「フィギュア世界選手権2014」をISUはどうジャッジしたか

14/05/24初稿

 14/04/20に初稿を上げた世界選手権観戦記事にチマチマと追記してた内容がずいぶん大量になってしまいました。
 ので、上記記事を選手と観客についての「演技・応援」編とし、ISUについては「採点」編としてこちらに分離しました。
 「女子シングル」だけしか取り上げていないので、ちょっとタイトルには語弊あるかも知れませんね(笑)。
 なお、タイトルの「ジャッジ」はもちろん採点行為のことで「演技審判」のことではありません。

 念のためですが、本稿に登場する選手みなさんに対して何も思うところはありません。みんな好きですし。真央は大好きですけど(笑)。

 浅田真央選手、カロリーナ・コストナー選手、ユリア・リプニツカヤ選手をはじめ、選手みなさまには敬称略で失礼いたします。


■たまアリに「ホームアドバンテージ」はあったか

 ソチ以降話題の本件、無粋ですけどちょっと書いてみます。
 ルール・ガイドラインについて考えた記事を前提として。

・ショート
 「日本人選手の高得点」という意味で、真央のSPをみてみます。“それ”がないハズのGPアメリカ大会2013のSPと比較してみましょう。
 アメリカでは、3Aが認定されていることをはじめスピンステップも取りこぼしなしの演技で73.18を得てます。今回78.66を獲得したワケですが、その差はホームアドバンテージなんて考える必要なく納得できるものです。
 例えば3AのGOEだけみても、GPアメリカでの-1.43が+1.86になっています。これだけで3.29アップ。あの3AですからGOEはホームアドバンテージとか関係なく妥当でしょう。
 PCSは34.33→35.85で1.52アップ。あの演技内容なら全く妥当だと思います。アメリカはシリーズ初戦ですしね。ていうかファンとしてはもっと出てもいいと思うくらい(笑)。だってSP2位のカロは37.46ですから。
 73.18にこのふたつを足すだけで77.99。その他エレメンツの出来も素晴らしかったですからさらに0.67上がって78
.66になっても何の不思議もない。
 ええと、ホームアドバンテージってどこにあるんでしたっけ?

・フリー
 さて、FSもやはり「日本人として優勝」ということで真央の例を見てみます。敢えて「ホームアドバンテージ」「最終グループボーナス」の可能性が“両方無いソチFS”と比較してみましょう。今回は逆に“両方あり得る”ワケですね。
 言うまでもなく両方とも素晴らしい演技でしたので、ホームアドバンテージが定常的にあるなら、今回はドバドバ盛られているハズです。
 「ドバドバ」のイメージとして、ソチ金メダリスト・アデリナのGPF2013(福岡:非ホーム)とソチでのSPを比較しておきます。共に2位と好演していますね(間に入ってるユーロ2014は“準ホーム”と見なしてカットです(笑))。
 SPで見ているのは「メダル争いのプレッシャーに耐えたご褒美(FS最終グループボーナス)」はないハズだからです。

  TES:37.53 → 39.09
  GOE: 7.10 → 8.66
  PCS:30.85 → 35.55  0.8倍する前の素のPCS:38.56 → 44.43 115.2%

 PCSには確かに“ホームアドバンテージ”感じますね。もちろん100%実際に上達した分かも知れません。が、真実は解りませんので、あくまでも「ありそうに感じるか」という意味です(上記リンク先記事に記した通り、関係者も「ある。程度問題」って前提でハナシしてるみたいですし)。

 ということで、これを参考にすると真央のFS(ソチVS世戦)はドバドバしてるように感じるでしょうか?

  TES:73.03 → 65.27
  GOE: 6.69 → 5.82
  PCS:69.68 → 72.76  1.6倍する前の素のPCS:43.55 → 45.47 104.4%

 …感じないです(苦笑)。念のためですがTES的デキとPCSはダイレクトに連動しないことになっているハズですよね。
 真央のPCSはソチより3点上がっていますが、ホームアドバンテージで出過ぎだなんてことは全くなく、「やっとマトモな点が出た」だけでしょう(ソチFSは少なくとも2点は低いと感じてましたので)。
 以下「FS変遷表」でもイメージできると思いますが、玄人もこぞって「ソチでは抑えられた」と言ってますから、「今回は抑えられなかった」だけだと思います。

 なお、TESではかなり厳しく(*)UR取られましたよね。真央だけでなくアッコちゃんも佳菜子も。あれが「ホームアドバンテージで甘かった」と言う人はいないんじゃないでしょうか。

*:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201403300003-spnavi

 ということで、たまアリでは日本に「採点上の」ホームアドバンテージはなかったと思います。
 ていうか、本来あっちゃダメなんだからそれが正しいんですけど。
 ソチの時は「あったでしょ。でも許容範囲内じゃない? たまアリでもあるだろうし」というご意見もあったようですけれど。

 地元日本で大好物のあったかいご飯食べ放題だったから調子良かった、というような「コンディション面」ではもちろん色々あるでしょう。けど、それは当たり前のことですしどうしようもないですよね。


 以下オマケ。FS変遷シーズン完結編です。
13-14シーズン変遷(世戦まで)

*:念のためですが、Deductionは無視していますのでTESとPCSを合計しても得点にならない場合があります。
  TESとその内訳としてのB.V.とGOEは、演技のデキの参考情報として付けています。
  以下の表も同じ。

 PCS、真央が3点上がってリプちんがやや下がりアデリナがパスした(*)ことで、“最低限”帳尻が合ったところで今シーズンはオシマイ、しゃんしゃん感満載(爆)。
 リプちんはソチよりよかったと思いましたけどPCS下がっちゃった。一方ゴリさんは急上昇。確かにGPシリーズと比べると格段に上手くなったと思いましたが、「継続的にいい演技しないと上がらない」とかなんとか言われることもありますよね。PCSってやっぱ不思議だナ~

*:確かソチ直後には絶対出るって言ってくれてたと思うので(当初補欠という不可思議なエントリーでしたよね)、欠場は残念でした。


■真央は「抑えられた」のか

 上記の通り「アゲられた」とは思えませんが、逆に「サゲられた」ということはあるのでしょうか。

 真央は魅力的すぎます。演技も本人も。もちろんファンにとっては、ですが(笑)。
 ので、採点結果を見る時など、どうしてもファンの想いが強くなってしまうところがあるなぁと思います。でも、ISUのジャッジングは真央ファン目線で行ってるワケではありませんよね。加えてISUジャッジングシステムでは「たぶんウツクシサや感動は点にならない」ところが違和感に輪をかけてるような。
 ネット上では「アゲ」とか「サゲ」についていろいろ言われており、ワケワカラナクなることがあります。
 つい感情的に思い込んでしまいそうになることもあるのですが、ポジティブ面もネガティブ面もネット情報には“ファンの想いフィルタ”や“アンチフィルタ”がかかっている部分があると思いますので、以下「サゲ」について「自分なりに納得するため自分なりに」考えてみました(「アゲ」については前述した内容でいいでしょう)。
 これも無粋ですけど、モンモンしたり悲しくなるのヤですもん。

 なお、「ISUの採点」と、いわゆるマスコミやネット上の印象操作による「点数以外のアゲ・サゲ」は、一緒くたに考えない方がよいと思っています。

 まず、採点内容は以下の4種類に分解できる(今回はDeductionは無視します)かと思いますので、それぞれについて見てみます。

 テクニカルパネル(技術審判団)のお仕事
   ・ジャンプの技術判定(URとかDGとかeとかの判断)
   ・スピン・ステップの技術判定(レベル判断)
 ジャッジパネル(演技審判団)のお仕事
   ・GOE
   ・PCS

・ショート
 SPは世界歴代最高得点、シーズンベストを4点近く更新、もちろん真央パーソナルベストなワケですが「もっと出てもいいのでは」というご感想もあるようですね。

 ジャンプの技術判定エラーなし
 スピン・ステップの技術判定オールレベル4
 GOE:8.12  (トップはカロの8.65)
 PCS:35.85 (トップはカロの37.46)

 う~ん、強いて言うなら「GOEとPCSはカロと同じくらい出るべきだ」ってカンジでしょうか。つまりあと0.53+1.61=2.14くらい足りない?
 私はSPの得点見た時、どうせGOEはあんまり出てないだろうから遂にPCSをカロ並に出したのかと思ったのですが、実際にはどちらかと言うとGOEがよく出ての78.66でした。GOEもPCSもカロに届いてないワケですが、演技・応援編に記した通り生で観た感想としてそれは納得できました。
 誤解なきよう申し添えますが、「私が真央より上だ」と思ったという意味ではありません。「ISUがそう採点することもあり得るデキだ」と思ったという意味です。逆に真央の方がGOE・PCS出ても納得しますし。

 ということで上記メンバでSP編も作って俯瞰してみましたが、個人的には本SP、(ソチFSなどとは違って(苦笑))少なくとも「明らかに低い」という数字ではないのでは、と思っています。

13-14シーズン変遷(世戦まで)SP編

 まぁ、真央ファンとして正直なところでは、「カロのPCSに37点台出すなら真央は36点台に乗せてくれたっていいじゃんか」とか思ったりしますけど(笑)。といっても主観領域のコンマ数点の世界ですから是非は言えないですね。

・フリー
 PCSはいい点出てると思います。
 スピン・ステップの技術判定もすべてレベル4です。
 GOEも、実はジャッジ(演技審判)はいい点出してたと推察しています。
 TESメーターを読み解いた結果、“URやeのコールに関係なくジャッジが付けた時点”では12.14まで積み上がっていたようだからです。2A+3Tを失敗してこの数字ですので、ジャッジの評価に「サゲ」があったとは思えません。

 よって、意図的なサゲがあったとしたらテクニカルパネル(技術審判団)による「ジャンプの技術判定」に絞っていいでしょう(最終GOEはそれ次第で大きく変動しちゃいます)。

 では、「ジャンプの技術判定」の妥当性につき、少なくとも自分が納得するにはどうしたらいいでしょう?
 考えた結果、「最終グループ6選手の全42ジャンプを自分で“判定”」してみることにしました。
 ソースはJ-SPORTSの演技画像のみ(採点待ちのリプレイなどは全ジャンプないので不公平にならないように)。BDレコーダのHDD上のソースを50inchTVでコマ送り再生。もちろんHD画質。演技放送映像なので30コマ/秒(fps)ですね。
 予断状態としては、幸い(笑)真央以外の技術判定結果はほぼ覚えていませんでした。

 当然Resultとの差違がありましたが、他の5選手の差違を踏まえて真央FSをみてみると…

 まずエッジ。3Lzでエラー食らってますが、他選手の例と比べてもまあこれは仕方ないと思いました。潔くインエッジテイクオフですね(苦笑)。
 他の選手でも「フラット気味だよな~」と思う例はありましたが、「絶対eでしょ」「絶対eじゃないでしょ」と言い切れるものはありませんでした。

 次にUR判定。3A<、3F<+3Lo、3F+2Lo<+2Lo<と4つのジャンプでもらってますね。
 3Aはギリギリでしょうか。他のジャンプ(真央のも含め)に比べて厳しいとは感じましたが、逆に「絶対足りてる」とも言えないと思いました。「トゥが着いた時点では1/4以上、エッジが着いた時点では1/4未満」ってカンジでしょうか。もちろん真央ファンとしては「あれがOKならなんでこれがUR?」などとも思いますが、3Aは「唯一無二」なので他選手と比較はできませんからねぇ。
 非常に違和感あったのは3F+3Lo。どう見ても3FはURに見えませんでした。でも、逆に3Loが危ないです。これ、逆じゃないのかなぁ? この判定はまるで解せないです。
 他にも、ヤバく見えましたが刺さってない例もあり、つまり真央のジャンプ判定だけ見ても甘いのと辛いのが混在してると思いました。

 真央以外の選手についても、個々のジャンプに甘辛は感じましたが、「この選手だけ絶対全部厳しめ!」「絶対全部甘め!」って断言できる例はなかったです。
 「刺された」ことの妥当性だけじゃなくて「刺されなかった」妥当性も見ないとダメですよね。

 ということで、ジャンプの技術判定においても、明らかな意図は浮かび上がってきませんでした。


 以上、「PCS」「GOE」「スピン・ステップの技術判定」、「ジャンプの技術判定」それぞれにおいて、「真央を可能な限り抑える」という意図は感じませんでした。個人的には、です。

・なんちゃってテクニカルパネルの限界
 選手に対する意図は感じませんでしたが、“3AがURであることを基準にすると”「甘いんじゃないの?」と思ったジャンプ(真央の3A以外も含めて)は結構ありましたし、逆に言うと3Aは格別に厳しいとは思いました。つまり「真央を抑えている」とは思いませんでしたが「3Aに厳しい」とは感じました。正直、正直なところ。
 もちろん自分が判定した結果の方が正しいという意味ではありません。あくまでも自分が納得するためですからそれでもいいんです(笑)。

 「3Aに厳しい=真央だけに厳しいってことぢゃん」と言われたらまあ事実上そうでもありますが…(苦笑)

 素人の限界感じますね(笑)。やっぱりもう少し情報出して欲しいです。素人だって“納得したい”ですもん。例えば上記3F+3Loなんて、是非、テクニカルパネルが判断に使った映像で解説して欲しいです。「3Aの厳しさを基準にするなら絶対URに見えるのに刺さってない例」などもお願いしたいですね。
 でないと「見つける見つけないは運なんじゃないの?」とか「目を付けてるジャンプだけガン見してるんぢゃないの?」とか思っちゃいますよISUさん。


 念のためですが、本項、今大会に限ってのお話です。特にPCSなんかはソチ(とユーロ)あたりの数字とダイレクトに比べない方がいいと思います。
 比べちゃうと「たまアリの真央低すぎ」と感じるかもしれませんが、それは「サゲられた」のではなく「アゲられてない」だけだと思いますよっ!(笑)


 「TESメーター」編に続く。


■余談

・大会Result
 http://www.isuresults.com/results/wc2014/

・相変わらず演技中にも関わらずスマホやってる人が前席に。他の人への迷惑を考えて欲しいです。そもそも電源切れって言ってるのに。「スマホは携帯電話じゃない」なんて詭弁はナシですよ。

・首相にハグされる真央
 04/25、真央が安倍総理にハグされた衝撃映像(笑)。大体17分くらいから。
 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9737.html

・中央日報14/03/28
 相変わらず証拠もないのに「甘い採点」などと報道するメジャー一般紙(スポーツ新聞やゴシップ紙などではないという意味)。
 http://japanese.joins.com/article/459/183459.html?servcode=600§code=600&cloc=jp|article|related


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テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

真央V3おめ!たまアリに満ち充つる愛

14/04/20初稿

 真央3度目の世界女王おめでとう! 過去30年ではクワンの5回、ビットの4回に次ぐ記録のようです。

 フィギュアスケート世界選手権2014、幸いにも女子SPとFSとEXをさいたまスーパーアリーナで現地観戦することができました。なかなかに素晴らしい体験でしたので、現場で感じたことを書き留めておこうかと(断片的な映像は観ましたが大会としてのテレビ放送は観ていない状態で)。

 浅田真央選手、カロリーナ・コストナー選手、ユリア・リプニツカヤ選手をはじめ、選手みなさまには敬称略で失礼いたします。


■演技

・ショート
 「ソチの雪辱をと、真央の想いも強かろう」とみんな思っていて、今大会のショートには独特の期待感(+緊張感)があった気がします。
 そういう気持ちをたっぷり昂ぶらせることができた製氷時間の直後ということもあり、ウォームアップが始まった途端に会場のボルテージは一気に最高潮。待ちに待った時が遂に来た! 来てしまった! とばかりに仕舞っておいた感情を瞬間的に全解放。ちょっとでも真央の力になりたいと必死に拍手、「神様…真央が満足する演技させてあげて~」状態。心臓バクバク。
 真央はグループ1番滑走でしたから、会場はものすごい高揚感に包まれたまま演技へなだれ込みました。


 完璧な真央の演技の、なんと美しいこと。


 感極まりましたけど泣きませんでした。目頭は熱くなりましたし、無意識のうちに「まおー!!」って叫んじゃいましたけど(初めての“声援”でした)。
 ただただ素晴らしく、ただただ満足という感情。本当に“愛あふれる”満ち足りた2分50秒でした。
 会場18,000人(*)の雰囲気も、真央愛で密密しながらも整然としていて素晴らしかったです。現場で「真央祭り」に参加できた至福の時でした。花束やプレゼント投げ入れの人の移動は魚の群れのよう。
 降り注ぐ花も歓声も拍手もいつまでもやまない、夢のような光景でした。

*:もちろん全観客が真央ファンだとは思っていません。ノリで18,000人って書いてます、お許しを。ちなみに以下「日刊スポーツグラフ」によると03/27の入場者数は17,338人だそうです。

  ←こちら見た通りゆづるんメインですけど、真央も日刊スポーツ当時の記事を振り返るカンジの世界選手権07~13を合わせて16ページ分あります。

 採点待ちの間も途切れることなく続いたシルキーな拍手がすうっと静まってコールされた得点は世界歴代最高更新。なんてキモチイイんでしょう。
 実は会場内では気づいていませんでした。事前にそういうこと考えもしなかったですし。ただ真央のいい演技が観たいだけで、たぶん点数にはあまり興味なかったからだと思います。
 思い返すにバンクーバー直後、「ヨナが引退しても記録は残るのでそれを超えられるようにがんばりたい」と語ってましたね。4年かけてそれを実現したんだね真央(もちろんそれが目標だったワケではありませんが)。正直、当時「あの点を超えるのは無理だよ…」って思ったんですごめんなさい。なのに真っ向勝負で超えちゃった。やっぱ真央は我らのスーパーヒーローだよぉ。

 Result見るまでは「やっとPCS出したか」と思っていたのですが出てなかったですね。技術判定にミソがなくGOEが出たワケですが、それでも3Aに-1付けたジャッジがいる。「URではないが回転足りない」とでもいいたいの?

 カロもよかった~ 冒頭のコンボどうするかなと思っていたらソチと同じく3Fでいきなり「おおっ!」と盛り上がり、これでもかってディープエッジで目前を滑り去るところなんかはド迫力で、照明光に包まれて煌めくスピンはうっとりするウツクシサでした。文句なしのスタオベしながら「これは(点数は)真央の上いったかも」と思ったくらい。

 リプちんはソチより柔らか(柔軟性のことではないです)なカンジで、上手くなったなぁと思いました。フリーもエキシも含めて。特にエキシは内面からにじみ出るもの…今まで無かった何か憂いのようなモノを感じられてよかったです。

  ←“写真家の真央写真”面白かったので買っちゃった。今大会多いですが今期だけじゃないです。「MAO」撮った方なんですね。ノクターンのスピン、力感がいいナ~
 写真については完璧な素人ですが、岩合さんの真央写真観てみたい(笑)。

・フリー
 パーソナルベストはもちろんソチですが得点的にはそれに次ぐ…ていうか真央が「やりきった」と言うフリーが観られてまた幸せ。
 ウォームアップでは3Aも3F+3Loもキレイに決まったので否が応でも盛り上がる盛り上がる。
 SPは没入しきって上ずりながら観てましたが、FSは「8Tripleというドラマ」を固唾をのんで見守るカンジだったでしょうか。ジャンプ降りるごとに安堵しすぐに次のジャンプに息を詰めるの連続。
 でも、会場全体はSPより落ち着いていたような気がします。フリーはソチの奇跡がまだ鮮烈に脳裏に焼き付いているので「あれを超えることはないよね…まさかね? でも真央のことだから…考えても無駄だよねっ!」みたいな雰囲気だったのかも知れません。

 刺されたけどアクセルもサンサンもキレキレでしたよ。ソチの3F+3Loと2A+3Tに続いて「URだけどGOEはマイナスじゃなかった」ですしね。
 SPもですが、スピンがキレイだったナ~ ステップは真央比でちょっとパワー感控えめだったかも。席に依るのかも知れませんが、JOの時と視角的には比較的ニアリーな席だったのですが。やっぱり初演のインパクトが大きかったのかな?
 2A+3Tを失敗したのは惜しかったけれど、不思議と無念感はありませんでした。
 やっとマトモなPCS出ましたね。

  ←世界選手権関連本としてはこれが本命でしょうか。P.54,55は泣ける。

 表彰式は晴れがましいひととき。たまアリが囁くように君が代歌ってました。
 リプちんにロシア国旗が用意されてなくて、プレミアム席のお客さんが反対側から「ここにあるよー!」って一所懸命アピールして応援用の国旗を渡されてました。ホントGJです。結果的に3人のサイズ(笑)にジャストフィットしてましたね。大きすぎず小さすぎず。こういう意図ではない出来事も含めて全てがキレイな流れになっていた大会でした。

・エキシ
 凄く楽しいエキシでした。さすが世界選手権、エンタメも一流。
 まっちーが凄かった… TV観戦だったSPでも「うおおお」とか叫んでましたが、思わず「すげええっ」て唸っちゃいました。まさに“迫真の演技”。タイプは違いますが大輔に通じる「観る者を引きずり込む力」を実感しました(真央は逆に迸るオーラで会場全体をひとつの世界に染め上げるカンジかな)。COIの時も一番印象に残ったのですが、今期は本当に素晴らしかった!
 んで、大声援もらってて(ちょっと失礼な言い方かも知れませんが)安心しました。ていうか分け隔てなくていいなぁ。いいものはいいもんね。

 と思ったらゆづるんロミジュリかよ! これはすんごく得した気分(笑)。目の前に迫ってくるコンボジャンプの迫力ったらなかったです。ステップ前には「うぉりゃあ~!」って声援送りました。もちろん心の中で。
 みんなマリオとか金パンツとかやってるのに、この二人だけマジ(笑)。
 本エキシ、コミカルとマジのバランスも絶妙だったと思います。

 カロがイマジンやってくれて嬉しかったなぁ。ソチでは“回避”だったから(苦笑)。

 真央のスマイルは本当にただただ美しかった。無重力2Aが目に焼き付いています。密かに「メーヴェ・スパイラル」と呼んでる低速スパイラル好きだなぁ。
 初演(モリコロ初回)観た時すでにうるっときた(*)くらいで、今期最後の競技会でのスマイル観たら絶対泣くと思ってました。チケット獲れた去年の秋ごろ(世戦絶対出てくれると思ってた)は会場で泣くことを覚悟しましたが(本望ですが(笑))そういう感情にはなりませんでした。
 あれだけ充実した姿を見せられたからでしょう、晴れやかな気持ちになっちゃいましたよ。大変上質な充実感・満足感に満ちていて、SPもFSもEXもそして演技していない時も本当に美しい人だなぁ、綺麗な人だなぁと感激することしきり。改めて“衣通姫”ってこんなカンジだったんだろうなと。久々にちびまおの面影がよぎる表情はもちろん“超きゃわわ”(笑)。
 何より、真央が満足そうで嬉しかった。

*:「“集大成”で臨むシーズンのエキシにこれか-! ローリーなんてことすんねん鬼ー!」 と思いました(笑)。演技中は「おお…青空が…青空が見える」状態でしたし。



 アンコール後に今度は意識して声援送りました。応援の集大成として、一番伝えたかった一言。
 「ありがとー!」と。

・去就
 「ハーフハーフ」のままですね。というか、もともと「今シーズンを集大成にする(次シーズン以降のことは考えないでやりきる)」と言ってただけで「引退する」とは言ってません(「引退ということか?」「そのつもり」という意味の問答はあったけど)でしたから、最初っから「シーズン終わって新たな目標が見つかればやるし見つからなければやらない」つもりだったのでしょう。シンプルです。
 願わくは、ファンへの想いも含め余計なことは考えずに決めて欲しいです。
 もちろん、真央は間違わないと信じていますが。

・ギネス
 真央ファンにとってはオマケかな(笑)。でも、フィギュアに限らず「ギネス記録更新の場面」に生で立ち会えるなんて一生一度でしょうねぇ。
 ちなみに「採点競技であるフィギュアの得点がギネス記録」ってどうよ? 的な報道とかあるみたいですが、真央は「すでにあるギネス記録を更新」したので自動的に記録保持者になっちゃっただけですよね(爆)。
 技の得点規定や技術判定基準などが変わったら点数の価値なんて変わっちゃいますから、私も疑問の主旨には同意です。でも、別に真央サイドから申請したワケでもないですから、もし文句があるならギネスまたは「この項目を作らせた人たち」に言うべきでしょう。

・「世界歴代最高得点」と「ルール改定」
 上述の通り、採点ルールが変わっちゃえば(極論すると同じ演技でも)得点は変わってしまいます。
 その点において、「バンクーバーの時より高得点が出にくいルールに改定されている中での世界最高得点更新なのだから、実は凄い偉業」という評があるみたいですね。
 凄いことに異論は全くありませんが、得点とルールについて具体的に確認しておこうと思います。

 確かにSPではSpSqが廃止され要素が8個から7個になっているのを代表に、GOE幅の大幅な縮小などマイナスに働く改定がありました。
 しかし、一方で3Aの基礎点が上がったり後半1.1倍ボーナスが導入されたりといったプラス面もあります。特に、必須ジャンプエレメンツとしての「アクセルジャンプ」から「ダブルアクセル」という限定が外れて「ダブルまたはトリプル」になったのは大きなプラス要素です。
 結果的に3Aを入れたのは真央だけですが、条件は全選手に公平ですし、「アクセルはダブル限定」だったのは(いくらショートとはいえ)スポーツとしてどうかと思いますので違和感はありません。「より高難度(高得点)な技ができる選手だけに有利なルールはおかしい」っておかしいなと。
 
 ということもあり、なんと、真央SP、GOEやPCS以前に「ベースバリュー」において09-10シーズンの34.40より上昇させ、34.69になっているのですね。
 以下、演技順ではなく対応する要素ごとに並べて4年前と比較してみました。

SPルール比較

 スパイラル廃止でごっそり5.40(B.V.で3.40、GOEで2.00)失った一方、アクセルがらみの構成を変更できたことでB.V.で3.09、GOEで0.76上げています。
 ですので、(FSはさておき)少なくともSPについては、ルール改定の影響を見る際は「要素が減っている」以外の事情も考慮する必要があると思います。
 といっても全体的に点が出にくいルールになっているのは間違いないでしょう。そんな中、GOEは改定でシワくなった(例:3FのGOE3は3.0→2.1)にも関わらず、真央は全体的にアップさせています。「3A死守」をはじめとした4年間の努力の成果を見る気がします。

 なお、選手はその時点のルールに則った戦略で戦ってるワケですよね(真央はなんとなく“ルール無用”っぽいですけど(笑))。ルールが変われば構成が変わり、重点的に練習する技だって変わってくるでしょう。例えばバンクのころは「やればできるけどクワドなんか必要ないから跳ばない」と言ってたPチャン、基礎点が上がったらクワドキングになっちゃいました。
 違うルールの元で得た得点を違うルールで換算することにあまり意味はないと思っています。

・あれは「ガチ勝負」ではなかったか
 本項、後日J-SPORTSの放送を観てから追記しています。
 J-SPORTSではFS前の公式練習の放送もあり、そこでは普段は判らない「予定構成」が提示されています。
 今回のカロのFS構成はあのソチ銅メダル演技と異なっています。敢えて変えていると思える内容なのですが、ミスしているため予定がどうだったのか結果だけでは正確には解りませんでした。が、放送によって何をしようとしたか知ることができました。

世界選手権2014:カロFSのTES

 以下はソチFSの結果です。予定構成は不明ですがミスなく滑っているのでおそらく予定通りの結果だったのだと推定しています。

ソチ:カロFSのTES

 ソチと今回の構成を比べてみると、3Fを2回に増やして一方を3F+3Tのコンボにしたり、3連の最後を2Loにしたりしています。なんと、そうすることでBaseValueをソチの58.45から62.00にアップさせていたのです。
 13-14シーズン、カロが3Lzに加えて3Fを2回組み込んだ「ルッツ・フリップ3回構成」にしたのは今回が最初で最後です。過去の世界選手権を見ても、優勝した2012、銀だった2013でも入れていません。
 SPで絶好調とみた真央とガチで勝負するための攻めの構成だったのだと勝手に思っています。
 結果は成功しませんでしたが、カロにとっては取りうる最高難度構成へのチャレンジだったのではないでしょうか。

 また、同じようにFS予定構成を見ていると、リプちんは3Lz+3T以外の3Tの使いどころを本番で後半に変更しています。
 「2A+3T+2Tのセカンドをミスして2Tになったので後半の2A+2Tを3Tに変更してリカバーした」というのが一般的な解釈だと思いますが、カロと真央の得点を見た後の滑走でもあり「1.1倍ボーナスを獲りにいって勝負かけた」と考えたくなります。セカンドは明らかに回転ほどいているように見えますが、3回転は無理と判断してやめたのか最初から2回にするつもりがぎこちなくなったのかは私には判りません。
 こちらも結果としてはその2A+3Tを成功させた直後の3Sで転倒してしまいましたが。
 でも、ミスがあったにも関わらず今まで見たこともない満足そうな笑顔で大会を終えたリプちんを見ていると、そういう想いも強くなります。

 両方とも私の勝手な想像ではありますが、いずれにしろ「高みに挑戦した真剣勝負をありがとう!」です。
 結果が成功か失敗かに関係なく、そういう選手みなさんの真摯な姿勢が感じられたからこそ、観客の応援も最上級になったのだと思っています。


■応援

 真央や日本人選手だけじゃなく、全選手(国籍関係なく)にいつにも増して暖かい応援があったのは会場で本当に実感しています。
 感慨深く誇らしく、かつ興味深いことです。

http://number.bunshun.jp/articles/-/806006
http://web.canon.jp/event/skating/interview/int_fernandez02_1.html
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201403300006-spnavi
 もちろん選手や関係者のコメントには多少はリップサービスも入っているでしょうけれど、J-SPORTSの生インタビューなど聞いていてもほとんど本音だろうなと思います。

 例えば、SPでは真央の後に滑ったカロにも真央に匹敵するくらいの大声援がありました。言うまでもなくメダル争い最大のライバルに対してです。
 カッペさん(イタリア)のコメントです。

日本の観客は世界一よ! 私はカロリーナの演技を見ていたのだけど、みんながスタンディング・オベーションを贈っていたでしょう? もちろん直前の真央は最高の演技だったけれど、観客はカロリーナの完璧さもきちんと認めて、賞賛してくれていた。その態度には感激したわ。
出典:「ワールド・フィギュアスケート No.63」 P.55

 もちろん私もスタンディング・オベーション。いい子ぶるワケではなく本音で賞賛しました実際。だって「いいものはいい」ですもん。
 「菩薩様VSマリア様」極楽パラダイス対決みられてシアワセ。弥栄弥栄。ハレルヤハレルヤ。

 また、FSで一番応援が盛り上がったはアシュリーだったのではないかと。あの容赦ない盛り上がり方はもしかしたら真央以上だったかも?
 ソチでは何故か得点伸びなかった(けどクサらなかった)アシュリーを、観客みんなが後押ししたいんだってことが体で判る会場の一体感に高揚しましたね~ 最後のステップの手拍子なんて「アシュリーいっけえええ!!!」って観客の心の叫びに聞こえましたよ(笑)。そしてそれに応えてくれたアシュリー最高! パーソナルベストが出てよかったです。

アシュリーツィート
 本人も喜んでくれたみたい。

 あと印象的だったのはマエさんかな。意外といっては失礼ですが、大きな、というより元気な声援でした。人気あるんだなぁと嬉しくなりましたね。カッコイイですもんね。3A跳んでください。

 といって、どんな演技も一律に賛美していたワケでもないところが凄いです。賞賛の拍手は質・量ともにキチンと出来に連動していると感じました。「なんでもスタオベ」でもなかったですし。
 なんと言っても18,000人もの人があれだけ盛り上がりながら度を超さず、熱狂しながらも整然としているんです。ナンデスくんじゃないけど日本人ってヘンだよ!(笑)。拍手や手拍子のタイミングとかもう「あ・うん」の呼吸だし。
 凄いことですが、もしかしたら今大会は日本のフィギュアファンも質・量ともに絶頂だったのかも知れないな、などと思ったり。それほど会場の雰囲気はある意味奇跡的だったと感じています。

USFSA.png
 USFSAも喜んでくれたみたい。

 一方、杞憂でしょうけれど、あまりに意識しすぎて「マナーファッショ」にはならないようにしたいなとも思いました。
 例えば採点待ちの時、次選手の集中のために盛り上がるなと言われても無理でしょう。歓声や派手な手拍子は控えるべきって言うのはまだ解りますけど、拍手もダメって言われたら不自然ですよね。待ち時間に静かにしてても、得点が出れば選手自身が盛り上がりもするし手を振って挨拶したりもするワケですしね。次選手がコールされたらそりゃ切り替えないとダメなのは当たり前としてですし、もちろん程度問題ですが。

 ナンデスくんも「なのにちゃんとみんなが静かになって僕に集中させてくれて」と言ってくれてますが、少なくとも私が観戦した女子SPとFSでは、原則としてコールされた直後から手を上げて挨拶するタイミングで声援送っており、その後ポジションに向かい始めるとしゅううって音が消えていき、始動ポジションに着くころには怖くなるほどの静寂を選手に届けていましたよ。ポジションに着いた後などに一番うるさかったのはスパイダーくん(ケーブルカメラ)の移動音(笑)。
 やや例外的だったかも知れないのは、真央のFS演技前そろそろやめた方がいいかな? ってタイミングでもやまない声援に「しー」っていう“たしなめ”の声が合唱されたことでしょうか。どちらの気持ちも分かるけど、空気がピリピリしちゃうのではないかとちょっと心配しちゃいました。男子SPでの事故があったからでしょう、敏感になってたかも知れませんね。

 たまにヘンなところでの歓声もありましたが、海外のお客さんか観戦する選手団(おおむねカナダかな(笑))でした。

 SP製氷中だったと思いますが、スクリーンに「真央は日本の宝」って書いた日の丸が映されて拍手わいてました。GJです!

  ←日本の宝。

 選手の演技も観客の応援(声援や拍手だけでなく静寂も含めて)も、なによりその一体感が素晴らしい大会だったと思います。
 「たくさん応援する(気持ちよくいい演技して欲しい)⇒選手がんばる⇒盛り上がってさらに応援する⇒選手いい演技する」の好循環。

 あのとき、たまアリは愛に満ちてました。参加できて幸せでした。


 「採点」編へ続く。


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真央VS真央!ソチに紡いだ悪夢と奇跡

14/03/02初稿

 ふぅ。やっと落ち着いてきた。全世界の真央ファンの皆様お疲れさまでした(笑)。

 そしてアデリナ優勝おめでとう!
 カロも五輪メダルおめでとう!

 アデリナはもうとにかく溌剌・爽快。音楽表現ナニソレ? よろしくテクニックと迸るエナジーで雑多な悉くを蹴散らしていく。その勇姿はお見事でした。
 できれば3+3最高難度「3Lz+3Lo」(*)を観たかったけど仕方ないかな(真央が刺されたのを見てやめたかな?)。アデリナは3Lzに付けるセカンドに3Loと3Tを跳び分けるワケで、これも大したモンですよね。
 カロは芳醇・豊潤な演技で、これぞ「“Figure Skating Ladies”という競技」だと思いました。本人も喜びに満ちて滑っていたようですが、観ているこちらも幸せな気持ちになりました。
 ただ美しいだけじゃなくSPでは3+3を3Fにするチャレンジ精神も合わせて見せてくれましたしね。

 浅田真央選手、アデリナ・ソトニコワ選手、カロリーナ・コストナー選手、ユリア・リプニツカヤ選手をはじめ、選手みなさまには敬称略で失礼いたします。

*:3A+3Lo除く(笑)。


■確かに「一番強い浅田真央」を見せてもらいました(ただしもれなく「ズンドコな真央」とセット)

 そして真央! なんたってまおおお!!

 悪夢のSP。FSは滑れるのかすら心配しました。もしかしたらズタボロになっちゃうかも。けど、真央は何をしでかすかワカラナイ人だから心の片隅にほんのちょっとの希望を信じて。どうなっても最後まで見届ける。だって大好きだから。
 そしたら…奇跡に立ち会うことになるなんて。真央のスケート人生が悔いで終わらなくて本当によかったです。それどころか、

 本人とファンが切望した「やりきって出し切って喜ぶ」真央を見ることができるなんて!

 なんて幸せ。本当によかった。

 もちろん途中から泣いてましたが、最後は長野ジャンプ団体の原田選手みたいに壊れました。
 しばらく「なんて人なんだ…よかったよぉ…なんて人なんだ…」って呻いてましたがな(整氷時間でよかった)。

   ←「笑顔がみたい」という励ましを思い出して泣きながら笑顔をくれた真央。ホントいいコだなぁ。ありがとう。ありがとう。この笑顔がエキシ「Smile」のメッセージに繋がっていくんですよね。破壊的説得力で(笑)。

 3Aにこだわり続け時に頑迷とまで言われてなお、五輪の舞台で8Tripleとして昇華させ全てをねじ伏せてしまった真央。形容する言葉が見当たりません。

 私にとっては「ISUジャッジングシステム」を無力化する演技でした。

 書いてると止まらなくなっちゃいますけど、多くの真央ファンと想いは同じですのでポエムはこれくらいで自重して(笑)、いろいろ気ままに記してみようと思います。


・はじめに。
 「いい演技したらもう点数や順位は関係ない」っていうのは、ある意味真だけど競技である以上ある意味違う。
 あの奇跡の演技の価値が、安っぽい美談や観る側の勝手な満足にすり替わらないようにしなきゃという漫然とした想いがあります。うまく言えないんだけど。
 「大切にしたい」が近いかな。

・現地に応援に行かれた皆さん、乙でした。ありがとうございました。

・祝い酒を奮発しようと新潟の銘酒「八海山」にしました。
 買ってから気づいたのですが「八回3」とはなんて縁起のいい。

・3Ax2ではなく8Triple構成でしたね。
 真央の決断ならどちらでもいいと思っていましたが、実を言うと個人的にはできれば8Tripleの方がいいナ~とは思っていました(爆)。
 団体戦で1本跳ぶので「計3回」ってことでダメ? なんて。真央の挑戦対象が「計4回のオリンピック新記録」にならなくてよかった(笑)。

・認定こそされませんでしたけど、ソチでセカンド3Loを跳んだのは男子を含めても実は真央だけです。
 3F+3Lo、3Aに匹敵する挑戦だったんですね(今更でゴメンナサイ)。とてもキレイなコンビネーションでした。
 ちなみに刺されたけどGOEは0.00。つまりマイナスされてない。もうひとつ刺された2A+3TもGOEは+0.14。
 今期のURにおけるGOE減点目安は「-1か-2。最終GOEはマイナスでなくてよい」ですので、減点を上回るプラス要素があったということですね。
 ソチで加点付きURジャンプ跳んだのは男子も含めて真央だけですが、ジャッジ(演技審判)は文字通り“回転の不足以外”はとてもいいジャンプ、と判断した“珍しいUR判定”だったと言うことでしょう(笑)。
 ちなみに“URなのに不可解な加点”じゃないのは実際のジャンプを観れば明らかです(お手つきしたワケでもないですし)。

・確かに「エイト・トリプル成功」は不正確。「今期初めて3A認定」も間違い。
 でも、なんて言っていいのか難しいですよね。「エイト・トリプル着氷」「今期初めて出来栄え点付の3A認定」ってのもねぇ。
 ちなみに「着氷という言い方はスケートにはない」というような記事があるようですが、「テクニカルパネルハンドブック」や「価値尺度(SOV),難度レベル(LOD),GOE 採点のガイドライン」など見ても何度も「着氷」って単語が使われています。確かに成功失敗に関係ない用法ですので「“転ばなかったが認定されていない”という意味で使われることはない」と言いたいのかな?
 でも、“着氷しないジャンプ”はあり得ないので、「トリプルなんちゃら着氷」と言ったら「ISU的成功ではないけど転倒はしなかったんだな」的なイメージ持つのは普通の感性ではないかと。
 いずれにしろ何かいい用語ないですかね?

・冒頭ポエム部(笑)の「8Tripleとして昇華」は、記事リンク先に記した“8Triple構成”のことを指しており、また“昇華”はISU的に成功したという意味ではもちろんありません。
 単純なTES的価値だけで見ると、ソチ8位入賞までの選手中、アデリナ、カロ、GG、リプちん、アシュリーの5選手は「5種7回のトリプル」を跳んでいます(認定はさておき)。カロ以外は「5種7回のトリプル+2A」構成でした。つまりアクセルがダブルなことだけが「6種8回」じゃないワケです。
 しかしおそらく「3A」と「3+3(しかも3T+3Tとかじゃなく)」両方を組み込むこと…この時の2Aと3Aの差、またはセカンドのダブルとトリプルの差はとてつもなく大きな1回転なのでしょう。
 この価値は私自身言葉にできないものなのですが(無理にする必要もないと思いますけど)、事実ベースだけで言うなら「自分にしかできない高みに挑戦」し「ISU的には成功ではないかも知れないが真央の目標としては達成」したということかな。
 真央の歓喜は紛れもなく本物ですし、真央は自分の演技に対する自分の評価を偽れる人じゃないですから。
 真の価値はさらに深いものがあると感じています。たぶん「フィギュアスケート」を超えたところにそれはある。

・真央が「記録よりも記憶に残る選手」というのは不正確。「記録にも残る以上に記憶に残る選手」です(笑)。

・「たられば」はないから、SPが成功してたら・最終グループだったらあの滑りだったかどうかは判りません。
 確かにその通り。
 もしかしたらSP成功で勢いに乗り、最終グループの緊張感をパワーに変えてもっと凄い演技したかもしれませんもんね(爆)。

・たまにプロサッカーやプロ野球などと同じ観点でのご意見を見かけますが、プロとアマは区別して語るべきでしょう。ISUフィギュアはアマチュア競技です。
 ジャッジもですね。フィギュアのジャッジ(演技審判)はプロじゃないですから。また、テクニカルパネルとジャッジも区別して考えないとダメですよね。

・「順位の妥当性」と「採点の妥当性」は区別して語るべきです。
 例え順位が妥当でも、どんな点差だったのかは無視できるものではありません。特にPCSは事実上、その選手の固定的評価になりますので。どうせ順位は変わらないからいいじゃんかとは言えません。

・真央がメダルのことを言い出したのは代表になってから。代表になったから、です。
 そもそもメディアが「悲願の金」というのは不正確だと思います。「バンクーバーでは演技よりメダルだったけど今はメダルより自分の演技」ってずっと言ってますもんね。代表になったからその責任においてメダルのことも語り出したのだと思います。それでも「一番いい色」と表現して、メダルを第一義にしないようにしてたのだと思っています。

・「戦略ミス」とかって趣旨の記事もたまにありますが、意味不明です。
 短期的なハナシなら、今更3Aを2Aにしても勝てるワケではありませんし。長期的にも、リスキーな3Aを早くにやめてればなんてクソくらえな論でしょう。
 そもそも以下に添付した今期グランプリシリーズ戦績表を見ても、例え3AのURなどを取られたりしても勝てるプログラムですし実行力でした(VSヨナ想定は除く。詳細は上記リンク「やりきって~」記事参照)。五輪ではライバルたちがグイッと上がってくる可能性はありましたが、それは真央だって同じ条件のハズでした(以下バンクーバー参照)。
 「戦略的」にも決して無茶無謀な挑戦だったとは思えません。

 プロかアマかにも関係すると思いますが、真央は自分の演技をソチの舞台で完成させることがメダルよりやりたかったことなのです。そしてそれは勝利を目指すこととイコールですから何も問題ないでしょう。
 問題があるとするならそのリスクレベルの是非ですが、無難に銅狙い? 勝負して金狙い? 真央に前者はなかった(技術的にもこころざし的にも)ワケですが、それはアスリートに対して非難すべき点なのでしょうか。
 アマ競技ですから、勝つことが全てかも知れないプロとは価値観違っていいでしょう。逆にアマでも「自分のやりたいことよりも勝つことを優先する」という価値観があってもいいでしょう。さらに逆に例えプロでも、敬遠するときに泣いてた投手いましたよね。
 少なくとも第三者がどうこう言えることではないと思います。

 「公費を使ってるんだから個人の価値観よりメダルだ」なんてのは屁理屈でしょう。公費を使う五輪運営システムは選手が望んで決まったものではないですし、“五輪だけ”が競技生活じゃありませんし。
 ていうか、少なくとも真央については、公費を払った国民の多くが喜ぶ結果を残してくれたんだから何も問題ないっしょ(当然不満な人もいるでしょうけど公的なものは何にしても100%じゃないのは仕方ないことです)。

・次の目玉選手がいないってJSFの育成のせいにするのはどうかと。
 この数年間が凄すぎたと考えるべきではないでしょうか。
 そもそも、「強い選手」ではなく「目玉選手=スター」はJSFが育成できるものじゃないですよね。

・帰国直後の外国特派員協会での会見(*)にて。
 日韓関係のことなんて聞くなよ。政治とスポーツを絡めちゃダメでしょ。

・同会見にて。森氏が五輪会長なのがどうとか聞くなよ。
 そもそも断片的な情報しか持ってなかっただろうから正確な返事できるハズがありません。「必ず転ぶ」は失言ですが、一応真央を気遣った内容のようであることなど(すごく解りにくいですが)、正確な発言内容知っていればまた答えは違ったと思います。
 ちなみに、森発言の真の問題は真央に関する配慮を欠いた言い回しよりも、団体戦に関する「最初から負けると判っていたのだから真央を出す必要はなかった(つまりチームとして手を抜け)」という論調と、リード兄弟について「オリンピックに出る力量ではなかったが日本に帰化させた」という点でしょう(フィギュア以外でもかなり疑問な発言してるみたいですが)。
 団体戦は、今回のルールにおいて日本チームの全力を尽くすならあの人選しかなかったと思っています。予選を突破するためには男女シングルはSPにエース投入しかないでしょう。
 念のためですが、今回の団体戦を肯定しているワケではありません。ルールも日程もまるで気に入りませんが(最初っから)。やっぱり個人戦に影響しちゃったと思いますし。

・同会見にて。「ハーフハーフ」はわざとじゃないかナ。
 しつこく「パーセンテージで」と問われて「50パ…」と言いかけて言い直した回答ですから。よりボカしたかったのでしょう。“くらい”も付けてますし。ビールだってきっちり半分じゃないですよね。「50:50が正しいのに」とかって言うのは当たっていないと思います。

*:http://blogos.com/article/81092/

   ←上記記者会見の内容だそうな。こんな商品あるんですね。


 ということで。以下、野暮なオマケです。



■「ISUジャッジングシステム」の摩訶不思議

 しかし女子は、上位がこぞって「ほえ~」っていう点でした。ハッキリ言って違和感ありまくりです。
 ぶっちゃけ女子でヨナ以外の採点結果にこれだけ違和感感じたのはほとんど初めてです。
 ユーロ結果と団体戦リプちん(とプルプル)の得点を見て予想していた以上の結果となりました(苦笑)。

金 :アデリナ SP74.64 FS149.95 Total224.59
銀 :ヨナ    SP74.92 FS144.19 Total219.11
銅 :カロ    SP74.12 FS142.61 Total216.73
4位:GG    SP68.63 FS136.90 Total205.53
5位:リプちん SP65.23 FS135.34 Total200.57
6位:真央   SP55.51 FS142.71 Total198.22

 もちろん違和感はあくまでも個人の主観として、です。ISUも主観で付けてますから仕方ないですよね(笑)。

 4年前、バンクーバー結果トリノ結果のモンモンに耐えられずいろいろ考えて記しました。ソチ結果についても違和感あるのですから同じような観点で記しておかないとズルい気がするので一応書いてみます。
 ただし、今回の違和感は真央の順位に関係ないので若干モヤモヤはしますがモンモンとはしてません(笑)。ゲンキンですが仕方ない。
 ですのでカンタンに。

 念のためですが、あくまでも「その演技に対する採点結果=絶対的得点の妥当性」の話であって選手がどうこうではありません。相対的な順位としては、アデリナとカロのメダルに文句はないですし、真央がメダル獲れなかったのも文句ないです。
 そもそもアデリナもカロもリプちんもGGもアシュリーも好きですもん。

・男子なみ?
 実効的な意味がある比較なワケではありませんが、例によってアデリナのPCS係数を変更すると

 SP:39.09+(35.55/0.8x1.0)=83.53
 FS:75.54+(74.41/1.6x2.0)=168.55

 合計252.08。要素がひとつ少ないことを勘案すると銅のテンちゃんの255.10とほぼ匹敵するかな。銀のPチャンは275.62なのでそれ以上は無理でしょう。現在、ゆづるんとPチャンは男子の中でも得点的には飛び抜けてるのでさすがに届きませんが、4Tも決めているテンちゃんに匹敵するとなると、やっぱり出し過ぎだと思います。
 まあ、ヨナが“優勝しちゃったバンクーバーよりはマシ”かな。
 「男女別?」についての見解はこちら

 ちなみに今回は“SSのPチャン超え”は誰もできませんでした。

・GOEランキング(FSにて)
 バンクーバーではヨナが男女合わせても2位以下を寄せ付けず(17.40。2位はライサの9.64)ぶっちぎった件です。
 今回のGOEの男女混成ランキングを以下に記します(有力選手を中心にざっと見たのでもしかしたらモレあるかも知れませんが)。

 1位 アデリナ   14.11
 2位 ヨナ      12.20
 3位 カロ      10.39
 4位 アボ      10.24
 5位 ナンデスくん 10.12
 6位 GG       8.93
 7位 ハンヤンくん  8.89
 8位 テンちゃん   8.30
 9位 大輔       6.92
 10位 真央      6.69
 11位 ゆづるん   6.19
 12位 Pチャン    5.82
 13位 リプちん    5.28

 少なくともアデリナがひとりでぶっちぎってる状態ではないので、これも“バンクーバーよりはマシ”と言えるでしょうか。
 しかし、女子の方が要素が少ないのですから、やっぱり女子の上位はGOE出し過ぎと言っていいのでは。ただ、今回は男子が崩れてしまったのでヨクワカラナクなっちゃってますが。

・PCS暴発
 一方、やっぱりPCSは暴発したような。
 「若手がベテラン実力者と同等どころか上回るなんて」という意見があります。確かに、真央が70弱でアデリナが74.4、リプちんが70っていうのはどうなんでしょうと思ってしまいますね。
 そこで、当の真央がデビューした時はどうだったのかを表にしてみました。真央がシニアデビューした05-06シーズンの真央とスルツカヤと荒川さんのFSです。

05-06シーズン変遷

*:念のためですが、Deductionは無視していますのでTESとPCSを合計しても得点にならない場合があります。
  TESとその内訳としてのB.V.とGOEは、演技のデキの参考情報として付けています。
  以下の表も同じ。

 これを見ると、ジュニア上がりがいきなりシニアトップ級に肉薄するPCSを出すことはあるようです。ただ、真央事例では“超えた”というレベルではないと思いますが。真央のPCSはデビュー戦から順調に上がり、ついに強烈なTESと相まってGPFで優勝しちゃったワケですね。が、それでも上昇したのは“シーズン通して段階的に5.5点ほど”です。

 さて、ソチ上位陣の今シーズンの変遷はどうでしょう。
13-14シーズン変遷(団体戦付き)

 やっぱねぇ… アデリナとリプちん、カロのユーロ以降(ソチ結果はユーロとセットで見るべきだと思っています)の急上昇はちょっと… カロはベテラン実力者ですから上昇幅も絶対値もまぁ「あるかも?」なカンジですけど、アデリナとリプちんはそこまで“PCS的に”良くなったのかと言われると困ります。ユーロはTES的にも“カンペキ”だったワケでもないですし(*)。

*:http://www.isuresults.com/results/ec2014/ec2014_Ladies_FS_Scores.pdf

 ただ、カロにはプログラム変わってる影響も考えられますね。参考までですが、同じ「ボレロ」だった12-13シーズンのユーロでは70.28&世界選手権では70.69ですから、「プログラム自体の実力」とみることは可能かも知れません。
 8年前の真央の場合は「デビュー直後の様子見もあり、段階的に認められた」とみることもできますが、アデリナもリプちんも実績十分(シニア初シーズンではない)ですから、今回そのロジック適用は無理でしょう。

 「ニカゲツクライデイキナリジョウズニナレルモノナノデスカふぃぎゅあすけーとッテ」

 …あ、なんかヘンになっちゃった(苦笑)。だって「絶対評価」なんですよねぇ? 「絶対評価」なら、ある選手の得点経緯は(同シーズンなら)相対比較できるハズです(*)。“整合”もしてるんでしょうし。PCSって不思議ダナー

*:逆かな? 「少なくとも同シーズンなら相対比較できないとおかしい。少なくとも比較に意味はあるハズ。もし出来ない・意味がないならそれはシステム瑕疵」と言った方がいいかな。

 「そうだよ、いきなりすげー上手くなったんだよ。伸び盛りの選手にはそういうこともあるんだよ。30~40年もジャッジやってると判るんだよね。素人にはワカンナイだろうけど」とかISU会長に言われちゃったみたい(*)なのでそれまでですけどね(爆)。
 ちなみにこの解説(?)も絶対評価であることに基づくものだと思います。大会ごとに違うなら「今大会はそういう基準だっただけだ」と言えばいいだけのことですから。

*:http://www.nikkansports.com/sochi2014/figureskate/news/p-sochi-tp0-20140224-1261961.html

 …気を取り直して。では前回オリンピックシーズンにおけるメダリストの変遷はどうでしょう。

09-10シーズン変遷

 五輪だけみんなシーズンベストより5~6点お祭りになってたカンジですかね?
 PCSについてだけ、かつ、このシーズンに限ってのハナシですが。

・ミッシング・リンク
 以上、女子上位のGOEとPCSは今期の得点状況と実際の演技からして“出し過ぎ”と感じます。

 だってグランプリシリーズとユーロ以降が繋がってないんだもん。

 URやエッジエラーといったテクニカル判定についてはパスです。これらもテクニカルパネル個々の裁量(非公開)ですから、辛い甘いを語ってもあんまり意味ないので。
 ていうか、今回は特に“無粋”な気がしちゃって。

 バンクーバー結果を見ても、上位選手には「五輪ボーナス」みたいなのがある気がします(でもアシュリーは仲間ハズレ?)。カロの上昇分はその範囲に収まってる気がしますが、アデリナはさらにホームアドバンテージを加えてもちょっと出し過ぎじゃないかと(冒頭に書いた通り演技の素晴らしさには全く異論ありません)。
 ということで、個人的には、今回ISUは、

・アデリナFSはTESとPCSで5点づつくらい出し過ぎ
・ヨナFSはTESとPCSで7点づつくらい出し過ぎ(今期の参考戦績はありませんが)
・カロはSPもFSも変えちゃったからシーズン変遷が参考にならないけど… 若干出し過ぎ?
・GGのFSもちょっとどうかな。確かに良かったけど… 五輪ボーナスの範囲かナ?
・同じアメリカ勢でもアシュリーには出さねー ていうか何故か一人だけ非五輪モード?
・ミスして沈んだのであまり目立たないけどリプちんFSも若干出し過ぎ
・SPも、ヨナは出し過ぎ、アデリナはちょっと出し過ぎ、カロは出し過ぎかも?(微妙…)

じゃないの? と感じています。だって「絶対評価」なんでしょう?(あ、繰り返しちゃった)

 残念ながら、最終グループ(のユーロ組)だけは絶対評価じゃなくてヨナをベンチマークとして相対値出したって見ると一番シックリきちゃって悲しい。もちろん確証なんかありませんけど。

 逆に、真央については少なくともFSのPCSが2点は低いんじゃないかナ~ TESも微妙ですが、特にPCSは他選手と比較するとそう感じます。素人ですけど。ていうか今回は玄人の方も多くが低いと仰ってますよね。ただし「滑走順が~」なんて理由にならないのは言うまでもありません。「今のジャッジングとはそういうもの。最終グループに入れなかったのが悪い」と言われればそれまでですけど、納得できる言われ方じゃないですね。

 結局、iISUジャッジングシステムについて考えた記事に記した通り
「採点は(整合された上での)主観」
であって原則
「ウツクシサや感動は点にならない」

「SP失敗の印象あったり滑走順が早いと抑えられることもある(抑えられないこともある)」
んだけど逆に
「勢いとかホームアドバンテージとか最終グループのプレッシャーの中よく頑張ったご褒美とか謎な要素がドバッと点になることもある(ならないこともある)」
ということで、
「充分に正当とは思えない」
理由となりえる明確な事例を増やしたに過ぎないのかな。


 以上、ISUの価値観に対する個人的な主観のおハナシでした。
 ISUも、やましいところがないなら試合後採点総括くらいのコメント出すべきじゃないのかと思います。
 なんで今回はこんなにPCSが上がったのかとか、何故GOEがこれだけ付いたのかとか、本当に知りたいよ。

 そういうのがないなら、やっぱ見切りたくもなるわなこれ。ホントは見切っちゃダメなんだろうけど…選手のこと考えたら。
 この「選手を質に取られてる」ような感覚、なんとかしてくれませんかISUさん。

 ああもう。
 でも、ホントにありがとうございました。真央、そして全力で五輪に挑戦して素晴らしい演技を観せてくれた選手の皆さん!


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がんばれ 真央ファン

14/02/17初稿

 もちろん自戒を込めて。


 団体戦で不安になったかも知れない。
 真央の不安はファンに伝染したかも知れない。

 でも、ここで応援しなくてどうする。
 ここで真央を信じなくてどうする。
 応援だって集大成なのだから。

 リプちんのPCSもヨナのGOEも関係ない。
 願うは真央大満足の演技のみ。

 真央に幸あれ。
 真央に幸あれ。

 真央ならできる。
 真央ならできる。

 そして、ソチのリンクで思う存分、至福のぴょんぴょんを。


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「ISUジャッジングシステム」をデコードする

14/01/25初稿
(14/01/01にロンドン記事に追記した内容を増補改訂して独立させました)

 謎のヴェールに包まれた(笑)フィギュアスケート採点法「ISUジャッジングシステム」。
 通称「新採点法」…もう“新”というには違和感ありますね。
 「Code of Points」と呼ばれることもあるようです。

 ソチを控えて最近またちょっと考えたことがあるので以下に記してみます。CodeならDECODEしましょうということで。


■ISUジャッジングシステム資料

 まず、前提となる公開資料の在処(今回使った資料)です。

・TES
・テクニカルパネルハンドブック13-14(JSF和訳版)
 http://www.skatingjapan.or.jp/image_data/fck/file/Figure_ISU_Communication/2013-14_TPHandbook_single_J_ver1.pdf
・Communication No.1790(13-14シーズンのGOEの付け方など:JSF和訳版)
 http://www.skatingjapan.or.jp/image_data/fck/file/Figure_ISU_Communication/comm1790J.pdf

・PCS
・OverView  *05/05/18付けバージョン
 http://www.usfsa.org/content/JS08-progcompoverview.pdf
・Explan  *04/07/31付けバージョン
 http://www.usfsa.org/content/JS08A-Programcompexplan.pdf

*:14/06/16追記:本日ISUトップページからPCS文書へのリンクを発見しました。初稿書いたころには無かったと思うんだけど…
 ということでISU正式版はこちら。

・OverView  *13/10/23付けバージョン 点数の意味づけが違いますが、本考察には影響ないと思います
 http://static.isu.org/media/139116/program-components-overview-2014.pdf
・Explan  *04/07/31付けなので、USFSAの文書と同じバージョンのハズです
 http://static.isu.org/media/104183/program-component-explanations.pdf

・Deduction
・S&P Deductions 2012-06-29(JSF和訳版)
 http://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/2012sp_whois_j.pdf

・PCS和訳
 PCSについては日本語版が見つかりませんでした。本稿考えるにあたり、英語のままだとイマイチ理解が進みません。
 そこで、無謀ながら自らPCS和訳を試みました。英語は宿敵なので全く合ってる保証はありませんが、PCSを自分なりに理解するためにはやむなしと言うことで。


■ISUジャッジングシステムの正体

 さて、上記で(日本語で:PCSは激アヤシイですが)資料は一応揃いました。これをベースにちょっと考えたことを。
 バンクーバー・トリノをうけてルール・ガイドラインについて考えたことの続編、になるでしょうか。そちらに書いた通り「ジャッジは主観」「テクニカルパネルも実は主観」「充分正当とは思えない」がベースになります。

・そもそもISUジャッジングシステムは「芸術性」を評価しているのか
 6点法では

「技術点=TECHNICAL MERIT」と
「芸術点=ARTISTIC IMPRESSION」

でした。
 ISUジャッジングシステムでは

「技術点=TECHNICAL ELEMENT SCORE(TES)」と
「演技構成点=PROGRAM COMPORNENT SCORE(PCS)」

になっており、少なくとも名目上は「芸術(ART)」という観点は無くなっています。 
 また、上記PCSの内容を見るとズバリ「芸術性」や「表現力」などに直結しているとは言い難い気がします。
 煩雑になることもあり、本Blogでは「PCSは一応芸術点の後身」としていますが、「PCS=芸術性・表現力」と短絡すべきではないのではないかと感じています。
 素人にはヨクワカラナイのですが。
 以下その前提で。

・スポーツか芸術か 客観か主観か
 「フィギュアはスポーツか芸術か」なんて話題がよくあります。
 オリンピック種目にまでなってるのですから、スポーツじゃないワケはありません。
 でも、大変芸術性も兼ね備えたスポーツ…確かな技術が無ければ芸術性は醸せないでしょう。

 以下素人ですので間違いあるかも知れません。その点ご容赦ください。

 私は6点法、いわゆる旧採点法の時代からのファンではありません。ので詳しくは語れませんが、ざっくり言うと「技術点」「芸術点」を6点満点で採点するものですよね。その点数の付け方ですが“その時点・その大会における最高峰の選手を満点のイメージ”に置いて選手を点数付けし、それに基づきランキングする「相対評価」だと理解しています。そして、その評価基準は個人の主観と裁量によるものが大きかったということです。
 そのためどうしても曖昧さが残りますが「ジャッジへの信頼」の上に成立していたハズです。
 が、しかし「ソルトレイク・スキャンダル」が起こってしまった。
 そこで「客観的でわかりやすく(実態はさておき)」するために開発されたのがいわゆる新採点法、正式名称「ISUジャッジングシステム」。

 もともと「スポーツ」としての部分はある程度客観的な判断ができるでしょう。しかし「芸術」についての客観的判断は原則的に無理です。個人の趣味の問題ですから。
 6点法ではある種それを割り切っていたように思います。その分技術評価もやや曖昧になっていたかも知れません。
 が、ISUジャッジングシステムでは、技術点の後身たるTESを非常に厳格に規定してある程度の客観性と絶対性を確保(実態はさておき)したと同時に、芸術点の後身PCSの判定にもある程度の客観性と絶対性を盛り込んでいるような気がします。

 ジャッジミーティングやセミナーでGOE付け方は整合されているようです。裁量権を認めておきながら一方では整合するのですから、そのバランスをどうとるのかがとても重要な課題だと思います。
 TES(技術判定とGOE)の整合はまだ理解できます(ていうか回転不足やエッジエラーなどの技術判定の裁量範囲は可能な限り小さくするべき)。が、「裁量という名で主観としての評価が許されている」ハズのPCSも整合されているようです。
 例えば、田村明子氏著「銀盤の軌跡」に、「ジャッジミーティングで自分のSSは9点台でもいいのではないかという話が出たと聞いて嬉しかった」というこづのエピソードが載っています。
 また、ソチ団体戦プルシェンコSPの採点について以下のような岡部由起子さんインタビュー記事があります。

岡部 ~前略 ただし彼への採点は、非常にジャッジによって点が割れました。特にトランジション(つなぎ)は、ジャッジによって4.5~9.25と点差が出ました。
-- これはジャッジミーティングでも話題になったのでは?
岡部 点差が開いたということは、ジャッジによって見る部分の違いが大きかったということです。プルシェンコ選手の名前を挙げて指摘することは有りませんが、フリーの直前ミーティングではレフェリーから「全てのムーブメントにおいて、どのような身体の動かし方をしているかしっかり見て欲しい」という注意喚起がありました。どの試合でも色々な確認がありますが、やはり点数が割れたことが話題にはなったと思います。

出典:「ワールド・フィギュアスケート別冊 ソチ総特集」 P.72



*関連性はもちろん不明ですが、FSでは6.25~9.25と「バラツキ」は縮小しています。

 PCSも整合されているのです。しかし、です。
 SSやTRの整合はまだ解ります。が、INなんてどうやって整合しているのでしょう?
 と思っていたのですが、それについての貴重な情報がありました。
 J-SPORTS世界選手権2014エキシビション放送アボ演技中の“女子会”において、男子FSでレフェリーを務めた岡部さんが試合後のジャッジの「ラウンドテーブルディスカッション」のお話をされています(岡部さん毎度情報ありがとうございます!)。
 それによると、ジャッジにファイブコンポーネンツそれぞれ良かった選手を挙げてもらい、じゃあ良いと思ったにふさわしい点を出したのか質問し、「今思うともっと出すべきだった」というような想いを引き出し、それを次回に繋げていくようです。まさにINについて例に引かれていました。

・裁量か整合か
 「PCSにも整合がある」ということは、ISUとしてのマスな芸術的審美眼=「組織としての主観」を画一化することも可能、と言えるのではないかと思います。
 もしそうだとするなら、その“審美眼の絶対基準”は一体誰がどう決めているというのでしょうか。

 突き詰めて言うと、テクニカルパネルも演技審判も(TESもPCSも)「長年の経験やトレーニングに基づいて認められた裁量という名の主観で責任を持って判定している(ハズ。個人的にはテクニカル判定に裁量は不可だと思うけど)」と理解しています。芸術性を含む“採点競技”であるがゆえに複数の人間の異なる価値観に基づく判定結果の平均をとっているのですから、「価値観の差違」は認められているハズです。
 しかし、ジャッジミーティングやトレーニングによる整合は、「裁量という名の主観」という個性と独立性を充分に担保しているのでしょうか。

 それがうまく機能していないように感じることが「ISUジャッジングシステム」による採点結果の違和感の正体ではないかと思っています。

 ちなみに、感性の違いを認めるなら、理想的には「地域」や「世代」もバラけさせるべきでしょうね。現実的には難しいのでしょうけれど。

 なお、「整合」とは表だったものだけではないでしょう。町内会のドンの意見には逆らえない…みたいなこともあると思います。

・ISUジャッジングシステムは「芸術性重視」?
 女子FSを例に見てみたいと思います。
 ざっくりTESを技術点・PCSを芸術点(正確には不正確ですが)とみなすと、トップレベル選手のBaseValueは約60。GOEはミスなくいい演技すると約10(要素は12なので1要素平均0.8程度ですから矛盾はないでしょう)。PCSは10点満点の9.0弱程度を出すようになってきていますので5項目とファクター1.6で約70。

 (BaseValue60+GOE10)+PCS70=140

 例:全日本2013のアッコちゃん(非ISU大会ですが得点構成の例なので。ヨナは別格すぎて使えない(笑))
 (BaseValue60.01+GOE12.10)+PCS72.88=144.99

 TESとPCSでおおよそ半分ずつくらいの配分でしょうか。結構上手いこと考えてると言えるのかも知れません。

 が、TESはミスの有無で大幅に変動します。例えば

  成功:3Lz+3T:10.1+GOE1.9=12.0   ⇒  失敗:すっぽ抜け単独3Lz:6.0-GOE2.1=3.9

ひとつのミスだけで実に8.1の変動があるワケです。後半の技ならさらにBaseValueは1.1倍効いてきます。

 一方、PCSはもし大技をミスしても大きく変動しません。

 ですので、PCSで高評価を獲得済みの選手は基本的に有利になります。実際、かなり気のない演技(「ミスした演技」と同義ではありません)してもPCSは10%も下がりませんから。
 逆に、素晴らしい演技してもドッカンと上がるものでもないようです(上がることもあるようなので困るのですが(苦笑))。

 例:ヨナのバンクーバーFS→トリノFS TES:78.30→66.45で84.9% PCS:71.76→65.04で90.6%
 例:真央のGPF福岡SP→ソチSP TES:37.45→22.63で60.43% PCS:34.91→33.88で97.05%
 例:真央のソチSP→たまアリSP TES:22.63→42.81で189.17% PCS:33.88→35.85で105.81%
 例:カロのソチFS→たまアリFS TES:68.84→53.81で78.17% PCS:73.77→73.78で100.01%

*例は同シーズンの連続したISU大会でデキが極端に違った演技を抽出したものです。

・ISUジャッジングシステムは「スポーツ性重視」?
 素人考えかも知れませんが、実は、TESってレベル規定にもGOE要素にも、それを満たすには“必然的にウツクシク”なってしまいそうな部分がほとんど見当たらないんですよね…

 例えば、スピンのGOE判断には「姿勢が良い(原文"good position")」なんて項目がありますがMust項目というワケではなく、8項目中6項目満たせば(裁量に依れば6未満もアリ)GOE3ですから、
 極論すると「姿勢が悪くてもGOE3は可能」
なんですよね。
 逆に
 つま先から指先(時にはアホ毛の先まで(笑))まで神経の行き届いた繊細な所作や力強い躍動しても、GOEは上がるとは限らない
のです。そういうGOE評価項目ありませんので。

 でも、私たちはウツクシイ演技やカッコイイ演技に感動しますよね。それは選手の努力の積み重ねとフィギュアというスポーツに向かう真摯な姿勢から醸されるものでしょう。しかし、そういう「所作やポジションのウツクシさ(敢えて言うなら真摯な姿勢も含め)などから醸される芸術的価値」はTESの点にはならないようです。
 一方、それを点にするハズのPCSは「どうしてその選手はそういう評価なのか」は全くのブラックボックスな上、上述の通り演技ごとにはあまり変動しません。
 ので、「美しかった」「かっこよかった」「感動した」と思った場合にも、我々が感じた価値ほどはTESにもPCSにも反映されないのです。「キレイに見えなかった」「雑だった」場合もまた真です(ここワリと重要)。

 つまり、観る側が感じるそういった「“Emotionalな価値”に見合った点数反映はない」のが「ISUジャッジングシステムの現実」と言えるのでは。

 非常にもどかしいですが、そもそも「“スピンで姿勢が良い”は当然ではなくGOE要素」ということ自体が意外というか驚きです。

 「フィギュアは美しくあるべき」と語るフランク・キャロル氏は現採点法に納得いかないことが多いそうです。
 名コーチの言葉です。

美しいスピンとは、どのようなスピンだと思いますか? 背中で美しいアーチを保った姿勢で、ほとんど摩擦がない軽やかなレイバックスピンを30回転回ったとする。それは見ていて豪華なものです。でもこの採点方式では、まったくポイントにならないんですよ。ゼロです。
出典:田村明子著「銀盤の軌跡」P.145

   ←田村さんが多用するフレーズ「ご祝儀」「ご褒美」「気前よく」「ジャッジも人間」って具体的にどういう原因と結果のことなのでショね? やっぱり「察してちょうだいね」って意訳すべきなのかな?(爆)

 採点のうち、TESは、“技術点”ですからそれも仕方ないのかも知れません。しかし、TESには「ウツクシサは関係ない。純粋に技術的評価」という傾向があるにも関わらず、「女子も技の点数が男子と同じ=女子における難度に相応する点数(技術の評価)になっていない」という矛盾が。
 4年前にも指摘されていたこと(藤森さんの記事参照)です。

・高難度か完成度か
 男子の4回転がいい例ですが、選手サイドが「跳ばずに勝てる」と思うなら(そこまで3A以下の完成度を高められるなら)そういう戦略でいいと思います。しかし、スポーツな以上「“跳ばない方が勝てる”というルールはよろしくない」でしょう。なのでバンクーバー後大きな改定が行われ、3Aや4回転などの基礎点が上がりアンダーローテという考え方が導入されました。しかし男女で基礎点が変わることはありませんでした。
 そして。
 男子は4回転を「跳ばないと勝てない」になり、4回転時代が復活しました。
 女子にはドラスティックな変化は起こりませんでした。

 男女で基礎点は同じなのに、FSでは男子はジャンプ要素8個、女子は7個という違いがあります。そのため男子では、いわゆるザヤックルールに引っかからないように勝てる構成にするには4回転が必須になっています。一方女子はジャンプ要素がひとつ少ないため、「3Lzより高得点のジャンプを組み込まないと圧倒的に劣る」という状況にはなっていないでしょう。基礎点からすると女子にとっての3Aは「ハイリスクローリターン」ですし。
 そのあたりにISUの明確なビジョンが読めないところが違和感あります。

 女子にとっては、敢えて言えばSPの必須エレメンツが「2A」から「2Aまたは3A」に改定(*)されたのは高難度挑戦を促すものだったと言えるかもしれません。しかしSPはひとつのミスが命取りになるからでしょう、真央以外に挑戦する選手は現れませんでした。

*:バンクーバー後の改定内容に関する記事
 http://www.nikkei.com/article/DGXZZO10361220S0A700C1000000/
 「ジャンプに質を求める」というISUのコンセプトは理解できますが、スピンやステップ…ひいては「演技全体の質」向上はどうなっているのでしょうね。

・ここでちょっと「SPルール改定」について
 上記の通り4年前アクセルについては改定されましたが、改めて現在のルールを見ると、シニア女子の「ステップからのソロジャンプ」はトリプルに限定されており、かつての「アクセルジャンプ」と同じ状態なのですね。「女子クワドジャンパー」が出てきてアタフタする前に改定しといた方がいいんじゃないですかね?

 ていうか、逆にこういうルールがあるからクワドに挑戦する女子が出てこないのでは?

 「SPは規定要素の出来栄えを競うもの」だとしても、スポーツであるなら高難度を制限するのは解せません。また、本当にそれが目的だと言うなら規定要素は同じ技(というか同じ回転数)に限定してしまうべきで、アクセルを「ダブルまたはトリプル」へ変更したのは間違いでしょう。が、そもそも男子のソロジャンプは以前より「トリプルまたはクワド」であり“限定”はありませんから、ずっと間違っていることになります。
 男子でクワドが許可されたのは88-89シーズンだったそうで、すでにクワドジャンパーが多く存在した状態だった、という点で女子アクセル改定とは背景事情が違うようですね。しかし、事情の違いとしてはもっと抜本的に6点法とCoP法という違いがあります。現在は「絶対評価」で得たSPとFSの合計点で順位が決まり、コンマなん点の絶対的点数が勝負を分けます。競技スポーツである以上、より高得点を狙うことを禁止すべきではないと思います。
 その意味では、そもそも回転数を指定するのをやめて「ダブルアクセル以上」とかにしておけばいいと思うのですが。ゆずるんに「クワドアクセル」跳んでもらうためにもね!

 あくまでも「ショートは規定要素のデキを競うものなんだってば!」というのなら、フリーとは演技の目的・価値が大幅に違うということですから、採点方法はそれぞれに最適化すべきじゃないかと思ったり。実施要素をこれって決めちゃった上で、例えば基礎点なんて無くしてGOEのグレードを±6にするとか?

 もし、ジャンプ難度を制限しているのは「ケガのリスク低減というコンセプト」に基づくと言うのなら、FSには制限がないことと矛盾します。
 また、他に優先してやることある気がします。例えばビールマンスピンに何らかの規制いれた方がいいんじゃないでしょうか。私は素人ですが、荒川静香さんが「誰も語らなかった知って感じるフィギュアスケート観戦術」P.31でビールマンスピンによる負傷の危険性についてISUの課題だと書いてらっしゃいます。が、現実には規制どころか女子スピンのレベル要件になってますよね。
 「ジャンプ制限はケガリスクを考えてるから説」は成立しえないと思えます。

 やっぱりISUは「女子には高難度ジャンプで勝負して欲しくない」のだと思わざるを得ないです。

・意外な正体

 TESには「高い芸術性を生み出すためにも高い技術を求める」という方向性が抜けている気がします(*)。

 といって、

 PCSには上記の通りGOEみたいな変動要素がない。そもそもなぜそういう評価なのか完全秘匿(集団表層主観?)。


*:荒川さんの著書「知って感じるフィギュアスケート観戦術」P.38に「バックインサイドスパイラルのように、どう見ても美しくないものも、レベルのためにはやらなくてはならなかった」といった記述があります。当件は現在は変更されているとはいえ、ISUジャッジングシステムの根本価値観を見る気がします。

 以前調べた時は
「実はPCSだけでなくTES(テクニカル判定もGOEも)も裁量という名の主観」(敢えて極端に言えばですが)
だと気づいてビックリしたものですが、今回は
「主観は裁量という名で認められている一方で整合されてるっぽい」
「実はフィギュアってウツクシサは点にならない」
(なってるかも知れないが完全非公開なので観る側には全くワカラナイ)
「逆に言うとウツクシクなくても減点されるワケじゃない」
と気づいてまたビックリです。

 ああ、驚いた。
 本稿書いてるウチに、そのヘンが「素人たる観戦者と玄人のISU」間にある違和感の根本原因なのかもと思えてきました。

 「フィギュアはウツクシク・カッコよくあるべきっしょ~! TESもPCSもそういう出し方しろやコラ(ウツクシクなかったら出すなコラ)」 ←心の叫び

 例えば「ポジションが美しいこと」は必須要件にするか、ちゃんと点にすべきじゃないのかなぁ。

 個人的には、フィギュアスケートというスポーツにおいては、

 「高い技術は必然として高い芸術性を有すもの」であって、
 「高い芸術性を伴わない高い技術」は本当の意味で求められる技術ではなく、
 「技術なく芸術性を醸すことはできず」ゆえに
 「高い芸術性がない=高い技術はない」

だと思ってます。
 ISUさんはどう思ってらっしゃるのでしょう(そう思ってらっしゃらないようですけど(苦笑))。

 「アスリート兼アーティスト」まっちーの弁です。

--質の良い4回転が決まると会場の空気が一変しますものね。プログラムの完成度が一気に上がります。
「そう。極めれば『技』も芸術なんです。ただ跳ぶだけのジャンプは『技術』に留まるけれど、美しくやり切ることによって『芸術』になりますから」

出典:「フィギュアスケートDays Vol.18」P.15



 キャッチコピーみたいな書き方すると「PCSにもGOE…“Grade Of Emotion”を」てなカンジでしょうか。
 難しいですね。芸術性をどうやって客観的に数字で評価するかというまさに永遠の課題、かな。

 しかし、10.00が出るようになったらPCSもオシマイですね。バンクーバー後にはTESには結構手が入りましたが、ソチ後はPCSが改定されそうな気がします。
 最後の採点基準となるなら、ソチの採点は暴発するかも知れませんね。


■「充分正当性があるとは思えない」について

 本項14/02/13追記:本Blogでは標題の考え方していますが、一応説明しておこうかと思います。
 「充分正当性があるとは思えない」とは「不正である」という意味ではありません。文字通りの意味で使っています。

 「上下カットした平均値を使っているのだから、ジャッジ(正確にはテクニカルパネルも)全員を買収しないと意図的点数は出せない。そんなことは現実的ではない」だから正当である、という論を見ます。私も「全員買収」など非現実的だと思っています。
 がしかし、そのことは「充分に正当である」保証にはなり得ないとも思っています。

 本稿で前述したように、GOEやPCSはジャッジミーティングで整合されているようです。おそらくテクニカルパネルの判定についても整合はあると推察します。
 TESについては極力客観的であるべきですのでそれはいいでしょう。
 一方PCSは、シニア参戦直後や復帰明けの選手、“ものすごく6点法時代っぽい演技をする選手のトランジション”などにはバラつきが見られますが、実績を確定させた選手のそれはその時々のデキにあまり左右されませんしバラつきも少なくなっています。それは、本来ジャッジの裁量によって付けていいハズのPCSにも「TES並みの整合」があるからではないかと思えます。

 ジャッジには監査があり能力に疑問ありとされるとジャッジできなくなるそうです。ジャッジ能力の確保のためとされていますが、逆に異端分子の排除にも利用できます。
 また、テクニカルパネルの判定は傍聴されているそうです。不正監視のためとされていますが、逆に意図に沿うよう監視することも可能です。

 よって、もしISUの意向というものがあるなら、それを具現化する“重鎮”数名の見解をとりまとめさえすればある程度意図的点数を出すことは可能と考えられます。
 少なくとも「ジャッジ全員を買収~」なんて必要ない、とは言えるでしょう。

 いずれも“ISU内部で閉じている”から正当性を保証できないんですね。ジャッジ匿名制に始まり、GOEやPCSの理由も秘密、ジャッジミーティングの内容も秘密、抗議も受け付けないのですから。
 真に正当であらんとするなら、すべてを公開するか外部機関の監査を入れる必要があるでしょう。
 しかし現状、ソルトレイク事件を受けてなお、充分そのような姿勢があるようには見えません。
 ゆえに「充分正当性があるとは思えない」のです(そもそもフィギュアに限らず国際的なスポーツ組織が全くクリーンだとは思えないッス)。
 ただし、あくまでも正当性の担保のことを言っているのであって「不正がある」と言っているワケではありませんので念のため。
 だって何も証拠ありませんから。

 あの人に逆らうと後々メンドクサイからな~って町内会長の意見に迎合したり、職場で意思決定会議の前にすでに結論が決定しているような雰囲気があって仕方なく賛成したりするようなのは不正とは言わないッスもんね(爆)。

 「空気」に逆らって自分の信念を貫いても、テクニカルパネル&ジャッジにはデメリットこそあれメリットありません(本当なら志を貫いたという誇りこそがメリットなハズですけど)。おそらく少数派でしょうからその志ある採点は結局選手の成績に反映されないでしょうし(上下カットで消えていく(爆))。
 逆に、迎合しておけばデメリットはありません。「ちょっと本意じゃない採点しちゃったナ」という気持ちが残るだけです。選手の成績がどうなっても採点する側には自分のプライド以外に不利益はないですから。
 会社で「なんでも自由に意見を言ってくれ」って言われて真に受けたら飛ばされた、なんて話があったとしたら「ありそうな話」と思う方も多いのでは。
 「ISUジャッジングシステムのデキ」や「判定者の技量」がたとえどんなに優れていても、不正監視システムがあっても、“不正はない”ということにはならないでしょう。前述の通り非公開&身内主義である限り。

 システムや個人の技量に問題ないといくら説明されても、本質はそこではないので響いてきません。
 「組織の品性」の問題だと思いますので。

 もう一度念のため記しますが「不正がある」と言っているのではありません。システムや技量のことをいくら言っても不正がない・できない証明にはならない、と思っているということです。


 前述の田村氏の著書からもうひとつ引用を。当採点法の策定にも深く関わったというクリック夫人の言葉です(「その場」とはご自身が講師を務めたジャッジセミナーを指す)。なお、初出は「ワールド・フィギュアスケート No.58」P.42~の記事であり、「夫人ご自身は信念に基づいて採点している」というのが前提でのご発言です。

その場では、多くの人々から良い反応をもらいました。でもそれが現場では必ずしも生かされていない、どうしてなのかわからない。人々が理解するのに時間もかかるし、選手は常に進歩しているのに、心の強いジャッジでなくては過去を振り切れないこともあるのでしょう。
出典:田村明子著「銀盤の軌跡」 P.111


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