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ハズレゾ奇譚

17/08/11初稿

 珍しく(笑)CDではなく配信ハイレゾを買いました。
 「マジでハイレゾ」と判断したためです。
 ですが、ファイルを覗いてみたらいろんなこと考えさせられちゃいました…

 「CDより高くてディスクやブックレットなどの“実体”もないけど、ハイレゾ買うべきか否か(特に新譜)」は、やっぱり難しい問題ですねぇ。


■PCMかDSDか

 買ったのは寺井尚子「HOT JAZZ」です。

 出自情報はありませんでしたが、

・CDのブックレットにずっと使用機材が掲載されている
・過去CDに酷いピーク潰れは見当たらない
・本作はDSD2.8MHz(DSD64)配信もしてる(SACDでもリリースされてる)
・CDはSHM-CD(効果の有無は別)

ことなどから、音質にはこだわってるハズだと思って(ジャンル的にも)。

・変換元を買いたい
 このアルバムは複数のメディア・フォーマットで販売されています。

  ・配信:DSD64(2.8MHz),PCM2496
  ・ディスク:CD,SACD

 なので配信ハイレゾに限ってもDSD64かPCM2496か選ばねばなりませんが、個人的には、「PCMかDSDか」ではなく「変換元の方を買いたい」んですよね。
 どっちが元でしょう?
 一般的には「DSDは編集できないのでPCMで編集を行った後変換して生成している」ハズです。
 もし当作品が“一般的”ではなく「DSD一発録り」や「DSDマルチ録り」だったら絶対ウリにすると思いますが、それはありません。
 また、後付け情報ですが、本作品のCD(結局このあと購入)のブックレットには、2496のAD/DA機材はありますがDSDのそれはありません(SACDプレーヤはありますが…)。

 ので、PCM2496にしました。
 DSD64は30kHz以上はノイズですのであんまり魅力感じないワリにはPCM2496より高いということもあり。

 しかし…

・「ハイレゾノイズ」がある!?
 本稿、「リベルタンゴ2015(Lch)」を代表例として記します。

リベルタンゴ2496スペクトル

 20kHz以上にも倍音が出てますので「リアルハイレゾ」です(ヴァイオリンって判りやすいかも)。
 しかし、高域が徐々に減衰しておらず、ノイズがもりもりと盛り上がっていくではありませんか。

 それってDSD64の特徴です。なんと想定とは逆で「PCMはDSDからの変換」だったようです。

 PCMで編集した後DSD化して、それをまたPCM化してるということに。
 確かに以前からCDに「DSDロゴ」が付いているのですが、漠然と「アーカイブ用にDSD化してるのかな」「CDはDSDマスターから変換してるらしい」くらいに思ってました。でも、2496以上のPCMマスターはあるハズですから、てっきり配信2496はDSDと無関係だと。
 「とにかくDSDでマスター作る。CD用も配信用ハイレゾもPCM商品データはそこから変換する」ってポリシー?

 し、しまった…

 まあ、どんな商品でも何等かの変換は入ってるでしょうからあんまりこだわっても仕方ありませんが、「せっかくのハイレゾ」ですし、「変換元により近い方(*)も売ってるのに変換の方を買っちゃった」となると“ナンカクヤシイ”です。
 「DSD64より安かった」って納得しようかとも思ったのですが、やっぱり、どんな事情があるのか知りたくなり、結局配信DSD64もCDも入手するハメに(苦笑)。

*:もしかしたら「配信DSD64がそのまま変換元」かもしれませんし、違うかもしれません。いくら考えても解らないのでそれは考えません。が、「少なくともPCM版よりは変換元に近い」とは言えるでしょう。

 以下、DSD64ファイルは≪AudioGate 2.3.3≫のゲイン設定デフォルト(DSD0dB=PCM0dB。DSD+dB領域は潰れる)でPCM2496のWAVに変換して扱っています。


■PCM版の質

 できれば“よりマスターに近い方が欲しい”ですが、変換は絶対ダメだと思っているワケではありません。
 しかし、そう納得できるのは変換においてもキチンと質を保っている場合です(当たり前ですけれど)。
 その点、この配信PCM2496、残念ながら私にとってはハズレでした。

 「周波数成分」としては20kHz以上に成分があるのでハイレゾではありますが、「波形」を見ると酷いピーク潰れを起こしているためです。

・DSD版のピーク潰れ
 先に、配信DSD64を見ておきます。

 ≪Audacity 2.1.0≫で「クリッピング表示」します。この機能では1サンプルでもフルビットだと赤くなりますので、赤が即「ピーク潰れ」を示すものではありませんが、差異比較目的としては問題ないでしょう。実際にどれくらい潰れているいるかは、もちろん拡大して確認しています。

ピーク潰れ:dsf

 なんかとってもイイカンジに見えます。
 途中と最後の方にクリッピングがありますが、拡大して確認すると酷いものではないですし、そもそもDSDにはMaxPeakという+dB領域が許容されています。後述します。

・PCM版のピーク潰れ
 次に、PCM版はどうでしょう。上が配信PCM2496、下がCDです。

ピーク潰れ

 激しくクリッピングしています。
 拡大してみると60サンプル以上の連続ドンツキも多数あり、「数サンプルクリップした箇所がちょっと多い」といったレベルではありません。「酷いピーク潰れがある」と言っていいでしょう。
 その実態をPCM2496(上)とDSD64(下)の比較で示します。

ピーク潰れ:WAV VS DSF

 どう見てもDSD64の方が好ましい…というか正常です。PCM2496では波形の機微が失われているのがよく解ると思います。

・DSD版はピーク潰れしていない
 ところで、DSDにはScarletBookで認められた「MaxPeak領域(PCM0~+3.1dBに相当する)」があり、そこに入ってもピーク潰れではありません。
 本稿で扱っているDSD64はゲイン設定0dBでPCM2496に変換したものですので、赤くなっているのは即潰れを示すものではなくMaxPeak領域に入ったことを意味するものです。
 -3.1dBでPCM化しての確認も行いましたが、DSDとしてのピーク潰れ(MaxPeakオーバー)はありませんでした。
 規格に準じた問題ない最大レベルになっているということです。

・ダイナミックレンジとしてはどうか
 ピーク潰れとダイナミックレンジが取れているかは直接関係ないでしょう。
 ですが、試しに«foobar2000 v1.1.11»にプラグイン「Dynamic Range Meter 1.1.1」を入れて、その値を出してみました。

・配信DSD64(PCM2496:DSD0dB=PCM0dB):14
・配信DSD64(PCM2496:DSD0dB=PCM-3.1dB):14
・配信PCM2496:9
・CD1644:9
・配信DSD64から0dB設定で変換したPCM2496から変換したPCM1696:14

 この結果を集めているサイト(*)があり、そこによると「1~7=bad,8~13=transition,14~20=good」だそうです。値の絶対的意味は解っていませんが、同じ曲の相対値として見ると結構差はありそう?

*:http://dr.loudness-war.info/


■意図なのかミスなのか

 PCM版のピーク潰れはかなり酷いと思います。一転、DSD64は好ましい波形になっています。
 激しく対照的なワケですが、この差は意図的に作られたのでしょうか。それともPCM版は何らかのミスで潰れちゃったのでしょうか?

・過去CDはどうだったか
 そのアタリを付けるため、過去CDのピーク潰れをチェックしてみます。
 「HOT JAZZ」はCD版でもかなりピーク潰れしていますが、過去CDもずっとそうなら“潰し”は意図的なのでしょうし、今回だけ特殊ならミスの可能性が高まるのではないかということで。

 まず、「音源商品種類の変遷」を明確にします。
 「ハイレゾを始めた」「DSDも加えた」といったラインナップの違い=制作プロセスの違いであり、ピーク潰れはプロセス違いと関係あるとの仮定からです。
 e-onkyoやmoraで調べた限りでは次のようです。解りやすくするため作品順にNoを付けました。

 「20:C'est La Vie」・・・ハイレゾ商品なし
 「21:Very cool」・・・PCM2496登場
 「22:HOT JAZZ」・・・PCM2496にDSD64も追加(SACDもあり)

 このうちNo.22は調査済みですので、No.20とNo.21について調べます。

・「20:C'est La Vie」~ハイレゾ商品ラインナップがないもの
 「20:C'est La Vie」だけでなく、より前の作品全般について共通の事情と言っていいと思いますが、100%確認はできませんので例外はあるかも知れません。ご了承ください。

(1)ピーク潰れ
 クリッピングが数か所あるtrackもありますが、そのドンツキは連続数サンプルで全体の音圧バランスから意図的に潰したと言われて納得するレベルであり、「ピーク潰れ」「波形変形」と声高に言いたてるべきものはありませんでした。
 一例として、当アルバム中一番潰れがある「Like In Fire(燃えつきるまで)」の波形を貼っておきます。

Like In Fire:ピーク潰れ

(2)スペクトル
 「高域にノイズ盛り上がり」などは見当たりません。同曲冒頭です。

Like In Fire:CD冒頭スペクトル

・「21:Very cool」~ハイレゾ商品(PCM2496)があるもの
 まずはCDを購入し、その中で一番ピーク潰れがあった「Tempus Fugit」の配信PCM2496も購入。
 この曲について調べます。

(1)ピーク潰れ
 上が配信PCM2496、下がCDです。

テンパス・フュージット:ピーク潰れ

 かなり潰れているように見えますが、拡大してみるとクリッピング表示から受けるイメージよりはマトモです。あまり密集はしておらず連続ドンツキも数サンプルに留まっているようで、個人的にはまあ許せる範囲でした。
 平均音量はCD:-14.87dB、2496:-14.84dB(«Sound Engine Free 5.02»にて)でほぼ同じですし、ピッチも同じに見えますので、波形はほとんど同じと言っていいと思います。2496の方がクリッピングが多めなのはTruePeakによるものと推察されます。

(2)スペクトル
 まずは配信PCM2496。

テンパス・フュージット:スペクトル

 やっぱりDSD64特有のノイズがありますね。「22:HOT JAZZ」と同じくDSD64からの変換だと思われます。

 次にCDのスペクトルを見てみます。ナイキストまで成分がありますので、高域のノイズ有無が分かる演奏開始直前です。

テンパス・フュージット:CD冒頭スペクトル02

 何故か高域にノイズ盛り上がりがあります。15kHzくらいから発生している状態は配信PCM2496とも異なっているので、DSDのシェイピングされたノイズそのものではなさそうです。
 これはひとつ前の「20:C'est La Vie」までは見られませんし、次作「22:HOT JAZZ」にもありませんから、挟まった本作だけ何か作り方が違うようです。

・商品ラインナップとピーク潰しとその意図
 状況をまとめると、

・ハイレゾ商品作り始めてからは“都度”制作プロセスを変えている(試している?)模様
・ハイレゾ商品がなくCDだけだった「20:C'est La Vie」以前は潰して(れて)いなかった
・ハイレゾ商品がPCM版だけだった「21:Very cool」もほとんど潰して(れて)いなかった
・DSD版も準備した「22:HOT JAZZ」ではどっさり潰した(れた)
・でもDSD版では潰して(れて)いない


ということになります。
 さて、そこに作為はあったのでしょうか…?

A.意図的だったとしたら
 “DSD版も作るとなったら”PCM版はDSD版と異なる「ピーク潰しマスタリング」したことになります。
 同じ楽曲(アルバム)なのにフォーマットが違うと潰し方が違う点がポイントです。「この楽曲(アルバム)はそういうマスタリングがよいと判断したから」ということにならないからです。
 つまり、「PCM版だけ意図的に歪ませた」「しかもDSD版を併売する場合は」ってことになります。
 「敢えてDSDとPCMの音質差を演出した」ということに。

 もし「演出ではない。DSDでは潰さない方がよいマスタリング、PCMでは潰した方がよいマスタリングなのだ」などと言われても理解に苦しみます。DSDとPCMのフォーマット違いは再生動作の違いで音質差を生むこともありますが、それを「ソースのピーク潰し有無」で際立たせたり相殺したりできるハズがありませんので。
 同じPCMでも「16bit(96dB)しかなかったCDだけの時代は潰さなかったのに24bit(144dB)になったら潰した」って点とも矛盾しますし。

 いずれにしてもピーク潰しを厭わずやることではありません。「PCM版の音質を疎かにした」ということですよねぇ。

B.意図的でなかったとしたら
 「変換時のミス」ということになります。
 先のまとめが正しいとするなら、「ハイレゾ商品も作るための制作プロセス試行錯誤」によるものだと思いますが、ミスが見逃されたってことは「キチンと製品検査してない」ってことですよねぇ。


 もちろん真相はワカリマセン。どちらにしてもガッカリですけれど(苦笑)。


■潰れた(した)のは何故か

・ピッチが違う!?
 なんでこんなことになってるのか知りたくてDSDとPCMの波形差分採取など試みたのですが、何故か上手くいきません。
 妙な違和感を感じながら波形を見ていたら、「DSD版とPCM版で曲の長さが異なる」ことに気づきました。

 カット編集で冒頭を揃えても最後になるとズレている=つまりピッチが異なっているのです。
 ≪Audacity 2.1.0≫でその様子を示します。画像編集で冒頭と末尾を繋げたものです。
 DSD64(上),PCM2496(中),PCM1644(下)の順です。

ピッチズレ

 ふたつのPCM版の長さは同じです。
 PCMにはDSD特有のノイズがありますから「PCMはDSDからの変換」なのは間違いありません。その際ピッチが変化した、つまり単位時間あたりのサンプル数が増減したということになりますが、それはデジタル変換では起こりえません(考察は稿末)。
 ですので、「PCM版は、DSD64をアナログ再生(DA)・PCM録音(AD)して得た」と考えざるを得ません(*)。
 そしてその際マスタークロックが同期していないDAとADだったということです。ざっくり290秒で6/1000秒ほどズレてますので約20ppm差です。すんごくクロック精度差っぽいですよねぇ。
 なお、他の曲もこの状態(PCM2496の方が速い)であることを確認しましたので、この曲の特殊事情ではありません。

*:複雑に考えれば他の可能性も当然あり得ますが、「あり得る可能性」はいくら考えてもキリがありませんので、本稿ではシンプルに判断しておきます。

 ですので、潰れている理由は「マスタリングの際に音圧マシマシにした」以外に、「DSD再生をPCM録音する際のアナログ入力レベルオーバー」という可能性も考えられるのでは。

・デジタル変換なら設定ミスの可能性もある
 DSD→PCM変換はツールによってフルスケールの扱いが異なりますので、ちゃんと設定しないと激しくピークが潰れたりします(詳しくはMaxPeak考察記事参照)。


■ニセレゾじゃなくてハイレゾでもハズレゾかもしれない

 「HOT JAZZ」配信PCM2496は「ただのアップサンプリング」といった「ニセレゾ」ではありませんでしたが、個人的には「ハズレゾ」でした(苦笑)。
 一方、配信DSD64はアタリっぽいです。

 ということで、ハイレゾ商品についての“学び”を改めて。

(1)「ハイレゾの方がCDより良マスタリングされている可能性が高」くないかも知れない
 ハイレゾを選ぶ理由として「CDより良マスタリングされている“可能性”が高い」とは言えないのかも知れません。

(2)「DSD版も作るくらいだから音質こだわってるハズ」とは言えない
 DSD版も売ってるような作品ではPCM版も高音質な印象受けますが、逆に注意した方がいいのかも知れません。

(3)ハイレゾ版がある場合はCD版は劣化してるかもしれない
 今回の例では、DSD64をラインナップするために“制作プロセスを変えたことでCD音源が劣化”したように見えます。

 さらに、今回の例ではありませんが、次のような事例もありました。

(4)波形異常の商品が流出している
 明らかに波形がおかしくなってる商品に遭遇したこともあります。指摘したら修正されましたけれど。
 デジタル演算エラーのようなカンジでグシャグシャになっており、実際「ジャッ」というノイズとして聞こえるものでした。検査(仕上がり確認)すれば当然判ったハズ。

 けっこう大きな品質問題もあったようです。

F.I.X.RECORDS様の下記音源に関して、DSDマスターをPCM(WAV/FLAC/ALAC/mp3/AAC)に変換した際に設定が適切ではないものが含まれていました。
出典:http://ototoy.jp/feature/information_20150123

2014年10月24日よりe-onkyo music様で配信開始しておりました一部WAV音源にフォーマット変換エラーに由来する不備がございました。そこで、e-onkyo music様と協議の結果、同日に配信開始した作品の配信を停止いたしました。
検証が済み次第、配信再開いたします。また、既に同サイトにてご購入されたお客様には、e-onkyo music様より再ダウンロードの通知がございますので、誠に申し訳ございませんがしばらくお待ちいただきますようお願いいたします。
また、同様のフォーマットでの音源配信を行っておりますOTOTOY様にも検証の依頼をいたしました。

出典:http://fixrecords.com/20150123_2/

(5)こっそりアプコンしているものもある
 明示せずにアップコンバートな商品もありました。


■まとめ:ハイレゾ購入前の“心の準備”

 「こんなハズじゃなかった…」と悲しい思いをしないために、以下覚えておこうと思います(苦笑)。

・ハイサンプリングは「有効な成分が入ってればめっけもの」くらいに考えておく
・ハイビットの効果は最近の作品だったら期待できるかも(*)
・ピーク潰しを含むマスタリング品質がCDよりいいかどうかは博打と心得る
・DSD64は「30kHz以上はノイズ」と承知しておく
・特にDSD版がある場合はPCM版は変換である可能性を覚悟する
・もちろんDSD版もPCM版からの変換である可能性を覚悟する
・DSD版とPCM版は、どちらかがアタリでどちらかがハズレの可能性を覚悟する

*:ただの演算結果ではなく有効なハイビットなのか確認する術は思いつきませんけれど。

 ぶっちゃけ、「CDより高音質なハズだから」の“ハズ”は通用しないということですね。残念ながら。
 やっぱり、キチンと出自を示してもらいたいです。

 CDよりプレミアムな値段付けるなら。


■エトセトラ

・デジタル変換ならピッチ変化は発生しない
 1秒間に2,822,400個のサンプル(1bit)を96,000個のサンプル(24bit)に置き換える処理でサンプル数が変化する可能性は思いつきません。リアルタイム変換じゃありませんから欠損やダブリはあり得ませんし。
 ですが念のため、以下の実験してみました。

 ≪AudioGate 2.3.3≫で「300secの4kHzサイン波2496→DSD64→2496」変換し、変換前後の2496を比較

 ピッチは変化していませんでした。
 微妙にピッチ変化していたら反転mixすると共鳴周波数が出てくると思いますが、それもありませんでした。
 さらに念のため≪TASCAM Hi-Res Editor 1.0.1≫でも同じことをしてみましたが同結果でした。

 なお、「DSDディスクやSACDを試作→対応プレーヤで再生→変換されたPCM出力を記録」といった方法でも、デジタルのままならデータレートが変わることはありません。ヘンなプレーヤでない限り。
 SRCかかってるという可能性も理由が想定できないので無視します。

・LPF
 どれもこれもナイキスト以上の成分をカットするLPFをかけてるように見えないのですが、そういうものなのでしょうか?

・変換元はどっちだ
 試聴音源は商品そのもののデータではありませんから、購入前に試聴で「どっちが変換元か」を判別することはできません。
 PCMとDSD両方配信する場合はどっちがマスターだか(より近いか)明示して欲しいなぁ(PCMでの編集終了後に分岐した場合は「どっちもマスター」かな?)。
 特にDSDの出自はより明確化して欲しいですね。クリプトンさんの提言には全面的に賛成です。

 最後のこだわりは、上記のような制作プロセスを公開し、クオリティーに対する信頼性を担保することだ。DSD配信については、以前から業界内でファイルの制作過程が不明瞭という点が指摘されていた。樋泉氏は、「DSDで録音し、そのまま配信できるならベストだが、実際には“ライブ一発録り”などを除いて商品としては皆無に等しいはず。編集が事実上できないからだ」と指摘。ユーザーから見て、DSDフォーマットが持つ本来の特徴を活かしているか判断しにくい販売方法は問題だという。

 「例えば192kHz/24bitのPCM音源からDSDに変換することは難しいことではないし、CDの44.1kHz/16bitをDSDに変換することは個人でも容易に行える。しかし、商品となれば話は別。どのようなプロセスで制作したかを明らかにするべきだ」(同氏)。

出典:http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1411/27/news112.html

 「PCMは変換です」とか記載するとあらぬ誤解されそうなので難しいでしょうけれど。無理かなぁ。「芸能山城組 恐山/銅之剣舞」とかは公開(*)してますよね。

*:http://ascii.jp/elem/000/000/991/991223/index-4.html

・品質管理
配信によるハイレゾ音源購入は、手に取れるパッケージ商品ではないため、責任の所在が希薄になる危険性を秘めています。例えばCDやDVDといった実際に“盤”として存在する音楽ならば、たった1ヵ所にノイズが混入するだけで最悪の場合は商品の全回収といった事故にまで発展する場合があるでしょう。配信版の音楽ならば、再ダウンロードという処置で解決できますし、誠意の無い制作会社ならば事後に音源を差し替えて「作品にはノイズが入っていませんでした」とミスを隠蔽する可能性すら考えられなくもありません。従来の“盤”としての音楽制作では何階層もあった音質やノイズに対するチェック機構が、音楽配信時代になり制作予算削減とともに失われていく傾向が見受けられます。

この配信販売によって生じた制作側の甘えは、ハイレゾ音源の音質にも影響を与えます。ハイレゾ音源の制作は、いったい誰が行っているのでしょう?音楽に興味はないけれどパソコンの操作には長けているスタッフが、アップサンプリング・ソフトで192kHz/24bitやDSDに変換した音楽データ。実際には絶対に存在してほしくありませんが、こういった過程で作られた音源でもハイレゾ作品として販売することは不可能ではありません。商品の姿を実際に見ることができない音楽、そして顔が見えない配信販売であるがゆえに、制作側の真摯な姿勢が要求されるのです。

出典:http://www.e-onkyo.com/news/57/


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テーマ : オーディオ
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ハイレゾ解体

17/06/12初稿

 ハイレゾとはなんぞやについて一通り考えましたので、いよいよ実践編(購入編)ということで。
 ただし、あくまでも「フォーマットと出自と実際の周波数成分や波形」のハナシです。だから音質がどうかとは直接関係ありません。


■2496:中山美穂「COLLECTION Ⅳ」

 まずは「既存音源のハイレゾ化商品」の実例を少々。
 これを選んだ理由は以下の通りです。


(1)\2,000(8%税込み)という価格は“リマスター商品”として良心的

(2)出自が詳しく明示されており好感が持てる

今作はキングレコードが保有するアナログ・マスターテープからデジタル化した音源となります。キング関口台スタジオのエンジニア、安藤明氏に訊く「中山美穂 COLLECTIONシリーズ ハイレゾ配信」近日公開予定!

*Tr.6、8は44.1kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。
*トラック9は48kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。

出典:http://www.e-onkyo.com/music/album/nopa00518/

安藤明(以下 安藤):1/4インチアナログマスター、1/2インチアナログマスター、DAT(一時期デジタルということで流行った)など、すべてオリジナル・マスターを使用しました。

-具体的にどういった流れでマスタリングをされましたか?

安藤:マスターをアナログで出力 →(DOLBY)→ ラインアンプ → ADコンバータ → Digital Audio Workstationという流れです。極力、イコライザーやコンプレッサーは使用せず、マスターの音を限りなくピュアにハイレゾ化することに注力しました。また、それぞれのマスターごとに接続ケーブルや電源ケーブルを厳選することにより、より魅力的な音を目指しています。

出典:http://www.e-onkyo.com/feature/42

(3)出自によると、以下3種のマスターによる違いを比べることができる
  (ディスクじゃないですけど便宜的にtrackと呼称します)
   ・track01~05,07・・・アナログマスター
   ・track06,08・・・1644マスター
   ・track09・・・1648マスター


 CDとしては2006年2月発売のようです。1995~1999のシングルをリリース順に収録とのこと。
 潔く2496WAVで購入。

 ということで、マスター違いごとに中身を見てみたいと思います。

・アナログマスター(track01~05)
 さて、「アナログマスター」にはどんな音(特に高域)が入っているのでしょうか。一番古いtrack01の例です。

COLLECTIONⅣ01

 20kHzくらいで一旦周波数成分が減少します。
 そしてそこから上、新たな2496AD変換のナイキストである20~48kHz領域は、変動はしますが倍音が立ったりすることはありません。ので、有意な音楽成分ではないでしょう。正確には解りませんが、アナログテープのヒスノイズ成分が有効周波数帯域につられて変動しているのでしょうか。

 CDナイキストですっぱり切れておらず(24bitの最低値まで落ちていない)そこから48kHzまでの成分が変動するということは、ローレゾデータをアップサンプリングしたものでないことは確かです。キャプチャにはありませんが、24kHz以上にパルス性ノイズが見られることからも「アナログ再生をハイレゾ録音した」という出自情報に矛盾ありません。
 LPFは40kHzあたりからゆったりかけているようですね。

 古いといっても1995年ですので、残っているマスターはアナログでも制作プロセスにはデジタル入っていると思います。
 有意な周波数成分が20kHzくらいまでしかないのはそのためでしょう。

・アナログマスター(track07)
 このtrackだけCDナイキストでの明らかな減衰は見られず48kHzまで連動していましたので、ハイサンプリング(またはアナログ?)制作っぽいです。ただし、20kHzくらいに段差が見えることもあることから、CD・DAT級サンプリングレートの音声トラックもミキシングされているようです。

COLLECTIONⅣ07

 というスペクトル違いが判るということは、「アナログマスターテープは、“実力値的能力”としては96kHzサンプリングクラスの周波数は記録できる」ということかと思います。ただし、どこまで品質(音質)保っているかは別ですし、アナログマスターにも性能違いはあるでしょう。

 なお、track07を聴いたカンジ「お~ さすがアナログマスターのネイティブハイレゾ! 他のtrackとは全く違う!」とは思いませんでした(笑)。

・1644マスター(track06,08)
 つまりCD音源ではないかと思います。
 が、CDナイキストで減衰はしますが24bit最低値までは落ちていないことから、アップサンプリングではなくDA変換再生をAD変換したもののようです。これも出自情報に偽りナシですね。
 アナログマスターと異なりCDナイキスト~AD変換ナイキスト領域はおとなしいままです。つまり、当該領域は楽曲成分と無関係=再生機器のフロアノイズと思われます。
 それでもアップサンプリングではなく当該領域のデータが(ノイズでも)在るということはハイレゾのひとつの効能になると思ってます。

COLLECTIONⅣ06

・1648マスター(track09)
 つまりDAT音源ではないかと思います。
 事情は1644マスターに準じます。若干オリジナルナイキストが高めですかね。

COLLECTIONⅣ09

 何故か44.1kHzのパルスノイズがあるのはご愛敬?(笑)

・総評
 出自が明確に開示されており、実際偽りなしでしたのでとてもキモチいいです。

 アナログマスターの実力については、少なくとも、CDを超える高域が入っているいう意味においては「可能性がある」が、「サイコーとは限らない」と言えるでしょう。

 音圧は、全体的に高め(*)でしたが、ざっと見た限りピーク潰れ(データ値としてだけでなく波形としても)はないようです。track03,04だけ連続2サンプル以下のクリップがありましたが問題にすべきものではないでしょう。
 track08だけが異様にレベル低いです。何故? とも思いますが、元音源そのままだとすると逆に好ましいとも思います。

*:CDと比較して同じくらいのもの、2496の方が高いもの、など混在しているようですが、CD音源も初出や再録などいろいろなバージョンがあると思いますので総論はありません。

・比較試聴
 「ハイレゾでリマスター」するとどれくらい違うのか、CD(ただしシングルではなくアルバム版)でも持っている曲とざっくり音質比較してみます。以下のシステムです。

 ハード:X79システム→UD-503→MDR-Z7(アクティブGND)
 ソフト:≪foobar2000≫でx2x2x2x2→DSD256(TypeD FP64)

 ハイレゾの方が若干レンジ感が広くヴォーカルが生々しくなるような気はします。が、そのつもりで聴き比べればそうかな、という程度かと思います。少なくとも「ハイレゾすげえぇぇぇ!」ってカンジではないですね。

 なお、DACユニットとしてまだUDA-1を使っていた時にも同じ比較したことがあります。

 ハード:X79システム→UDA-1→DSP-Z7→HD700
 ソフト:≪foobar2000≫でx2x4→DSD256(TypeD FP32)

 いくつかの短いフレーズを交互に再生して比較してみましたが、ハイレゾは「CDより若干空間が広めなような気がするかも?」程度で、「明らかに、圧倒的に、いい!」とは思いませんでした。「リマスターだから音質違うのはアタリマエ」のレベルかと。
 確かな記憶ではありませんが、UD-503システムの方が違いを感じるような気はします。

・DSD変換試聴のワケ
 ところで、ネイティブ再生ではなくPCM→DSD変換再生にしたのは、「再生ハードウェア動作の差(影響)を極力小さくするため」です。
 どちらもリサンプラはResampler-Vを使っていますが、その1段目のx2は44.1kHzと48kHz以外はスルーするように設定していますので、CD音源と2496はプレーヤの設定を変えず連続再生しても「x2するかしないかの差」だけになります。一方、DAC側はDSD256ストリームに対する「アナログLPF」としてのみ動いています。
 よって、再生システム動作の違いは最低限の「PC側でのx2処理有無だけ」になっており(*)、それはX79システムにとっては軽微な負荷差でしょうからつまり再生処理の差はほぼ隠蔽でき、「音源の差」だけに注目できるのではないかと。
 ただし、UD-503のDSDは44.1kHz系しか受け付けないので2段目出力で176.4kHzに揃えています。その点では2496は若干不利かも知れません。UDA-1は48kHz系DSDも通りましたのでこの限りではありません。

*:DSD変換再生ではなくPCMデータのままネイティブに再生した場合は、DACユニットの最大処理能力を192kHzで100%とすると44.1kHzは約23%&96kHzは50%の負荷となり、微少な差とは言えないでしょう。


■K2HD:小泉今日子「あなたに会えてよかった」

 シングルCDです
 よく店頭試聴に使われていることもあり、表題技術がどんなものか確認するため買ってみました。

・スペクトル
 以下がそのスペクトル。一応、「補間生成された領域」が目立ったところをキャプチャしたものです。

K2HD.png

 確かに元ナイキスト以上の領域に成分はありますが、それがどれだけ有意なもので、聴いて有効なのかはなんとも言えません。

・波形
 音圧・音量についても一応CD版(シングルではなくアルバム版)との比較を載せておきます(上がCD。Lch)。

CD VS K2HD

 どちらもフルビットにドンツキしているところはありません。拡大して追ってみても、波形として潰れてるところもなさそうでした。
 クリップはしていませんが、イマドキの音源らしくK2HD版の方が音圧高く変更されてるようです。
 音量も大きくなってますね。≪SoundEngine Free 5.02≫によると、CD版とK2HD版はそれぞれ最大音量-1.00dB/-0.40dB、平均音量-14.83dB/-12.03dBとなりました。フルビットよりやや低いところで頭が揃ってますので、最大値をそのように設定してマスタリングしたのでしょう。
 ハイサンプリングにするほどTruePeak防止のためのマージンは減らせますので、それを削ったカンジですかね。

・比較試聴
 ざっくり比較試聴してみると、K2HD版の方が空間の広がり感というか楽器やヴォーカルの明瞭感で好ましい気はします。
 「すげ~イイ! K2HD最高!!」ってことはありませんが、比較すればCD版よりいいと思えます。個人的には、ですが。
 ただ、\540(8%税込み)というコストパフォーマンスは…どうでしょうね?(苦笑)

 なお、CD音源はアルバム版なので、シングル版から音量ノーマライズなどの加工されてるかも知れません。


■2496:Kalafina 「far on the Water」

 本項17/06/12追記。
 本作は最初からハイレゾ商品を出す想定で作られたハズの新作ですので、本項は「既存音源のハイレゾ化」という観点ではありません。
 ネット上に「Kalafinaは2448制作で2496商品はアップコンバート(高域補間生成)ではないか」という話があったので、それを調べてみようと思いまして。

 どの曲も概ね同傾向ですので、代表として「heavenly blue」を見てみます。全編音量大きめという意味もあり。

・スペクトル
 確かに48kHzまで周波数成分があり音楽とリンクして変動しますので、高い方もランダムなノイズではないようです。
 しかし、≪WaveSpectra≫再生でその動きをしばらく眺めていると、“24kHzを中心とした左右対称”になっているように見えてきます。

heavenly blue合成02

 静止画でも解りやすくするためペイントソフトで24~48kHzを左右反転して24kHz以下に貼り付けました。

 ぶっちゃけ、ネイティブな24kHz以上の成分ではこうなりません。
 念のためですが倍音成分はナイキストで対称にはなりません。
 24kHzまでのソースが混在している場合はそこで“段差”になると思いますがそうも見えません。

 よって、元ナイキストは24kHzだと思われます。
 では24kHz以上の正体は何でしょう?

 アップサンプリングではサンプルは増えますがナイキスト以上の高域は増えません。
 ナイキストで折り返したように発生する成分は「イメージングノイズ」の特徴です。デジタルドメインでイメージングノイズをシミュレーションするため「単純間足し」してみたことがありますが、ナイキストを中心にクッキリ左右対称なスペクトルになります。が、本作はそこまで明確に対称になっているワケではありません(当たり前ですが)。

 元は2448だとするとサンプル間に1個サンプルが増えていることになりますが、それは「有意な倍音成分ではなく」「イメージングノイズを抑制するものでもない」し「同じサンプルの繰り返しでもない」のです。
 つまり、「ネイティブ」ではなく「アップサンプリング」でもなく、当然ながら「単純間足し」でもないということです。

 ということで「アップコンバート」だと思います。

#有意な2496ソースとアプコンソースがミックスされてる可能性も絶対ないとは言えませんが、もしそうでもアプコンと呼んでいいでしょう。

 ただ、イメージングノイズ成分がここまで見えるアップコンバートというのも疑問ではあります。K2HDではこんなふうには見えませんでした。アップコンバータがそういう仕様、または性能がイマイチだったのでしょうか???

・リニア補間
 17/07/29追記:コメントいただきました(ありがとうございます)ので、この曲をリニア補間したらどうなるか試してみました。
 同曲をResamlperーV(SoX)の一番キツイStopband/Passband設定で2448化し、それをMultiResamlperでLiner補間して2496に戻したスペクトルを以下に示します。SB=PBにはできませんので、元ナイキストで谷ができちゃうのはやむなしです。

heavenly blue 2448→Liner2496

 単純間足しと同じく、高域のエネルギーは結構残ったままワリとクッキリ反転するようですね。
 なお、「平均値を挟んでいるようには見えない」ことは記事作成時に波形拡大して確認していましたが、本稿では、フィルタ演算ではないサンプル追加手法は説明用「単純間足し」以外は無視しています。商品としてまずありえないとの判断からです。

・高域成分を除去して聴く
 いずれにしても私には「イメージングノイズを含む好ましくない高域成分」だと思えます。実際、むわっとした圧迫感を感じて聴いていて気持ち良くありません。アルバム全曲聴くとなんだか疲れちゃいます。
 あるDSD64(30kHz以上にDSDノイズ満載)ファイルと同じような違和感です。
 そこで、「24kHz以上は低品位な補間成分=ハイレゾノイズ」と仮定し、LPFでカットして聴いてみます。

 DSD64の時はカットオフ30kHzのリアルタイムLPFをDSD再生でどう実現するかちょっと考えましたが、今回はリサンプラで96kHz→48kHzにダウンサンプリングするだけです。もともとResampler-V(SoX)の多段構成(x2x2x2x2x2)で32倍まで上げていますから、その前にひとつ追加するだけ。X79システムにとっては大した負荷増ではありません。
 PassBandはお好みですがStopBandは目的からして100%に。

 やってみると、2448化した方がいいです。
 音質的にも問題ないと思います。ていうか、聴き疲れどころかローテーションするくらいキモチよくなりました。
 もちろん、そういうつもりでやってますからプラシーボかも知れませんけれど(笑)。
 まあ、「高域がアヤシイ」「なんか圧迫感」みたいな時はこういう聴き方もあるのでは、ということで。

・波形
 さて、波形的にはどうでしょう? ピークは潰れてないでしょうか。

heavenly blue波形

 これだけ見ると「海苔」に見えるかも知れませんが、そもそも全編ずっとハイテンションな曲ですから無理に音圧上げた結果ではないのではと思います。
 「クリッピングを表示」にしていますが引っかかっていませんので、フルビットになっているサンプルはありません。
 拡大して波形をみても潰れてはいないようです。音量大きなところでも以下のようなカンジになっています。

heavenly blue波形2

 音圧に関しては良心的ではないでしょうか。

・総評
 以上、「素性はいいけど、何故か低品位(?)なアップコンバートで2496化された商品」みたいです。
 個人的にはそう判断しましたが、間違ってたら申し訳ありません。

 2448制作なら堂々と2448で出せばいいのにと思います。個人的にはハイビットだけでも有効だと思うのですけれど。
 有効だと思ってるならアプコンしたって明示して欲しいですし。

 でも、マーケティング上難しいのでしょうね。「CDを超える周波数ガ~」って喧伝してますから48kHzじゃハイレゾ扱いされないのでしょう。といって、ニセレゾ扱いされることが多いようなのでアップコンバートも言い出しにくいのでしょう。いわんや高域成分が無いことがハッキリ分かってしまうアップサンプリングをや。
 「ナイショでアプコン」の方が印象悪いんですけどね。
 もし「意図したアプコンではなく2496化するマスタリング処理の一環」とか言われても、それは詭弁です。

 ダウンサンプリングすれば“24bitの恩恵があるような気がする”音で聴けますので一応許容しますけど… ていうかアプコンの可能性も覚悟して買ってますからね。想定してなかったら激怒したかも~(苦笑)。


■24192:Eric Clapton 「Motherless Children」

 本項17/06/12追記。

 192kHzサンプリングのハイレゾ商品とはどんなものかと1曲だけ買ってみたものです。

・スペクトル
 一般的な96kHzの2倍のサンプルレートにメリットはあるのでしょうか?

MotherlessChildrenスペクトル

 25kHzくらいまではよく動きますので有効成分でしょう。その後も30kHzくらいまでは動いているように見えます。
 さらにそこから96kHzまである高域は全く演奏にシンクロせずこの“カタチ”を保ったままぞわぞわします。DSD特有ノイズとも似ていませんので、おそらく「AD変換前のアナログノイズの集合体」ではないかと思います。

 CDやDAT音源からのアップサンプリングではないですね。20kHz以上に3か所高周波ノイズもありますし(苦笑)。
 この商品の出自は定かではありませんが、もともと古い曲(1974)ですので、良質なアナログマスターからのデジタル化だとしたらこんなカンジなのかなと。

 192kHzである意味はよくワカリマセン(本作に限りませんけれど)。
 確かにAD変換時点で高サンプリングレートであることに意味はあるとは思ってはいますけれど、マジでそれくらいしか思いつかない(苦笑)。
 やっぱり「アナログの風味を残すため」ですかね。

・波形
 一方、波形の方はどうでしょう。
 以下は「クリッピングを表示」結果ですので1サンプルでも赤くなっちゃいますが、拡大して確認すると多数潰れています。

MotherlessChildren波形

 潰れの代表例を示しておきます。

MotherlessChildren潰れ

 同じ潰れ方でも192kHzサンプリングですからサンプル数はCD音源の約4倍になることは考慮しなくてはなりませんが、波形として見事に潰れてますよね。
 とりたてて音圧マシマシしてるようにも見えませんので、単純に、「マスタリング時ピークを潰しちゃいけないという意識がなかった」ように見えます。
 結構大きな高周波ノイズ(*)が3か所もあるところとか、制作環境大丈夫かとも思っちゃいます。

*:約28.7,54.0,86.5kHz。(音としては)かなりの高周波ですしレベルもそこそこ高いですから、オリジナル音源にあるものではないでしょう。


 192kHzであるメリットは特になさそうですしピークは潰れてますし(*)、しかも\607(8%税込み)もしますし、調査目的じゃなかったらこれも残念感ハンパなかったでしょう。

*:ハイサンプリングにはTruePeakを防ぐ効果がありますが、リアルサンプルで潰れまくっている本作ではメリットになっていません。

 192kHzだからお高め?


■エトセトラ

・エイリアシングノイズ除去
 サンプリング定理上2496なら48kHz、24192なら96kHz以上の成分はあってはなりません。
 しかし、KalafinaとClaptonはそれをカットするLPFをかけてるように見えません。
 Passband=Stopbandなフィルタリングは無理なのでどうしてもナイキスト直前でLPF減衰領域ができてしまうハズですが、それが見えないことからの判断です。せっかくのハイサンプリングですから急峻な特性にする必要もないでしょうし。
 実際、中山美穂と小泉今日子の2496には減衰領域がありますし。 

 「ハイサンプリングならエイリアシングノイズはもはや問題にならない」と判断してLPFかけずノイズを許容する場合もあるってことでしょうか。
 でも、ナイキストまでフルに成分がある場合、通常のDACチップのStopbandは100%より大きいですから、再生時にイメージングノイズが漏れ出てしまいますけど、それも許容するってことですかね。

・FLAC
 WAV版を持っていたある曲のFLAC版も入手して≪foobar2000≫のConvert機能でWAV化、WAVファイルコンペア(≪音くらべ3.00β1≫にて)したところ一致しましたので、本稿ではFLACかWAVかは無視し特に注記していません。
 FLACファイルはWAV変換して扱っています。

・ダウンローダ
 配信音源を購入する際のDLはブラウザの機能を使うので、1ファイルずつ選択することになります。流石にメンドクサイのでe-onkyoのダウンローダを使ってみました。
 2曲同時に落としてました。速度表示は70~85Mbpsくらい。ファイルサイズと秒数から換算する実測値と同等でした(日曜午前中、100Mbps契約のフレッツ光にて)。
 17/03/20追記:祝日の17:00ごろ。20~30Mbpsくらいしか出ませんでした。


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NVMeなM.2を使ってみる

17/05/14初稿

 展示品処分価格に引かれてうっかりZ170環境を新築したワケですが、Z68と比して明らかな新機能ってこれくらいですよね。
 なので勢い集中的に調べていたら、俄然興味沸いてきました。

 NVMe=Non-Volatile Memory Express・・・ってそのまんまなんですね(苦笑)。

 あまりにも沸いたのでSAMSUNG製SM961買っちゃいました(笑)。システム用想定で128GB。上位容量品に比すとwriteは落ちますがreadは変わらないみたいでしたので、敢えて使わない領域にお金出す意味はなかろうということで。
 960PROの組み込み版らしいです。

 実利的目的は、「現Z68マザーからSATAが2port減ってしまったのでストレージI/Fとして活用したい」です。
 キモチの問題的目的は、「新規格に興味」に加えて「CPU直結したい」です。Z170環境ではCPU内蔵Gfx使う予定なので、空いちゃう直結X16スロットがモッタイなくて(笑)。


■準備

 ということで、いろいろいじってみたいと思います。特記なきは以下の条件にて。

・プロトコル・・・NVMe限定(当然物理I/FもPCIe限定)
・UEFI設定
  ・SATAモード・・・AHCI
  ・SecureBoot・・・Disable(OtherOS)
  ・CSM(設定がある場合)・・・Disable
・OS・・・Windows10Pro(64bit)
・NVMeドライバ・・・IN-BOX  #SAMSUNG製の事情は稿末に記載
・CPU・・・Z170世代はCore i7-6700K,Z68世代は2600K
・ベンチソフト・・・≪Cristal Disk Mark 5.1.2 x64≫ (CDMと略)
・情報取得ソフト・・・≪Cristal Disk Info 7.0.5 x64≫ (CDIと略)

 M/BとそのUEFIバージョンは以下の通り。テスト時点での最新版(ベータ除く)です。

・ASUS製 Z170 PRO GAMING・・・3202   #特記なき場合はコレ
・ASUS製 Z170-A・・・3301
・ASUS製 P8H67-M EVO・・・3703
・GIGABYTE製 GA-Z68X-UD3H-B3・・・U1l
・GIGABYTE製 GA-X79-UD3・・・F20

 以下M/B名は省略形にて。

 PCIe変換カードはAINEX製AIF-06を選択。
 SATA用M.2スロットを使う予定はありませんが、発売時期が新しく明確に「Gen3」「100シリーズ対応」と謳っていることから。
 アクセスランプとしてピンヘッダではなく青色LEDを実装してます。まぶしいくらい明るいです。
 SM961の凹部をネジ位置にピッタリ合わせるとスロットへの挿入が緩くなります。Z170-AのM.2スロットではカッチリはめるとネジ位置もピッタシです。


 念のためですが、本稿は私が調べて理解したことであり、ベンダや専門家に裏を取ったワケではありませんから間違いあるかも知れません。その点ご了承ください。


■M/Bの「NVMe対応」とは何か

・Boot
 NVMe-SSDからbootするためには、「NVMe-SSD用bootROM(UEFI用Driver)」が必要です。
 UEFIに内蔵していればデバイス側にOpROMは不要になりますが、それは「M.2スロットを有しNVMeサポートを謳う世代(具体的にはZ97,X99以降)」からのようです。

 また、次のような情報もありました。

 UEFI であれば、どのバージョンでも良いという訳ではありません。
 インテル社の情報によりますと、UEFI のバージョンは 2.3.1(2011年4月に制定)以降となっています。
 UEFI のバージョンは、BIOS のバージョンとは全く異なるものとなります。
 UEFI のバージョンを確認するには、BIOS画面からは殆どの場合、確認ができません。
 UEFI Shell を起動し、「ver」というコマンドを打って、確認することができます。

出典:https://www.arcbrain.jp/support/NVM_Express/compatible_motherboard.php

 上記はIntel750でのboot解説ですので、UEFIが「bootROMを持っている」ではなく「OpROMからbootできる」という意味でしょう。
 なお、念のためですが「2.3.1」とはM/Bに載っているF/Wとしてのバージョンではなく標準UEFIとしてのものです。
http://www.uefi.org/sites/default/files/resources/UEFI%20Spec%202_6.pdf

 つまり、M/Bの「NVMe対応」には以下の種類があるということです。

A.UEFI内にbootROMを持っている
B.UEFI内にbootROMを持っていないが、OpROMを動作させることができる
C.BIOSなのでbootROMを持っていないが、OpROMを動作させることができる
D.ストレージとして普通に使える

 AとBとCは「boot対応」です。
 Dはbootに関係なく「認識して使えるという対応」です。NVMe-SSDは所詮「PCIe拡張カード」なのでドライバさえあれば原則使えるハズですが、いわゆる相性問題があったりマジで仕様上NGだったりする場合もあるかもしれません。

 以上、「対応していません」「認識しません」といった情報は何を意味しているのか注意すべきでしょう。

OptionROM
 上記「UEFI(BIOS)種類と運用の関係」から、それぞれに必要になるNVMe-SSD側のOpROM対応をまとめます。

1.Aでbootしたい場合・・・デバイス側OpROM不要
2.Bでbootしたい場合・・・UEFI対応OpROM搭載製品が必要
3.Cでbootしたい場合・・・BIOS対応OpROMまで持ってる製品が必要
4.bootしない場合・・・・・なんでも可(ていうかOpROM無い方がよい)

 例えばSM961やIntel600pは1、Intel750は2、PlextorM8Peは3… “らしい”ですが、OpROM仕様がよく判らない製品も多いようです。重要な製品スペックだと思うんですけどねぇ。

・実際のboot挙動
 手持ちのM/Bで確認した結果を記します。

(1)GA-Z68X (CPU側PCIEX16にはGfx装着)
 CPU側PCIEX8に購入直後のSM961を搭載すると普通に認識します。
 USBメモリからWindows10を入れようとするとインストール先として選択できて進みますが、SM961から再起動する時点でブートメディアがないと言われて停止します。
 UEFIから見えなくてもOSがドライバ持ってればインストールは開始できてしまうワケですね。確かにUEFIからboot対象に見えません。
 CSMはAlways(*)のUEFI Driverにて。

*:何故かNever(Disableに相当するハズ)に設定できません。設定しても再起動するとAlways(Enable相当のハズ)に戻っています。何かUEFI非対応デバイスがあって自動検出しているのか、“あとからUEFI”だからか?(苦笑)。でも最初からUEFIのGA-X79でも同じです(起動できないけどOSからは見える点も含めて)。

(2)Z170-A (GfxはCPU内蔵を使用)
 (1)で中途半端になったSM961をCPU側PCIEX16に移設したところ、bootしてインストール続行、ちゃっかり完了しました。
 この世代はUEFIネイティブサポートでブートできるということですね。シンプルです。

(3)P8H67-M (GfxはCPU内蔵を使用)
 CPU側PCIEX16装着でインストールしてみると、ターゲット領域を選択する場面で「このシステムは起動をサポートしていない可能性があるのでインストールできません」と出ました。
 GA-Z68Xではできちゃったので、インストーラの反応が違う場合があるんですね。これは意外。
 実際、OSが入っている状態で同PCIEX16に装着してもboot対象にならずUEFIが立ち上がってしまいます。UEFI上を見てもbootドライブとして認識されていません(PCI ROM Priority設定をLegacy/UEFI Compatibleどちらにしても)。
 CSM関連の設定は見当たらないので常時Enableだと思われます。
 なお、起動はできませんがストレージとしては普通に認識します。

 以上より、

・GA-Z68XやP8H67MやGA-X79らのUEFIはbootROM非搭載(最新版でも)
・SM961はそれを補うOpROMを持っていない
・Z170-AやZ170 PRO GAMINGはUEFIネイティブでboot対応(デバイス側OpROM不要)
・OpROMにアクセスする必要ないのでRAIDやCSM有効にする必要なし
・OSがドライバ持っていればストレージとしては普通に使える(boot対応無関係)

という理解でいいようです。

・OptionROM必要性
 ですので、

 「UEFIブート非対応のM/Bで起動ディスクとして使いたい」ならOpROM必須。
 そうでないならOpROMはレガシーもUEFIも無い方が望ましい。

と思われます。UEFI設定で無視できるかも知れませんが、不要なものは無い方がいいでしょう。
 「システムドライブをNVMeにすると起動が数秒遅くなる」という話もあるようですが、OpROM処理時間のような気がします。H8H67-MオンボMarvellコントローラのOpROM(おそらくLegacy)の例ですが、Enableにすると電源ONからWindows10の数珠が回り始めるまでが2.5secほど遅くなります(11.5sec→14.0sec)。

 なお、bootROM搭載UEFIのM/BにUEFI対応OpROM搭載NVMeを実装した場合、どちらが優先されるかはよくワカリマセン。CSMが無効なら自前、有効ならOpROM優先のような気もしますが… M/Bベンダによってコンセプト違うかも?

IntelのNVMeブート関連資料
http://download.intel.com/support/ssdc/hpssd/sb/nvme_boot_guide_332098001us.pdf

・bootするために「RAID&CSM有効」設定は必要か
 Z170-Aの付属マニュアル(第1刷)の1-27には「M.2にOSをインストールする場合はRAID&CSM有効にせよ」とあります。
 が、ASUSサイトにある第3刷では無くなっています。
 実際、上記の通り「AHCI&CSM無効」でもOpROMを持たないと推定しているSM961にインストール&bootできています。CPU直結スロット=非IRSTスロットからもbootできます。
 GAMINGの付属マニュアル(第1刷)にも同様の記述がありますが、UEFI最初期バージョン0231でも「AHCI&CSM無効」でCPU側PCIEX16,同PCIEX8,PCH側PCIEX4からbootできました(M.2は確認しないでUEFI3202に更新。もちろん3202でboot可)。CPU側PCIEX16でのWindows10インストールも成功しました。

 想像ですが、この記述は前Z97世代での対応方法の名残りのような気がします。IRSTは当然bootROMを含みますので、それを利用していたのでしょうか。
 「初期UEFIではUEFIネイティブよりRAIDの方が安定していたがUpdateで解消された」といった事情かも知れません。

 なお、以下Intel600p資料によるとWindows7だけはCSM設定異なるようです。
http://www.intel.com/content/dam/support/us/en/documents/solid-state-drives/Intel_6_Series_PCIeNVMe_InstallGuide.PDF

・CSMとは何か
 CSMをEnableにする主たる目的は「起動時にOpROM動作が必要だがBIOSにしか対応していないデバイスのサポート」だと認識しています。起動後はOSにドライバがあればアクセスできるので。
 OS起動前に動作していなければならないのは、一般的には「ブートデバイス」と「画面表示デバイス」くらいのハズ。つまり、具体的には「ブートデバイスを接続したストレージコントローラ(RAIDコントローラ含む)」と「First Gfx」が対象ではないかと。つまり、これらがUEFI対応していれば無効でいいハズです。

 ちなみに、HD7750をCSM無効にしたZ170-Aに挿したら「UEFI対応してない」って言われてPOSTで停止しました。
 UEFI設定に入ったらCSM有効に変更されてました。

 なお、チップセット内蔵USBコントローラやSATAコントローラなど、ブートデバイスを認識可能なコントローラもOS起動前に動作しているワケですが、それらはUEFIが必要最低限の初期化制御を実装していることで実現していると理解しています(なのでCSM無効でOK)。


■M/Bの「NVMe-RAID対応」とは何か

 「NVMeブート対応」していても、「IRST-RAIDがNVMeのRAIDに対応」しているとは限りません。
 また、「IRST-RAIDがNVMeのRAIDに対応」していても、「NVMe-SSDどうしでのRAIDに対応」しているとは限りません。

 どういうことか、実事情から考えてみます。

・リマッピング
Z170記事に記したI/O表を見ると、「IRSTは限定されたレーン組合せの3セット」でサポートされているようです。

・Z170-Aでは、マニュアルで「PCH側PCIEX2(X4)とM.2でIRST-RAIDが組める」と、敢えて対応スロットを規定しています。
 が、PCH側PCIEX4スロットはIRSTセットレーンではないと推定しているGAMINGでは、マニュアルにその記述はありません。

・さらに、次のような情報があります。

There is no RAID support for NVMe drives with Z97 and X99 chipsets, only OS (Software) RAID. These chipsets do not have the PCIe/SATA remapping technology required for iRST to support NVMe devices.

Some systems using the Intel® Z170 Chipset and Intel® Rapid Storage Technology are capable of using RAID with PCIe* NVMe* SSDs. We would recommend you to check with the Computer Manufacturer Support before purchasing to confirm if a specific system supports this. Some Z170 systems may not have the device mapping and BIOS features required to create a bootable RAID volume.

出典:https://communities.intel.com/thread/87865

 以上より、

・CPU側PCIeスロットやPCH側でもIRSTセット以外のPCIeレーンで構成されたスロットでは、認識はされるしbootもできるがIRST-RAID対応していない

・IRST-RAIDメンバにするには「PCIe/SATA remapping technology」が必要

と考えられます。

 実際、GAMINGのM.2に挿したSM961をIRST-RAIDメンバにするための設定と挙動は次の通りです。

設定1.SATA Mode Selection項 = Intel RST Premium (RAID)
設定2.M.2 PCIE Storage RAID Support項 = RST Controlled

 1だけではSM961はRAID設定画面でRAIDメンバ候補リストに出てきません。
 2を設定すると出現します。
 2は1を実施しないと表示されません。

 リストに出るようにしてWindows10を立ち上げるとデバマネからNVMeドライバ(SAMSUNG純正)が消え、≪CDI≫から見えなくなります。が、エクスプローラからは見えますし≪CDM≫でベンチもできます(性能低下はしていないようです)。

 PCH側PCIEX4に付け替えると、2に相当する設定が表示されず当然RAIDメンバリストに出てきません。デバマネにはNVMeドライバが復活し、≪CDI≫からも見えます。やはり当該スロットはIRSTセットではないPCIeレーンで構成されているのでしょう。
 CPU側PCIEX16でも挙動は同様でした。

 -A(UEFI3401)のPCH側PCIEX2(X4)は、GAMINGと異なり「PCIEX16_3 PCIE Storage RAID Support」項が表示され、「Enable/Disable」が選べます。

 以上より、

・IRST-RAIDメンバにできるのは「SATA Storage」だけ

・なので、「PCIe Storage」をメンバにするにはそれを「SATA Storage」に見せかる機能が必要(もちろんUEFIレベルで)

と推察されます。
 当該機能がIntelフォーラムで言う「PCIe/SATA remapping technology」、UEFI設定に言う「M.2 PCIE Storage RAID Support」なのでしょう。で、それを有したIRSTバージョンの名前が“Premium”ってことですかね(笑)。
 UEFIレベルでSATAに見せかけるためOSレベルではNVMeデバイスじゃなくなるので、ドライバが消えるのでしょう。

・対応スロットは複数あるか
 例えば「2枚のNVMe-SSDでIRST-RAIDに対応」するには、IRSTセットのPCIeスロット(M.2スロット)を2基以上搭載している必要があります。
 GAMINGはNVMe-SSDをRAIDメンバにすることには対応していますが当該機能には非対応ということですね。-Aは対応です。

・CSMはどうすべきか
 Premiumな(?)IRSTを使うには、CSM設定を考慮する必要があるようです。
 CSM無効にしておけば大丈夫ですが、有効の場合は「Boot from Storage Devices項 = UEFI driver first」にしないと設定項が出てきませんでした。


 以上、RAID関連の「対応・非対応」という情報は何を意味しているか、よく吟味した方がよさそうです。


■帯域を知る

・NVMeの帯域
 NVMeの物理I/F仕様は「PCIe Gen3 X4」ですよね。約4000MB/sの帯域を持ちますが、すでに高性能品のシーケンシャル性能は3000MB/sを超えてますから、HDDをSATA2で使うような「X2やGen2でも余裕」といった事情はありません。
 ですので、性能をフルに発揮させるにはふたつの注意点があります。

・スロットがPCIe Gen3 X4以上であること
・それがPCH側スロットの場合はCPU-PCH間のI/FがDMI3(Gen3 X4相当)であること

 PCHのPCIeがGen3、DMIがDMI3になったのはZ170からです。

 ですので、NVMe-SSDのベンチ情報においては「どのプラットフォームのどのスロットに挿したか」は必須情報と言えるでしょう。
 Z170より前のPCH(X99含む)ではPCIeはGen2、DMIもGen2相当のDMI2ですから、そこで帯域が足りなくなります。ので、Gen3のCPU側スロットじゃないと実力測れていないことになります。
 すでにI/F規格がボトルネックになってる気が… まあ、シーケンシャル性能に着目した規格じゃあないんでしょうけれど。

 ところで、CPU直結とPCH接続で速度差はあるのでしょうか。
 web上の情報では、Z170のCPU側PCIEX16とM.2スロットで差はなかったようです。
 自分でもやってみましたが大差なさそうです。CPU直結の方が若干いいように見えなくもないですがプラシーボレベルかと。
 もしかするとPCHを忙しくすると違いが出るかも知れませんが、実効的な差にはならないような気がします。
 なお、ドライバもIN-BOXとSAMSUNG純正(Ver2.1)で有意な違いはなさそうでした。

PCIeの帯域
 SM961-128GBのシーケンシャル性能はGen3 X4未満のバス性能を上回っています。なので、その数値はバス性能の限界値になるハズです(DMI3はGen3 X4相当ですからネックにはなりません)。

 ところで、Z170-AのPCIEX16第3スロット(PCH側)はレーン数を2か4に変えられます。加えて、Genモードも設定できます。
 そこで、「≪CDM≫のSeqQ32T1値を実データ転送の帯域に見立て」て以下の確認してみました(UEFI3401、PentiumG4560にて)。

・Gen2はGen1の2倍になるのか?
・Gen3 X2とGen2 X4は共にデータ帯域2000MB/sだが、やはり実際にはGen3 X2の方が若干遅くなる(1レーンは1000MB/sではなく128/130=985MB/s)のか?
・Gen2 X2に対してGen2 X4はレーン数2倍だが帯域も2倍になるのか?

 からっぽのSM961でSeq:Q32T1を5回実施した結果は以下の通りです(設定されたバス動作モードは≪CDI≫で確認)。

  ・Gen1 X2・・・451.9MB/s
  ・Gen2 X2・・・901.7MB/s  → Gen1 X2の1.995倍
  ・Gen2 X4・・・1805MB/s  → Gen2 X2の2.002倍
  ・Gen3 X2・・・1777MB/s  → Gen2 X4の0.984倍

 オーバーヘッドは10%くらいのようです。
 Gen2はGen1のほぼ2倍のようです。
 Gen3はGen2の2倍弱のようです。
 レーン数はほぼダイレクトに効くようです。

 以上より、「Gen3 X4の帯域限界は1777x2=約3550MB/s」程度と推定されます。
 web上のベンチ情報を見ると、NVMe-SSD最速クラスはその数字が出しているようですので、それらは「Gen3 X4帯域限界の速度を持っている」と言えそうです。
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20161018064/

 そして、それは同時に「DMI3帯域でもほぼサチっている」ということです。ので、

「PCH側デバイスでしか組めないIRSTによるNVMe-RAIDは、現最速クラスのNVMe-SSD単体に対し、速度面での有意性はほぼない」

と言っていいでしょう。Seq値は上記の通りですし、4K値も特に伸びないみたいですし。

 一方、ソフトRAIDなら組み合せ制約はありませんから、DMI3限界以上の速度が出せるハズです。
 実際、950PROを用いた以下記事によると、「PCHのIRST-RAID0だと3200MB/sくらいでサチる」けれど「CPU直結のWindowsストライプセットだと4000MB/sを突破する」ようです。
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/dosv/1017646.html


■エトセトラ

・システムディスクとしての性能
 実験ネタを一通りクリアしたので、SM961を常用すべくCPU側PCIEX16に搭載してWindows10Pro CreatorsUpdate(64bit)を入れました。
 そしてOSについての測定です。それまで使っていたSATA3のSSD-256GB(CFD製CSSD-S6T256NHG6Q:ベンダはTOSHIBA)より起動時間は短縮されるか測ってみました。システムSSD以外の環境は同じです。
 Win10は初期バージョン1511と1703、10か月ほどZ68で使ったままのとクリーンインストール直後、といった違いがありSM961の方が有利なハズですが、数珠が回り始めてからデスクトップ画面が出るまで約12.5secで同じでした。
 起動後の使用感も変わりません。「高速NVMeにしても通常使用上の体感速度については(SATA-SSDに比して)メリットない」というのは本当のようですね。

・発熱
 私はSM961しか持っていませんが、バリバリの動画編集などを除く普通の使い方で「激アツになってサーマルスロットリングが発生する」ことは無いような気がします。だって「限界性能で長時間R/Wする相手がいない」でしょうから。
 発生するとしたら「NVMe-SSDどうしで数十GBのファイルコピーする時」くらいだと思いますが、それを大量に急ぎでやり続ける必要がない限り、たとえサーマルスロットリングでちょっと遅くなっても事実上問題ないのではないかと。そもそも(RAIDじゃなければ)Write性能でサチりますし。
 「サーマルスロットが発生するような使い方するので、熱による故障や寿命が心配」な場合は、PCIe世代でかなり違うような気がしますので、UEFI設定でGen1やGen2に落として運用するのもいいかも知れません。もちろん“ベンチ性能”は犠牲になりますが、実使用上は問題なさそうな気がします。
 17/07/22追記:TOSHIBA製XG3でGen1にしてみましたが、Gen3との温度差はほとんど認められませんでした。なんでこんなに発熱するんでしょうね?

 「変換カードでPCIeスロットに装着してヒートシンク貼ってスロットファンで冷やす」などの発熱対策して2~3スロット消費しちゃうくらいなら、M.2タイプではなく最初からヒートシンクで覆われたPCIeカードタイプの方がいいような気がします。例えばIntel750とか。
 Intel750はドライバによって大幅に性能変わるようですが、何かIN-BOXドライバではONにならない独自制御してるってことですよね。

 FirmWareでも変わるかも知れませんね。

・Windows7のインストール
 私はやっていませんが、NVMeドライバを持っていないため途中で入れる必要があるようです。
 かつてのIntelチップセットRAIDボリュームへのOSインストール時と同じ話ですよね。

・SecureErase改め「FormatNVM」
 SSDとは異なる仕組みになったんですね。確かにUEFIツールのSecureEraseではSM961は対象ドライブとして表示されません。
 なお、確認してませんし暫くやらないと思いますので将来に向けたメモとしてですが、「WindowsのIN-BOXドライバは当該コマンドを受け付けないので純正ドライバを使う必要がある」そうな?

・SAMSUNG純正(?)ドライバ在処
http://www.samsung.com/semiconductor/minisite/ssd/download/tools.html
 「This driver supports Samsung NVMe SSD 960 PRO, 960 EVO and 950 PRO.」とありますので、SM961にとっては純正とは言い切れないような(苦笑)。動きましたけど。


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周回遅れのZ170 (しかも2枚)

17/04/08初稿

 久しぶりにメインマシン用M/B買いました。ASUS製Z170-Aです。

 6年ぶりにM/Bを買っちゃった以上、もちろん他にもいろいろ揃えなければなりません。ていうかその前に知識のギャップを埋める勉強も必要でしょう。以下、その顛末を少々。

 チップセット世代はそれぞれを代表する品名で記させていただきます(例えば100シリーズはZ170)。
 また、本稿の内容はベンダや専門家に裏を取ったワケではありませんから間違いあるかも知れません。その点ご承知おきください。


■マザーボード

 Skylake+100シリーズは「DMI帯域拡張」「PCH側PCIeのGen3化」「PCIe Storageサポート」となったことで、“ある種ジャンプアップした世代”だと思います。

 ので、発売当時、メインPC新調候補として選んだのがZ170-Aだったんですよね。

https://ark.intel.com/ja/products/82012/Intel-Z97-Chipset
http://ark.intel.com/ja/products/81761

・選択理由
 お値段がリーズナブルであることは当然として。

・DMI3必須
 M/Bとしての確実な実装への保険として一応Z170に

・DisplayPort必須
 ゲームやらないのでそろそろCPU内蔵Gfxでもいいかなと思うが、DPがないと2560x1600の3008WFPに表示できない。HDMIだと内蔵Gfx側は対応しているが3008WFP側は当時の規格でFHDまで。DualLinkなDVI-Dなら3008WFPは受けられるけど内蔵Gfx側が非対応

・PCIがあった方がいい

・ATXフルサイズが好き
 メモリ脱着時にスタッドの支えがないのは不安

・USB3.1 Gen2(10Gbps対応)があった方がいい
 Type-Cもあった方がいい

・PS/2やRGBもあった方がいい
 いざという時に頼りになるレガシーなので

 ずっと購入タイミングとキモチの盛り上がり(現役のZ68+2600Kで不満がないので)を待ってたらZ270世代に切り替わり、そのスペックを見てZ270でなくてもいいやと思って処分特価を狙っていたら売り切れちゃいました(笑)。
 そこで、とある展示品が処分されないかな~とwatchしていたら遭遇してしまいました。
 絶対Z170で組みなおすと決めていたワケではありませんでしたが、こうなるとこれも定めと買わざるを得ない(笑)。

 新型Z270-Aと比べると、Z170-Aには以下のようなメリットがあります。

・背面USB2.0がある
・RGBがある
・PCIがある

 どれも無くても致命的ではありませんが、例えばPCIeスロットが足りない状況でもないので、PCIが1本くらいはあった方がオトク。
 一方、以下の点では劣っています。

・Kabylakeを使いたいならUEFIをバージョンアップする必要がある
・PCHのPCIeが4レーン少ない
・M.2が1スロット(Z270-Aは2スロット:PCIeのレーン数増分により実現していると推定)
・Optane対応ではない

 SkylakeじゃなくてKabylakeじゃなきゃヤダという欲求は特にありません。
 レーン数もZ170で致命的な不足は感じません。
 M.2も、2枚以上使いたくなったらPCIe変換アダプタを使う手があります。
 Optaneは無視していいでしょう。

 ということで合理化。

https://www.asus.com/jp/Motherboards/Z170-A/
https://www.asus.com/jp/Motherboards/PRIME-Z270-A/

・PCI-Expressレーンの使い道
 Z170はZ97の8から20に増えたのことですが、12レーン分も機能が増えたようには見えません。
 実はSATA 6portをマルチプレクスできるようにうなった分を含むので、単純に12レーン増ではないんですね。
Z170HSIO.png
出典:http://www.intel.com/content/www/us/en/chipsets/100-series-chipset-datasheet-vol-1.html

 Z97はマルチプレクスなしで8レーン(厳密には2レーンはUSB3.0と排他)。
http://www.intel.com/content/www/us/en/chipsets/9-series-chipset-pch-datasheet.html

 Z270はさらに24に増えてるとのことですが、こちらは純粋に4レーン増のようです。
http://www.intel.com/content/www/us/en/chipsets/200-series-chipset-pch-datasheet-vol-1.html

 PCIeストレージが「Intel RST for PCIe Storage Device」として3セットサポートされていますが、「特定の4レーンまたは2レーン」を束ねる必要があるようです。
 ということから、

・PCIe X16第3スロット
   「PCIe X16第3スロットとM.2でRAIDが組める」
   「SATA_5,6と排他でX4にできる」
   ⇒ PCIe#17~20セットと推定

・M.2
   「SATA-Expressと排他」 ⇒ PCIe#9~12セットと推定

・SATA-Express
   「M.2と排他」 ⇒ PCIe#13,14と推定
      ・SATA-Expressとして使う場合
          PCIe#13,14はPCIeに割り当て
          (M.2のPCIe#9,10はSATA #0,1=SATAモードに)
      ・SATAとして使う場合
          PCIe#13,14はSATA #0,1に割り当て
          (M.2のPCIe#9,10はPCIe=NVMeモードに)
          2ポートセットで移動する必要がある模様
          実際、SATAをM.2側にするとSATAポートが2個使えなくなる

ではないかと思っています。
 そして、以上から推定したPCIeレーンの使い方は以下の通りです。

・X1スロット・・・3レーン
・PCI(変換)スロット・・・1レーン
・GbEコントローラ・・・1レーン
・USB3.1コントローラ・・・1レーン
・M.2スロット・・・4レーン(IRSTセット)
・SATA-Express・・・2レーン(IRSTセット:SATA 2portと排他)
・X2(X4)スロット・・・4レーン(IRSTセット:うち2レーンはSATA 2portと排他)
・常設SATA3に割り当て・・・2レーン
・未使用?・・・2レーン

 これだと2レーン余ることになりますが、その実態はワカリマセン。何か独自機能に使っているかも知れません。
 以上、独自推定ですのでもちろん合ってる保証はない点、よろしくお願いします。

・USB3.1 Gen2の帯域
 もしかしたらUSB3.1コントローラのASMedia製ASM1142は、Gen3 X1ではなくGen2 X2で使っているかも知れません。
 USB3.1 Gen2は「bit転送レート10GT/s」で「128b132bエンコード」なので実効データ転送レートは約1.12GB/sとのことですから、PCIe Gen3 X1やGen2 X2の帯域を超えています。つまり、それらの接続ではUSB3.1 Gen2の最高性能は出せないということです(もちろん単純な規格上の話としてですが)。
 厳密に言えば「Gen3 X1 < Gen2 X2」ですから、少しでも近づけようとしたらGen2 X2接続の方がいいのかも知れません。
 素人の思い付きレベルの話ですけれど。
http://ascii.jp/elem/000/000/816/816743/index-2.html

 なお、IntelのUSB3.1コントローラDSL6540はGen3 X2かX4接続だそうです。
http://blog.livedoor.jp/ocworks/archives/52018473.html


■Z170-Aのアレコレ

・UEFIバージョン
 購入時は0502でした。ASUSサイトのoldestは0504。早々にEZ Flash3で最新の3301にUpdateしました。
 再起動で画面出ず。何回かFANが回転・停止を繰り返して先に進みません。
 一応「Update成功」と出たのを確認した後のRebootなので、大丈夫と判断して何回か電源OFF/ONしたら正常になりました。

・TPUスイッチ
 ⅠにしたらEZ-XMPスイッチで設定したXMPモードは無視されて2400MHz設定になってました。TPUスイッチの方が上位権限らしいです。

・DIMMスロット
 やっぱ片ラッチは好かんなぁ。組み易いとは思えない。

・システム時刻
 購入時のシステム時刻が半年くらい過去だったのは何故? 普通台湾との時差くらいしかズレてないけど…

・USB BIOS FlashBack
 残念ながらオプションなので「SkylakeなしでKabylake対応へのUpdate」はできません。
 付属マニュアル(第1刷)では拡張カードは「近日発売」になってましたが、webのマニュアル第3刷では「カードは近日発売」が消えて「保守用ヘッダ」になってました(苦笑)。
 まあ、もしオプションにするとしても、対応CPU持ってない場合が一番のメリットだと思うので、最廉価CPU(の購入・売却価格差)よりかなり安くないと意味がないですよね。対応CPUがあるなら「Crush Free」機能があるので、USB BIOS FlashBackなんて一度やるかやらないかでしょうし。無料貸し出しサービスとかやればいいのに。

・SecureErase
 UEFIにツールがあります。これは便利そう。
 1年ほどシステムとして使った256GBのSSD(CFD製CSSD-S6T256NHG6Q:ベンダはTOSHIBA)にSecureEraseかけてみました。
 「Frozen」だったのでそのまま再起動したら自動的にToolが立ち上がり「Reset」状態になっていました。SEかけると一瞬で終了。
 SE前後でベンチとってみましたが差はありませんでした。

・CPU側PCIe
 メモ。「CPU側PCIEX16にNVMe-SSD(X4),同PCIEX8にSATAコントローラカード(X1),CPU内蔵Gfx」で使える。


■CPU

 普段やってることでは特に高速CPU要らないけど、もしかしてエンコードしたくなるかも知れない。
 スレッド数やCPU性能の実験したくなってもAudio用の3930Kがあるからi5でもいいけど、現行のi7-2600Kよりスペック下げるってのは買い替える意味ないような。

 UHD-BD再生にはKabylakeが必要みたいだけど、CPU以外のハードルもえらく高いし、そもそもメインPCで観なきゃならなくなること、まずないし。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/4kshugyousou/1048284.html

 そこまで速さにこだわってるワケでもないし。
 ていうかそもそもZ170-AではUEFIをUpdateしないと使えないし。
 KabylakeはWindows10以前のOSは非サポート(どんな風に「非サポート」するのかは定かではないけれど)だし。より古いOSを常用する予定はないけど、実験することはあるかも知れない。
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1703/24/news035.html

 などなどいろいろ考えたのですが、別の用事で出向いた街の中古ショップで見つけてしまったのでこれも定めと6700Kに。
https://ark.intel.com/ja/products/88195/Intel-Core-i7-6700K-Processor-8M-Cache-up-to-4_20-GHz

 Kなしもあったのですが新品と違って\2,000しか差がない。OCしなくてもKの方がクロック高いです。どうせCPUクーラーは別途買うつもりなのでKで付属しないのも問題なし。
 中古としてはコストよりOCリスクを考えてしまいます。しかし、シリコンにダメージ食わすような無茶なOCされてる可能性はそれほど高くないでしょうし、そこは中古専門店の買い取りチェックを信頼することにしました。微妙なダメージ(普通には動くが特定の負荷をかけると落ちるとか)ってのも可能性は非常に低いでしょうし。

 中古なので何かあったら1week以内に連絡しなくちゃなりません。
 マージンみるためのOCとしてスイッチでTPU-Ⅰに設定。そこから「All Coreを44倍」「メモリをXMP」に手動変更し、≪CINEBENCH R15≫や≪CPU-Z 1.78≫のBENCHで落ちないことを確認しました。問題なさそうです。よかったよかった。
 ちょっとカット&トライが必要だった点は以下メモリ項に記します。

 sSpecはSR2L0でした。発売直後はSR2BRみたいですね。その後SGX対応したものらしいです。
http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/processors/000005554.html


■CPUクーラー

 6年弱使ったのでクーラーは交換します。
 PWBに負荷をかけるプッシュピン型は嫌いなのでバックプレート型にしたいです。
 プッシュピンではないけれど裏からナットで止めるだけのタイプは結局PWBに負荷がかかるので除外です。
 本来、CPU周辺の電源回路の冷却も兼ねてるハズなのでトップフロー型が欲しいと思ってました。OCする予定はありませんし。
 しかし、狙ってたCoolerMaster製Dream P115 はTDP81Wまでとあります。

 6700Kは91Wなので非対応ということに。実使用上問題ない気はしますがうるさいのもヤです。
 他によさげなトップフロータイプが見当たらないのでやむなくサイドフローも選択肢にしました。イマドキはM/Bの冷却上の設計としてもサイドフローは想定内であろうと割り切り(水冷を想定した機能まで載ってるワケですし)。
 でも、メモリスロットの上に被って抜き差しできなくなるタイプはイヤです(FAN外せば大丈夫でもダメ)。
 となると90mmFAN品しかない。でもバックプレートタイプがない。
 仕方ないので、6年前に買ったAINEX製BS-1156(おそらく初代)を使いまわして改造することにしてプッシュピンタイプも候補に。BS-1156はIntelリテールCPU付属クーラー用でしょうから、それ以外のクーラーへの適用はやや冒険ですがやむを得ず。

 ということで、サイズ製SCBYK-1000I「白虎」にしました(*)。もちろんC/Pも重視した結果です。

*:http://www.gdm.or.jp/review/2016/0902/172150

 BS-1156バネ&ネジへの交換・互換性やM/B面のとのクリアランスやバネ強さ、バックパネルの干渉など問題ありませんでした。
 定格で≪CINEBENCH R15≫してる分には加速してもまるで静かです。


■メモリ

 メモリは半年ほど前、値上がり兆候が出てきた時点で買っておいたんですよね。いずれにしろいつかは使うだろうということで。
 Corsair製CMK8GX4M2A2666C16(*)。XMPプロファイルで動かすいわゆるOCメモリです。
 Audio-PCでも使えるように、X79構築した時の知見に基づいて選択。8層PWB,ヒートスプレッダ付き,低電圧化のマージンに使えるようにOCメモリ。
 パッケージにはXMPってどこにも書いてないけど(苦笑)。

*:https://www.links.co.jp/item/cmk8gx4m2a2666c16/

 在庫の関係で4GB2枚パックを2個購入。
 デュアルアクセス対応は必須ですが、クワドアクセスも視野に入れて同型DIMMを4枚にしました。8GBずつで2台分賄うこともできますし。

 4枚一気に投入し、とりあえず何も設定せずデフォルト認識するSPDプロファイル(2133MHz)で≪CINEBENCH R15≫かけたら2回に1回くらいしか完走しません。ま、まさかハズレの中古CPU…?
 とちょっとビビりましたが、≪CPU-Z 1.78≫のBENCHでは落ちないこと、ブルースクリーンやハングではなく必ず「Apprication Error!」と出ることから、なんだかメモリアクセスに失敗してるっぽいと思い、メモリ1枚だけ、2枚だけにしてみたら大丈夫っぽい。
 はてなと、XMPにしてみたら4枚でも大丈夫になりました。
 試しにSPDでCLだけ16にしてみたら、頻度は減りましたがやっぱり落ちます(5回に1回くらい)。

 「SPD=DRAMチップ定格」だと思うのですが、DIMMモジュールとしては「XMP=モジュール定格」で、XMPメモリの場合はチップ定格駆動だと不安定になる場合もあるってことですかね? まあ、仕様がXMPですのでそれで正常なのかもしれませんけれど、メモリコントローラの方は定格外ですよね(苦笑)。

 でも、そうだとすると、もしSPDだとちゃんと起動せずUEFIにも入れない場合は袋小路? と思ったらZ170-AはM/B上のハードウェアスイッチでXMPモードとSPDモードを切り替えられます(Men OK!でもイケるのかな?)。なるほど、いい機能ですね。


■マザーボードその2

 Z170-Aを買ったハズなのに、今ケースに収まってるのは何故かZ170 PRO GAMINGです。
 同じくASUS製。

 とあるミスでZ170-A壊しちゃいまして。念のためCPUかM/Bかの切り分けで別M/B(またはCPU)が必要になったのと、修理するなら代替M/Bが必要だったので。壊した2日後に現役Z68マシンが昇天(UEFI更新で)して新環境構築待ったなしになるという絶妙なめぐり合わせもあり(苦笑)。

 処分価格になってきたGIGABYTE製GA-Z170X-Gaming5あたり買っちゃおうかなどと悩みながらショップを覗いたら、また展示品処分に遭遇してしまったので。-Aに比すとPCIがありませんがこの際割り切り。長いこと悩んでいても精神衛生上よくないと合理化(笑)。


■Z170-Aとの違い

・I/Oシールド
 「Q-Shield」なる、板バネではなく導電性があるクッション素材でコネクタに密着させる仕様になっています。
 ASUS自身が板バネのことを「バリ」と言ってるようですが、電波・静電気シールドとしてコネクタと電気的に密着させるために必要なものです。
 板バネなしだと組み込み易さは段違いですし、見た目も高級感あります。コネクタ群もステンレス製だそうでキレイですね。

・CPU裏
 BS-1156のバックプレート部分にリード部品の足が出てますが、干渉しませんでした。

・物理スイッチ・ヘッダ・スロット
 MemOK!,TPU,EZ-XMP,PowerSWといった物理スイッチがありません。
 S/PDIFヘッダもありません。HDMI音声用が主目的だと思いますが、ゲーム環境では必要性が低いからでしょう。
 ThunderboltやFLASHBACK用ヘッダもありません。どうせGfxカードに埋もれてしまうであろう位置の拡張スロットもありません。
 これらは、「ゲーム用途としては不要な機能は落とすことでレイアウト自由度を上げ、信号品質を優先したため」と思いたいです。1スロット無い&PCIが無いのも、変換チップも含めてCPU-PCIEX8間の配線品質向上が狙いかも。
 OC性能向上が主目的かもしれませんが、定格動作での安定性にも寄与するのではと思います。
 PowerSWはちょっと欲しかったけど(笑)。

・USB3.0のありか
 静電気保護など他にも違いはありますが、普段の使い勝手における最大の違いは「PCHのUSB3.0の内部/外部の振り分け」かもしれません。
 GAMINGでは「外部4+内部ヘッダ2」、-Aは「外部2+内部ヘッダ4」です。結果GAMINGの背面USB3.0は-Aより2port多くなっています。
 背面には他にASMedia製USB3.1の2portありますが互換性が気になる(そもそもひとつはType-Cですし)ので特別用途として除き、2portあるUSB2.0はK/BとMouseで消費すると想定すると、残りはUSB3.0の4と2。据え置きマシンとしていろいろ周辺機器を常時接続する想定だと、-Aの2はちょっと心もとないカンジです。
 なお、PCHで実装できるUSB3.0は最大10portですが、うち4portはPCIeと排他ですのでPCIeを減らさない限り最大6portとなります。

・LED
 にょろにょろ光ります。GAMINGなので。イヤならUEFI設定で消せます。

・PCI-Expressレーンの使い道
 同じようなスロットに見えますが、PCH側PCIEX4スロットは-Aとはだいぶ異なるようです。

 ・「X2+SATA 2portまたはSATAと排他でX4」の設定なくX4固定
 ・X4固定でもSATAは6port使える
 ・マニュアルに「当該スロットでならM.2とRAID組める」と記されていない

 よって、当該スロットはIRSTセットではないPCIeレーンで構成していると推定されます。Gfxカード3枚挿しを想定して信号品質向上を優先し、PCHからの出力をPCIeスロットとSATAポート両方に配線することを避けたのでしょう。GAMINGなので。
 M.2とのIRST-RAIDが組めなくなりますが、以下の点から実利を優先したのでしょう。

 ・IRSTセットでX4にするとSATAが2port使えなくなる
 ・どうせPCHでNVMeをストライピングしてもDMI3帯域止まり
 ・起動ディスクにしないならIRSTじゃなくてもRAIDできる

 以上から推定した使い方は以下の通りです。合ってる保証はありませんけれど。

・X1スロット・・・3レーン
・GbEコントローラ・・・1レーン
・USB3.1コントローラ・・・1レーン
・M.2スロット・・・4レーン(IRSTセット)
・SATA-Express・・・2レーン(IRSTセット:SATA 2portと排他)
・X4スロット・・・4レーン
・常設SATA3に割り当て・・・4レーン
・未使用?・・・1レーン

 してみると、M/Bの仕様って一見違いが解りませんが実は(商品コンセプトに基づき)いろいろ考えられてるんですねぇ。なるほど、お疲れ様です。

https://www.asus.com/jp/Motherboards/Z170-A/
https://www.asus.com/jp/Motherboards/Z170-PRO-GAMING/


■GAMINGのトラブル

 UEFIは購入時版、ドライバ類は付属DVD版、M/Bセット以外はZ68マシンからまるごと移設状態にて。OSはWindows10Pro(64bit)です。

・ブルースクリーン発生
 エラー情報収集していると出て100%になったら再起動(ハングはしていないということ)。webブラウズ中が多いような…
 Skylake+100系はDDR4初物世代ということもありメモリっぽい? ならUEFIアップデートで出なくなるかも。
 とりあえずASUSサイトの≪Intel Chipset Driver 10.1.1.38 16/12/14版≫を入れて様子見。当日は一度もブルースクリーンにはならなかったが、2日めにはやっぱり発生。頻度は減った気もするけれど。なのでUEFIを3202に更新したら発生しなくなった。

・SATAカード認識せず
 玄人志向製SATA2I2-PCIe(Gen1 X1)を認識せず。
 CPU側PCIEX16でもPCH側PCIEX1でもダメ。クリーンインストール環境でもダメ。UEFIレベルでダメっぽい。H67MのPCH側PCIEX1では認識したので壊れているワケではない。USB3.0カードは認識した(CPU側PCIEX16スロットで)。
 UEFI最新状態の-Aをシステム使いまわしで起動した時はSiliconImageのドライバが入った記憶があるので、UEFIっぽい気はする。3202に更新したら認識した。

・UEFIをMouse(USB2.0接続)操作するとハング
 違うMouseだったけど-Aもハングしていた。接続していてもK/B操作で動かさなければハングしない。3202に更新したらハングしなくなったかも。もしかしてこれもメモリ回り? 


■GAMINGのアレコレ

・UEFIアップデート
 購入時UEFIバージョンは0231(15/07/17付け)でした。ASUSサイトのoldestは0603。古すぎ?(笑)
 04/01に最新3202にUpdate。慎重を期してデフォルトロードしてK/BとDPだけ繋いで4GBのUSBメモリを2.0ポートに繋いでEZ Flash3で。
 成功し、Resetしろと出て自動で再起動。が、画面出ずFAN制御しません。暫く待ちましたが変化しないので電源SW長押しで切って再度ON。テキストで「シャットダウンに失敗した~」的なメッセージが出て再起動。AMIのテキスト画面になり、F1押して設定しろとなりました。
 いろいろ変わってるようですが、0231には無かったSecureEraseが出現。RAIDの名称も「Intel RST Premium (RAID)」とかいう豪勢なものに変わってた。

・USB3.0からのUSBメモリboot
 PCHポート、ASMediaポートともにブートデバイスとしてUEFIに出現しました。PCHの方は実際起動するのを確認。

・USB3.0対応USBメモリの効果
 Windowsインストール用に買ったBuffalo製RUF3-K8GA(MSページに5GBとあったので念のため8GBに)でちょっと実験してみました。
 現物のラベルにはAがありません。色違いの2個買いましたが両方ともなので不良品ではないでしょう。おそらく現物変更なしでのパッケージ変更(対応OS表記追加など)または添付ソフト変更によるものと思われます。
 ちなみにアクセスランプ付いてます。

 Windows10Pro CreatorsUpdate(x64)インストール時の「Windowsをインストールしています」画面(Windwosファイルのコピー中~処理が完了します)の時間を測ってみたところ、「USB3.0ポート:5m07s」「USB2.0ポート:6m10s」でした。ターゲットはM.2(SM961-128GB)、他のストレージや拡張カードはナシです。
 1回しかやってませんので確定的なことは言えませんが、一応効果あるように見えます。所要時間の大半は「ファイルのコピー中」ですからそこで差が付いてるワケで、Window10インストーラはUSB3.0モードでアクセスできてるってことですかね。

 ちなみに、USB3.0接続で同USBメモリにインストールUSBの中身をコピーしてみたところ、デカいファイルは平均5MB/s・最大10MB/sくらいだったでしょうか。細かいのだと1KB/sくらいまで落ちてました。
 コピーしただけでインストールUSBとしてbootしました。ホントだったんですね。

・PCHのGen設定
 メモ。AUTOにしておけば、Gen1対応のSATAコントローラはデバマネで認識されているしNVMeはGen3であることを≪Cristal Disk Info 7.0.5 x64≫で確認。
 Gen3やGen2にしてもSATAカードが見える。NVMeは設定したGenになっている。つまり固定ではない。下位Genはサポートしているので当然か。

・起動時ビープ音
 「-・・・」って鳴ります。ロゴや数珠は出ませんが起動します。シャットダウン直後に起動すると鳴りません。
 グラフィック未検出? PCの電源に連動させてるディスプレイ(DP接続)の起動が間に合ってなくて鳴るのかな?


 Z68+2600K+HD5750からZ170+6700Kに移行したワケですが、キビキビ動くようになったのが体感できます。webページの描画とか。メモリはDDR4になり容量も8GB→16GBに増やしましたが、それ以外は再インストールもせずにまるごと入れた状態で、です。6年も経ってますからねぇ。
 結果的には、いろいろ調べた結果“質実剛健”とも思えるGAMINGにして(なって?)よかったかも知れません。リアI/Oの配置もとても合理的でウツクシク見えます(PS/2が一番はしっこにあるところとか(笑))。
 試しにDMI設定をAutoからGen2に変えてみたら遅くなった気が。いわゆる“足回り”強化は結構効いてるのかも知れません。


■帯域の意味(である調にて)

 T/sとは「Transfer per sec」のこと。Encodeやオーバーヘッドなどは考慮せず、単純に「1秒間に何bit送れるか」という意味。
 PCIe Gen1は転送クロック2.5GHzでbit転送するので2.5GT/sだが、8bit(1Byte)のデータは10bitにEncodeされている。のでデータとしての実効レートは250MB/s。
 Gen2は単純に2倍の5GT/sで500MB/sの実効レート。
 Gen3は8GT/sだが、128bitを130bitにするEncode方式に変更してリカバーし“おおよそ”1GB/sの実効レートとした(厳密には128/130=985MB/s)。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0310/interface01.htm

 なので、Gen3 X4は4GB/sの実効速度を持つと表記される。
 DMI3も同等。Intel資料には8GT/sとあるが、単純に「シリアルバス(1本)の性能」を表記しているだけと思われる。


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グランドチューンを考える

16/12/17初稿

 「電線病治療」によって、ケーブル事情からのチューニングの“めやす”というか“よりどころ”というか、はある程度得ることができました。
 それに基づき以下のようなコンセプトを想定して、「UD-503にT1 2ndを投入して発覚した“セッティングのダメさ加減”」の改善を試みました。


■グランドチューン・コンセプト

・シールドやアース線が浮いてるケーブルは使わない(浮いてしまうように使わない)
 なので、アースがないコンセントにはアース線もシールドもないケーブルを用いる。
 自作の場合はそれを意識して組み立て、使用する。

・アース有意な機器のアースをどうするかは熟考必要
 アース有意な機器では、アースは信号GND(デジタル音声信号GND・アナログ音声GND)とショートする(のが一般的だと思う)ので万全の注意が必要。
 例えばATX電源のPCではアースとUSBのGND(ケーブルのシールドも)はショートしているので、それらと完全アイソレートでない限り、USB接続した時点で「USB-DACユニット内の信号GNDはアースとショート」する。
 さらに、ATX電源のインレット内にはノイズフィルタとしてYコン(ACラインとアース間のコンデンサ)が入っている。
 なので、アース有意な機器でも接地せずデジタル音声信号GND・アナログ音声GNDを保護した方がよい場合もある。

・電源系機器でアースピンやアース穴が筐体とショートしている場合は留意する
 例えば、CSE製電源レギュレータRG-50は入力側は2pin直出しケーブルなのでアースピンがないが、出力側にはアース穴があり筐体とショートしている。そのアースを接地するか否か。
 例えば、CSE製アイソレーショントランスTX-200はトランスにアース線が引き込まれている。詳細不明だが、トランス内の1次と2次を絶縁するシールドに接続されていると推定される。そのアースを接地するか否か。「アースセレクタ」などの機能とも関連する。

・システム内にアース有意な機器が2台以上ある場合はアースループに留意する
 上述の通りアース有意な機器では信号GNDとアースはショートしているハズなので、接地した当該機器をインタコで接続するとループが形成される。ただし即NGとは限らない。
 国産メーカ品で組むオーディオシステムにアース有意な機器が含まれるケースは稀だと思われるので問題になるケースは少ないハズ。
 それでもループになる例としては、ATX電源のPCからUSBでDACユニットに繋ぎ、「DACユニット」と「アース有意なTV」がアナログ音声ケーブルで同じアンプに接続されているケースなど。

・グランドとアースを区別して考える(AC-COLDも)
 媒体によって定義が異なることがあるので、どっちの意味で記されているのか注意する必要がある。

・グランドループとアースループを区別して考える
 本Blogでは以下のように使い分けている。

 ・アースループ
   上記の通り。
 ・グランドループ
   AC側(1次側)とDC側(2次側)のアイソレーションが緩いため
   AC-COLDと信号GND(FG)を経由してループすること。

・アース無意な機器でも、アース線やシールドありケーブルを接地して使うと「ノイズ誘導・被誘導低減効果」がある可能性がある
 電線病記事記載の通り。あくまで可能性があるかも? レベル。
 これを期待する場合はケーブルは長めの方がよいかも知れない。

・アース線・シールド有無ケーブルの場合の構造を考慮する
 シールドありなら、太めのドレイン線とシールドがアース線を兼ねるケーブルが望ましい。
 同じくアース線有意なケーブルでもシールド有無によっても差違がある可能性があるので使い分けを考慮する。


 繰り返しになりますが、「アースの質」「電源の質」にも依存するでしょうから絶対的なハナシではないのは言うまでもありません。


■グランドチューン・実践

 とりあえずケースを「フルアルミ・内装塗装なし」な星野金属製に換えました。

・ACケーブル適材適所
 上記コンセプトに基づき既存品の使用箇所を入れ替え。アース線のない2pinタイプを追加投入。
 直接関係ないですけどアースが関係するプラズマテレビも対象にとっかえひっかえ(笑)。

・USBケーブルのGND構造
 WireWorld製USBケーブルSilverStarLight(以下SSLと略)は、シールドとVbusGNDがショートしてるのが特徴的です。
 アコリバ製USB-1.0SPSは、データ用ケーブルにはVbusGNDも通していませんでした。

 実は、今回のチューニングで何をやっても違和感とれずメゲそうになった時、USB-1.0SPSからSSLに換えただけでウソのようにそれが無くなったんです。SSLからUSB-1.0SPSに入れ換えた時はほとんど違い感じなかったのですが。その後ヘッドホンとPC筐体とACケーブル換えてるワケですが、この変化はちょっとビックリです。

 その後以下の展開を経てUSB-1.0SPSに戻していますが、善し悪しではなく“変化”はかなり大きかったことを記録しておきたくて。

・アナログGNDとデジタルGNDを分離
 UD-503はデジタル電源・GND(VbusGND)のアイソレーションを謳っていますので、「USBケーブルのシールド在りよう」がかなり影響する機体なのかも知れません。

 ただ、このアイソレーション疑問があるんですよね。

 UD-503のUSBコネクタ部のシールドはFG(=アナログGND)とショートしています。
 PC側では、ふつうUSBシールド=FG=デジタルGND=VbusGNDです。自作デスクトップはもちろん、ノートPC(もちろんメーカ製)でもこうなっています。手持ちのVersaPro、Thinkpad X220で確認しました(VersaProではUSB3.0と2.0両方、電源ON/OFF状態両方にて)。

 ということは、UD-503の内部でVbusGNDをアナログGNDとアイソレーションしても、USBケーブルを介して結局PCのGNDとショートしてしまうのでは?
 UD-503のアナログGND(=FG)をデジタルGNDから守るためには、BコネクタのシールドをFGに接続せずアイソレートするか未接続にする必要がある気がするのですが…

 ということに気づいてしまったので、ならばとSSLのBプラグのシールドシェルにセロテープを巻いてUD-503のBコネクタシールドと絶縁してみました。これでPCのデジタルGND(VbusGND&シールド)とUD-503のアナログGNDはアイソレートされるハズです。

 激変は感じませんでしたが、これで運用してみようかと思います。

・ATX系PCのアイソレーション
 ATX系PCを使ったPC-Audioのアース・FG・GNDについて改めて整理してみます(ATX電源ではなくACアダプタ電源などのシステムでは別事情となります)。ただしあくまでも一般的事情として、です(例外もあるかも知れません)。

 ・ATX系のPC・・・信号GNDとFGはショート、FGはアースとショート
 ・ATX電源・・・COLD(HOTも)はインレットフィルタのYコン経由でアースと接続
 ・PC・・・GNDはUSBのVbusGNDやシールドを介してDACユニットのGNDとショート

 つまり、ATX系PCでは信号GNDはYコンを介してCOLDと容量接続していることになります。「スイッチング電源はAC側と機器内DC側のアイソレーションが甘くなりがち」どころではなく、意図的に容量もって繋がってるワケです。
 PCとしては問題ないのでしょうけれど、オーディオプレーヤとして組み込むと、USB-DACのGNDもAC-COLDと容量接続していることになりますよね。

 DACユニットはオーディオ機器ですから電源部におけるAC側COLDとDC側GNDのアイソレーションはそれなりに強力だと思います。
 しかし、PC側で“明らかに緩んでる(敢えてYコン入れてる)”状態なワケですから、通常のオーディオシステムよりグランドループ条件は悪いのかも知れません。

 じゃあ、どうすればいいんでしょう?

 PC電源をコンセントACとアイソレーションすればよいハズです。アイソレーショントランスを入れればよいってことですね。「PCのGNDとの絶縁が緩くなったCOLD」と「コンセント側COLD=DACユニットに入るCOLD」がアイソレートできるワケですから、DC側GNDで繋がってもAC側で切断できます。
 元々「PCの電源はスイッチングだから」という理由でトランス入れてたのですが、「ATX電源は信号GNDとアースの絶縁が緩いから」というより重大な効果があったということですかね。

 しかし、考えているうちにちょっと気になることが…

・アイソレーショントランスの功罪
 もしかして今回の一番のトピックはこれかも。

 アイソレーショントランスTX-200の内部トランスにはアース線が接続されています。正確には解りませんが、トランス内シールドがアースに落ちていると推察されます。少なくとも、「トランス内でアースが何らかの役目を担っている」とは言えると思います。
 ATX系PCのアースはGNDとショートしています。
 ATX系PCのアースはCOLDとYコンで容量接続しています。つまりGNDとCOLDが容量接続しています。

 この理解が正しければ、「アイソレートすべき入力側と出力側の間にCOLDに容量接続した信号GND(=アース)がある」ということになります。
 う~ん、なんだかあまりヨロシクナイ気がしてきました。
 といって、TX-200を外すと決して良くはなりません。PCのアースを浮かせても良くはなりませんでした。PCアースはATX電源の中でGNDとショートしYコンでCOLDと繋がってますから、やっぱり放置はできないと思えます。

 この状態の概念を図示してみます(Bコネクタはセロテープシールド状態)。繋いだり外したりのバリエーションは脳内シミュレーションで(笑)。

ATXとアースとGND

 さてどうしましょう?

 現在はPCとUD-503だけ使っておりUD-503から他機器への接続はありません。ですのでPCとUD-503という2機の間だけアイソレートすればよいワケで、よってアイソレーショントランスはどちらに入れてもいいハズです。シールドにアースが接続されている状態は変わりませんが、信号GNDの在処が1次側2次側逆になることで変化するかも知れません。
 ということで、PC側ではなくUD-503側のACをTX-200から取るようにしてみましたら明らかに良くなりました。やっと金脈掘り当てた感あり(笑)。

 しかし、さらにいろいろ試してみたら、UD-503電源をレギュレータから取るだけでも(TX-200を外しても)同じ傾向でした。まあ、レギュレータですからね。
 UD-503側に何も入れないとやっぱりダメなのですが、PC電源を接続先を「UD-503接続先コンセントとは別の、離れた壁にあるコンセント」に変えてみたらそれでも同じ傾向の効果がありました。

 つまり、ATX電源入力にアース有意なトランスを置かず、かつ、何らかの方法で「PCが宅内電源へ与える悪影響」を減少させればよい(というか必須)、というような結果になりました。
 室内配線の長いACケーブルで隔てられているだけでも効果あり、ということですかね。定かではありませんが。

 ということでこんなカンジになりました(CSE製ノイズフィルタNFW-30は無視してもいいと思います)。

ATXとアースとGND2

 どうも、「ATX系PCの信号GNDはアースとショートしておりアース経由でAC-COLDと緩い関係にもなる」ので、内部シールドがアースになっているトランス経由したりするとハナシがヤヤコシクなるようです。

 なお、上記は、「USB-VbusGNDをアイソレーションしているUD-503」に「USBシールドを“セロテープアイソレーション”して接続」している環境条件と相まっての結果かも知れません。


■顛末

 これらに基づいてAC環境再構築した結果、やっとマトモにT1 2ndが聴けるようになりました。同時にMDR-Z7やHD700もそれぞれの特徴が出た好ましい音になりましたので、おそらく正しい方向の調整だったのだと思います。
 DACユニットたるUD-503ではなくプレーヤPCの電源環境(筐体,ACケーブル,アイソレーショントランス,ノイズフィルタ)が主たる調整対象になりましたが、変わるもんです。

 リサンプラ設定に続き、UD-503のDSDフィルタの違いも感じられるようになりました。50kHz(AK4490のデフォルト)にした方がエネルギッシュですね。特に中低域。高域は抑制されるため(ホントかな?)でしょうか、キツさは取れますが空間は若干狭くなるような。
 ちなみにT1 2ndのスペックは5~50kHzとなっています。

 いや~しかし、これだけ条件付けて組み合わせ制限しても「とっかえひっかえ試聴」は途中でメゲそうになりました(苦笑)。なんとか落ち着いてよかったっス。


 余談ですが。
 なんだか5~6時間チューニングして鳴らしてると、最後にヘンな音質になることがある気がするんですよね。
 悪化したと言うより“聴くに堪えない”というカンジ。で、切り上げて翌日聴くと何も変えてないのにいい音に聴こえる。
 数時間鳴らしたまま放置後聴いてみると印象が全く違うこともあります。
 耳とか頭のせいですかねぇ? それとも変更したケーブリング環境に“馴染ませる”時間が必要なんでしょうか?
 前者なら、あまり長時間連続でやらないようにする必要ありますね。後者だとすると時間かかって仕方ないですねぇ。


 以上、とあるグランド・アース系チューニングの顛末でした。決して一般論ではありません。個人的感想です(笑)。


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