光HDMIでアイソレートしています。つまり「PCのGNDだけ接地することが可能」ということです。
 これはやってみる価値アリですね。

 ので、とあるアース線を引っ張ってきて実験してみました(それなりに強力なつもりのアース。実験用なので常用できない配線で)。

 …低域は沈み込みが深くボリューム感も増大し、高域も出なくなったワケではないのにグンと落ち着きました。細かい音がよく聴こえるようになったからだと思いますが、エコー成分や反響音が明瞭になるため、すごく空間が広がって…というか、“底が深く”聴こえます。
 振るった言い回しが許されるなら、“ひどく透明で深い湧水湖の水底に吸い込まれるような”ちょっと冷めた(?)音になりました。

 かなり大きな変化がありましたが、接地方法を変えると変わり方もかなり変わります。
 方法の違いとは、「宅内配線の共通アース」「エアコンのような独立アース」「新規に設置するオーディオ専用アース」などが考えられます。
 「アース棒周辺の湿り具合」なんかも影響する気がします。アース棒に“水をやったら”音変わりました。たぶん(笑)。
 加えて、例によってケーブルに依っても変わりそうです(苦笑)。



 PC-AudioにおけるプレーヤPCの接地は検討に値するのではないかと思います。
 DAC以降とアイソレートされているか否かでかなり事情は違ってくるとは思いますが。

  ←IN/OUT両方3pin(アースピンは脱着可能)で、アースが取り出せる(コードはネジ脱着式)ので実験に便利


・アース線変更
 13/12/22追記:PCのアース、上記の通り考察した後「1.25mm2のより線」でとあるアース端子に接地してました(実験とは全く別状態なので音質の感想も異なります)。本当は太い単線を使いたかったのですが、一部壁を這わせるため白しか使えず、1心のものはより線しか見当たらなかったためです。
 白で太い単線ないかな~ ないな~ じゃあ2芯のVVFを剥いて白線だけ取りだそうかな~ などと考えていたのですが、DIYショップで「1.6mm2単線2芯で“白”の平型ケーブル」を見つけたので、いっそ2芯のまま使ってみようと思い導入しました。アース線を平行で2本繋ぐことで弊害あるかも知れませんがとりあえず。

  ←こんなカンジ

 明らかに違いますね。より“正しい音”になった気がします。ヴォーカルが聴きやすくなったせいでしょうか、同じ曲でも自然に歌詞を追っかけてるのに気付きます。
 この状態でアース端子から外して比較したところ、ステレオ感や明瞭感が減る気がしました。アースケーブルがあるだけではなく接地されていることが効いているようです。
 また、DACアンプとして使っているAVアンプ(PCとは光HDMIでアイソレートされている)も同アースで接地してみたところ明瞭感が後退しました。やっぱアナログ系はムズカシイ気がします。


■おまけ

・PHONO端子のGND
 PHONO入力を有するアンプにはGND端子(=FG)がありますが、これはあくまでもPHONO入力のためのものです(多くはシルクでPHONO端子とくくられて配置されていることからも)。つまりアンプ・アナログプレーヤ間接続のみを考慮した端子であり、「アンプの筐体をアースする」といった意図はないと思います。

・インレットピンのCOLDはどっちだ
 2pinプラグの電源ケーブルだとどっち向きにも挿せちゃいますけど、おそらく標準的な設計はあると思われます。
 3pinプラグの電源ケーブルをテスターで調べてみると、コネクタ側の長辺を上にして(アース穴を下にして)正面から見た時、向かって右側がCOLDのようです。なので、2pinプラグでは、そちらの穴とショートしている刃がCOLDということです。
 NやWといった表記があるもののありますね。プラグ側もアースを下にして向かって右側ですから、揃えて見た時同じになると覚えておけばいいでしょう。
 以下、インレット側の例ですが、そのように表記されていますね(NEUTRAL=COLD)。
Pioneer USB DAC ヘッドホンアンプ内蔵 ハイレゾ音源対応 U-05
Pioneer USB DAC ヘッドホンアンプ内蔵 ハイレゾ音源対応 U-05

 PioneerはAVアンプなどにも表記がある模様。

・直出し2pinプラグのCOLDはどっちだ
 本項16/09/29追記。
 CSE製クリーン電源レギュレータ:RG-50の電源は直出し2pinプラグ(出力側にはアース穴あり)なのですが、挿す向きを変えるとかなり音質変わります。もちろんシステムに依りますけれど。
 刃の間の表記を天地逆に挿すと、チューニング状態によってエネルギッシュに聴こえることも違和感のように感じることもあり、それが機器設計上好ましい状態かどうか判断できません。
 直出し機器の極性は筐体電位で判断する方法がありますが、RG-50って電源レギュレータで、筐体FGは“レギュレート側”出力のアース穴とショートしてますから、その方法が通用する確信も持てません。

 そこで、「2pinプラグ+3pinコネクタケーブルのプラグ極性になにか法則性がないか」とATX電源やディスプレイ付属のケーブルを数本調べてみましたが、残念ながら「プラグ部のメーカ名や定格表記」や「出ているアース線の場所」などとの明確な相関は無いようです。
 ちなみに、刃が生えてる面に“○にC”といった記号があるケーブルがあったのでCOLD記号かと思いましたが、“○にP”というのもありましたので、どうも「コピーライト記号」の©だと思われます。実際、COLD側とは限りませんでしたし。紛らわしったら。

 次に、「2pinながら極性表示があるケーブル」を確認してみました。

 ・YAMAHA製DSP-Z7付属ケーブル・・・プラグに△=COLD表示あり
 ・ONKYO製A-1VL付属ケーブル・・・片方の刃に○○=COLD表示あり
 ・SONY製BDZ-V9付属ケーブル・・・メガネ型ながら○○=COLD表示あり
 ・ONKYO製SL-A250直出しケーブル・・・白線=COLD表示あり

 上記4本すべて、COLDの刃を向かって右にして刃間表記を見ると天地逆でした。逆に言うとCOLDが左の一般的コンセントに挿そうとして持った時刃間を上から見ると文字は正方向に読めますから、そういう考慮しているのかも知れません。

        [|表記|]
         C    H

 ということで、「実はプラグがこうなってる方がCOLD」というハナシはどうも無さそうです。
 が、2pinながら極性表示がある4本は刃間表記を天地逆にコンセントに挿すと極性が合致しますので、直出しケーブル機器でどっちか迷ったらまずは“逆さ”を優先するといいのかも知れません。

・200V化で変わるのは
 本項16/10/07追記。
 電圧以外にも、「COLDが無くなる」という大きな違いがあるような。
 100V系でのアース有意な機器の場合(有意でなくてもDC側GNDを接地した場合)、「AC側のCOLD」と「筐体のアース(DC側GNDとショート)」という“ふたつの対地電圧0V”が存在することになります。200Vはそうならないことが音質へ影響するかも知れません。


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Author:らかせ
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