Windows10:無償アップグレードいろいろインストールと

16/06/12初稿

 X220へのインストールをきっかけにノリが出たので、手持ちPCでいろいろ調べてみました。それで判明したことを記しておきます(X220記事に追記していた内容を分離しました)。

 まずは「である」調にて。


■無償Windows10ライセンス実験

 すべてインストールUSBによる領域全解放または別ディスクへのクリーンインストール。
 インストール時にMSアカウントは使わず(Z68のみ個別事情あり)。
 アップグレードは「UG」、プロダクトキーは「PK」と略。
 Windows8Pro(UG版)はパッケージ版。Windows7HomePremium(UG版)は3ライセンス使えるファミリーパック(もちろんUG用ベースライセンスも保有)。以後“Premium”は省略することあり。
 パッケージはサービスパックなしの発売当初版、運用経緯に8.1update化やサービスパックは省略。
 「⇒」は上書きアップグレード、「→」はクリーンインストール。
 XP以外は64bit版。

・≪MediaCreationTool≫
 そのバージョンとそれで作成されるインストールメディアのOSバージョンは無関係。まあそうでしょう。
 16年5月下旬現在、「15/11/15版10.0.10586.0」でも「16/05/18版10.0.10586.117」でも、作成したインストールUSBからは「1511 10586.104」がインストールされ、暫くネットに繋いでおくと「1511 10586.318」になる。

 バージョン情報やBuildナンバは「通知>設定>システム」にある。System32の下にあるその名も≪winver.exe≫でも確認可能。

・インストールUSB
 Home/Proの別なく32/64bitの別のみ。4GBで足りる。
 FAT32。Win8のツールはNTFSだったのでUSBからはUEFIインストールできなかったが、今回は可能ということ。実際できた。Z68マシンで、UEFIブートに設定し、使っていたMBRディスクを領域全解放して再インストールしたら特に選択画面なくGPTディスクになっていた。
 2.2TB以上でなくても「物理パーティションは4個まで(*)」といった制約なくなるので、そろそろGPTインストール=UEFIブートもいいかも。逆に、MBRでインストールしたい場合は注意した方がいいかも。

*:4個目以降は4個目の物理パーティション内に作られる論理パーティションになるので物理パーティションは事実上3個まで。論理パーティションがあるとドライブレターの表示順とかで違和感が出ることあり。

・その個体で認証したことないプロダクトキー入れて進めるとどうなるか
 & ベースライセンスで認証したことがない機体にUG版のPKだとどうなるか

 対象=自作X79マシン:Windows8ライセンス→8.1⇒10Homeで運用中
 使用PK=Windows7HomePremium(UG版)ファミリーパック

 ファミリーパックはすでに3個体以上認証実績があるが(もちろん同時稼働は3個以下)、この機体で使ったことはない。UGのベースとなるライセンスでも認証したことはない。
 つまりライセンス移動になるので普通なら電話認証になるハズ。

 やってみたらエディションは聞かれずHomeが認証済みで入った。電話認証なかったが、ある程度時間経過すると移動なのに電話認証ないことはこれまでもあったので“時効”と判断しておく。
 いずれにしても、「UGライセンスじゃダメ」「UG元のライセンスで認証してないとダメ」といったことはない模様。フェアユースを信頼して、と推察。まあ、DOS+Win3.1→Win95→Win98→WinXP→Win7→Win8なんてUGライセンスによる利用を証明させるのは事実上無理だが。
 万一本当はダメだとすると、「元ライセンスを保有しているUGライセンスであることを確認してこない=UGライセンスでインストール(UG)されたOS上からのUGはしていいがクリーンインストールは許さない」という変な仕様ということになる。それは、対象OSのインストールがなくてもWindows10化できるようにしたコンセプトとも矛盾する。

 この時点でWin8ライセンスは未使用状態になっているハズ。

 Audio用なのでLANコントローラをDisableしたら、「Windowsを認証するために、インターネットに接続してください」となった。以下のZ68でもそうなる。Enableにすればネットに繋がなくても認証済みになる模様。

・XP→7→8とUGしてきた機体はどのアップグレードライセンスで認証されるか
 & アップグレード過程でHomeからProにエディション変わっている機体ではどうなるか

 対象=自作Z68マシン:WindowsXP Proライセンス→7Home(UG版)→8Pro(UG版)⇒8.1Pro⇒10Pro(強制UGされた)で運用中
 使用PK=Windows8Pro(UG版),Windows7HomePremium(UG版)ファミリーパック

 X79の次に実施。
 強制UG時はWin8.1上でMSアカウントにサインインして使用していた。実使用機なので、実験はローカルアカウントで行ったがProで落ち着いた後MSアカウントによるサインインに変更している。
 まず、ひとつ戻ってWin8Pro(UG版)のPK入れてインストール。エディション聞かれずProが認証済みで入った。
 次に、SSDだけ変更してWin7Home(UG版)のPKでインストール。エディション聞かれずHomeが認証済みに。
 Win10Proに認証されたSSDに戻しても認証されたままで問題なし。
 Win8Pro(UG版)のPKだとPro、Win7Home(UG版)のPKだとHomeになったということは、それぞれのPKで改めて認証されているということ。
 このことから、このケースではWin7Home(UG版)かWin8Pro(UG版)どちらかを温存できると言える。後者はXPやVistaのライセンスでWin10化するためのブリッジに使える(*)。
 さらに、これは、上記X79においてWin7で認証された時点でWin8ライセンスは未使用状態になった証左と理解できる。

*:Win8のアップグレードパス:https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/jj203353.aspx

・UG対象OSが入ってるストレージを全解放してインストールするとプロダクトキーは必要か
 対象=自作E-350マシン:WindowsXP Homeライセンス→7Home(UG版)→8⇒8.1→Win10評価版
 使用PK=Windows8

 X79→Z68の次に実施。Win10評価版は入れていたが正式版はインストールしたことのない機体。
 まずはWin8PKでWin8.1updateをクリーンインストール。問題なく認証された。
 このことから、やはりX79で使っていたWin8ライセンスは未使用になっていたと理解できる。電話認証なかったが、これも時効によると理解しておく(1年以上ぶりに使うPK)。また、当然ではあるが、Win8として認証されたのだから「一度でもWin10化したライセンスは元OSとしての使用権を失効する」といったことはないとも言える。
 ちなみに、インストール作業メッセージの最後に「Windows10へのアップグレードをおすすめします」と出た。MSの必死さ凄い(苦笑)。
 次に、そのストレージを全解放、PK入れずにWin10をクリーンインストール。HomeかProか聞かれたのでダメかと思った(元ライセンスが何か覚えてないということなので)が、結局PK聞かれず選んだHomeで認証された。
 一度Win10化したマシンへの再インストールだけでなく、UG対象のOS領域を削除するクリーンインストールでもPK不要ということ。

 ちなみに、この後、別PKでWin10化したCeleron847システムの「プロダクトキーの変更」に当Win8PK入れたらネット認証された。これでWin8の権利は847での消費に変更され、つまりPKの移動はこの作業で行えると理解した。


■無償アップグレード権利の行方

・本当に移動できない特殊権利なのか
 一般的には、「無償アップグレード権はPK単体ではなくPK+特定ハードの組み合わせに対して発行されており、組み合わせるハードは電話でも変更できない」と言われていると思う。

 自作PCを使っているユーザーは注意が必要だ。自作PCでも、Windows 7/8.1ユーザーはもちろんWindows 10にアップグレードできる。しかし、大幅なパーツ変更を行うと、再アクティベーションを求められるケースがある。この場合、認証エラーが出ても電話でライセンス認証ができるとのこと。インターネット上では、「故障修理などで不可抗力の場合のみ、ライセンス認証できる」という情報が流れているが、パーツ交換でも対応に違いがなく電話認証が可能とのことだ。

 しかし、新しい自作PCを組み、OSを入れる場合、元のWindows 7/8.1のライセンスはもちろん有効だが、Windows 10にアップグレードすることはできないとのこと。この場合は購入するしかない。

出典:http://ascii.jp/elem/000/001/049/1049804/index-2.html

特に自作ユーザーは注意が必要だ。というのも、無償アップグレードのライセンスは、元のPCに対してのみ与えられるからだ。

 PCの構成(パーツ)を変更すると、別PCとみなされ、Windows 10がライセンス認証されていない状態になることがある。リテール版Windows 10の場合は別PCへの移行がライセンス的に認められているため、場合によってはライセンス窓口での電話認証が必要だが、継続利用できる。

 一方、無償アップグレード版についてはライセンスが元のPCに紐付けられており、構成変更が理由で認証が外れると、認証できなくなる。

出典:http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1005202.html

 これは、例えて言うと「購入したWin7や8のPKはそれとして使う場合はリテールライセンス(ユーザに付く)だが、Win10としてはOEMライセンス(特定ハードに付く)とみなす」ようなもの。「リテール権利買ったのにOEM権利にダウングレードされちゃうのか」という違和感がある。
 また、「タダじゃないなら要らない」と、認証されなくなったら元ライセンス(Win7など)に戻すケースが出てくるだろうから、Win10を普及させたい思惑と矛盾する。
 また、そもそもアップグレードは「WindowsUpdate」更新プログラムの位置づけ。ある期間が終了したら再インストール時に不可になる“更新”ってもの不可思議。

 さらに、MSサイトに電話認証について以下の記述がある。
 
無償で Windows 10 にアップグレードした後、ライセンス認証されていない状態になった場合は、次の手順を実行してみてください。
・・・
ハード ドライブやマザーボードの交換など、デバイスのハードウェアを大幅に変更した場合は、電話で Windows のライセンス認証を行えます。タスク バーに検索ボックスに「SLUI 04」と入力し、「SLUI 04」を選択してから、画面の指示に従って Windows のライセンス認証を行います。

出典:http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-10/activation-errors-windows-10

 「無償期間中は」といった限定はない。期間後もホントに「電話すればマザーボード変えても認証できる」とすると、つまりリテールライセンスの別PCへの移動と同じ扱いということであり、無償アップグレードによるWin10権利は「元ライセンス」に付いてることになる。つまり元PKがWin10のPKとして“も”使えるようになるということ。

 そもそも、当の“無償アップグレードしたWindows10”のライセンス条項に次のようにある。

b. スタンドアロン ソフトウェア。お客様は、本ソフトウェアをスタンドアロン ソフトウェアとして取得した場合 (およびスタンドアロン ソフトウェアとして取得したソフトウェアからアップグレードした場合)、お客様が所有する他のデバイスに本ソフトウェアを移管することができます。また、(i) お客様が本ソフトウェアの最初のライセンス ユーザーであり、また、(ii) 新しいユーザーが本ライセンス条項の条件に同意すれば、本ソフトウェアをそのユーザーが所有するデバイスに移管できます。お客様は、本ソフトウェアを移管するために、当社がお客様に作成を許可したバックアップ用の複製、または本ソフトウェアを収録したメディアを使用することができます。お客様が本ソフトウェアを新しいデバイスに移管する場合は必ず、本ソフトウェアを以前のデバイスからアンインストールしなければなりません。デバイス間でライセンスを共有する目的で本ソフトウェアを移管することはできません。
出典:「システム」の「マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項を読む」

 上記は“無償インストールUSB”によるインストール時に合意した条項にもある。

 以上より、実はライセンス移動(移管)できる可能性あるのではと思える。ていうかダメだとは読めない。
 ので、手持ちライセンスはハードに拘らずとりあえず一度Win10化しておくことにした。

 無償期間終了後、上記847システムでWin10化済みのWin8PKを使って別システムにWin10インストールしてみるつもり。
 上記結果から、無償期間中に実施するとこれは認証される可能性が高く、その場合は無償ゆえ「別PCだがもう一度無償でUG(元PKは移動になるが電話認証免除)」したのか「元PKにライセンス付いてる」のか区別つかない。
 が、期間後なら前者の可能性はないので、認証されたら「ライセンスは元PKに付いてる」ことになる(元PKの移動確認は免除)。
 電話認証も含めて不可だった場合は「ライセンスはPK+特定ハードのみに付いてる」特殊な権利ということになる(ライセンス条項とは矛盾するが)。

 16/08/20追記:AnniversaryUpdateで「Activation Troubleshooter」なる機能が追加されたようだが、“それによって”権利移動できるようになったとすると、それは「便利機能追加」ではなく「ライセンス条件変更」。それは考えにくいので、やはり上記の通りもともと可能だったのではないか。

・無償期間終了後の挙動実験:システムストレージ移植
 本項16/08/20追記:Z68に、Win8PKでE-350にインストールしたSSD(SUPERTALENT製)をそのまま移植してみた。
 Homeでネット認証された。SSD以外はProで運用していたハードなのでE-350のライセンスであることは間違いない。このライセンスは847に移動済みのハズなのでもういちど移動したということになる。
 ただ、無償期間が終わっても何が終わったのか不明確であることや元々Win10(Proとしてだが)で認証実績のあるハードだったことから、「権利は移動できる」と完全には言い切れない。
 元のSSDに戻してもProで認証されたままを確認。

・無償期間終了後の挙動実験:PK不要で再インストール
 本項16/08/20追記:上記に続き、システムSSDをSUPERTALENT製SSDに交換、全解放して一旦電源を落としてから改めてクリーンインストール(インストールUSBは先の実験で使用した4GB)。Proを選択して「キーがありません」で進めたところ、Proでネット認証されて立ち上がった。
 確かに「認証実績のあるハードではPK不要」「システムストレージ変更くらいでは問題なし」ということ。
 元のSSDに戻してもProで認証されたままを確認。

 ところで、この「ハード構成を変えなければ再インストール時にPKは要らない」という仕様は問題あるのではないか。例えばストレージを空にしてOS権利は留保したつもりで譲渡した自作PCにもインストールできてしまい、それを不可にする方法がない。
 だから「MSアカウントと紐付け」するようにしたのかも知れないが、MSアカウントで使わない場合の解決策にならないし、プライバシー的にキモチワルイ。

・無償期間終了後の挙動実験:ライセンス移動
 本項16/09/04追記:AnniversaryUpdateでMSアカウントを使えば移動可能になったようなので、もうあまり意味はないかも知れないが「ライセンス移動できるか否か」を試してみた。無償期間終了から一ヶ月以上空けたのは、“不穏な延長”が終わるのを待ったため。それを確認する術はないがキリがないので決行。
 Win10に関わったことのないM/B(H67)とCPUと500GB-HDDとSFX電源に上記実験で使ったUSBからインストール(DIMMのみE-350にインストールした時に使ったもの)。PK入れずHomeを選択してローカルアカウントのまま簡易設定で。ネット接続状態だったので重要な更新はDLしていた。

 「1511 10586.104」がインストールされた後、Win8のPKを入れたところ「他のPCで使われている」と出た。
 無償期間中、E-350で認証済みPKを847システムに入れても認証されたが、無償期間だったからということか?
 無償期間終了後、E-350からZ68にシステムSSDだけ移植したケースでは認証されたが、これは“ハードウェア変更許容範囲内”だったということか?

 認証エラーの状態になると電話認証の案内が出る。電話すると自動応答で「AnniversaryUpdateではMSアカウントで~」という説明があった後、「Win7か8.1からのUpgradeか」と聴かれたのでYes。「エラー表示されたか」と聞かれたのでNoとした。
 インストールIDを6桁9セット入力。「IDを検索しています」と言われた後「Win7かWin8.1のPK入れればOK」というので、そういうステイタスに変更されたのかと思った次の瞬間「認証できない。オペレータと電話で話すか」と言ってきた。単なる実験なのでそこで終了。
 ということで「自動応答への入力は正しかったか」「Win8のPKだとダメなのか」などの不確定要素がありイマイチはっきりしないが、従来もサポートと会話すれば再認証手続きされたし、冒頭に「MSアカウントで管理できるようになってる」という解説が入るなど「無償UGした時のシステムでしか使わせない」対応ではなかったので、やはりそういう特殊ライセンスではなく移動可能なのではないか。
 なお、この後、Win8PKで認証させた847システムは認証状態であることを確認した。


■クリーンインストール備忘録

 めちゃくちゃ個人的な内容だが参考まで。

・高速スタートアップ
 この機能って、MS的には「主電源断しない」「シャットダウンした状態でハード構成変わらない」タブレットなど向けのつもりなのではないかと。
 デスクトップでPSUスイッチ切るなど主電源断運用する場合は無効にした方が無難かも。

・MSアカウント
 持っていても、インストールはローカルアカウントで行い紐付けは後でやった方がよい。でないと、

  ・ユーザフォルダ名が「メールアドレスの先っちょ」になってしまうのでキモチワルイ。直せるがメンドクサイ
  ・OneDriveがデフォルトのローカルフォルダに同期されるので、場所を変更したい場合はメンドクサイ
  ・「同期」の設定は見直した方がよいが、その猶予がなくなる

・ユーザフォルダ名
 ローカルユーザでインストールするとその名称になる。が、MSアカウントを使うと上述の通りに。
 後から変更する場合は、新たに「フォルダ名にしたい名前のローカルアカウント」を作成し、そちらにMSアカウントを紐付けし直す。すでに「先っちょフォルダ」内に必要なデータが入ってる場合は消さないように注意。
 ちなみに、ログインアカウントはMSアカウントからローカルアカウントに切り替えできるが、そのローカルユーザ名は“使用中になるようで、そこでターゲットのユーザ名を使ってしまうとその名前ではローカルアカウントを作れなくなる模様。

・ユーザフォルダ場所
 メインマシンではDドライブに変えているのでその処理。
 ドキュメントなどはプロパティで場所を設定すればよいが、ローカルOneDriveフォルダは変えられない。MSアカウント紐付けしちゃった後は、通知領域のアイコンから「リンク解除」して新フォルダパスを指定すればその下にOneDriveフォルダが生成され再度同期される。

・アプリ依存データ
 普通のデータは普通にコピーすればいいが、メールデータ(本文やアカウント設定)やIME辞書のような「アプリに組み込まれてるデータ」は原則バックアップ・レストアで復元する。
 JustSystemは本体アプリと別の管理ツールでやるコンセプトっぽい。≪ATOK辞書≫や≪Shuriken≫など。
 お気に入り(ブックマーク)も消さないよう注意。
 よく使うアプリのカスタマイズ設定も、そのまま引き継ぎたいならコンフィグファイルの在処やエクスポート・インポートできないかなどチェックしておくべき。

・アイコン
 関連づけがおかしくなった場合は、OS純正の方法では修正無理っぽいので≪Default Programs Editor≫などフリーのツールを。

・dllなど
 exeそのまま実行できるタイプのアプリでもdllなどを復元してやる必要がある場合あり。例えば≪Wavosaur≫で要求されるdllはVC++2010で入れる。

・Office2000 Standard
 インストール時にエラーが出るが無視したらインストール成功と表示された。SP3もOffice2007互換パックも入れられる。動作キビキビしてるし機能的不満もなし(ほぼExcelしか使ってないが)。
 問題は「Excelで、IMEの“詳細なテキストサービス”を無効にしないでかな漢変換でオートコンプリートすると落ちる」ことくらい。

・Office2003 Standard
 インストール時エラー出ず。もちろんネット認証OK。SP3もOffice2007互換パックも入った。Excelのオートコンプリート問題なし。
 Z68のデスクトップに続いてX220でも認証された。CDからコピーしたファイル(フォルダ)をネットワーク共有したドライブからインストールできた。

1.1 インストールおよび使用
(a) お客様は、本ソフトウェアのコピー 1 部をパーソナル コンピュータ等の1 台のデバイスにインストールして使用できます。
(b) お客様は、本ソフトウェアの 最初のコピーを主に使用する方が専用に使用する別の 1 台の携帯用デバイスに、本ソフトウェアの追加のコピー1部をインストールすることができます。

出典:インストール時に表示される使用許諾契約

   リボンじゃないし。

・タスクバーアイコン(ショートカット)の在処
 もういちどデスクトップに戻したくなった時などはここにある。
 C:\Users\***\AppData\Roaming\Microsoft\Internet Explorer\Quick Launch\User Pinned\TaskBar

・パスワードパス
 Windows8と同じく≪netplwiz.exe≫でパスワードパス可能。

・SATAドライバ
 「Microsoft標準AHCIドライバ」が存在してたらチップベンダ提供ドライバが入ってないということ。Z68マザーオンボのMarvellコントローラはこうなってた。


■LaVie ZをWindows10化する

 すいませんウソですホントはVersaProです(笑)。

 何故か以降「ですます」調になります。

 X220に続いてNECの「VersaPro UltraLite タイプVG」、PC-VK19SGHNE(*)をWin10化しました。
 いわゆる「LaVie Z(またはLaVie G タイプZ。NEC Directでの名称?)」のビジネスバージョン。LaVieならPC-LZ750HSに該当するモデルです。
 2012年7月発表の初代機。IvyBridge(第3世代Core i)世代。

*:http://www.bizpc.nec.co.jp/pcseek/catalog/versapro/201207/versapro_typeVG_201207.pdf

 NECは、Windows10アップグレードを2013年5月発表以降の機種しか対象にしていないので対象外。5月モデルはまだIvyBridgeですから、同じIntelプラットフォームなのに対象非対象があるのですが、理由は不明です。単にどっかで切らないとサポートが大変ってことですかね。

 ちなみにNECコンスーマ機種の型番ルールは、最初のMが世代(次はNになっている)、最後のSがカラーだと思います。真ん中は不明。Zシリーズ全部(ていうか他のもほとんど)Sだし。

 VersaProとしては13年5月発売機種が一番古いので、これが一番近いと仮定してアップデート検索すると以下の通り。
http://search.casnavi.nec.co.jp/download/pc/module/sabun/windows10upgrade/win10_index2.htm#201305_versapro

 LaVie ZとしてはPC-LZ750MSSが一番近い(Zシリーズの対象機種の中で一番古い)でしょうか。
http://121ware.com/psp/PA121/NECS_SUPPORT_SITE/CRM/s/WEBLIB_NECS_DID.PRODUCT_ID.FieldFormula.IScript_VDown_Id_Mod

 ツール類は共通じゃないかと思いますが、なんか微妙に違う?(詳細は調べてません)。

・クリーンインストールではなくアップグレードで
 X220は32→64bit化したかったことなどからクリーンインストールしました。
 が、こっちは仕事に使用中なので長時間のダウンタイムは許されないこと、システム入りストレージを抜いて入れ替えられないことなどから、Windows7 Pro SP1 64bitから上書き(環境引き継ぎ)アップグレードします。
 もちろん必須更新プログラムはすべて入れた状態。動かないと困るアプリ・ドライバはX220で動作確認済みです。

 インストールUSBを挿してOS上から≪setup.exe≫を起動。
 最初に「更新プログラムをダウンロードするか」聞いてくるのでYes(そのせいかインストール直後に10586.318になってました)。
 当然ながらPKは聞かれず、現エディションであるProにすると出てからスタート。途中数分止まったように見えることもあり1時間ほどかかりました。
 インストールUSBはハブ経由、ネット接続もハブに挿したUSB-LAN経由でしたが問題なく終了、認証されました。

 びっくりしてるデバイス類はありません。Gfxドライバだけ念のためIntelサイトから落として入れ替えましたが(X220と同じく8.1対応版ですけど)、そんなに古くなかった模様です。X220と異なり最初からディスプレイオーディオドライバも入りましたし。
 「Fn+」も一通り動きます。タッチパッドドライバも入ってました。
 ちなみにHDMIは1920x1200表示OKです。さらにちなみにCPU-Zによると4GBのメモリはシングルアクセス。ちぇ。

 もとMBRでUEFI領域なしの「回復パーティション(8GB:リカバリイメージ入り)」「プライマリパーティション107.24GB」「休止パーティション(4GB)」の3領域のBIOSブートシステムでしたが、Win10化後もGPTになったり回復パーティションが増えたりはしませんでした。

 MSアカウントへの勧誘などはなくWin7で使っていたローカルアカウントのまま。OneDriveはそのまま引き継がれています。そのMSアカウントとローカルアカウントが紐付けされてるハズなので、注意した方がよいかも知れません。

 独自にインストールしてあったソフトやドライバも今のところ問題ありません。
 Windows7の時は自動更新で入ったがハングしたIE11も動くようになりました(32bit,64bitとも)。
 ストアアプリのDVDプレーヤが入ってました。オマケですかね。

 危ない香りがする高速スタートアップは無効に。

 アップグレード後のファイル削除は以下の記事が参考になる。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1603/24/news035.html

・プリインストールソフト
 ビジネス用機種なのでプリインストールソフトはちょっとしかありません。
 それらexeファイルの日付など見てみましたが、アップグレード時にUpdateはされていない模様です。

・≪型番・製造番号表示ユーティリティ≫
 普通に動きます(って表示するだけですが)。

・≪ワイヤレスLANの設定≫
 普通に動きます(5GHzの有効無効を切り替えるだけですが)。

・≪ECOモード設定ツール≫
 起動します。これって、たくさん電源プランがプリセットしてあり、そこから選んだ3種類をFn+F4キーでトグルで切り替えられるってツールですねきっと。「Intel Rapid Start Technology」を使いたい場合はマジで調べた方がいいと思いますが、要らなければ普通に「バランス」とか選んでおけば問題ない(無関係になる)んじゃないかと。
 Win10対応版にするとショボくなるみたいですし。

※1 ご購入時に搭載されていた本アプリから以下の機能が変更されています。
・切替対象の電源プランが3モードから2モードになりました。
・各電源プランごとの詳細設定機能が削除されました。代わりにOSの電源オプションにて設定が可能です。

出典:http://search.casnavi.nec.co.jp/download/pc/module/sabun/windows10upgrade/win10_index2.htm#201305_versapro

・≪ピークシフト設定ツール≫
 起動します。ピークシフトしないので(オフィスで使ってるワケではないので)、ちゃんと動くかどうかは確認してません。

・≪バッテリ・リフレッシュ&診断ツール≫
 使う時はAC駆動しているので(使わない時はACアダプタへの給電もOFF)、少なくとも閾値設定は動いてほしいです。50%に設定してますが、「47%。充電していません」などと出るので(%値も変化するので)大丈夫っぽいです。

 上記VersaProサポートページにWin10対応版が上がってるツールやドライバがありますが、とりあえず問題なさそうなので当面このままにしてみようと思います。非サポートですから入れて問題出たら本末転倒ですので。


■miix2 8をWindows10化する

 miix2の記事にて。


■おまけ

・内蔵されるプロダクトキー
 認証に使ったPKとは違う。ていうか個別生成ではなく決まってる模様。

・とんでもなく起動が遅くなった時にしたこと
 暫くWindows10Pro(×したのにキャンセルになっておらず強制アップグレードされた)で使っていたZ68メインマシンでのこと。
 ある時から起動がめちゃくちゃ遅くなりました。真っ黒画面(壁紙出ず)にマウスカーソルだけが動く状態が数分続き、やっとデスクトップが出る状態に。ストレージにアクセスし続けてるとかネットワーク通信し続けてるような素振りはありません。ハードもソフトも直前に追加したものはなく、オンラインウィルススキャンしても問題なし。
 ≪msconfig≫で「診断スタートアップ」すると正常起動します。

 そこで、「スタートアップオプションを選択」で「システムサービスを読み込む」「スタートアップの項目を読み込む」のうち前者をハズすと正常起動。

 そこで、サービスをアルファベットソートし、A~Nまでを無効にして起動すると正常。
 同様に半分ずつ絞り込んでいったところ、Aの10個のうち前半5個を無効にしても正常、後半5個を無効にしても正常となった時点で「?」に。

 そこで、すべて有効にしてみたら正常起動するじゃないですか。
 暫く問題ありませんでしたが、翌日メイン電源断から立ち上げたら激遅に戻ってました。サービスをすべて無効にして起動→有効にして再起動で一時的には直るようですが、何が起きてるか不明です。

 これもあってWindows10クリーンインストール実験に突入した、と(苦笑)。

・USB初期化
 UEFIの起動高速化設定としてUSBイニシャライズを簡素化できたりしますが、Z68ではUSBメモリからブートできなくなりました。

・無償終了
 16/07/30追記。10:00現在、Win8.1update1のままにしてあるmiix2の白旗クリックしたら「無償キャンペーンは終了しました」と出た。ハワイ時間なんちゃらという話もあるが、“半強制アップグレード”は日本時間で終了した模様。


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テーマ : 自作パソコン
ジャンル : コンピュータ

中古ThinkPad X220を無償Windows10でドライブする

16/06/01初稿

 中古のThinkPad X220買いました。
 外に持ち出してタフモバイルするつもりはありませんが、ちょっとwebみたりデジタルコンテンツをテレビに映したりするための「宅内モバイルマシン」が1台欲しかったもので。

x220_hero_01 縮小
出典:http://www.lenovo.com/jp/media/thinkpad/picture/x220_hero_07.jpg(広報用写真。英語版ですね)

 真っ黒くて四角くくてカッコイイっす。
 
 改造やシステムアップなどについてはすでに先達の有益な情報がたくさんありますが、個人的備忘録しておこうと思います。

 そう言えば22年前にも“Xのない220”買ったなぁ。


■選択理由

・新品激安Atom系ノートを買うくらいの予算は仕方ないとして。

・普段はソファの上などに転がしといてサッと気軽に使うためには、外付けK/BやマウスはNG。検索語などのテキスト入力も快適にしたいですし、タッチパネルだとwebページのプルダウンがタッチクリックできないなどの問題もあるので、タブレットはダメです。
 タッチパッドで使いやすい機種ってほとんど無いと思いますし、いずれにしても(個人的には)TrackPointには敵わないので、ほぼThinkPad限定となり、この時点で中古狙いとなります。

・宅内モバイルとは言え1.5kgくらいまでじゃないと手軽さが激減しますので、候補はXシリーズに。
 どうせ中古ならと「7列&非アイソレーションキーボード」に拘ってみると、その最後の機種はX220ということで決定。FunctionキーがFunctionメインなのもうれしいところです。
 タフモバイルもヘビィな処理もしませんから、バッテリ駆動時間もCPU性能もSandyBridge世代で問題ありませんし、逆にSandyより前は避けたいところですのでいい落としどころかと。

・古いゆえにいいところもありますし。7列クラシックキーボードもそうですが、有線LANがアダプタじゃなくRJ45端子なところとか。

・Xシリーズはパーツや改造ノウハウの流通量が多いのでいろいろ遊べそうですし。

・今なら無償でWindows10化できますし。非対応ですけど。


■もろもろ

・4291-2XJ(*)でした。
 OSはカタログ仕様ではWindows7 Pro 64bitですけど買った個体は32bit版でした。BTOされてたということかな。
 Bluetooth(3.0世代)はBTOされておらず非搭載でした。液晶下のインジケータ有無で判ります。DIYでも追加できるようですね。

*:https://shopap.lenovo.com/ISS_Static/WW/ap/jp/ja/doc/pdf/2011/nb/x220_rm_0412.pdf

・BIOSなのかUEFIなのかは不明。
 「UEFIブートに対応している場合は強制GPTになる」というWindowsServer2012R2を入れたらGPTインストールされましたが、出たて当時フルUEFIじゃなくブートのみUEFI対応ってのもありましたよね。
 とりあえず本稿ではBIOSと表記します。
 ちなみに、実装されてないデバイス(指紋認証など)もEnableになってました。

・Expressカードスロットの下にあるスライドスイッチ、無線LANのON/OFFスイッチだったんですね。物理キーで切れるのは確かに安心感あります。

・K/Bに「戻る・進むキー」があるんですね。誤操作する危険もありますが、ショートカットではない一発キーなのは便利では。意地でも本体のみでUI完結させるぞって気概感じます(笑)。パームレストが微妙にスラントしてるのもいいですね。手のひら置きやすい。

・オーディオチップは「Conexant 20672」。再生は24192、録音は2496まで設定できます。
 ヘッドホン出力(正確にはヘッドセット端子)の音質、悪くないです。MDR-Z7やMDR-E888で聴いたところ特に違和感感じませんでした。


■ストレージSSD化

 SSD余らせてる人も多いのではないでしょうか。特にSATA3対応初期のヒットモデルCrucialの「Real SSD C300シリーズ」とか。
 かくいう私もその一人ですが、X220のHDDは厚み7mmタイプなので9.5mmのC300は使えないと思ってました。
 しかし、情報あさってたら、C300って実はスぺーサを外すと7mmに変形させるとことができると知りました。なんてこったい。

 試してみようとフタを開け、「保証シール剥がしてでもやるべきか」と考えながら眺めてたら、「そもそもケースに入れる必要ないんじゃないか?」と思いつきました。“SSD殻割りで基板のみ実装”です。実際やってみましたが動きました。もちろんそのままだとグラグラですが、タフモバイルするつもりもないので熱伝導ゴムなどを詰めておけば大丈夫では。
 結局は普通に7mmSSD採用しましたが、さすが“PC”、いろいろ弄れること(笑)。

 発売当時は「SATA3対応の7mmSSD」がほとんど無かったので純正SSDはSATA2だったんですね。でも、本体側は立派にSATA3対応でした。
 換装したCFD製「CSSD-S6T128NHG5Q」のベンチです。

SSDベンチ:環境設定直後CDM3

 上記はMBRですがGPTでも変わらないようです。

 ちなみに、トレイ使わなくても特に問題ないと思います。引き出し用ベロはあった方がいいと思いますが、SSDに直貼りした“ポストイット”でも引っ張り出せました。

 内部にmSATAスロットもあるそうです。こちらはSATA2とのことですが、OS入れればブートローダがどうこうとか気にせずデュアルOSマシンにしたりできるのではないかと思います。
 あ、元HDDのシステムを引っ越しておいてデュアルブートにすると便利かも知れませんね。ひと工夫必要かも知れませんが、20GBもないようですから32GB品でもいけるような気がします。InsiderPreview版用にするのもいいかも。


■メモリデュアルアクセス化

 標準搭載は4GBのHynix製「HNT351S6CFR8C-H9 NO AA 1150」1枚でした。
 容量的には問題ないと思いますが、デュアルアクセスにしたいんですよね。キモチの問題で(笑)。
 Gfx共用ということもあり、何もしなくても1.2~1.6GBくらい食ってるので激安狙って1+1=2GBではキツそうです。
 2+2でもいいのですが、新品でも中古でもデュアルセットのタマがない。あっても4+4に比べてC/Pが悪すぎ。ということで4+4を物色。

 今では1600の方が安かったりしますがナン千円もってワケじゃないなど、仕様を妥協しても激安にならなそうだったので「極力標準品の仕様に合わせる」コンセプトでいくことにしました。
 よって、LowVoltageのDDR3LではなくDDR3に。CL11の1600(PC3-12800)ではなくCL9の1333(PC3-10600)に。4Gなら標準搭載品と同じ両面16チップが鉄板かな。とするとそろそろ無くなりそう。
 4GB1枚増設という選択肢も無くはないですが、タマがなくなりつつためか2枚セットとの価格差は「違う型番のSO-DIMMでデュアル化」するリスクを取るレベルではないと判断。
 ということで、ARCHISS製4Gx2のデュアルセット「AS-1333D3N-4G-MJ(X2)」を購入。

 CPU-Zでデュアルチャンネルアクセスであることを確認しました。

メモリ

 SPD読むと「Manufacturer:STT」となってます。チップ刻印はSECですのでSAMSUNG製チップを使ったSUPERTALENT製モジュールということでしょう。


■セットアップ

 SSD化&メモリデュアル化でハードウェアの準備は整いました。
 いざ、Windows10 Pro 64bit(バージョン1511)をクリーンインストール。

・インストール&アクティベーション
 新しいSSDをメインマシンに投入し、それまで使ってたSSDを払い下げます。
 ≪ディスクの管理≫などでは削除できないパーティションがあるのでWindowsインストーラでそれらも削除し領域全解放。
 X220に入れて≪PartedMagic≫でSecureErace。
  ≪MediaCreationTool≫で64bit版インストールUSBを作成してブート。
 最初から有線LANに繋いで実施。試しに「プロダクトキーがありません」を選択。25分くらいでインストール完了。

 アクティベートされてませんでしたが、バッテリ裏のキー入れて認証したら何事もなく通りました。
 元OSはWindows7 Pro 32bitですので、無償アップグレードでも32bit→64bitの権利アリということですね。
 その後、「BIOSをUpdate」して「別SSDに入れ替え」て「メモリをデュアルからシングルに」して「別ユーザ名に」して「プロダクトキーがありません」でもう一度クリーンインストールしてみましたが、キーを入れることなく認証されました。SSDを戻しても問題ありません。GPTディスクにUEFIインストールもでき、やっぱりPKなしで認証。


 この個体、たぶん“無償Windows10バージン”だったってことですね。

・WinDVD代替え
 光学ドライブ無いのにプリインストールされてます。ウルトラベース用でしょうか。それはさておき、クリーンインストールしたWindows10にはDVDプレーヤ機能ありません。
 光学ドライブ付属の≪PowerDVD≫などが余ってる場合はそれを入れればよいでしょう。もしそういった手持ちがない場合はフリーの≪Leawo Blu-Ray Player≫入れればセルDVDのみならずセルBDも再生できます。アクセラレーションも効いてました。ただしセルBDは再生開始時にネット接続必要なようです。また、32,44.1,48kHzの16bitしか対応していないPanaのTVでは音出ませんでしたので、当該モードへの変換には非対応のようです(仕方ないでしょう(笑))。Ver1.9.2.4にて確認。

・純正アプリ
 元々導入されているLenovo製アプリもある程度再現できるみたいですが、私は特に使いたいモノがなかったのでやっていません。どうしてもって場合は元HDDに入れ替えて元システム立ち上げて使えばいいかなと。

・BIOSアップデート
 BIOSアップデートユーティリティはWindows8対応までしかありませんが、Windows10上で≪8duj27jp≫を実施しました。無事1.40→1.42(16/03/04版)になりました。


■問題解決

 さて、クリーンインストールしただけだとハードウェア的には以下の問題がありました。

  ・SDカードスロットドライバがない(その名前ではデバマネにも出てこない)
  ・デバイスマネージャで「基本システムデバイス」と「PCIシリアルポート」が「!」に
  ・いくつかの青Fn(F5やF8)やマイクミュートキーなどが効かない
  ・ディスプレイオーディオドライバがない(HDMIで音声が出ない)

 その解決方法を記しておきます。

・SDカードスロットドライバ
 ≪8axw02ww≫(一応Windows10対応になってた)を入れたら、びっくりしていた「基本システムデバイス」が消えてSDスロット使えるようになりました。

・PCIシリアルポート
 実装されていないデバイスをBIOSで無効にしても「!」は消えません。IntelAMT用のようですので、AMTドライバを入れてみます。が、バージョン≪k8amtc0us17≫では消えませんでした。≪7vr408wj(5.4.1.1016(15/06/02版))≫は最低条件を満たしていないと出てインストできませんでした。
 元OSのHDDのルート下を検索したらAMT(SOL)が入りました。でもUSBに不明なデバイスが増えちゃったような。元OSが32bitだからかな?
 「!」のままでも支障ないと思いますが、AMT機能をBIOSでDisableしちゃえば消えます。どうせ使わないので、下手にドライバ入れるよりいいんじゃないでしょうか。

・Fnやオンスクリーン機能
 「ホットキー機能統合ソフト」を入れる必要がありますが、Windows8以降対応バージョンではOSと被る機能がなくなっていたりします。
 以下、有効無効を○×で記します。前者が「ホットキー機能統合ソフト」を入れない状態、後者がそのWindows8以降対応バージョンを入れた状態です。

  ・OSD:輝度  × ×
  ・OSD:音量(ミュート)  × ×
  ・OSD:マイクミュート  × ○
  ・OSD:Caps Lock  × ○
  ・OSD:Num Lock  × ○
  ・OSD:マルチディスプレイ  × ○
  ・物理キー:音量  ○ ○
  ・物理キー:ミュート  ○ ○
  ・物理キー:マイクミュート  × ○
  ・物理キー:ThinkVantage  - -
  ・Fn+Space:拡大  × ○
  ・Fn+Play他  ○ ○
  ・Fn+F2:OSロック  × ○
  ・Fn+F3:省電力マネージャ呼び出し  - -
  ・Fn+F4:スリープ  ○ ○
  ・Fn+F5:無線LAN  × ×
  ・Fn+F6:web会議用カメラ&ヘッドセット設定  - -
  ・Fn+F7:マルチディスプレイ設定  * ○
  ・Fn+F8:TrackPoint&タッチパッド設定  × ×
  ・Fn+F12:ハイバネーション  ○ ○
  ・Fn+Home:輝度Up  ○ ○
  ・Fn+END:輝度Down  ○ ○
  ・Fn+PgUp:K/Bライト  ○ ○
  ・LED:天板バッテリアイコン:充電中点滅,バッテリ駆動中点灯  ○ ○
  ・LED:天板三日月アイコン:シャットダウン(ハイバネーション入り)中点滅,スリープ中点灯  ○ ○

*:本体液晶と外部をトグルで切り替え

 Fn+F3とFn+F6とThinkVantageは「アプリケーションラウンチャキー」と考えることにします。

 ≪8jvu23wj≫がWindows7まで対応バージョンのようです。途中「.Net Framework 3.5」を要求されるので指示通りインストールすると×は全て○になります。輝度や音量のOSDはOSのとふたつ出ることになりますので、好き好きですかね。
 Windows8以降対応の≪8jvu43ww≫を上書きすると≪オンスクリーン表示≫アプリのみバージョンアップします。

 導入されたディレクトリにある≪SETUP.EXE≫で同梱アプリのバージョン確認やインストール・削除などの操作できるようになります。≪オンスクリーン表示≫アプリのバージョン切り替えも可能です。
 ≪8jvu23wj≫はC:\DRIVERS\WIN\HOTKEYの下、≪8jvu43ww≫はC:\DRIVERS\HOTKEYの下がデフォルトインストールパスです。

ホットキー機能統合セットアップ

・グラフィックドライバとディスプレイオーディオドライバ
 Windows10クリーンインストール直後はディスプレイドライバ探しに行くので見つかるまでは1024x768表示。デバマネ情報では「15/05/27付 9.17.10.4229」が入りました。が、それだとディスプレイオーディオドライバは入らないようです
 Intelサイト「第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー用インテル® HD グラフィックス 3000(*)」で物色し、Windows8 64bit用を入れたら出現。デバマネ情報では「15/05/26付 9.17.10.4229」。Intelサイト情報では「ファイル名Win64_152824、バージョン15.28.24.64.4229」です。

*:http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/graphics-drivers/intel-hd-graphics-3000-for-2nd-generation-intel-core-processors.html

 サイトにWindows10用はありません。あるのは8.1までです。IntelとしてはSandyBridgeはWindows10非対応ということですね(*)。なのでX220も対応から落ちたと。
 何故か8.1用は32bit版だけで64bit版が見当たりませんが、上記8用64bitのReadmeには次のようにあるのでMiracast以外は大丈夫のようです。

Installation Readme

Release Version: Production Version

Package: 508618

Intel(R) Graphics Driver: 9.17.10.4229
Intel(R) Display Audio Driver: 6.14.0.3097

Release Date: May 26, 2015

Operating System(s):

Microsoft Windows* 8.1 64bit++
Microsoft Windows* 8 64bit
Microsoft Windows* 7 64bit
++ Note: WDDM 1.3 features such as Miracast are not supported for these processors.
Supports Intel(R) HD graphics on:
2nd generation Intel(R) Core(TM) i3 processor
2nd generation Intel(R) Core(TM) i5 processor
2nd generation Intel(R) Core(TM) i5 vPro(TM) processor
2nd generation Intel(R) Core(TM) i7 processor
2nd generation Intel(R) Core(TM) i7 vPro(TM) processor
Intel(R) Pentium(R) Processor 900/B900/G600/G800 Series
Intel(R) Celeron(R) Processor 700/800/B700/B800/G400/G500 Series

出典:https://downloadmirror.intel.com/24971/eng/Installation_Readme64.txt

*:http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/processors/000006105.html


■DisplayPortのHDMI変換

 当然ながら、DisplayPortは2560x1600も出画できます(3008WFPで確認)。それは確かに凄いんですが、HDMI変換できないと普段使いの役に立ちません。
 それがX220一番の懸念事項だったのですが、手持ちのN/Bパッシブケーブルで変換できました。1920x1200もOK。HDCPもOK(セルBD再生できました)。
 ですが、音声出力先が「再生デバイス」に出てきません。元のWindows7でもダメです。
 仕方ないので、X220で音声出たという情報があった変換ケーブルを調達。



 PanasonicのTVとYAMAHAのDSP-Z7で試したところ、どちらも出力先に現れ音声出ました。
 AVアンプDSP-Z7の方はちゃんとハイレゾマルチ対応になってます。スクロールで隠れているコーデックはありません。相変わらずあるはずのAACが出てきませんけれど(苦笑)。
 何故かHDCP非サポートになってますが、BD再生で画も音も出ます。

DSP-Z7サポート形式

 理由はヨクワカリマセンが、ケーブル(アダプタ)によって確かに違うようです。


■バッテリ

 4セル・6セル・9セルがあります。中古ではどれが付属してるか様々です。
 4セル以外は高さ・奥行きともに“はみ出ます”。本体後側ゴム足は浮くことに。スタイル重視なら4セルですかね。
 それぞれ191g、322g、489gとのこと(*)。
 4セルだけやたら軽いですし駆動時間も6セルの半分以下みたいですから、違いは単純なセル数だけではなさそうですね。
 それらを搭載した本体(SSDモデル)の重さは1342g、1473g、1639g。HDDより50gほど軽いようです。

*:http://thehikaku.net/pc/lenovo/ThinkPad-X220-2.html

 ちなみに、≪LenovoBattery≫でバッテリがリコール対象かェックできます。

 以下条件の≪BBench 1.01≫で計測した6セルバッテリ駆動時間はほぼ6時間でした(公称8.9時間)。サイクルカウント187でしたのでそれなりに使われてますが、激劣化してもいないと思います(診断結果は“良好”)。

  ・キーストローク(10sec)、Web巡回(60sec)とも有効、ブラウザはIE11(64bit)指定
  ・Windows10 Pro 64bit 常駐するようなアプリは未導入
  ・OS設定バランス
  ・ディスプレイ輝度最低
  ・無線LAN有効(11aでネット接続)
  ・BT非搭載
  ・有線LAN未接続
  ・SSD化&メモリデュアル化後

 体感でも30~40分で10%減、というカンジです。
 ほぼ同じ条件で、3+3セルの最新X260は12時間以上らしいですね(*)。

*:http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/nishikawa/20160331_750692.html

 ちなみにC++ランタイム、インストーラを使うとSystem32の下にコピーされますが、手動でSystemの下に入れないと動きませんでした。


■ドライバ

 以下ドライバ在処です(16/05/16現在)。アップデートされると同じURLでも新バージョンに置き換わるらしいです。参考までにX220用以外も記録。同じものでも別URLがあったりするのは、バリデーション済み・未の問題?

・TrackPoint関連
「Synaptics ThinkPad UltraNav ドライバー (Windows 10 32bit, 64bit) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds103454
⇒X220アリ
 9.0.17.27 15/09/07 n1cgx16w

 ドライバは「15/07/24付け9.0.17.2」が自動で入りましたけどインストール直後はセンターボタンが動きませんでした。再起動したら効きました。

・SDカードリーダ
「Ricoh メディア カードリーダー ドライバー (Windows 10 32bit, 64bit/ 8 32bit,64bit) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds032126
⇒X220アリ
 2.22.18.01 15/06/08 8axw02ww

「Ricoh メディア カード リーダー ドライバー (Windows 10 32bit, 64bit/ 8.1 32bit, 64bit) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds038445
⇒X230以降アリ
 2.25.18.01 14/03/25 g1s902ww.exe

・オーディオドライバ
「Conexant オーディオ ソフトウェア (Windows 10 32bit, 64bit/ 8 32bit,64bit) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds032124
⇒X220アリ
 8.32.43.0 12/10/12 8aax04ww.exe

 IN-BOXドライバでも動くようですけれど。

・ホットキー機能統合
 7まで対応の≪8jvu23wj≫は直downloadサイトにしか無いようです。

「ホットキー機能統合 (Windows 8/ 7/ Vista/ XP/ 2000) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds014985
⇒X220アリ
 3.89.0100 15/06/01 8jvu43ww.exe

「ホットキー機能統合 (Windows 10 32bit, 64bit/ 8.1 32bit, 64bit) - ThinkPad」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds029026
⇒X230以降アリ
 8.80.10 16/04/15 r09vu09w.exe

「ホットキー機能統合 (Windows 8/ 7/ Vista/ XP/ 2000) - ThinkPad」
https://support.lenovo.com/jp/ja/olddownloads/ds014985
⇒X220アリ
 3.89.0100 14/12/23 8jvu43ww.exe

「ホットキー機能統合 (Windows 7 32bit, 64bit) - ThinkPad」
https://support.lenovo.com/jp/ja/olddownloads/ds101334
⇒X230以降アリ
 8.80.10 16/04/15 r09vu09w.exe

「ホットキー機能統合 (Windows 10 32bit, 64bit/ 8.1 64bit/ 8 64bit/ 7 32bit, 64bit) - ノートブック」
https://support.lenovo.com/jp/ja/olddownloads/ds031814
⇒X2**シリーズなし(X1もなし)
 8.80.10 16/04/12 r09vu09w.exe

・省電力マネージャー
「省電力マネージャー」
http://www.lenovo.com/jp/tvt/pm.shtml
 Win8からは「Lenovo Setting(*)」に統合された「Power」なるアプリに機能移管されました。個人ユースで使いたいのはバッテリ充電容量コントロール(閾値設定)くらいだと思いますが、ピンポイントでそれがなくなってます。
 ざっくり50%くらい充電しておいて、ACアダプタ運用する時は外しておきますかね。

*:http://www.lenovo.com/jp/tvt/setting.html

「省電力マネージャー (Windows 7 32bit, 64bit/ Vista 32bit, 64bit) - ノートブック」
https://support.lenovo.com/jp/ja/olddownloads/ds014924
⇒X2**シリーズアリ
 6.68.1 16/04/21 n1au410w.exe

「Lenovo Settings Dependency パッケージ (Windows 8.1 32bit, 64bit/ 8 32bit, 64bit) - ノートブック」
http://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds031946
⇒X220アリ
 2.4.0.21 16/04/21 n1asd21w.exe

 試しに入れてみたけどどこにもアイコンなし。Windows10ではストアプリ使えってことかな。


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テーマ : 自作パソコン
ジャンル : コンピュータ

デジタルフィルタはサンプリング定理をいかほどに具現しているか

16/05/04初稿

 PCMオーディオはサンプリング定理に基づいて音楽データを製作・再生しています。
 定理上は“ある種の可逆圧縮”とも言える仕組みで、「PCMデータを製作(離散化して圧縮)」→「リコンストラクションフィルタで復元して再生」するワケですが、フィルタによる“リアルサンプル”への復元精度はどれほどなのでしょうか。

 よく「ハイレゾのメリットは20kHz以上の成分があることではなく20kHz以下の波形再現性を上げるもの」という説明がありますが、そもそも定理上は「ナイキストの2倍より高い周期でサンプリングすれば“完全に再現可能”=リコンストラクションで復元可能」なのですから、20kHz以下にリアルサンプルを増やす意味はないハズです。
 ですから、説明は“現実的には定理との乖離は大きく、「リコンストラクションでの復元サンプル」と「リアルサンプル」との誤差は音質上無視できないほど大きい=だからハイサンプリングに意味がある”と言ってることになります。

 本当かどうか確かめてみたくなりました。


 Over Sampling Digital FilterはOSDFと略します。


■準備

 ところで、“原音”はそもそもAD段階でLPFかかっていますし、CDなどでは製作最終段階でダウンサンプリング(ビット深度縮小)されているのが一般的でしょう。
 ですので、「製作段階でCDフォーマットにダウンしたデータから、ダウン前のデータを再生側処理でどこまで復元できるか」を見ることになります。

 製作時にどのような作業されているのかは一定ではないでしょうし特定もできませんので、「2496で作成され1644(CD)にダウンサンプリングされている」と仮定します。

 再生装置では、そのデータを24bitや32bitの精度でリコンストラクション(一般的にはDACチップ内蔵の8倍OSDF(*))するワケです。

*:正確にはOSDFはプリフィルタで、アナログのポストフィルタも含めて“リコンストラクションフィルタ”です。

 DACチップがOSDFしたデジタルデータを得る術はありませんし、DACチップに入れる前にPCでやることもできますから、今回はPCによる2倍アップサンプリングでシミュレーションとし、2496に戻したデータがダウン前の2496データにどこまで近づけるかを調べてみます。

 CDは44.1kHzですが、製作時は48kHz系でしょうから、今回は非整数倍サンプルレート変換の影響を排するためダウンした状態も48kHzで代用します。つまり、意識すべきナイキスト周波数は24kHzとなります。
 対象波形は「440Hz/-6dBのサイン波」としました。この単独波形の2496データが復元すべきデータとなりますが、LPF処理の影響を見るため、次の24kHz以上の成分を付加します。いつもの通り≪WaveGene 1.50≫にて生成。
 付加したのは「30kHz/-12dB,35kHz/-24dB,40kHz/-48dBのサイン波」です。これらは48kHz化した時にカットされるべき成分ということです。

 4つの周波数成分を含むデータはこんな波形になりました。
 “再現すべきターゲット波形”である440Hzをグレーにして重ねてあります。

440Hz 24964成分

 最大レベルは-1.76dBでしたのでフィルタ処理でサチることはないでしょう。

 スペクトルは次の通りです。

440Hz 2496 4成分:周波数

 この「24kHz以下1成分+24kHz以上3成分」のデータから、CD化を通して「24kHz以下1成分」だけをどれだけ忠実に復元できるか、を見ることになります。

 製作側ダウンサンプリングと再生側リコンストラクション=アップサンプリングは、≪foobar2000 1.3.8≫のResampler-V(SoX) 2.1をデフォルト設定で使います。

  ・PassBand:91.3%
  ・StopBand:100.0%
  ・Attenuation:-198dB
  ・Phase Response:Linear

 ファイルはConvert機能で得ています。


■16bitソースの再現性

 さて、CDメディア(からリッピングしたデータ)は、メディア製作段階で周波数のダウンと同時に16bitにビット深度縮小されたものです。
 一方、再生側でのリコンストラクション処理精度は、PCでアップサンプリングする場合は

 「32bitFloatで処理」→「24bitまたは32bitFixedでDACチップへI/F」→「24bitまたは32bitFixed(以上)でDAC内部処理」

が一般的でしょう。
 ですので、シミュレーションとしては、2496→1648されたデータを“ビット深度拡張して処理”した場合を見るのが現実的と言えます。
 そこで、仮にリコンストラクションの精度は24bitとしてシミュレーションしてみます。

 ビット深度変更はConvert機能のビット深度設定で行いました。24→16bit時には“17bitめ”は四捨五入されるようです。
 なお、実際の24bit→16bit化ではディザ(ビットマッピング)処理などされていると思いますが、本稿の主旨とは無関係だと思いますので無視します。

・製作時ダウンサンプリング&ビット深度縮小:2496→1648
 まずはソース製作側のシミュレーションです。
 この時点での周波数成分は以下の通りです。1648ネイティブで生成した440Hz/-6dBでもニアリーになりますので、24kHz以上の成分をカットしたことによる明らかな影響(440Hz以外の周波数が出現するなど)は見られません。
 プロ用ツールがこれより劣ることはないでしょう。

440Hz 2496→1648

 波形は、スペクトルを見ても判る通り普通に440Hz/-6dBのサイン波になりましたので省略。
 再生側ではこの“24kHz以上をカットしたデータ”をリコンストラクションすることになります。

・再生時リコンストラクション:1648→2496
 まず周波数成分を見てみます。波形は普通に440Hz/-6dBのサイン波になりましたので省略。

440Hz 1648→2496

 元ナイキスト(24kHz)以下の状況はほぼ変わっていないと思います(周波数レンジはソースの2倍)。
 元ナイキスト以上のイメージングノイズ領域はキレイに消えてると言っていいでしょう。

 ということでいよいよ本題です。この「ダウンサンプリング&ビット深度縮小→リコンストラクションによって復元」された2496データの精度はどれくらいでしょうか。≪WaveGene 1.50≫で24kHz以上の3成分をOFFして生成した“ネイティブ440Hz/-6dB”ファイル(2496)と比較してみます。
 ふたつを反転ミックスして「復元誤差(製作時のダウン処理誤差も含む)」のファイルを作って見てみます。使い慣れた≪SoundEngine Free 5.02≫で処理。

 その波形は以下の通り。≪Wavosaur x64 1.1.0.0≫で最大拡大です。

440Hz 2496→1648→2496

 誤差成分の最大値は-93.04dBでした(冒頭末尾はLinearフィルタ参照サンプルが無くなることによる異常値になるのでカットしての値)。
 16bitの量子化精度は0は-∞、±1は-90dBですから、それ以上の精度で復元できていることになります。

 ちなみにこのファイルは聞こえませんでした。SB-DM-PHD経由HD700を≪foobar2000 1.3.8≫の排他WASAPI音量最大で鳴らして。

 なお、再2496化のAttenuationを最低の-96dBに設定すると-93.13dBになりました。逆に良くなってる?


■すべて24bitの場合の再現性

 製作過程でビット深度縮小しないなら、した場合より精度が上がるのは必然です。
 つまりハイビットハイレゾの効果はいかほどか見てみます。

 2496→2448→2496の反転ミックス結果をバイナリエディタで見ると±1(000001hとFFFFFEh)しか発生していませんでした。
 つまり、すべて24bitなら24bitの演算誤差レベルの精度でサンプルを復元していると言うことになります。

 なお、Attenuation性能を最低の-96dBしても誤差は±1です。16bitとは結果異なるようです。

 ちなみに、2496→1648→1696処理すると16bit演算誤差精度になります。


■ナイキスト近くではどうか

・19kHz
 440Hzでは甘いのかも知れません。もっとナイキストに近い19kHz/-6dBではどうでしょう? 上記の440Hzを19kHzに差し替えて同じことをやってみました。
 途中16bitに落とした場合の反転ミックス波形を示します。

2496→1648→2496 19kHz

 誤差は-96dB以下のレベルに収まっています。このファイルは聞こえませんでした。

 ずっと24bit処理だと±1の誤差しか発生しませんでした。もちろん聞こえません。
 つまり、24bitならナイキストに近くても復元誤差は変わらないということですね。

 Attenuationを-96dB設定すると、16bitを挟むと-96.47dBが-96.61dB。ずっと24bitなら-138.47dBが-116.89dBに。ナイキスト近くになると24bitでも精度悪化するようです。16bitを復元する場合はAttenuationは欲張らない方がいいのかも知れませんね。
 CDリッピングファイルの場合は性能を下げ、24bit以上の場合は欲張った方がいいというちょっとメンドクサイ結果に。まあ、良くなるのは何か演算の相性のようなものかも知れませんけれど、「どうせソースが16bit精度なんだから-198dBとかにしても無駄」と言われればそうかも知れません。

・20kHz
 さらに、試しに20kHzでもやってみました。

2496→1648→2496 20kHz

 やはり-96dB以下の誤差しか発生していません。
 が、このファイルはヘッドホンを耳に押し当てるようにすると微かに聞こえてしまいます。ただ、楽曲はマトモに聴けない大音量ですし、そもそも20kHzは倍音領域ですから-6dBなんて成分は普通はないでしょうけれど。
 ずっと24bitなら±1誤差でした。

 「ナイキストに近いとどうなるか」を見ようと思ったのですが、440kHzと19kHzや20kHzで誤差成分の大きさや聞こえ方が異なる理由は、周波数の違いとは言い切れません。「カットすべきナイキスト以上の高域周波数成分」との“相性”の可能性もあるような気がします。例えば20,30,35,40kHzとキレイに揃っている場合、誤差分に可聴域の疑似周波数が出現してしまうのかも知れません。

 いずれにしても、24bitなら誤差は±1でしたから差はありません。つまり、誤差分が可聴域に入ってくる場合があるのは、「サンプリングレートが48kHzだから」ではなく「ビット深度が16bitだから」ということになります。

 結構オモシロイ結果になった気がします。


■デジタルフィルタの性能

 途中を16bitに落とした場合、再生時にビット深度拡張して処理すれば16bit以上の精度でリコンストラクションできるようです。

 24bitのままの場合、再現誤差は24bitの演算精度レベルに収まるようです。

 つまり、「製作時のダウンサンプリング&ビット深度縮小」も「再生時のリコンストラクション」も、量子化誤差精度でできるようです。
 しかもコンスーマレベル(ていうかフリーソフト)でも、です(笑)。実のところ、ここまで復元できるとは思ってませんでした。

 ということで、ハイサンプリングについては、20kHz以下の領域のリコンストラクションによるサンプル再現性はかなり高い(*)ので、「リアルサンプルである効果はあまりないのでは」「少なくとも「ハイレゾフォーマットの効果」として喧伝するレベルではないのでは」と思えます。

*:パッケージ化するときに16bitに落としても16bit以上、ずっと24bitなら24bit精度

 一方、24bit精度はリコンストラクション処理にもそのまま活かされるようですので、ハイビットには意味があると言えそうです(実際に聴いて差があるかは別として)。


 以上は「Resampler-Vでのシミュレーション結果として」です。DACチップ内蔵OSDFの当該精度は判りません。手がかりがあるとしたらデジタルフィルタのAttenuationスペックくらいでしょうか(PCM1795は-98dB、PCM1792Aは-130dB、AK4490は-100dB)。

 ですが、PCでのアップサンプリングも充分現実的ですので、その結果の評価も意味あるでしょう。
 その復元サンプルの精度は「わりとイケてる」と思うことにしました。単純なサイン波での結果ですのであくまでも“ざっくりした感触として”ですけれど。
 具体的には、
「ハイビットは意味ありそう(16bitの誤差は無視しきれないかも)」
「ハイビットであればデジタルフィルタによる20kHz以下の再現性は高いので、ハイサンプリングによるメリットはやっぱり20kHz以上の成分があることしかない(けど、聴きわけられない気がする)」
ってカンジです。

 じわじわ「ハイビットファン」になってる自分がいます(笑)。

 以上、もちろん「個人的には」ということで。


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ハイレゾ探訪

16/04/04初稿

 ハイレゾフォーマットの効能についていろいろ調べて考え始めてかれこれ1年半くらいでしょうか。
 結果、

『CDフォーマットは、ほとんど問題ないがマージンもないレベルで、サンプリング定理が破綻している領域や処理デメリットが大きい領域も可聴域に含んでいる(微少信号の波形再現性や急峻なLPF特性など)。30年経ってAD/DA技術は格段に進化しているのでフォーマットが「ほとんど問題ないがマージンもない」と言えるレベルは上がっている。ハイレゾフォーマットはそれを解消し、さらに+αの余裕を持たせるもの』

と考えるようになりました。
 具体的には次のような効果です。

・ハイビット:微小信号の再現性向上
・ハイビット:デジタルフィルタのリコンストラクション精度向上
・ハイサンプリング:倍音増加による波形再現性向上
・ハイサンプリング:デジタルフィルタのデメリット低減
・ハイサンプリング:TruePeak問題発生可能性低減

 「20kHz以上の高音があること」「ダイナミックレンジが広いこと」って表現がないのがミソですね(笑)。

 (圧倒的ではないものの)意味はありそうだと思いますが、「“器”に収められている音楽がいい音(のデータ)なのか」は全く別の話です。
 世の中のハイレゾ音源はフォーマットのメリットを活かせている(活かして製作されている)のでしょうか。本稿ではそれを考えてみたいと思います。
 「CDじゃなくてハイレゾ買う価値あるの?」という最終判断のため、ですね。
 ハイレゾの価格がCD同等以下なら悩む必要ないんですけどね(笑)。

 音楽製作に詳しいワケではありませんので、「マスタリング」と記していても本当はレコーディングやミキシングなどの過程のことを指している場合があるかも知れません。が、おそらく論の本質には関係ないと思いますのでお許しのほど。


■ハイレゾとはなんぞや

 まず、本稿におけるこの意味を決めておきたいと思います(音源についてです。機器は含みません)。

 その音源がハイレゾか否かの定義は、客観的でなければ意味がありません。
 ですので、原則「ハイレゾフォーマットのスペックを活かしたレゾリューション情報を有する音源データ」と規定すべきと考えています(ただし、ナイキストまでフルに無いとダメという意味ではありません)。
 どんなフォーマットをハイレゾと呼ぶかは本稿では論じませんが、一応、オーディオ協会やJEITAが決めてます(*)よね。

*:オーディオ協会:http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20140612_653038.html
  JEITA:http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20140328_641885.html
  JEITAは48kHzでも24bit以上ならハイレゾと認めている

 ただ、それを前提としたとしても、「ソース」と「手段」というふたつの観点に分けて考えないと混乱するのではないでしょうか。
 具体的には以下ような場合です。

・「ソース(ミックスする前)」から製作工程での「手段」すべてがハイレゾの場合
 何の問題もなく「ハイレゾ」ですね。

・ソースは非ハイレゾだが製作工程での「手段」がハイレゾな場合
 これでも最終的には商品はハイレゾフォーマットになっていますが、元々のソース自体には例えば20kHz以上の成分といった「ハイレゾリューション情報」はありません。
 この「手段系ハイレゾ」をどう位置づけるかが問題ではないかと思っています。

 個人的には、「ソースから手段までハイレゾ」なものをハイレゾと呼び、「手段系ハイレゾ」はシンプルにハイレゾとは呼ばず、プロセス名の方をメインにした名称を付けるなどとすべきではないかと思っています。

 少なくとも本稿では上記の定義を前提として、「ハイレゾ音源」と呼べるのはどんなものか考えてみます。


■これからハイレゾ音源を作る場合

・ハイレゾたるには
 試聴記事に「マスタリングの方が支配的ではないか」と記しました。

 しかし、「音質にこだわったマスタリング」は本来フォーマットのレゾリューションとは関係ありません。CDフォーマットだってこだわれます(こだわるのが普通なハズですけど)。
 逆にハイレゾフォーマットだから自動的に良いマスタリングになるワケでもありません。
 ですから、ハイレゾフォーマットを活かしたマスタリングするなら“そのつもり”で行う必要があるでしょう。
 そして、“そのつもり”が可能な(意味がある)音源は

・ネイティブハイレゾとして売るつもりのフォーマットでレコーディング~マスタリングしたもの・するもの
 
・そのつもりがなかった時のものなら、ハイレゾマスタリングに足るフォーマットでスタジオマスター(*)が残っているもの
 ただし、途中でデジタル処理されている場合は最終フォーマットではなくその処理フォーマットに準ずる(一度48kHzで処理したらその後96kHzにしてもダメ)。

*:「スタジオマスター」とは、CDパッキングなどの「マスタリング」処理前の音源を指すことにさせてください。

・良質なアナログ音源が残っているもの
 一応、良質なアナログは96kHzサンプリングくらいのスペックは持ってるようなので(以下に記す事例より)。
 ただし、マスター作成に用いた機器の仕様がハイレゾレベルであることも条件。途中デジタル処理している場合はその性能も含めて。

らに限られると思います。

 ただ、現実的事情は複雑っぽいですね。例えば、ミックスする前の複数の素材トラックすべてがハイレゾではない場合もあるようです。そのような場合、ミックスダウンした結果「24kHzで一旦減衰するけどその後もスペクトルは振れて48kHzでもういちどノイズ以下に減衰する」データになります。
 これは「パーシャルハイレゾ」とでも言えばいいのでしょうか(苦笑)。だとすると、全素材がハイレゾの場合は「フルハイレゾ」?

・マスタリングの種類
 表題について、14/10/03付けで「ハイレゾとは何か」記事が出ています。
http://www.phileweb.com/review/article/201410/03/1368.html

 内容はほぼ納得できるものですが、要は「制作者に対する信頼」が前提になるワケですから、それを担保するため、記事中にある通り「その音源の出自を明確化すること」こそキモだと思います。

・アナログマスターならサイコー?
 「ネイティブアナログマスター」の場合、ハイレゾという入れ物は「高域が入っているなどの意味での高音質というより“アナログの趣”を再現するために有益」と考えた方がいいかも知れません。
 マスターテープの“ヒスノイズの妙”とか、何かは記録されているけれど機材の仕様を超え“音質”は保証されない周波数帯に“在るような無いような”倍音成分とか。

 アナログだからって無限の周波数が記録されているワケではありません。マイクやテープレコーダなどには、周波数やダイナミックレンジといった仕様があり、それは「その範囲内の品質を保証します」という意味ですから。
 ですので、例えば20kHzまでが仕様のマイクで録った音源には“品質保証された音としては”20kHz以上は残っていないハズです。しかし、デジタルとは違い、20kHz以上になにもないワケではない点がポイントでしょう。たとえゲインがだだ下がっても波形が崩れても何かはあるでしょう。アナログですから…

 つまり、作成途中の機器どれかの仕様が20kHzまでなら、その環境で作られたアナログスタジオマスターに残存している20kHzを超えた周波数帯域の音がどれだけ有意な音かどうかは、その機器の仕様を超えた性能の“実力値”に依存するということでは。
 途中にデジタル機器が入ってるとデジタルは無慈悲ですからLPFで仕様以上はガッツリカットされちゃいますけど。
 まあ、現実的な音楽作成プロセスではフルアナログだとしてもどこかでLPFがかかってるような気がしますけれど。

 アナログテープの場合、経年劣化は大丈夫かという課題もあるでしょうね。

・DSDならサイコー?
 イマイチ確定的に判断できないのですが、普通はDSDネイティブのまま編集・加工することはできないようで、DSDで録音しても編集段階ではPCM変換されているようです。
 アナログ変換して編集したりDSD一発録り最終マスターといったこともあるようですが例外的でしょうから、DSD商品の大半はPCMからの変換ということになります。

 だとするとDSD商品のメリットは何でしょう? ちょっと思いつかないです(苦笑)。
 無理矢理考えると、PCM時には必須のDACチップ内LPF(デジタルフィルタ)処理をパスできるというメリットはあるかも?
 ただし、DSD64程度ではシェイピングしたノイズが可聴域のとなりに発生しちゃいますけれど。DSDネイティブ再生じゃないと意味ないですし。
 変換はユーザ側でもできますしね。
 「変換環境を持っていないけれどDACをDSD動作させたいユーザ向け」ってニッチすぎますよね(苦笑)。

 なお、どうせPCMで編集するのにDSDで録音する場合があるのは、現在のΔΣ式ADコンバータにおいてはDSDの方が“ネイティブ”だから、ということでしょうか。DSDの方がアナログっぽいという定評(?)みたいですからメインマスターとして好まれるのかも知れません。


■既存の非ハイレゾ音源から作る場合

 「手段系」ということになります。

・補間によるハイレゾ化は有意か
 上記のような条件を満たしていない場合、補間技術によって元データのナイキスト以上を生成し、“疑似ハイレゾ化”する商品があります。「ニセレゾ」と呼ばれることもありますが、有意性のある技術なのでしょうか(技術的には「アップサンプリング」とは全く違うものです)。

 有効なのかも知れませんが、同種の処理はPCのツールやプレーヤ搭載の専用チップなどでもできちゃいますから、職人芸ではなく機械的になされた場合は、それらより付加価値があるとはあまり思えないんですよね。
 ですので、有意だとしても、「パラメータを手作業で調整」といった条件付きになるのではと思います。

 代表的な補間技術は「K2HD PROCESSING」ですよね。
 「手段系ハイレゾ」の一種で「(ソース系)ハイレゾ」ではないワケですが、商品には「K2HDによるハイレゾ化」などと明示されており「だったら買わない」という判断はできますから、ニセレゾと言い立てる必要はないでしょう。どれだけ有意かは判りませんけれど。

 が、その説明の中で次のような「不正確な情報」を発信してしまうと信頼感を損ねます。

鈴木さん: 単なるアップサンプリングというのは、サンプリングレートを倍にする場合だと、ふたつのサンプル点の間を線形補間するだけです。サンプル点1の値が10でサンプル点2の値が20だとしたら、その中間にサンプル点1.5を15という値で入れるわけです。
-- ふたつのサンプル地点の中間点を中間値で穴埋めするだけということですか?
鈴木さん:そうです。この処理を行っても、例えば音の周波数には変化はありません。

出典:http://www.phileweb.com/interview/article/201401/24/218_3.html

 アップサンプリングでは周波数成分を増やしていないことを説明したかったのだとは思いますが、10と20の間を15にするような“単なるアップサンプリング”は少なくとも一般的とは言えないでしょう(苦笑)。「サンプリング定理のひみつ」で提示したfb2kによるx2,x4,x8アップサンプリングを見ても、「線形補間(つまり平均)」じゃないことは明白です(もちろんDACチップのデジタルフィルタもです)。
 せめて「簡素化して説明すると」といった注を添えるべきだったと思います。

・アップサンプリングは有意か
 既存のCDやDATレベルの音源から作成する場合、元ナイキスト以上の周波数成分を補間生成しない“アップサンプリング”は、DA変換処理の一部であるデジタルフィルタリングを前倒しでやったこととほぼ等価です。音源作成段階で実施する価値はありません。
 細かいことを言えば、DACチップ内蔵フィルタより高精度かも知れませんし、「DA動作軽減」という効果はあるかも知れませんし、倍率固定のDACチップなら「「トータル倍率が上がる」という違いはありますが、それをハイレゾの効果として言うのは微に入りすぎだと思います(ウリにはならないでしょう)。DACチップによってDA処理方式違いますし。
 そもそも購入後にPCでできちゃいますし。もし、業務用アップサンプラの方が「コンスーマ用より“圧倒的に”高性能」だと言うのなら意味あるかも知れませんが、同じくPC上で動くソフトでしょうからイマドキそこまで差があるとも思えません。
 「アップサンプリング環境を持っていないけれど当該処理してからDACに送り込みたいユーザ向け」ってニッチすぎますよね(苦笑)。

 ただアップサンプリングしただけの商品はハイレゾではありません。「ニセレゾ」といっていいと思っています。レゾリューションはまるでハイになってませんので。

・ハイレゾフォーマットでの編集結果をそのまま出すのは有意か
 リマスターやリペア処理時の演算誤差低減のためにアップサンプリング(ビット深度拡張)し、処理結果をあえてダウンサンプリング(ビット深度縮小)せずに出す、と言った場合も一応有意だとは思います。やや苦しいですが、ただアップサンプリングしただけではなく目的と意味があるワケですから。
 でも、元音源の情報量はハイレゾリューションではなく「手段系ハイレゾ」の一種ですから「ハイレゾ」ではなく、リマスターをハイレゾフォーマットで行った=「ハイレゾリマスター」とか呼んで欲しいですね。

 なお、アナログマスターをハイレゾ録音してマスタリングする場合も「ハイレゾリマスター」に含めていいのではと思います。
 もしアナログマスターのレゾリューションがハイレゾレベルなら、「フルハイレゾ」と言ってもいいでしょう。

・ビット拡張は有意か
 リマスタリングやリペアのためには有効でしょう。
 ただ、もともとピークが潰れていた場合や「コンプかけすぎ」だった場合、ハイビット化を活用した高音質な修復は想像しにくいです(そういうツールもあるようですが)。


■ハイレゾの効果はハイサンプリング領域に有効成分があることではない?

 たまに業界から説明で「ハイサンプリングは有効帯域を高域に拡張するものではなく、有効帯域の再現性を上げるもの」といったものを見かけますが、これは大変疑問に思っています。
 サンプリング定理上ナイキスト以下は「完全に復元可能」なのですから、ナイキストを22.05kHzから48kHzに“細かく”しても、例えば20kHzまでの帯域に対して定理上のメリットは無いためです。増えたサンプルはリコンストラクションで復元できるデータのハズですから。

 定理上の話ではなく“現実的問題”を言っているのなら、そのように説明しないとさらなる誤解を招くでしょう。

 流石に「リコンストラクションフィルタのデメリット低減」はないでしょう。DACチップの仕組みや性能に依存しちゃうことですから。

 じゃあ、例えば「現実的には完全に復元できないのでリコンストラクションサンプルよりリアルサンプルの方が有利」とか?
 しかし、高級DACチップ(*)が生成するリコンストラクションサンプルは有効帯域以上(イメージングノイズ)を-130dBあたりまで抑制しますから、リアルサンプルだとそれ以上なのかとても疑問です。念のためですが、リコンストラクションで生成されるサンプルは元ナイキスト以上の成分を抑制するためのものと言ってもいいので、Attenuationスペックが高い方がよいのは間違いありません。
 もし、逆に、抑制するのではなく「リアルサンプルなら有効帯域を超えたところにも-80dBとかの成分が発生するのがメリット」と言うなら、「そこまでが有効帯域」なワケですからやっぱり高域があることがメリットになってしまい矛盾します。

*:PCM1792AのStopband Attenuationスペック。ちなみに≪foobar2000≫のResampler-V(SoX)は-198dBまで設定可(もちろん実際の性能は処理ビット深度にも関連するハズ)。

 または、例えば「有効帯域とナイキストの差を大きくしてリコンストラクション処理に余裕を持たせることで復元精度を上げられる」とか?
 だとすると、それを充分に活用するためには「PCMデータ化する際のナイキストに対する有効帯域(AD時のLPF特性)の規格化」が必要だったのではないかと。例えば、以下の引用が正しいのなら、有効帯域は32kHzあたりと決めてしまえばよかったハズ。
 決めませんでしたから、(LPF特性がCDと同じSharpのままだと)例えばAK4490はどうせ無いのに43.5kHzまで通過させ、まだ大丈夫なのに52.5kHzからカットしてしまいます(急峻な動作してしまいます)。
 なのでこのメリットは実際には享受できていません。

 残念ですね。

また鈴木氏は、「ハイレゾはマスター音源と同じものではない」と、ハイレゾ音源に対してのよくある誤解についても触れた。「サンプリング周波数と周波数帯域とは完全にイコールではないのだが、そのあたりが誤解されている。収録されるのは実際の演奏の帯域であって、それを96kHz/24bitの“器”に入れているからといって高帯域まで入っているというわけではない」。例えば、ピアノの最高音の基音は約4kHzで、倍音を入れても20kHzくらいしかない。アナログマイクで収録できるのは30kHzくらいまでとされているし、古いアナログ音源も40kHzまで帯域が伸びているわけではない。ハイレゾ音源の特徴とは高域まで収録されているということではなく、「従来のCD音源よりもサンプリング周波数と量子化精度が細かいことによって、アナログに近い状態を再現できること」と鈴木氏は語った。
出典:http://www.phileweb.com/news/audio/201603/22/17054.html

 「周波数成分が連続的に減少して30kHzくらいでノイズレベルになる2496」はハイレゾだって言うのは解ります。
 が、「20kHzくらいでいきなり減衰する2496」はどうなんでしょう? そのあたりも(ラベリングなく)ハイレゾとして売ってよしとしていることこそ“誤解”なのでは?

 なお、ハイサンプリングではなくハイビットについては、「16bitからリコンストラクション」するより「24bitのオリジナルサンプル」の方が有利なのは間違いないでしょう。


■やっぱり気になる「生まれ」と「育ち」

 ということで、ハイレゾ商品が本当に「ハイレゾフォーマットの意味があるデータ」であるためには、上記のような“出自条件”を満たしている必要があるでしょう。

 しかし、実際には、上述した「フルハイレゾ」「パーシャルハイレゾ」「アプコンによるハイレゾ化」「ハイレゾ編集」「ハイレゾリマスター」といった様々な出自を“一緒くたにハイレゾよばわり”しちゃっています。
 だから疑念を抱かれるワケで、定義されて分別されていれば買った後で「ニセレゾ掴まされた」って話にはならないと思います。
 中でも一番の問題は「ハイレゾフォーマットに変換してきちんとリマスターした商品」と「ただのアップサンプリング」の区別がつかないことです(*)。
 出自表記する規定がないと、無邪気に「とりあえずアップサンプリング」とか、意図的に「アップサンプリングして適当にコンプかけただけでハイレゾリマスター」「消費者がスペクトル見て騒がないようアップサンプリングの高域にそれっぽい雑音を付加する」といった詐欺行為も“お咎めなく出来て”しまいます。


*:ソースをAD変換して得た場合はテープや機器のフロアノイズが残りますので判ると思います。
  また、ここでの「ただの」は、意図の有無に関わらず有効性がないという意味で使っています。

 そのあたり、現状は制作者側の常識や良心次第ってことになってるワケですが、以下の記事などからすると信じていいのか疑わしいです。

-- ところで、本日はせっかくe-onkyo musicの黒澤さんにもご同席いただいているので、ひとつご質問させて頂きたいことがあります。e-onkyo musicで販売されているハイレゾ音源でK2HDなり何なりの表記がないものは、マスター音源がそもそもハイレゾであるか、もしくはアナログマスターから直接にハイレゾでデジタル化されたものと考えてよいのでしょうか?

黒澤さん: レコード会社さんにはそのようにお願いしています。また納品されたデータの波形を弊社の方でチェックして、例えば「これは96kHzの形で納品されているけれど、96kHzで録音された音源の波形としてはおかしい」と思えるものがあれば、それは確認を入れています。

-- それはつまり、この記事で言うところの「単なるアップサンプリング」をされた音源かもと思われる場合には、ということでしょうか?

黒澤さん: そうです。e-onkyo musicとしては44.1kHzや48kHzでも、24bitであればハイレゾだと考えています。ですので48kHz/24bitで制作された作品であればそれをそのまま配信させていただきたいという気持ちなのですが…。

-- それが伝わっていない場合もある?

黒澤さん: 「ハイレゾ」「96k」「192k」という言葉が先行してしまって、それに合わせた形にアップサンプリングしておこうと考えてしまう場合があるようです。ですので、できる限り弊社でチェックして、そういった音源と思われるものについては、弊社の考えを説明して元の48kHz/24bitなりのデータをいただき直す場合もあります。

出典:http://www.phileweb.com/interview/article/201401/24/218_7.html

 実際「ハイレゾだって謳っているがアップサンプリングっぽい」「しかもその有意性が疑わしい」商品の存在はネット上で指摘されていますから、そういうことしちゃダメだって認識がない制作者(レーベル?)は確かに存在するのでしょう。残念ながら。
 これが「ニセレゾ疑惑」の実体だと思います。
 K2HDはアプコンだって明示してますから疑惑ではないでしょう。

 ちなみに、個人的にはハイビットもハイレゾとして充分有意だと思っていますが、「本当に有意な24bitなのか」はまるで判断できません(周波数成分よりさらに)。

 ですので、「ハイレゾ音源販売におけるその出自の明示」はとても重要なことだと思っています。市場を健全に育てるためにも。明示してもどこまでマジメにやったかは表現できませんが、一定の品質保持効果はあるのでは。
 ですが、現状ではほとんど明示されていません。なので2496商品でも「2448制作音源やCD音源の単なるアップサンプリング」である疑念は拭えません。
 「最近は違うよ」と言われても保証はどこにもありません。なのでなかなか手が出せません。


 ということで、そのような現状を踏まえると購入判断コンセプトは、まあ、

1.新作の場合
 「ハイレゾフォーマットだから」ではなく「ハイレゾフォーマットを意識した良マスタリングされている“可能性”が高いから」という理由で積極的にCDではなくハイレゾ版を選ぶのもアリかと思います。
 お値段変わらければ、ですが。

2.旧作ハイレゾ化の場合
 「リマスター版」だと思って価値判断すればよいのではと思います(K2HDなどの補間音源もこれに位置づけ)。
 お値段が通常のリマスター商品の値付け水準同等以下なら、ですが。

というカンジでしょうか。

 ただ、そう割り切ってなお、現実は単純ではなさそうです。
 新作でも、ハイレゾ版の方が良マスタリングだという保証はありません。
 旧作でも、せっかくのハイレゾリマスタリングなのに「音圧マシマシでクリッピング多発」なことがあるようです。CDでもリマスターの方がいいとは限らないのと同じ話ですね。

・お値段のハナシ
 と言うことで、要するに問題は「価格(コストパフォーマンス)」ですよね。まあアタリマエですけど。
 それについてちょっと考えてみます。CDとハイレゾ配信の比較として。

1.新作の場合
 原則としてハイレゾに高値を付ける理由はないでしょう。ハイレゾ配信の方がマスターに近いでしょうから、CDフォーマットにマスタリングする手間が省けるとか物理メディアがない(ブックレットもない。物流コストもない)とかって点を考えると、逆に配信ハイレゾの方が安くできるハズ。サーバ維持費用とかは増えるでしょうけれど、PC用ソフトウェアだってDL版の方が安いの当たり前ですよね。
 「中古市場ができない(ハズ)」であろう点も、CDより安くできる理由になるでしょう。

2.旧作ハイレゾ化の場合
 楽曲自体の制作費がかかってませんし上記の通り配信ですから、リマスター版CDより安価にできるハズです。


 実際にはもっと微妙な点もありますけれど。
 例えば、新作発売直後ではあまり値差がなくても、時間が経った作品はCDなら値下がりしたり中古で買ったりできます。
 また、配信ハイレゾの1曲の価格は(すごく)高い気がしますがCDでは曲単位では買えないので比較しようがありません。

 以上、ざっくり言うと、“お値段がCD同等以下なら”新作であれ旧作であれハイレゾ配信を商品として否定する必要はないのではないかと。
 あれ? 音質関係ないや(笑)。

 商品の価格は原価で決まらないのはもちろんですが、個人的にはCDと同価格以下とすべきであり、プレミア価格を付けるようなモノではないと思っています。プレミア価格だと「ハズレ掴まされたら悔しい」って疑念がつきまといますしね。
 「手間かけてるから高い」なら納得しますし「手間かけてないから安い」でも納得しますよね。

 やっぱり素性は明かすべきです。ちゃんとやってる自負あるなら。


■「既存音源から作ったハイレゾ」を調べる

 ということで、いよいよ実践編です。上に挙げた「既存音源のハイレゾ化商品」の実例を少々。

 ただし、あくまでも「フォーマットと出自と実際の周波数成分や音圧」のハナシです。だから音質がどうかとは直接関係ありません。


■中山美穂「COLLECTION Ⅳ」

   ←当然ながらハイレゾではなくCDですが、記事に彩り欲しかったので(笑)

 これを選んだ理由は以下の通りです。

・\2,000(8%税込み)という価格は“リマスター商品”として良心的

・出自が詳しく明示されており好感が持てる
  http://www.e-onkyo.com/music/album/nopa00518/
  http://www.e-onkyo.com/feature/42

・出自には
   『今作はキングレコードが保有するアナログ・マスターテープからデジタル化した音源となります。
    *Tr.6、8は44.1kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。
    *トラック9は48kHz/16bitで収録され、96kHz/24bitでマスタリングされています。』
とあり、track01~05,07はアナログマスター、track06,08は1644マスター、track09は1648マスターと、3種のマスターによる違いを比べることができる(ディスクじゃないですけど便宜的にtrackと呼称します)

 CDとしては2006年2月発売のようです。1995~1999のシングルをリリース順に収録とのこと。
 潔く2496WAVで購入。ファイル名が楽曲名になっている(アルバム名も入ってて長いですけど)e-onkyoにて。

 ということで、マスター違いごとに中身を見てみたいと思います。

・アナログマスター(track01~05)
 さて、「アナログマスター」にはどんな音(特に高域)が入っているのでしょうか。一番古いtrack01の例です。

COLLECTIONⅣ01

 古いといっても1995年ですので、残っているマスターはアナログでも制作プロセスにはデジタル入っていると思います。
 ナイキスト20kHzくらいで一旦周波数成分なくなっているのはそのためでしょう。
 そしてそこから上、新たな2496AD変換のナイキストである48kHzまでの領域は音楽に合わせて変動します。LPFは40kHzあたりからゆったりかけているようですね。

 CDナイキストですっぱり切れておらず(24bitの最低値まで落ちていない)そこから48kHzまでの成分が変動するということは、ローレゾデータをアップサンプリングしたものでないことは確かです。キャプチャにはありませんが、24kHz以上にパルス性ノイズが見られることからも、アナログ再生をハイレゾ録音したという出自情報に矛盾ありません。
 この20~48kHz領域は、変動はしますが倍音が立ったりすることはありません。ので有意な音楽成分ではないでしょう。正確には解りませんが、アナログテープのヒスノイズ成分が有効周波数帯域につられて変動しているのでしょうか。

・アナログマスター(track07)
 このtrackだけCDナイキストでの明らかな減衰は見られず48kHzまで連動していましたので、ハイサンプリング(またはアナログ?)制作っぽいです。ただし、20kHzくらいに段差が見えることもあることから、CD・DAT級サンプリングレートの音声トラックもミキシングされているようです。

COLLECTIONⅣ07

 というスペクトル違いが判るということは、「アナログマスターテープは、“実力値的能力”としては96kHzサンプリングクラスの周波数は記録できる」ということかと思います。ただし、どこまで品質(音質)保っているかは別ですし、アナログマスターにも性能違いはあるでしょう。

 なお、track07を聴いたカンジ「お~ さすがアナログマスターのネイティブハイレゾ! 他のtrackとは全く違う!」とは思いませんでした(笑)。

・1644マスター(track06,08)
 つまりCD音源ではないかと思います。
 が、CDナイキストで減衰はしますが24bit最低値までは落ちていないことから、アップサンプリングではなくDA変換再生をAD変換したもののようです。これも出自情報に偽りナシですね。
 アナログマスターと異なりCDナイキスト~AD変換ナイキスト領域はおとなしいままです。つまり、当該領域は楽曲成分と無関係=再生機器のフロアノイズと思われます。
 それでもアップサンプリングではなく当該領域のデータが(ノイズでも)在るということはハイレゾのひとつの効能になると思ってます。

COLLECTIONⅣ06

・1648マスター(track09)
 つまりDAT音源ではないかと思います。
 事情は1644マスターに準じます。若干オリジナルナイキストが高めですかね。

COLLECTIONⅣ09

 何故か44.1kHzのパルスノイズがあるのはご愛敬?(笑)

・総評
 出自が明確に開示されており、実際偽りなしでしたのでとてもキモチいいです。

 アナログマスターの実力については、少なくとも、CDを超える高域が入っているいう意味においては「可能性がある」が、「サイコーとは限らない」と言えるでしょう。

 音圧は、全体的に高め(*)でしたが、ざっと見た限りピーク潰れ(データ値としてではなく波形としての)はないようです。track03,04だけ連続2サンプル以下のクリップがありましたが問題にすべきものではないでしょう。
 track08だけが異様にレベル低いです。何故? とも思いますが、元音源そのままだとすると逆に好ましいとも思います。

*:CDと比較して同じくらいのもの、2496の方が高いもの、など混在しているようですが、CD音源も初出や再録などいろいろなバージョンがあると思いますので総論はありません。

・比較試聴
 「ハイレゾでリマスター」するとどれくらい違うのか、CD(ただしシングルではなくアルバム版)でも持っている曲とざっくり音質比較してみます。以下のシステムです。

 ハード:X79システム→UD-503→MDR-Z7(アクティブGND)
 ソフト:≪foobar2000≫のResamlper-Vでx2x2x2x2→DSD256(TypeD FP64)変換

 ハイレゾの方が若干レンジ感が広くヴォーカルが生々しくなるような気はします。が、そのつもりで聴き比べればそうかな、という程度かと思います。少なくとも「ハイレゾすげえぇぇぇ!」ってカンジではないですね。

 なお、DACユニットとしてまだUDA-1を使っていた時にも同じ比較したことがあります。

 ハード:X79システム→UDA-1→DSP-Z7→HD700
 ソフト:≪foobar2000≫のResampler-Vでx2x4→DSD256(TypeD FP32)変換

 いくつかの短いフレーズを交互に再生して比較してみましたが、ハイレゾは「CDより若干空間が広めなような気がするかも?」程度で、「明らかに、圧倒的に、いい!」とは思いませんでした。「リマスターだから音質違うのはアタリマエ」のレベルかと。
 確かな記憶ではありませんが、UD-503システムの方が違いを感じるような気はします。

・DSD変換試聴のワケ
 ところで、ネイティブ再生ではなくPCM→DSD変換再生にしたのは、「再生ハードウェア動作の差(影響)を極力小さくするため」です。
 Resampler-Vの1段目のx2は44.1kHzと48kHz以外はスルーするように設定していますので、CD音源と2496はプレーヤの設定を変えず連続再生しても「x2するかしないかの差」だけになります。一方、DAC側はDSD256ストリームに対する「アナログLPF」としてのみ動いています。
 よって、再生システム動作の違いは最低限の「PC側でのx2処理有無だけ」になっており(*)、それはX79システムにとっては軽微な負荷差でしょうからつまり再生処理の差はほぼ隠蔽でき、「音源の差」だけに注目できるのではないかと。
 ただし、UD-503のDSDは44.1kHz系しか受け付けないので2段目出力で176.4kHzに揃えています。その点では2496は若干不利かも知れません。UDA-1は48kHz系DSDも通りましたのでこの限りではありません。

*:DSD変換再生ではなくPCMデータのままネイティブに再生した場合は、DACユニットの最大処理能力を192kHzで100%とすると44.1kHzは約23%&96kHzは50%の負荷となり、微少な差とは言えないでしょう。


■K2HD:小泉今日子「あなたに会えてよかった」

   ←シングルCDです

 よく店頭試聴に使われていることもあり、表題技術がどんなものか確認するため買ってみました。
 以下がそのスペクトル。一応、「補間生成された領域」が目立ったところをキャプチャしたものです。

K2HD.png

 確かに元ナイキスト以上の領域に成分はありますが、それがどれだけ有意なもので、聴いて有効なのかはなんとも言えません。

 音圧・音量についても一応CD版(シングルではなくアルバム版)との比較を載せておきます(上がCD。Lch)。

CD VS K2HD

 どちらもフルビットにドンツキしているところはありません。拡大して追ってみても、波形として潰れてるところもなさそうでした。
 クリップはしていませんが、イマドキの音源らしくK2HD版の方が音圧高く変更されてるようです。
 音量も大きくなってますね。≪SoundEngine Free 5.02≫によると、CD版とK2HD版はそれぞれ最大音量-1.00dB/-0.40dB、平均音量-14.83dB/-12.03dBとなりました。
 ハイサンプリングにするほどTruePeak防止のためのマージンは減らせますのでそれを削ったカンジですかね。
 フルビットよりやや低いところで頭が揃ってますので、最大値をそのように設定してマスタリング(コンプ)したのでしょう。最近はクリッピングもよく話題になりますから、音圧上げても≪Audacity≫で赤くならないようにしとかないとね(笑)。


 ざっくり比較試聴してみると、K2HD版の方が空間の広がり感というか楽器やヴォーカルの明瞭感で好ましい気はします。
 「すげ~イイ! K2HD最高!!」ってことはありませんが、比較すればCD版よりいいと思えます。個人的には、ですが。
 ただ、\540(8%税込み)というコストパフォーマンスは…どうでしょうね?(苦笑)

 なお、CD音源はアルバム版なので、シングル版から音量ノーマライズなどの加工されてるかも知れません。


■おまけ

・ダウンローダ
 配信音源を購入する際のDLはブラウザの機能を使うので、1ファイルずつ選択することになります。流石にメンドクサイのでe-onkyoのダウンローダを使ってみました。
 2曲同時に落としてました。速度表示は70~85Mbpsくらい。ファイルサイズと秒数から換算する実測値と同等でした(日曜午前中、100Mbps契約のフレッツ光にて)。

・試聴
 評論家などは「フォーマットで音質は決まらない、音楽は聴いてナンボ、聴いて良ければ買えばよい」みたいなことを言います。基本的に異論はありませんが、“買わなきゃ聴けない”じゃないスか。矛盾してますよね。
 なので、ハイレゾの試聴は、商品のそのものの音質やマスタリングの確認ができないと意味がないと思っています。
 試聴音源が圧縮だと周波数特性や音質変わっちゃいますし、そのハイレゾ商品から作ったものという保証もありませんから、工夫して“ハイレゾネイティブ”なものを聴けるようにして欲しいものです。そうすれば「ホントに2496なのか」といった“出自”もたぶん確認できるでしょう。
 せめて、1曲買った後でアルバム買う場合はアルバム価格から1曲価格を引いてくれるとか。
 もはや“試聴”じゃないですけど(苦笑)。


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PhaseとImpulseのハイレゾ効果を確かめる

16/03/05初稿

 前稿で、遂にデジタルフィルタのパラメータが演算結果に及ぼす影響について調べました。

 とりあえずサンプリングレート1fs(44.1kHz)ソースについて見ましたが、これって、同じ波形でもサンプルレートが違うと影響度は異なるのではないでしょうか。もし、ハイサンプリングだと“影響”が緩和されるなら、それはハイレゾの効能と言えるでしょう。
 もちろんフォーマットとして、ですけれど(実際に聴いて差があるかは別)。

 ということで、調べてみました。
 以前、「ない高域をサンプリングして“ないことをデータとして確定”させることでイメージングノイズ発生帯域をその上の高域にシフトし、OSDF影響を下げることがハイレゾの効果(のひとつ)」と考察したことがありますが、本稿はPhaseとImpulseの側面での効果確認になるかと思います。

 本稿では、その主旨からハイレゾはハイサンプリングのことを指します。


■Phase Response

 前稿で扱った「14.7kHzと7.35kHzのサイン波を合成した波形」の変形につき、サンプルレートを変えたソースで調べてみます。
 44.1kHzに加え、同じ方法で88.2kHzと176.4kHzのデータを作成。それぞれx2x2x2とx2x2とx2してすべて352.8kHz(8fs)化した時の変形を比較します。
 同じ8fsにするにしても、フィルタで再生成したものではなく最初から2倍分4倍分の“リアルサンプル”があるデータの変形度合いの比較、ということですね。
 8fs(8倍)で揃えたのはDACのOSDFがΔΣブロックに入れる前に「8fs」にする(*)処理のシミュレーションとするためです。

*:AK4490などはそのように動いていると理解しています。

 以下、 ≪Resampler-V≫のMinimal設定の結果を示します。Linearは変形しないので省略。

14700+7350 0per ハイレゾ比較 サイン波重ね

 「44.1kHz x2x2x2(上図)」と比較すると、「88.1kHz x2x2(中図)」ですでに変形はかなり抑制されています。「176.4kHz x2(下図)」の“リコンストラクション再現率”は、ほとんどLinearと遜色ないのでは。

 もちろんこの例のみでのイメージですが、特殊事例ではないと思います。


■Impulse Response(の代替特性)

 こちらも、前稿の「1周期の4kHz -0dB」波形につき、サンプルレートが異なるデータを作って比較します。
 これは一般的な「Impulse Response」ではありません。その理由などの詳細は前稿を参照ください。

 前稿で見た48kHzをx2x2x2した場合(上図)に加え、96kHzをx2x2(中図)、192kHzをx2(下図)してぞれぞれ8fs化した場合につき、MinimalとLinearを示します。

・Minimal

4000HzResponseハイレゾ比較 0per


・Linear

4000HzResponseハイレゾ比較

 すべて8fsで揃えていますので、同じ時間スケールでの比較です。サンプリング周波数が高くなるとエコー成分はどんどん減っていく様子が解ります。
 ちなみに≪Wavosaur x64 1.1.0.0≫の表示限界以下で見えないワケではありません(別途拡大表示して確認しました)。


 なお、余談かつおそらくですが、これは基音と倍音でハイレゾの効果を見た時と同じ現象を別の見方しているのではないか、という気がしています。


■デジタルフィルタにみるハイレゾの効果

 以上より、デジタルフィルタにおける「Phase Response」「Impulse Response」の絶対的影響は、ソースのサンプルレートが高くなるほど小さくなると言っていいのではと思います。
 まあ、当たり前ではありますが、実際に波形で比較してみるとその“程度感”などが解ってヨイですね。

 つまり、「Minimal系特性にすると波形変形が発生する」「Linear系特性にするとプリエコーが発生する」と言う(言われる)デジタルフィルタのデメリットは、ハイレゾ(ハイサンプリング)になればなるほど軽減されるということです。
 もちろん同じ周波数帯について見た場合です。人間の可聴域や音楽の周波数はハイレゾだと移動するってワケではありませんから、例えば「ハイレゾの場合は2倍・4倍の領域(ナイキストに対して同じ比率の領域)で比較しなければ意味がない」といったことはないでしょう。

 さて、上記はPCソフトのフィルタ演算結果ですが、DACチップのOSDFも基本的に同じ特性を示すハズです。

 具体的な例を挙げると、AK4490のOSDF結果は8倍固定ですので、最初から8fs=352.8kHzや384kHzソースの場合はOSDFかかりません。LinearもMinimalも関係なくデジタルフィルタのデメリットは発生しないワケです。それは極端な例としても、4fsソースの場合はOSDFは2倍ですので影響はかなり抑制されるでしょう。

 ですので、「(OSDF式の)DAC動作」という観点では、ハイサンプリングだとデジタルフィルタのデメリットを抑制できるメリットありと言えるのではないでしょうか。

 言い方を変えると、「フィルタ特性による音の差が少なくなる」「“デジタル臭さ”が減る」といった表現もできるでしょうか。
 もちろん、これはDACの仕組みにも依存するので絶対的一般論とは言えませんし、実験はサイン波(せいぜい成分としてふたつ)でのものですから、当然ながら実際の楽曲においてどれくらい有意差があるかは別問題ですけれど。

 なお、当然かつ重要な点ですが、ソースがネイティブハイサンプリングじゃないと当該メリットはありません。「AD変換が1fs、またはAD変換が2fsや4fsでも製作過程で一度でも1fs化したデータ」をアップサンプリングしたハイレゾでは、その時点で1fsを2倍4倍するためのデジタルLPFかかっているのですから。


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Author:らかせ
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